許もと世よ英えい

許もと世よ英えい
プロフィール
出生しゅっしょう：	1873年ねん9月がつ10日とおか; （清きよし同どう治ち12年ねん7月がつ19日にち）
死去しきょ：	1964年ねん（民みん国こく53年ねん）10月13日にち; 中華民国ちゅうかみんこく台北たいぺい市し
出身しゅっしん地ち：	清きよし安徽あんき省しょう池州いけす府ふ建徳けんとく県けん
職業しょくぎょう：	政治せいじ家か・外交がいこう官かん
各種かくしゅ表記ひょうき
繁体字はんたいじ：	許もと世よ英えい
簡体字かんたいじ：	许世英えい
拼音：	Xǔ Shìyīng
ラテン字じ：	Hsü Shih-ying
和名わみょう表記ひょうき：	きょせいえい
発音はつおん転記てんき：	シューシーイン
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許もと世よ英えい（きょせいえい）は、清末きよすえ、中華民国ちゅうかみんこくの政治せいじ家か・外交がいこう官かん。北京ぺきん政府せいふでは安徽あんき派はに属ぞくし、一時いちじは国務こくむ院いん総理そうりもつとめたことがある。国民こくみん政府せいふでは駐ちゅう日にち大使たいしとなった。字じは俊しゅん人じん、静せい仁ひとし。

事績じせき

清末きよすえの事跡じせき

比較的ひかくてき富裕ふゆうな地主じぬしの家いえに生うまれる。1891年ねん（光ひかり緒いとぐち17年ねん）に秀才しゅうさいとなったが、郷さと試ためしには2度ど落第らくだいした。1897年ねん（光ひかり緒いとぐち23年ねん）に抜貢（地方ちほうの優秀ゆうしゅうな生徒せいとを選抜せんばつして京師けいしに派遣はけんすること）に選えらばれ、同年どうねんの礼れい部ぶにおける官吏かんり登用とうよう試験しけんに首席しゅせき合格ごうかくした。翌年よくねん、刑部おさかべ広西ひろせ司つかさ副ふく主しゅ稿こう、主しゅ稿こうを歴任れきにんし、さらに直ちょく隷司つかさ主しゅ稿こうとなる。以後いごも、四川しせん省しょうなどでも官職かんしょくを歴任れきにんし、1902年ねん（光ひかり緒いとぐち28年ねん）に刑部おさかべ六ろく品ひん主事しゅじに昇進しょうしんした。

1905年ねん（光ひかり緒いとぐち31年ねん）10月がつ、清朝せいちょうが巡めぐ警部けいぶ門もんを新設しんせつすると、北京ぺきん外城とじょう巡じゅん警総庁ちょう庁ちょう丞すすむ朱しゅ啓あきら鈐の推薦すいせんにより、許もと世よ英えいは同庁どうちょう行政ぎょうせい処しょ検事けんじに就任しゅうにんした。1906年ねん（光ひかり緒いとぐち32年ねん）の年末ねんまつ審査しんさにより、京きょう察一等いっとうの評価ひょうかを受うけ、四よん品ひん任用にんようの資格しかくを得えた。1907年ねん（光ひかり緒いとぐち33年ねん）4月がつ、東ひがし三さん省しょう総督そうとく徐じょ世よ昌あきらに任用にんようされ、東三ひがしさん省しょうでの司法しほう機構きこう創設そうせつの準備じゅんびに従事じゅうじする。翌年よくねんに奉天ほうてん高等こうとう審判しんぱん庁ちょう庁ちょう丞すすむに任命にんめいされた。この時とき、日本にっぽん駐ちゅう奉天ほうてん領事りょうじ広田ひろた弘毅こうき、副ふく領事りょうじ有田ありた八郎はちろうと知しり合あっている。

1910年ねん（宣せん統みつる2年ねん）春はる、許もと世よ英えいは徐じょ謙けんらとともに、司法しほうと監獄かんごくの実情じつじょう視察しさつのため欧州おうしゅう各国かっこくを視察しさつした。帰国きこく後ごの1911年ねん（宣せん統すべ3年ねん）11月、山西さんせい布ぬの政せい使しに任にんじられた。まもなく袁世凱を支持しじして、山西さんせい巡めぐ撫なで張ちょう錫すず鑾とともに宣せん統すべ帝みかど退位たいいを求もとめる文書ぶんしょに名なを列つらねた。

安徽あんき派はに属ぞくす

1912年ねん（民みん国こく元年がんねん）5月がつ、張ちょう錫すず鑾の推薦すいせんを受うけた許もと世よ英えいは、袁世凱により大だい理り院いん院長いんちょうに任命にんめいされた。陸りく徴しるし祥さち内閣ないかく、趙ちょう秉鈞内閣ないかく、段だん祺瑞臨時りんじ内ない閣かくにおいては、司法しほう総長そうちょうをつとめている。政党せいとう活動かつどうでは、徐じょ謙けんらと国民こくみん共進きょうしん会かいを組織そしきし、後のちに国民党こくみんとうに合流ごうりゅうしている。しかし、1913年ねん（民みん国こく2年ねん）3月がつに宋そう教きょう仁ひとしが暗殺あんさつされると、国民党こくみんとう員いんでありながらも許もとは司法しほう総長そうちょうとして審理しんりにつき困難こんなんな立場たちばに立たたされ、革命かくめい派はの黄き興きょうらから厳きびしく糾弾きゅうだんされた。

同年どうねん10月がつ、奉天ほうてん省しょう民政みんせい長ちょうに異動いどうする。1914年ねん（民みん国こく3年ねん）春はる、約やく法ほう審査しんさ員いんとして中華民国ちゅうかみんこく約やく法ほうの増補ぞうほ改正かいせいに関与かんよした。同年どうねん5月がつ、福建ふっけん民政みんせい長ちょう（後のちに巡めぐ按使と改称かいしょう）に任命にんめいされたが、福建ふっけん護まもる軍使ぐんし李り厚あつし基もとと不仲ふなかであったため、1916年ねん（民みん国こく5年ねん）4月がつ、辞任じにんした。

袁世凱の死後しご、許もと世よ英えいは、地縁ちえんから段だん祺瑞率ひきいる安徽あんき派はの一員いちいんとなる。民みん国こく5年ねん6月がつ、内務ないむ総長そうちょうとなり、翌よく7月がつには交通こうつう総長そうちょうとなった。しかし、府ふ院いんの争あらそいの中なかで、黎はじむ元もと洪ひろしから津浦つのうら鉄道てつどうを巡めぐる収賄しゅうわい案件あんけんを糾弾きゅうだんされ、1917年ねん（民みん国こく6年ねん）5月がつに許もとは一時いちじ逮捕たいほされてしまう。まもなく無罪むざいとなったが、交通こうつう総長そうちょうは辞任じにんせざるを得えなかった。1918年ねん（民みん国こく7年ねん）、中ちゅう意い銀行ぎんこう総裁そうさいに就任しゅうにんした。

国務こくむ総理そうりに就任しゅうにん

1921年ねん（民みん国こく10年ねん）9月がつ、安徽あんき省しょう長ちょうに就任しゅうにんする。しかし、1923年ねん（民みん国こく12年ねん）に軍縮ぐんしゅくを図はかって安徽あんき督とく理り馬うま聯れん甲かぶとと衝突しょうとつし、辞任じにんに追おい込こまれた。同年どうねん2月がつから11月がつまで航空こうくう署しょ督とく弁べんをつとめる。1924年ねん（民みん国こく13年ねん）10月がつ、段だん祺瑞の命いのちにより許もとは孫まご文ぶんと対面たいめんし、直ちょく隷派討伐とうばつを図はかる。

その後ご、馮玉祥ぎょくしょうによる北京ぺきん政変せいへん（首都しゅと革命かくめい）を経へて、許もと世よ英えいは善後ぜんご会議かいぎ秘書ひしょ長ちょうとなった。民みん国こく13年ねん12月がつ以降いこう、段だん祺瑞は臨時りんじ執政しっせいとして国務こくむ会議かいぎを主宰しゅさいし、国務こくむ院いん総理そうりをしばらく置おいていなかったが、1925年ねん（民みん国こく14年ねん）12月26日にち、国務こくむ院いん総理そうりの職しょくが復活ふっかつし、許もとが総理そうりとなった。内閣ないかくの組織そしきでは、許もとは中国ちゅうごく国民党こくみんとうにも配慮はいりょする人事じんじを行おこなったが、結局けっきょくは国民党こくみんとう人士じんしの支持しじを取とり付つけることができなかった。翌年よくねん2月がつ15日にち、許もとは総理そうりを辞任じにんした。5月に段だんも下野げやに追おい込こまれると、許もとは段だんに随従ずいじゅうして上海しゃんはいに逃のがれた。

国民こくみん政府せいふでの活動かつどう

国民こくみん政府せいふ成立せいりつ後ごの1928年ねん（民みん国こく17年ねん）10月がつ、許もと世よ英えいは賑にぎわい務つとむ委員いいん会かい委員いいん長ちょうに起用きようされ、全国ぜんこくで社会しゃかい救済きゅうさい事業じぎょうに取とり組くんだ。1936年ねん（民みん国こく25年ねん）2月がつ、駐ちゅう日にち大使たいしに任命にんめいされ、翌年よくねん9月がつの盧溝橋ろこうきょう事件じけん（九きゅう一いち八はち事変じへん）後ごは、日本にっぽんとの交渉こうしょうを受うけ持もった。ドイツの仲介ちゅうかいを得えながら、許もとは日本にっぽん側がわと交渉こうしょうを続つづけたが、南京なんきん陥落かんらくなどもあって不調ふちょうに終おわる。1938年ねん（民みん国こく27年ねん）1月がつ20日はつかに、許もとは帰国きこくした。

帰国きこく後ご、許もと世よ英えいは国民こくみん政府せいふの全国ぜんこく賑にぎわい災わざわい委員いいん会かいを主管しゅかんし、再ふたたび社会しゃかい救済きゅうさい事業じぎょうに取組とりくむ。1938年ねん（民みん国こく27年ねん）12月には、中央ちゅうおう救済きゅうさい準備じゅんび金きん保管ほかん委員いいん会かい委員いいん長ちょうに異動いどうした。1940年ねん（民みん国こく29年ねん）10月がつ21日にちから25日にちにかけて蔣介石せきが重慶たーちんで開催かいさいした外交がいこう対策たいさく会議かいぎに、許もとは列席れっせきしている^[1]。また重慶たーちん国民こくみん政府せいふにあっては、賑にぎわい務つとむ委員いいん会かい（後のちに賑にぎわい済ずみ委員いいん会かい）委員いいん長ちょう代理だいりを務つとめた（当時とうじの委員いいん長ちょうは孔あな祥さち煕ひろし）^[2]^[3]。

日にち中ちゅう戦争せんそう（抗日こうにち戦争せんそう）後ごの1947年ねん（民みん国こく36年ねん）4月がつには、行政ぎょうせい院いん政務せいむ委員いいん兼けん蒙こうむ蔵ぞう委員いいん会かい委員いいん長ちょうに就任しゅうにんしている。翌年よくねん12月がつの辞任じにん後ごは、いったん香港ほんこんに移住いじゅうした。1950年ねん（民みん国こく39年ねん）に台湾たいわんに移うつり、総統そうとう府ふ咨政に任にんじられた。

1964年ねん（民みん国こく53年ねん）10月がつ13日にち、台北たいぺいで病没びょうぼつ。享年きょうねん92（満まん91歳さい）。

注ちゅう

^ 『国際こくさい知識ちしき及および評論ひょうろん』20巻かん12号ごう、昭和しょうわ15年ねん12月がつ号ごう、日本にっぽん国際こくさい協会きょうかい、118-119頁ぺーじ。
^ 東亜とうあ問題もんだい調査ちょうさ会かい(1941)、44頁ぺーじ。
^ 『昭和しょうわ十じゅう五ご年ねんの国際こくさい情勢じょうせい』日本にっぽん外政がいせい協会きょうかい、1942年ねん、179頁ぺーじ。

参考さんこう文献ぶんけん

鄭てい則のり民みん「許もと世よ英えい」中国ちゅうごく社会しゃかい科学かがく院いん近代きんだい史し研究所けんきゅうじょ『民みん国こく人物じんぶつ伝でん第だい7巻かん』中華ちゅうか書しょ局きょく、1993年ねん。ISBN 7-101-01052-0。
劉りゅう寿ひさし林りんほか編へん『民みん国こく職しょく官かん年表ねんぴょう』中華ちゅうか書しょ局きょく、1995年ねん。ISBN 7-101-01320-1。
東亜とうあ問題もんだい調査ちょうさ会かい編へん『最新さいしん支ささえ那な要人ようじん伝でん』朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1941年ねん。