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錠剤じょうざい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
様々さまざま錠剤じょうざい

錠剤じょうざい(じょうざい、えい: tablets)とは、有効ゆうこう成分せいぶんまたは有効ゆうこう成分せいぶんがたざいひとしくわえたものを圧縮あっしゅく形成けいせいなどの方法ほうほうにより一定いっていかたちせいした固形こけい製剤せいざいである。 携帯けいたいせいすぐれ、容易ようい一定いっていりょうることができる。

この項目こうもくでは医薬品いやくひん錠剤じょうざいについてべる。

形状けいじょう

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あつかいやすさやみやすさを顧慮こりょして、おおむね重量じゅうりょう100–500mg、直径ちょっけい6–15mmほどのもの がおおい。円盤えんばんがたやレンズがた竿ざおがたなどさまざまなものがある。座薬ざやくちつじょうは、挿入そうにゅうしやすくするために矢尻やじりがたなど特殊とくしゅなものがある。もとじょうには、半分はんぶんるためのわりせんはいっているものがある。

通例つうれい錠剤じょうざいには識別しきべつのための番号ばんごう記号きごうはいっているが、じょう刻印こくいん、コーティングじょう印刷いんさつれる。錠剤じょうざい着色ちゃくしょくりょう着色ちゃくしょくすることができ、これは識別しきべつ容易よういにするが、タール色素しきそ発癌はつがんせいなどが問題もんだいになったことから、近年きんねん着色ちゃくしょくしろ錠剤じょうざいおおい。

種類しゅるい

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用法ようほうによる分類ぶんるい

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  • 内服ないふくよう錠剤じょうざい
  • 口腔こうくうよう錠剤じょうざい - 嚥下えんかせず口腔こうくううち溶解ようかいさせて使つかうもの。口腔こうくう粘膜ねんまくから有効ゆうこう成分せいぶん吸収きゅうしゅうさせるバッカルじょうしたじょう咽頭いんとう消毒しょうどくなどに使つかトローチじょうがある。
  • 外用がいよう錠剤じょうざい - うがいなどのさいかして使つか溶解ようかいじょうちつじょうがある。

コーティングによる分類ぶんるい

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パキシルのフィルムコーティングじょう
  • じょうはだかじょう) - 成形せいけいしたままの錠剤じょうざい
  • コーティングじょう - 薬剤やくざい安定あんてい、矯味、矯臭などの目的もくてきはだかじょう表面ひょうめん均一きんいつ皮膜ひまくほどこしたもの。しろとうによる糖衣錠とういじょう水溶すいようせい高分子こうぶんしによるフィルムコーティングじょうがある。また、胃酸いさんにより影響えいきょうける有効ゆうこう成分せいぶんを、酸性さんせいでは不溶性ふようせいのコーティングざい被膜ひまくしたちょう溶錠がある。

特殊とくしゅじょう

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  • チュアブルじょう - 服用ふくようかみくだいて使つか錠剤じょうざいせいさんざいなど比較的ひかくてき用量ようりょうおお医薬品いやくひん使つかわれる[1]
  • 口腔こうくうない崩壊ほうかいじょう(ODじょう) - 唾液だえき崩壊ほうかいする錠剤じょうざい有効ゆうこう成分せいぶん吸収きゅうしゅう消化しょうかかんみずなしでも服用ふくようできる。英語えいごではOrally disintegrating tabletといい、ODという略称りゃくしょうはここからている。
    • したじょう口腔こうくうじょう(バッカルじょう) - したしたまたは歯茎はぐきほおあいだれてかし、有効ゆうこう成分せいぶん口腔こうくう粘膜ねんまくより吸収きゅうしゅうさせる錠剤じょうざい
  • 持続じぞくせいじょうじょせいじょう) - 溶解ようかいせいことなるもとざいなどを使つかい、一定いってい時間じかん持続じぞくてき有効ゆうこう成分せいぶん放出ほうしゅつされるよう調整ちょうせいした錠剤じょうざい
    • ワックスマトリックスじょう - 体内たいない徐々じょじょ崩壊ほうかいするじょもとざい有効ゆうこう成分せいぶん分散ぶんさんさせた錠剤じょうざい
    • グラデュメットじょう - 多孔たこうしつ不溶性ふようせい樹脂じゅし有効ゆうこう成分せいぶんにじませた錠剤じょうざい
    • 多孔たこうせい皮膜ひまくじょう - 不溶性ふようせい微細びさいあないた皮膜ひまくほどこした錠剤じょうざい
    • 多層たそうじょう - 放出ほうしゅつせいことなる複数ふくすうそうからなる錠剤じょうざいそく溶層とじょそう単純たんじゅんかさねたスパンタブ、はや溶錠のかくじょじょうれたロンタブ、はや溶錠のかくちょう溶錠をれたレペタブがある。
    • ゆうかくじょう - 錠剤じょうざいなかべつ錠剤じょうざいんだもの。
    • スパスタブ - そく溶錠のなかじょせい顆粒かりゅう分散ぶんさんさせたもの。
    • レジネート - イオン交換こうかん樹脂じゅし使つかった錠剤じょうざい

製造せいぞう

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添加てんかざい

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通例つうれい錠剤じょうざいには、有効ゆうこう成分せいぶんほか以下いかのような添加てんかざいくわえられる。

  • がたざい - 有効ゆうこう成分せいぶんすくない場合ばあいに、あつかうのに適当てきとうりょうになるようにくわえるもの。生理せいり活性かっせいたない物質ぶっしつとして、おもに乳糖にゅうとうデンプンなどが使つかわれる。
  • 結合けつごうざい - 原料げんりょうこなたい粒子りゅうし同士どうしむすびつけるためにくわえるもので、錠剤じょうざい機械きかいてき強度きょうど影響えいきょうする。デンプンのりアラビアゴムのり、ヒドロキシプロピルセルロースなどが使つかわれる。
  • 崩壊ほうかいざい - 体内たいない水分すいぶんって膨張ぼうちょうするなどして錠剤じょうざい崩壊ほうかいさせ有効ゆうこう成分せいぶん放出ほうしゅつ容易よういにするためにくわえるもの。がたざいとして使つかわれるデンプンは水分すいぶんって膨張ぼうちょうするので崩壊ほうかいざいとしての機能きのうつ。そのには、セルロースるいなどがよくもちいられる。また炭酸たんさんしおのようにみず反応はんのうしてガスを発生はっせい崩壊ほうかいさせるものもある。これを使つかった錠剤じょうざい発泡はっぽうじょうという。
  • すべりさわざい - こなたい流動りゅうどうせいをよくし圧縮あっしゅく形成けいせい容易よういにするためにくわえるもので、ステアリンさんマグネシウムなどのワックスタルクなどがもちいられる。

工程こうてい

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ふるくは、有効ゆうこう成分せいぶんがたざいなどをくわえてわせのばしたものを一定いっていかたちいて製造せいぞうする湿しめ製法せいほうがあったが、現在げんざいは「じょう」とばれる圧縮あっしゅく形成けいせい技術ぎじゅつにより生産せいさんされる。じょうには、混合こんごうした原料げんりょうをそのままじょうする直接ちょくせつじょうほうと、混合こんごうした原料げんりょう顆粒かりゅうにしてからじょうする顆粒かりゅうじょうほうがある。直接ちょくせつじょうほうでは工程こうてい単純たんじゅんになるが、原料げんりょう流動りゅうどうせいわるいと重量じゅうりょうにばらつきがたり仕上しあがりがわるくなる。また、湿式しっしき練合ねりあわしたものをかた乾燥かんそうさせるODじょうのような製法せいほうもある。

以下いか一般いっぱんてき顆粒かりゅうじょうほう工程こうていしめす。

  1. 秤量ひょうりょう
  2. いち混合こんごう - 有効ゆうこう成分せいぶんがたざい結合けつごうざい崩壊ほうかいざいなどを均一きんいつになるように混合こんごうする。
  3. みやつこつぶ
  4. ふるい - 顆粒かりゅうおおきさをそろえる。つぶみちがばらつくと、錠剤じょうざい重量じゅうりょう有効ゆうこう成分せいぶん放出ほうしゅつせいなどに影響えいきょうする。
  5. 混合こんごう - 顆粒かりゅうすべりさわざいぜる。ある程度ていど均一きんいつにする必要ひつようがあるが、ぜすぎるとばち水性すいせいのあるすべりさわざい場合ばあい錠剤じょうざい崩壊ほうかいせいそこねない有効ゆうこう成分せいぶん放出ほうしゅつされにくくなる。
  6. じょう - じょうあつ速度そくど品質ひんしつ影響えいきょうする。じょうあつひくいと錠剤じょうざい強度きょうど低下ていかする。ぎゃくたかすぎると表面ひょうめんれてがれたりするじょう障害しょうがいきることがある。
  7. コーティング(必要ひつようおうじ)
  8. 包装ほうそう

包装ほうそう形態けいたい

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錠剤じょうざい流通りゅうつうさせるのに様々さまざま包装ほうそう形態けいたいがある。

  • びんり - 一定いっていすう錠剤じょうざいガラス樹脂じゅしせいびんめたもの。
  • SP (strip package) 包装ほうそう - 柔軟じゅうなんプラスチックフィルムなどに1じょうずつはさみヒートシールしたもの。
  • PTP (press through package) 包装ほうそう - 錠剤じょうざいかたちにへこませた硬質こうしつプラスチックなどに錠剤じょうざいれ、アルミニウムフィルムなどでふうをしたもの。

錠剤じょうざいは、吸湿きゅうしつしたりすることにより成分せいぶん変質へんしつしたり、崩壊ほうかいせい低下ていかすることがあるので、容器ようきには気密きみつせい要求ようきゅうされる。また、医薬品いやくひんによってはひかりにより分解ぶんかいするものがあり、それらには遮光しゃこうせいがあるつつみざい使用しようされる。

SP包装ほうそうやPTP包装ほうそうでははなしやすいようにミシンはいっていたが、包装ほうそうから錠剤じょうざいさずに服用ふくようしてしまう事例じれいがあったことから、現在げんざいでは1じょうずつにははなせないようになっている。

品質ひんしつ

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錠剤じょうざいには、つぎのような品質ひんしつもとめられる。

  • 重量じゅうりょうおよび含量の均一きんいつせい
  • 崩壊ほうかいせいおよび溶出ようしゅつせい
  • 機械きかいてき強度きょうど

先発せんぱつひんメーカーと後発こうはつひんメーカーの医薬品いやくひんでは、有効ゆうこう成分せいぶんおなじでもこういった品質ひんしつがあり効果こうか出方でかたことなるといわれてきた。後発こうはつひん使用しよう推進すいしん目指めざくにでは、後発こうはつひんメーカーに先発せんぱつひん同等どうとう品質ひんしつであることをしめすことをもとめている。

長所ちょうしょ短所たんしょ

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取扱とりあつかいが容易よういで、一定いっていりょう容易よういることができるというてんすぐれる。じょじょうなどにすることにより、持続じぞく時間じかん調整ちょうせいしたりすることもできる。散剤さんざいなどとことなり外見がいけんなんやく識別しきべつできることも長所ちょうしょのひとつである。

一方いっぽう微妙びみょうりょう調整ちょうせいができないこと、乳幼児にゅうようじ高齢こうれいしゃでは服用ふくよう困難こんなん場合ばあいがあること、複数ふくすう医薬品いやくひん服用ふくようしようとするとりょうおおくなってしまうことなどが短所たんしょとしてあげられる。また経口けいこうざい一般いっぱんに、口腔こうくう粘膜ねんまくから吸収きゅうしゅうされるしたじょうなどをのぞき、有効ゆうこう成分せいぶん消化しょうかかんから吸収きゅうしゅうされ肝臓かんぞうとおらないと全身ぜんしんりゅう移動いどうしないことから、効果こうか発現はつげんまでに時間じかんがかかることと、消化しょうかえき肝臓かんぞうでの代謝たいしゃにより有効ゆうこう成分せいぶん変化へんか効力こうりょくうしなってしまうことが短所たんしょとなることもある。

服薬ふくやく注意ちゅうい

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わりせんったテオドールじょう
わりせんのないもとじょうかた錠剤じょうざいるための錠剤じょうざいカッターのいちれい
フィルムコートじょうとうじょせい期待きたいされる錠剤じょうざいには使つかってはいけない。

一般いっぱん錠剤じょうざい服用ふくようするさいには十分じゅうぶんみず服用ふくようする必要ひつようがある。みずりょう錠剤じょうざい崩壊ほうかい溶出ようしゅつ影響えいきょうする。またみずすくないと、錠剤じょうざい咽頭いんとうなどにいてしまい、こう濃度のうど医薬品いやくひんにさらされた粘膜ねんまく潰瘍かいようこしたりすることがある。

錠剤じょうざいくだいてしまうことは、においやあじのマスキング効果こうかじょせいちょう溶性ようせいなどがうしなわれてしまうのでけなければならない。ただし、口中くちじゅう徐々じょじょかしまたはくだいてもよいチュアブルじょうのほか、均質きんしつじょうにはわりせんはいっていたり、必要ひつようりょう調整ちょうせいできるようにしてある錠剤じょうざいもあり、不明ふめいてん医師いし薬剤師やくざいし確認かくにんして服用ふくようする必要ひつようがある。

錠剤じょうざい手指しゅしるにはある程度ていどのコツがあり、むずかしい場合ばあい市販しはん錠剤じょうざいカッターをもちいるとよい。ハサミやカッターナイフとう使つかうとすべってしまいうまくかないばかりか怪我けがをするおそれがある。また、高齢こうれいしゃなど嚥下えんかちからよわっているひとにはのどまらせたりするおそれがあるので、そのさい水分すいぶんおおめにる、ぬるま一緒いっしょむ(溶解ようかいりょくたかめるものがある)、市販しはん補助ほじょゼリーを使用しようするなどの工夫くふう必要ひつようである。

口腔こうくう粘膜ねんまくからの吸収きゅうしゅう前提ぜんていとしているしたじょうでは、あやまってむと有効ゆうこう成分せいぶん消化しょうかえきにより分解ぶんかいされたり、肝臓かんぞう代謝たいしゃされるため効果こうかうしな[2]

出典しゅってん

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  1. ^ シングレアチュアブルじょう
  2. ^ くすりのまど錠剤じょうざいざいがたについて 医療いりょう法人ほうじん あかねかい 土谷つちたに総合そうごう病院びょういん 薬剤やくざい 

関連かんれん項目こうもく

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