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超過ちょうか利得りとくぜい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

超過ちょうか利得りとくぜいみ:ちょうかりとくぜい、どく: übergewinnsteuer えい: excess profits tax りゃくしてEPT)は、リスクを調整ちょうせいされた'正常せいじょうな'(えい: normal利益りえきえたものである、収益しゅうえき利益りえきかんするぜいである。'超過ちょうか利得りとく'(えい: excess profit )の概念がいねん地代じだいのそれと大変たいへんよくている[1]超過ちょうか利得りとくぜい個人こじんまたは法人ほうじんされうる[2]超過ちょうか利得りとくぜい独占どくせん産業さんぎょうにおいて通常つうじょうされる[1]

超過ちょうか利得りとくぜいは、戦時せんじちゅうまたは意外いがい利得りとく 英語えいご: windfall gains るような通常つうじょうではかんがえられない可能かのうせいをもったなんらかのものをあたえるできごとについての対応たいおうにおいて、またはそれらの場合ばあいかぎらず、しばしばせられてきた。石油せきゆやガソリンにおけるような、資源しげん価格かかくにおける現況げんきょう高騰こうとうによる利得りとく低減ていげんするために、意外いがい利得りとくぜいは、しばしば提案ていあんされそして時折ときおりせられてきた。戦時せんじ超過ちょうか利得りとくぜいまたは戦時せんじ利得りとくぜい戦時せんじ利得りとく 英語えいご: war profiteering 関係かんけいするぎゃくインセンティブ 英語えいご: perverse incentives 低減ていげんするために使つかわれてきた。超過ちょうか利得りとくぜいくに収入しゅうにゅう不平等ふびょうどう逓減ていげんさせとみさい分配ぶんぱいするのに困難こんなん時期じきもちいられる[2]

新型しんがたコロナウイルスでの超過ちょうか利得りとくぜい

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歴史れきしじょう超過ちょうか利得りとくぜいは、超過ちょうかした総額そうがく金銭きんせん必要ひつようとなるにともない、戦争せんそう期間きかんちゅうされた[1]。しかしながら、新型しんがたコロナウイルスの期間きかんちゅう追加ついか医療いりょう保険ほけん労働ろうどうしゃしと、マスクのような、規制きせい実施じっしのために、おおくのくに超過ちょうか利得りとくぜいした。おなじように、2021ねん3がつひろし流行りゅうこうはじまりから、医療いりょう経済けいざいてき打撃だげきひろがりを鎮静ちんせいさせる、グローバルな財政ざいせいじょう対応たいおうは、2020(IMF,2021)ねんには総額そうがく16ちょうドルの、未曾有みぞうのものだった。けれども、顕著けんちょ利益りえき急上昇きゅうじょうしょうそしてその突発とっぱつつづくそのとし株価かぶか上昇じょうしょうられる、いくつかの産業さんぎょう分野ぶんやとく情報じょうほう技術ぎじゅつ製薬せいやくをもって、ビジネスにおけるひろし流行りゅうこう打撃だげきおなじではなかった[1]

歴史れきし

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超過ちょうか利得りとくぜいだいいちおよだい世界せかい大戦たいせんちゅう欧州おうしゅう北米ほくべいおよび日本にっぽんにおいて導入どうにゅうされた。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

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1863ねんに、南部なんぶ連合れんごう会議かいぎ[3]ジョージアしゅう[4][5][6]、そのときアメリカの歴史れきしのなかでおそらく最初さいしょはじまった、超過ちょうか利得りとくぜい実施じっしした。

イギリス

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1915ねんに、イギリス政府せいふ産業さんぎょう資本しほん代表だいひょう労働ろうどう組織そしきあいだ取引とりひき交渉こうしょうした。このめは、戦争せんそう関係かんけいする活動かつどう関与かんよする企業きぎょう利益りえき上限じょうげん制限せいげんする義務ぎむのために、労働ろうどうりょく水増みずましと賃金ちんぎん抑制よくせい交換こうかんした[7]

ギリシャ

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2022ねん11月、ギリシャはエネルギー会社かいしゃに90%の超過ちょうか利得りとくぜいすることで高騰こうとうするエネルギー価格かかく対応たいおうした。ギリシャエネルギーしょうは「わたしたちの基本きほんてき問題もんだいは、 ひろし欧州おうしゅうエネルギー危機ききの、 おもだったこれがわるまで、消費しょうひしゃにとってれられる請求せいきゅうしょでの価格かかく維持いじすることだ 」[8]はじめることで正当せいとうした。その税収ぜいしゅうはエネルギー価格かかく補助ほじょ使つかわれた。

日本にっぽん

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日本にっぽんでは超過ちょうか利得りとくぜいとして、戦時せんじ利得りとくぜい臨時りんじ利得りとくぜいばれるぜいがそれぞれだいいちおよびだい世界せかい大戦たいせんちゅうされた[9]

ハンガリー

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新型しんがたコロナウイルスのひろし流行りゅうこうのようなグローバルな問題もんだいによる財政ざいせいてき要求ようきゅうおよ経済けいざいてき均衡きんこう悪化あっかならびにインフレーションの増大ぞうだい措置そちするためハンガリーは超過ちょうか利得りとくぜいした。ハンガリーは最近さいきん超過ちょうか利得りとくぜい銀行ぎんこう航空こうくう産業さんぎょうのような特定とくてい産業さんぎょう対象たいしょうとしてした[10]同様どうようおおくの超過ちょうか利得りとくぜい一時いちじてきである。この課税かぜい年間ねんかん8ちょうHUFをもたらすと見込みこまれている[10]

超過ちょうか利得りとくぜいをめぐる議論ぎろん

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超過ちょうか利得りとくぜいは、予期よきしない出来事できごと対策たいさくでの遡及そきゅうするぜいとして、いちかいかぎりに適用てきようされる場合ばあいとく有効ゆうこうになりうる。それらは予期よきせず代表だいひょうてき所得しょとくえるものである利益りえき対象たいしょうとし、そしてしたがって、その投資とうしはこれらの利益りえきがすでにしょうじたものにかんしてめられ、そのぜい相対そうたいてき強制きょうせい順応じゅんのう用意よういであって、回避かいひむずかしい。超過ちょうか利得りとくぜい支持しじする基本きほんてき理論りろんてき主張しゅちょう経済けいざいてき効率こうりつ概念がいねん起源きげんをもつ。経済けいざいてき地代じだい超過ちょうか利益りえき)におけるぜいは、それらは理論りろんてき投資とうし判断はんだん影響えいきょうあたえないから、有効ゆうこうであるとかんがえられる。これは、投資とうし調節ちょうせつすることを要求ようきゅうする、通常つうじょう還元かんげんえるような還元かんげんかぎされるぜいであるかぎり、それははじめの場所ばしょでの投資とうし動機どうきづけるその基本きほんてき収益しゅうえきせい影響えいきょうあたえない、とのかんがえにもとづく。

1942ねんCanadian Bar foundationのフレデリック・T.コリンズは超過ちょうか利得りとくぜいについてかたった:

すべての課税かぜい目的もくてき歳入さいにゅうげることだ、そしてわたしたちが現在げんざいるところの、 全部ぜんぶ戦争せんそうにおいて必要ひつよう資金しきん調達ちょうたつやす、もっとも公平こうへいでもっとも方法ほうほうの、超過ちょうか利得りとくぜいのそれ自体じたい固有こゆう制限せいげんは、戦時せんじおこなうことである[11]

理論りろんてき理念りねんにもかかわらず、超過ちょうか利得りとくぜい現実げんじつ応用おうようはしばしばそれらが企業きぎょう行動こうどう投資とうし決定けってい影響えいきょうあたえることをていする。たとえば、意外いがいぜい歴史れきしてき適用てきよう時折ときおり将来しょうらいぜい負担ふたんについての確実かくじつせいしたが企業きぎょう新規しんき計画けいかく拡張かくちょうまたは開始かいしひかえるかもしれないのにつれ、投資とうしげた。石油せきゆ生産せいさんげた、1980年代ねんだい石油せきゆ産業さんぎょうにおけるアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく超過ちょうか利得りとくぜいは、理論りろんてき予想よそうはんした経験けいけんてき例証れいしょうである主要しゅよう事例じれいである[1]

べつ主張しゅちょうは、資本しほん融資ゆうしにおける債務さいむによる資金しきん調達ちょうたつ優遇ゆうぐうする、おおくの既存きそんぜい枠組わくぐみの基本きほんてきゆがみをなお超過ちょうか利得りとくぜい可能かのうせいである。典型てんけいてきには、法人ほうじんぜい体系たいけい債務さいむかんする利息りそく支払しはらいの控除こうじょみとめている、しかし資本しほんかんする支払しはらいのりに対応たいおうする控除こうじょについてはけていない。これは企業きぎょうにとって資本しほん融資ゆうしよりもりた資金しきんによりおおきくたよるような、金融きんゆう危機ききのような、経済けいざいてき混乱こんらん期間きかんにはっきりと強調きょうちょうされてきたところの問題もんだいの、金融きんゆうリスクと不安定ふあんてい増大ぞうだいしうる、金融きんゆうてき動機どうきす。

過去かこ超過ちょうか利得りとくぜい個々ここ国々くにぐににおいてされてきたが、今世紀こんせいきのような、国家こっかをまたいで活動かつどうするいわゆるグローバル企業きぎょうは、おお無形むけい資産しさん資本しほんち、容易ようい活動かつどう拠点きょてんうつしうる。したがって、個別こべつくにだけで対応たいおうすることはむずかしく、国際こくさいてき調整ちょうせい必要ひつようとなろう。シャフィク・ヘボース(えい: Shafik Hebous )、ディナ・プリハラディニ(えい: Dinar Prihardini )とネイト・ベルノン(えい: Nate Vernon )は最適さいてき課税かぜい意味いみでの国際こくさいてき案分あんぶんされた超過ちょうか利得りとくぜいえい: global coordinate EPTs )を提案ていあんした[12]

関連かんれん項目こうもく

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引用いんよう文献ぶんけん

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • Arnold, Anthony J. (2014). “'A paradise for profiteers’? The importance and treatment of profits during the First World War”. Accounting History Review 24 (2-3): 61-81. 
  • Collins, Frederick (1942-07-20). Excess Profits Taxation. Canadian Bar Foundation 
  • Sato, Ryo (2023-08-20), Research and Legislative Referene Bureau, ed., 超過ちょうか利潤りじゅんぜい論点ろんてん事例じれい(Issues with and Cases Studies on Excess Profits Tax)” (Japanese), The Reference (National Diet Library) (872): 55 - 84, ISSN 0034-2912, https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info:ndljp/pid/12971478 

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Billings, Mark, and Lynne Oats. "Innovation and pragmatism in tax design: Excess Profits Duty in the UK during the First World War." Accounting History Review 24.2-3 (2014): 83–101.

外部がいぶリンク

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