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遮音壁しゃおんへき

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防音ぼうおんかべから転送てんそう
道路どうろ遮音壁しゃおんへき(オランダ)
鉄道てつどう遮音壁しゃおんへき(オーストリア)

遮音壁しゃおんへき(しゃおんへき)または防音ぼうおんかべ(ぼうおんへき)(えい: Noise barrier)とは、騒音そうおん発生はっせいする施設しせつから周辺しゅうへん土地とちまもるために設置せっちされるかべである。遮音壁しゃおんへきとく道路どうろ鉄道てつどう工場こうじょうなど、騒音そうおんげん自体じたい抑制よくせい制限せいげんできない場面ばめんでよく使つかわれる。

道路どうろ交通こうつうによる騒音そうおん場合ばあい騒音そうおん抑制よくせいさくとして、ハイブリッドカー電気でんき自動車じどうしゃ奨励しょうれい車体しゃたい空気くうき力学りきがく改善かいぜんタイヤ設計せっけい改善かいぜんてい騒音そうおん舗装ほそうなどがある。遮音壁しゃおんへきは1970年代ねんだい初期しょきアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく騒音そうおん規制きせい施行しこうされてからひろ採用さいようされるようになった。

歴史れきし

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最初さいしょ遮音壁しゃおんへきアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくで20世紀せいきちゅうごろ、道路どうろ交通こうつう急激きゅうげき発展はってんとも建設けんせつされた。1960年代ねんだい後半こうはん音響おんきょうがくによる道路どうろ側面そくめん遮音壁しゃおんへき効率こうりつ数学すうがくてき評価ひょうかすすんだ。1990年代ねんだいには、西にしヨーロッパでも遮音壁しゃおんへきがよく使つかわれるようになり、なかには透明とうめい材料ざいりょう使つかったものもある[1]

初期しょきのコンピュータモデルでは、道路どうろ幾何きかがく地形ちけい交通こうつうりょう速度そくど、トラックの割合わりあい路面ろめん種類しゅるい気象きしょうなどが考慮こうりょされた。米国べいこくではいくつかの研究けんきゅうグループがそれぞれコンピュータモデリング技法ぎほう開発かいはつした。サクラメントのカリフォルニア運輸うんゆきょく、ESL Inc.、パロアルトのグループ、BBN[2]ケンブリッジのグループ、フロリダ大学だいがくのグループなどである。最初さいしょ科学かがくてき設計せっけいによる遮音壁しゃおんへきれいとして、カリフォルニアしゅうロスアルトスの Foothill Expressway がある[3]

あいだもなく、全米ぜんべい各地かくち既存きそんのハイウェイや新規しんきのハイウェイで科学かがくてき設計せっけいによる遮音壁しゃおんへき建設けんせつおこなわれるようになった。そのおおくは各州かくしゅう運輸うんゆきょく委託いたくによるもので、上述じょうじゅつ研究けんきゅうグループのいずれかが設計せっけいたっている。1970ねん1がつ1にち施行しこうされたアメリカ国家こっか環境かんきょう政策せいさくほうは、連邦れんぽう補助ほじょ高速こうそく道路どうろほうもとづいて建設けんせつされたすべてのハイウェイの騒音そうおん定量ていりょう分析ぶんせきめいじ、遮音壁しゃおんへきモデルの開発かいはつ実用じつようめいじていた。1972ねん制定せいていされた騒音そうおん対策たいさくほう[4]により、遮音壁しゃおんへき設計せっけい需要じゅよう大幅おおはば増加ぞうかした。

1970年代ねんだいまつには、10以上いじょう研究けんきゅうグループがたようなコンピュータモデルを構築こうちくし、毎年まいとし200箇所かしょ以上いじょう遮音壁しゃおんへき建設けんせつおこなわれていた。2006ねん現在げんざい、この技術ぎじゅつはハイウェイの騒音そうおん評価ひょうかする標準ひょうじゅん技術ぎじゅつとなっている。使つかわれているコンピュータモデルの性質せいしつ正確せいかくせいは1970年代ねんだいからほぼわっていない。

設計せっけい理論りろん

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遮音壁しゃおんへき設計せっけい音響おんきょうがくは、道路どうろ線路せんろせんじょう騒音そうおんげんなすことにもとづいている。その理論りろんは、音波おんぱ直線ちょくせんてき伝播でんぱするのを遮断しゃだんすることにもとづいているが、回折かいせつへの対応たいおう必要ひつようである。音波おんぱは、遮音壁しゃおんへき上端じょうたんとおるときなどに(下方かほうに)がる。また、大気たいき均一きんいつそうがある場合ばあい音波おんぱ屈折くっせつする。乱気流らんきりゅうサーモクラインによって、そのような均一きんいつそうができる。

モデルする音源おんげんとしては、エンジン騒音そうおんタイヤ騒音そうおん空気くうき力学りきがくてき騒音そうおんふくまれ、それらは自動車じどうしゃ種類しゅるい速度そくどによってことなる。コンピュータモデルはすうじゅう物理ぶつり方程式ほうていしき構成こうせいされ、すうせんぎょうプログラム変換へんかんされる。

石壁いしかべるい使つかった遮音壁しゃおんへきもある(いただき上部じょうぶいぬはしになっていたりする)。遮音壁しゃおんへきおも材質ざいしつは、鋼鉄こうてつ、コンクリート、石材せきざい木材もくざい、プラスチック、ウール、それらの混合こんごうなどである。極端きょくたん場合ばあい道路どうろ全体ぜんたい遮音しゃおん構造こうぞうぶつおおったり、トンネルとおしたりする。音圧おんあつレベル常用じょうよう対数たいすうであるため、9デシベル低減ていげん騒音そうおんの80%を排除はいじょしたことになる。

遮音壁しゃおんへきは、騒音そうおん対策たいさくとして非常ひじょう効果こうかてきだが、地形ちけいによっては、どんな遮音壁しゃおんへき対応たいおうできない場合ばあいがある。最終さいしゅうてきには費用ひよう美学びがくてき観点かんてん考慮こうりょして、遮音壁しゃおんへきにするかどうかを選択せんたくする。

長所ちょうしょ短所たんしょ

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この遮音壁しゃおんへきには、運転うんてんしゃたかさあたりのかべがなく、にやさしい設計せっけいになっている(オランダ)

遮音壁しゃおんへき欠点けってんとして、以下いかのことがげられる。

  • 風景ふうけいえなくなることで、運転うんてんしゃ近隣きんりん住民じゅうみんたのしめなくなる。
  • 設計せっけい建設けんせつ保守ほしゅにかかるコスト。
  • 排水はいすい配置はいちするために障壁しょうへき途切とぎれる設計せっけいになることがある。

通常つうじょうは、欠点けってんよりも騒音そうおん抑制よくせい利点りてんはるかに重大じゅうだいである。利点りてんとしては、地域ちいき住民じゅうみん睡眠すいみん障害しょうがい低減ていげん、アウトドアライフをよりたのしめるようになるてん会話かいわさまたげられなくなるてんストレス低減ていげん聴覚ちょうかく障害しょうがいとなる危険きけんせい低減ていげん高血圧こうけつあつになる危険きけんせい低減ていげん循環じゅんかん健康けんこう増進ぞうしん)などがある。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Benz Kotzen and Colin English (1999) Environmental Noise Barriers: A Guide to Their Acoustic and Visual Design, Published by Taylor & Francis, ISBN 0419231803, 165 pages
  2. ^ John Shadely, Acoustical analysis of the New Jersey Turnpike widening project between Raritan and East Brunswick, Bolt Beranek and Newman, 1973
  3. ^ C.M. Hogan and Harry Seidman, Design of Noise Abatement Structures along Foothill Expressway, Los Altos, California, Santa Clara County Department of Public Works, ESL Inc., Sunnyvale, California, October, 1970
  4. ^ Public Law No. 92-574, 86 Stat. 1234 (1972)Noise Pollution and Abatement Act of 1972, codification amended at 42 U.S.C. 4901-4918 (1988)