出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『雨天炎天』(うてんえんてん)は、村上春樹による紀行(ロードエッセイ)。
1990年8月、新潮社より刊行された[1]。単行本は「ギリシャ編」「トルコ編」の2冊からなるボックスセットである。1991年7月に新潮文庫として文庫化された[2]。2008年2月、新装版として『うずまき猫のみつけかた』『辺境・近境』とともに新潮社より同時刊行された。同行した松村映三による写真が挿入されている。文庫版は写真が少ないが、どの写真も他の版には載っていない。最古版、新装版は、それぞれこちらにあってあちらにない写真がある。
ギリシャ編とトルコ編の2編は、両者とも全11話からなり、書籍の冒頭には訪れた箇所の地図が記載されている。
副題は「アトス-神様のリアル・ワールド」
ギリシャのウラノポリからアトス半島に入り、正教会(ギリシャ正教)における修道の中心地であるアトス山を周回する全4泊5日の行程について綴っている。
登場する正教会の物品・事象についての記事一覧
[編集]
副題は「チャイと兵隊と羊-21日間トルコ一周」
イスタンブールから黒海沿岸を経由し、シリアとの国境に近いディヤルバクルに至る全21日間の行程について綴っている。取材時期は1988年9月頃、ハラブジャ事件に関連すると思われる記述などもある。
編タイトル
|
節
|
ギリシャ編 アトス―神様のリアル・ワールド In the Holy Mountain
|
さよならリアル・ワールド
|
アトスとはどのような世界であるのか
|
ダフニからカリエへ
|
カリエからスタヴロニキタ
|
イヴィロン修道院
|
フィロセウ修道院
|
カラカル修道院
|
ラヴラ修道院
|
プロドロムのスキテまで
|
カフソカリヴィア
|
アギア・アンナ―さらばアトス
|
トルコ編 チャイと兵隊と羊―21日間トルコ一周 On the Turkish road
|
兵隊
|
パンとチャイ
|
トルコ
|
黒海
|
ホパ
|
ヴァン猫
|
ハッカリに向かう
|
ハッカリ 2
|
マルボロ
|
国道24号線の悪夢
|
国道24号線に沿って
|
- ^ 副題は"In the Holy Mountain, on the Turkish road"。
- ^ 文庫版の副題は『―ギリシャ・トルコ辺境紀行―』。