野坂のさか参さん三さん

日本にっぽんの政治せいじ家か 野坂のさか 参さん三さん のさか さんぞう
1964年ねん
生年月日せいねんがっぴ	1892年ねん3月30日にち
出生しゅっしょう地ち	日本にっぽん 山口やまぐち県けん萩はぎ市し
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(1993-11-14) 1993年ねん11月14日にち（101歳さい没ぼつ）
出身しゅっしん校こう	慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく部ぶ理財りざい科か卒業そつぎょう
所属しょぞく政党せいとう	（グレートブリテン共産党きょうさんとう→） （日本にっぽん共産党きょうさんとう→） （中国共産党ちゅうごくきょうさんとう→） （日本にっぽん共産党きょうさんとう→） 無所属むしょぞく
称号しょうごう	永年えいねん在職ざいしょく議員ぎいん（在職ざいしょく25年ねん）
配偶はいぐう者しゃ	妻つま・野坂のさか龍りゅう
初代しょだい日本にっぽん共産党きょうさんとう議長ぎちょう
在任ざいにん期間きかん	1958年ねん8月がつ1日にち - 1982年ねん7月がつ31日にち
参議院さんぎいん議員ぎいん
選挙せんきょ区く	東京とうきょう都と選挙せんきょ区く
当選とうせん回数かいすう	4回かい
在任ざいにん期間きかん	1956年ねん7月がつ8日にち - 1977年ねん7月がつ3日にち
日本にっぽん共産党きょうさんとう第だい一いち書記しょき
在任ざいにん期間きかん	1955年ねん - 1958年ねん
衆議院しゅうぎいん議員ぎいん
選挙せんきょ区く	東京とうきょう都と第だい1区く
当選とうせん回数かいすう	3回かい
在任ざいにん期間きかん	1946年ねん4月がつ11日にち - 1950年ねん6月6日にち

野坂のさか 参さん三さん（のさか さんぞう、1892年ねん〈明治めいじ25年ねん〉3月30日にち - 1993年ねん〈平成へいせい5年ねん〉11月14日にち）は、日本にっぽんの政治せいじ家か、共産きょうさん主義しゅぎ者しゃ。衆議院しゅうぎいん議員ぎいん（3期き）、参議院さんぎいん議員ぎいん（4期き）。コミンテルン（共産きょうさん主義しゅぎインターナショナル）日本にっぽん代表だいひょう、日本にっぽん共産党きょうさんとうの第だい一いち書記しょき、議長ぎちょう、名誉めいよ議長ぎちょうなどを務つとめたが、大だい粛清しゅくせい時代じだいに同志どうしの山本やまもと懸かか蔵ぞうらをNKVDに讒言ざんげん密告みっこくして死刑しけいに追おいやっていたことが最さい晩年ばんねんになって発覚はっかくし、日本にっぽん共産党きょうさんとうから除名じょめいされた。初はつ名なは小野おの 参さん弎（おの さんぞう）。中国ちゅうごくでは岡野おかの 進すすむや林はやし 哲あきらとも称しょうした。ペンネームは野坂のさか鉄てつ嶺みね、野坂のさか鉄てつなど。

生涯しょうがい

生誕せいたんから延のべ安やす入いりまで

山口やまぐち県けん萩はぎ市しの商家しょうかに生うまれる。3月30日にち生うまれだったため参さん弎と名付なづけられた。9歳さいで母ははの実家じっかである野坂のさか家かの養子ようしとなり、野坂のさか姓せいとなる。幣ぬさ原内はらうち閣かく書記官しょきかん長ちょうとなった内務ないむ官僚かんりょう・次じ田た大だい三郎さぶろうは江口えぐち定じょう条じょうの娘むすめと結婚けっこんし、野坂のさか参さん三さんの妻つま・龍りゅうの義兄ぎけい（姉あね婿むこ）になる。

明治めいじ31年ねん、萩はぎ市しの明倫めいりん尋常じんじょう小学校しょうがっこう入学にゅうがく。山口やまぐち県立けんりつ萩はぎ中学ちゅうがく（現げん・山口やまぐち県立けんりつ萩はぎ高等こうとう学校がっこう）、兵庫ひょうご県立けんりつ神戸こうべ商業しょうぎょう学校がっこう（現げん・兵庫ひょうご県立けんりつ神戸こうべ商業しょうぎょう高等こうとう学校がっこう）に進学しんがく。在学ざいがく中ちゅう論文ろんぶんに「社会しゃかい主義しゅぎを論ろんず」を発表はっぴょうして教師きょうしからひどく叱責しっせきされる。明治めいじ45年ねん、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく部ぶ理財りざい科かに入学にゅうがくし、在学ざいがく中ちゅうに友愛会ゆうあいかいや新人しんじん会かいに入はいり労働ろうどう運動うんどうに参加さんかする。卒業そつぎょう後ご、常任じょうにん書記しょきとなる。1919年ねん（大正たいしょう8年ねん）友愛ゆうあい会かいの派遣はけんでイギリスに渡わたり、グレートブリテン共産党きょうさんとうに参加さんかする。帰国きこく後ご、第だい一いち次じ共産党きょうさんとう結成けっせいに参加さんか。1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）6月がつ5日にちの第だい一いち次じ共産党きょうさんとう検挙けんきょ事件じけんに際さいしてソ連それんへ密航みっこうした。

日本にっぽん労働ろうどう総そう同盟どうめいの産業さんぎょう労働ろうどう調査ちょうさ所しょ主事しゅじとなり、慶應けいおうの後輩こうはい野呂のろ栄太郎えいたろうに影響えいきょうを与あたえる。のち三さん・一いち五ご事件じけんで検挙けんきょされたが、昭和しょうわ5年ねん3月がつ、「目めの病気びょうき」を理由りゆうに釈放しゃくほうされた。この釈放しゃくほう後ご、野坂のさかは1931年ねん（昭和しょうわ6年ねん）に妻つまの野坂のさか龍りゅうとともに秘ひそかにソ連それんに入国にゅうこくするが、その経緯けいいには謎なぞが多おおい。外国がいこく人じん向むけ政治せいじ学校がっこう東方とうほう勤労きんろう者しゃ共産きょうさん大学だいがく（クートヴェ）で秘密ひみつ訓練くんれんを受うけ、コミンテルン、内務ないむ人民じんみん委員いいん部ぶ（NKVD）のスパイになったという。その後ご米国べいこくにも入国にゅうこく、アメリカ共産党きょうさんとうとも関係かんけいを持もつ。また、1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん）、中華民国ちゅうかみんこくの延のべ安やすで中国共産党ちゅうごくきょうさんとうに合流ごうりゅうする。同年どうねん10月がつに日本にっぽん工こう農のう学校がっこうを組織そしきしたり、1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）2月がつ日本にっぽん人民じんみん解放かいほう連盟れんめいを結成けっせいし、日本人にっぽんじん捕虜ほりょに再さい教育きょういくを行おこなったり前線ぜんせんで「日本にっぽん兵士へいしよ。脱走だっそうしなさい。私わたしが日本にっぽんに帰かえれるようにしてあげます。共産党きょうさんとう第だい八はち路ろ軍ぐん、日本人にっぽんじん岡野おかの進すすむ」という内容ないようのビラを配布はいふするなど、日本にっぽん帝国ていこく主義しゅぎ打倒だとうを目指めざした活動かつどうをおこなった。 野坂のさかは一貫いっかんして天皇てんのう制せいに融和ゆうわ的てきであり、天皇てんのう制せい打倒だとうを掲かかげた党とうの方針ほうしんとは異ことなる立場たちばを表明ひょうめいすることが多おおかった。

帰国きこくと戦後せんごの活動かつどう

左ひだりから徳田とくた球一きゅういち、野坂のさか、志賀しが義雄よしお（1945年ねん - 1946年ねん）

「野坂のさか参さん三さん歓迎かんげい国民こくみん大会たいかい」で壇上だんじょうに立たつ野坂のさか（1946年ねん1月がつ26日にち、日比谷公園ひびやこうえん）

1949年ねん、新聞しんぶんを読よむ野坂のさか（田村たむら茂しげる撮影さつえい）

1967年ねんの東京とうきょう都知事とちじ選挙せんきょ。社会党しゃかいとう・共産党きょうさんとう推薦すいせんの美濃部みのべ亮吉りょうきちの応援おうえん演説えんぜつをする野坂のさか。

野坂のさかは第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終了しゅうりょう後ごの1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）1月がつ12日にちに、中華民国ちゅうかみんこくから（直行ちょっこうで帰かえった事ことになっていたが、ソ連それん経由けいゆであった事ことが後のちに判明はんめい）日本にっぽんに帰国きこくし、26日にちに日比谷公園ひびやこうえんで参加さんか者しゃ3万まん人にんによる帰国きこく歓迎かんげい大会たいかいが開催かいさいされる。大会たいかい委員いいん長ちょう山川やまかわ均ひとし、司会しかいの荒畑あらはた寒村かんそんのほか、日本にっぽん社会党しゃかいとう委員いいん長ちょう片山かたやま哲あきらの登壇とうだん、尾崎おざき行雄ゆきおのメッセージなど、党派とうはを超こえて集あつまり、民主みんしゅ戦線せんせん樹立じゅりつを目標もくひょうとすることが宣言せんげんされた。この大会たいかいのために『英雄えいゆう還かえる』という曲きょくが作つくられ、声楽せいがく家か・四よん家いえ文子ふみこが壇上だんじょうで熱唱ねっしょうした。また薄田うすだ研二けんじは「同志どうし、野坂のさか帰かえる」ではじまる歓迎かんげい詩しを朗読ろうどくした。

先立さきだつ14日にちに「愛あいされる共産党きょうさんとう」というキャッチフレーズや、信仰しんこう対象たいしょうとしての皇室こうしつを容認ようにんした、中央ちゅうおう委員いいん会かいとの共同きょうどう声明せいめいを発表はっぴょうした。また在ざい満まん邦人ほうじんの困窮こんきゅうを無視むしした講演こうえんでの発言はつげんが発端ほったんになって、のちに葫にんにく芦あし島とう在留ざいりゅう日本人にっぽんじん大だい送還そうかんが開始かいしされた。

府中ふちゅう刑務所けいむしょから解放かいほうされていた徳田とくた球一きゅういちらと、日本にっぽん共産党きょうさんとうの再建さいけんを果はたす。4月がつ10日とおかの戦後せんご初はつの第だい22回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょで東京とうきょう都と第だい1区く（大だい選挙せんきょ区く）から当選とうせんした。新しん憲法けんぽう制定せいていの審議しんぎでは、自衛じえい権けん保持ほじの観点かんてんから政府せいふの草案そうあんに反対はんたいし、憲法けんぽう前文ぜんぶんに「主権しゅけんが国民こくみんに存そんする」との文言もんごんを追加ついかするよう主張しゅちょうした。

ソ連それんのシベリア抑留よくりゅうの帰国きこく者しゃに関かんする手紙てがみで、ソ連それんのシベリア抑留よくりゅうの肯定こうてい、延長えんちょうを求もとめる文面ぶんめんがあり、それを元もとに国会こっかいで大々的だいだいてきに追及ついきゅうされる。 1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）1月がつ6日にち、コミンフォルム機関きかん紙しが野坂のさかの平和へいわ革命かくめい論ろんを批判ひはんをしたことを契機けいきに党内とうないが内部ないぶ分裂ぶんれつ。野坂のさかは徳田とくだらとともに所感しょかん派はの指導しどう者しゃとなり、宮本みやもと顕治けんじらの国際こくさい派はと対立たいりつ。GHQのチャールズ・L・ケーディスと親したしくしていたが、レッドパージ及および団体だんたい等とう規正きせい令れいの出頭しゅっとう命令めいれいを拒否きょひしたことによる団だん規ただし令れい事件じけんで逮捕たいほ状じょうが出だされて地下ちかに潜行せんこう、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくに亡命ぼうめい（北京ぺきん機関きかん）して武装ぶそう闘争とうそう路線ろせんを採とった。

1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）に帰国きこくして国際こくさい派はと和解わかいし、六ろく全ぜん協きょうで武装ぶそう闘争とうそう路線ろせんを否定ひていして第だい一いち書記しょきに就任しゅうにんする。8月11日にちには団体だんたい等とう規正きせい令れい違反いはんで逮捕たいほされた。同月どうげつ16日にちに釈放しゃくほうされるも9月がつ7日にちに在宅ざいたく起訴きそされた。1956年ねん（昭和しょうわ31年ねん）に東京とうきょう都と選挙せんきょ区くから参議院さんぎいん議員ぎいんに当選とうせん、1977年ねんまで4期き（うち1期きは3年ねん議員ぎいん）にわたって参議院さんぎいん議員ぎいんを務つとめた。1958年ねん（昭和しょうわ33年ねん）に共産党きょうさんとう議長ぎちょうとなり、宮本みやもとが書記しょき長ちょうとなった。団だん規ただし令れい事件じけんに関連かんれんして松本まつもと三さん益えきが1961年ねん12月に最高裁さいこうさいで免訴めんそ判決はんけつが確定かくていしたことにより、1962年ねん3月がつに野坂のさかは公訴こうそ棄却ききゃくとなった。1982年ねん（昭和しょうわ57年ねん）7月がつの第だい16回かい大会たいかいで退任たいにんし、以後いご名誉めいよ議長ぎちょうとなった。

最さい晩年ばんねんの除名じょめい

議員ぎいん引退いんたい後ごには、1970年代ねんだいから書かきついで来きた自叙伝じじょでん『風雪ふうせつのあゆみ』（1989年ねん、コミンテルン第だい7回かい大会たいかいのころまでのことを書かいている）を完成かんせいさせ、1992年ねんには生誕せいたん100年ねんということで、黒柳くろやなぎ徹子てつことの親交しんこうから「徹子てつこの部屋へや」にも出演しゅつえんしたり、NHK教育きょういくテレビジョンで特集とくしゅうが組くまれたこともあった。

しかし、その直後ちょくごの『週刊文春しゅうかんぶんしゅん』9-11月の連載れんさいが元もととなり、調査ちょうさの結果けっかソ連それんのスパイだったとして、1992年ねん9月がつ20日はつかに日本にっぽん共産党きょうさんとう名誉めいよ議長ぎちょうを解任かいにんされた。さらに同年どうねん12月がつ27日にちの党とう中央ちゅうおう委員いいん会かい総会そうかいにおいて、日本にっぽん共産党きょうさんとうからの除名じょめい処分しょぶんが決定けっていされた。これはソビエト連邦れんぽうの崩壊ほうかい後ご、公文書こうぶんしょが情報じょうほう公開こうかいされ、野坂のさかが1939年ねんにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくからコミンテルンのディミトロフへ送おくった手紙てがみが明あきらかになったことによる。野坂のさかはソ連それんにいた日本人にっぽんじん同志どうしの山本やまもと懸かか蔵ぞう（1895-1939年ねん）ら数すう名めいをNKVDに讒言ざんげん密告みっこくし、この結果けっか山本やまもとはスターリンによる大だい粛清しゅくせいの犠牲ぎせいとなったのである。名誉めいよ議長ぎちょう解任かいにん時点じてんでは日本にっぽん共産党きょうさんとうは、高齢こうれいの野坂のさかに対たいして「党とうとしてひきつづき必要ひつような配慮はいりょをはらう」としていたが、その後ごの除名じょめい処分しょぶんにより「配慮はいりょ」も打うち切きりとなった。

野坂のさかは「残念ざんねんながら事実じじつなのでこの処分しょぶんを認みとめざるを得えない」と述のべた以外いがいはこの件けんについて語かたらず、1993年ねん11月14日にちに死去しきょした。101歳さい没ぼつ。参議院さんぎいんでは慣例かんれいに従したがい、永年えいねん在職ざいしょく議員ぎいん表彰ひょうしょう者しゃであった野坂のさかに弔詞ちょうしを贈呈ぞうていしたが、日本にっぽん共産党きょうさんとうはこれに反発はんぱつし、弔詞ちょうしの議決ぎけつとその朗読ろうどくの間あいだは参議院さんぎいん本ほん会議かいぎを欠席けっせきした。

墓所はかしょは山口やまぐち県けん萩はぎ市しの泉福寺せんふくじにある。

家族かぞく

• 父ちち・小野おの五右衛門ごえもん ‐ 萩はぎ市し御許おもと町まちの古物商こぶつしょう。
• 長兄ちょうけい・葛野くずの友とも槌づち（1873年生ねんせい） ‐ 材木ざいもく商しょう・葛野くずの作次郎さくじろうの婿養子むこようしとなって家業かぎょうを継つぎ、神戸こうべ材木ざいもく商しょう同業どうぎょう組合くみあい長ちょうなど要職ようしょくを兼任けんにん。また、神戸こうべでチョコレート店みせを営なんでいたロシア人じんフョードル・ドミトリエヴィチ・モロゾフに出資しゅっしし神戸こうべモロゾフ製菓せいかを設立せつりつ、会計かいけいを巡めぐってモロゾフから訴うったえられたが、勝訴しょうそし同社どうしゃ代表だいひょうとなる。
• 次兄じけい・小野おの梧弌（1888年ねん-1948年ねん） ‐ 自動車じどうしゃ製造せいぞう工こう組ぐみ理事りじ長ちょう、東京とうきょう府ふ自動車じどうしゃ配給はいきゅう社長しゃちょう、日本にっぽん機工きこう社長しゃちょう。中日ちゅうにち実業じつぎょう（日本興業銀行にほんこうぎょうぎんこうなどが出資しゅっしした日ひ華はな合弁ごうべん「対たい支ささえ借款しゃっかん」仲介ちゅうかい業ぎょう）、東ひがし華はな造船ぞうせんなどの各かく取締役とりしまりやくも務つとめた。山口やまぐち高等こうとう商業しょうぎょう学校がっこう卒そつ。岳父がくふに貿易ぼうえき商しょう・佐野さの令三けいぞう（杵築きつき藩はん医い・佐野さの尚孝なおたかの二男じなん）。相あい婿むこに中根なかね貞彦さだひこ、日本興業銀行にほんこうぎょうぎんこう理事りじ松本まつもと弘ひろし造づくりがいる。
• 妻つま・龍りゅう（1896年ねん-1971年ねん） ‐ 友とも槌づちの養家ようか・葛野くずの作次郎さくじろうの五ご女じょ。兵庫ひょうご県立けんりつ高等こうとう女学校じょがっこう、東京とうきょう女子じょし高等こうとう師範しはん学校がっこう卒そつ。参まいり三さんとは幼馴染おさななじみで参さん三さんの大学だいがく卒業そつぎょうを待まって1919年ねんに結婚けっこんし、夫おっととともに渡わたり英すぐる。1923年ねんに日本にっぽん共産党きょうさんとうに入党にゅうとう、三さん・一いち五ご事件じけんで検挙けんきょされ、1931年ねんに夫婦ふうふで日本にっぽん脱出だっしゅつ、戦後せんごは婦人ふじん部ぶ部長ぶちょうを務つとめ、晩年ばんねんに参まいり三さんと離婚りこんした。姉あねの夫おっとに次じ田た大だい三郎さぶろう。
• 甥おい・葛野くずの友とも太郎たろう ‐ 友とも槌づちの長男ちょうなん。モロゾフ社長しゃちょう。京都きょうと帝国ていこく大学だいがく卒そつ。
• 親戚しんせき・佐野さの碩せき

多重たじゅうスパイ疑惑ぎわく

上述じょうじゅつのようにNKVDの情報じょうほう提供ていきょう者しゃであったことは本人ほんにんも認みとめたが、実際じっさいにはNKVDだけでなく日本にっぽんの特別とくべつ高等こうとう警察けいさつやアメリカ・中国ちゅうごくなどにも情報じょうほう提供ていきょうを行おこなう多重たじゅうスパイだったのではないかとの指摘してきが複数ふくすう存在そんざいする。

その他た

• 出演しゅつえんした「徹子てつこの部屋へや」では、「革命かくめい運動うんどうのために子供こどもを作つくらなかったが、それを今いまでは後悔こうかいしている」と述のべた。ただし、のちに養女ようじょ・米子よなごをとっている。
• 野坂のさかの妻つまの龍りゅう（りょう）も女性じょせい革命かくめい家かであり、ソ連それんでは逮捕たいほ・釈放しゃくほうを経験けいけんした。
• 新しん憲法けんぽうの9条じょう一いち項こうには賛成さんせいしたが、自衛じえいのための武力ぶりょくは保持ほじするべきだと主張しゅちょうした。
• 占領せんりょう時代じだい、アメリカの使節しせつ団だんが各かく政党せいとうの政策せいさくを諮問しもんした際さい、野坂のさかも日本にっぽん共産党きょうさんとうを代表だいひょうして発言はつげんした。使節しせつ団だんは野坂のさかの意見いけんを評価ひょうかし、「彼かれは非常ひじょうに頭あたまがいい。彼かれを首相しゅしょうにしてはどうですか？」と言いった。驚おどろいたGHQのメンバーは、「彼かれ(野坂のさか)は共産きょうさん主義しゅぎ者しゃですよ。共産きょうさん主義しゅぎ者しゃを首相しゅしょうにするんですか」と言いった。
• 養女ようじょの雎鳩みさご(みさご)は、岩田いわた義道よしみちの娘むすめである。

自伝じでん

• 『風雪ふうせつのあゆみ』1-8（新しん日本にっぽん出版しゅっぱん社しゃ、1971-89年ねん）

関連かんれん文献ぶんけん

• 大森おおもり実みのる『戦後せんご秘史ひし』3-4（講談社こうだんしゃ、1975年ねん。1981年ねん文庫ぶんこ化か。※巻末かんまつに議長ぎちょう在任ざいにん中ちゅうのインタビューあり）
• 井上いのうえ敏夫としお『野坂のさか参さん三さん予審よしん訊問じんもん調書ちょうしょ ある政治せいじ的てき人間にんげんの闘争とうそうと妥協だきょうの記録きろく』 (五ご月がつ書房しょぼう 2001年ねん)
• 和田わだ春樹はるき『歴史れきしとしての野坂のさか参さん三さん』（平凡社へいぼんしゃ、1996年ねん3月がつ）
• ジェームス・小田おだ『スパイ野坂のさか参さん三さん追跡ついせき 日系にっけいアメリカ人じんの戦後せんご史し』(彩いろどり流りゅう社しゃ、1995年ねん)
• 小林こばやし峻たかし一いち、加藤かとう昭あきら 『闇やみの男おとこ 野坂のさか参さん三さんの百ひゃく年ねん』(文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、1993年ねん)
• 小林こばやし峻たかし一いち、鈴木すずき隆一りゅういち 『昭和しょうわ史し最大さいだいのスパイ・M 日本にっぽん共産党きょうさんとうを壊滅かいめつさせた男おとこ』 (ワック、2006年ねん)
• Bina C. Kiyonaga『My Spy Memoir of a CIA Wife』（en:Harper Perennial、2001年ねん2月がつ6日にち）ISBN 978-0-38079497-3- 中央ちゅうおう情報じょうほう局きょくスパイだったJoe Kiyonagaの妻つま
• 時事通信社じじつうしんしゃ『Jiji Top Confidential』「名越なごや健郎たけおの20世紀せいきアーカイブス(24)秘密ひみつ資金しきん援助えんじょ中国ちゅうごくが日本にっぽん共産党きょうさんとうに2200万まん」（No.10935、2002年ねん1月がつ22日にち号ごう）
• 嶋村しまむら藤吉とうきち『日本国にっぽんこく憲法けんぽうオカノススム起源きげん論ろん』（内外ないがい出版しゅっぱん、2009年ねん）ISBN 978-4931410381
• 野坂のさか 参さん三さん ／ クリック 20世紀せいき
• 梅田うめだ俊英としひでによる和田わだ春樹はるき『歴史れきしとしての野坂のさか参さん三さん』の書評しょひょう
• 加藤かとう哲郎てつろう 歴史れきしにおける善意ぜんいと粛清しゅくせい - ウェイバックマシン（2005年ねん1月がつ4日にちアーカイブ分ぶん）、副題ふくだいは「国崎くにさき定じょう洞ほらの非業ひごうの死しからみた『闇やみの男おとこ――野坂のさか参さん三さんの百ひゃく年ねん』の読よみ方かた」。季刊きかん『窓まど』誌し第だい19号ごう（窓まど社しゃ、1994年ねん)、同どう『モスクワで粛清しゅくせいされた日本人にっぽんじん』（青木あおき書店しょてん、1994年ねん）も参照さんしょう。

関連かんれん項目こうもく

• コミンテルン極東きょくとう局きょく
• 毛沢東もうたくとう
• 近衛このえ上奏じょうそう文ぶん

外部がいぶリンク

• 人民じんみん注視ちゅうしの人野ひとの坂ざか参さん三さん帰かえる - NHK放送ほうそう史し
• 『野坂のさか参さん三さん』 - コトバンク