雨竜沼湿原うりゅうぬましつげん

湿原しつげん展望てんぼう台だいより

雨竜沼湿原うりゅうぬましつげん （うりゅうぬましつげん）は、北海道ほっかいどう空知そらち管内かんないの雨竜うりゅう郡ぐん雨竜うりゅう町まちにある山岳さんがく型がた高層こうそう湿原しつげん。暑寒しょかん別べつ天売てうり焼尻やぎしり国定こくてい公園こうえんの一部いちぶをなし、暑寒別岳しょかんべつだけ東ひがし中腹ちゅうふく標高ひょうこうの約やく850 - 900メートルの高地こうちにある。台地だいち上うえに東西とうざい4キロメートル、南北なんぼく2キロメートルにわたって広ひろがり、面積めんせきは101.5ヘクタール。

湿原しつげん内ないは170以上いじょうの池塘ちとうが点在てんざいし、ペンケペタン川ぺんけぺたんがわが蛇行だこうしながら流ながれる。2005年ねん11月にラムサール条約じょうやく登録とうろく湿地しっちとなった。

概要がいよう

雨竜沼湿原うりゅうぬましつげん周辺しゅうへんの空中くうちゅう写真しゃしん。
国土こくど交通省こうつうしょう 国土こくど地理ちり院いん 地図ちず・空中くうちゅう写真しゃしん閲覧えつらんサービスの空中くうちゅう写真しゃしんを基もとに作成さくせい。1977年ねん9月がつ25日にち撮影さつえいの2枚まいを合成ごうせい作成さくせい

暑寒しょかん別べつ天売てうり焼尻やぎしり国定こくてい公園こうえんの主要しゅよう景勝けいしょう地ちであり、日本にっぽん有数ゆうすうの山岳さんがく型がた高層こうそう湿原しつげん帯たい。寒冷かんれい貧ひん栄養えいようの生息せいそく環境かんきょう下かでミズゴケ、スゲ類るいが腐食ふしょくしないまま数すう千せん年ねんをかけて堆積たいせきし、厚あつみを増まして元もとの水面すいめんより盛もり上あがったことによりできた。流動りゅうどう性せいの強つよい玄武岩げんぶがん溶岩ようがん流りゅうの台地だいち上じょうに形成けいせいされた泥炭でいたん地ちで、雪解ゆきどけ水すいや雨水あまみずの多少たしょうで形状けいじょうを変化へんかさせる池塘ちとうが点在てんざいしている。

植生しょくせいは高層こうそう湿原しつげん独自どくじの特徴とくちょうを示しめし、春はるの雪解ゆきどけから秋あきまでに200種しゅ以上いじょうの花はなや植物しょくぶつが観察かんさつできる。ミズバショウを代表だいひょうに、ショウジョウバカマ、エゾノリュウキンカ、イワイチョウ、シナノキンバイ、チングルマ、エゾノシモツケソウ、ハクサンチドリ、エゾノサワアザミ、ザゼンソウ、ヌマガヤなどが多おおく見みられ、特とくに7月がつにはエゾカンゾウがオレンジ色しょくに咲さき乱みだれる。また、池塘ちとうで固有こゆう種しゅが確認かくにんされ、2005年ねんに「ウリュウコウホネ」と命名めいめいされた。これまでオゼコウホネとされていたスイレン科かコウホネ属ぞくの水生すいせい植物しょくぶつである。オゼコウホネは子房しぼうが緑色みどりいろに対たいし、ウリュウコウホネは子房しぼうが赤褐色せきかっしょくになるのが特徴とくちょう。8月がつ上旬じょうじゅんまでの短みじかい夏なつの間あいだには、それら無数むすうの花はな々が鮮あざやかに一帯いったいを彩いろどり、ヒツジグサを水面すいめんに浮うかべ、万年雪まんねんゆきを抱だいた暑寒しょかん別べつの山々やまやまを映うつす沼ぬま々と、数すう多おおくの高山たかやま植物しょくぶつの描えがき出だす光景こうけいから「北海道ほっかいどうの尾瀬おぜ」とも称しょうされるが、訪問ほうもん者しゃは尾瀬おぜと比くらべると圧倒的あっとうてきに少すくない。

2015年ねん頃ごろからエゾシカが侵入しんにゅうするようになり、植物しょくぶつの食害しょくがいが深刻しんこくになっている。セイタカアワダチソウも侵入しんにゅうしている。

湿原しつげんの中なかには1周しゅう約やく3.5キロメートルの木き道どうがある。その他たに湿原しつげん全体ぜんたいを見みる場所ばしょとして、湿原しつげんを半周はんしゅうしたところから登山とざん道どうを南暑寒岳みなみしょかんだけ（標高ひょうこう1,296メートル）へ向むけて約やく500メートル登のぼると湿原しつげん展望てんぼう台だいがある。そこでは広大こうだいな湿原しつげん全体ぜんたいを見下みおろすことができる。

学術がくじゅつ的てきにも貴重きちょうな湿原しつげんであり、1964年ねん10月、雨竜うりゅう沼ぬま高層こうそう湿原しつげん帯たいとして北海道ほっかいどうの天然記念物てんねんきねんぶつに指定していされた。1990年ねんには暑寒別岳しょかんべつだけなどともに暑寒しょかん別べつ天売てうり焼尻やぎしり国定こくてい公園こうえんに指定していされ、2004年ねんに北海道ほっかいどう遺産いさんに選定せんていされ、2005年ねん11月8日にちにはラムサール条約じょうやく登録とうろく指定してい湿地しっちとして登録とうろくされた（624ヘクタール）。

例年れいねん6月がつ中旬ちゅうじゅん～下旬げじゅん頃ごろに山開やまびらきが行おこなわれ、10月がつ初旬しょじゅんには閉鎖へいさされる。

アクセス

• 公共こうきょう交通こうつう機関きかん：JR北海道ほっかいどう 滝川たきがわ駅えきより空知そらち中央ちゅうおうバス、北海道中央ほっかいどうちゅうおうバスで「雨竜うりゅう」下車げしゃ。その先さきは公共こうきょう交通こうつう機関きかんがないため、登山とざん口こうまでタクシーを利用りようすることになる。
• 自家用車じかようしゃ・タクシー：雨竜うりゅう市街しがいから登山とざん口こうまで北海道ほっかいどう道どう432号ごう暑寒しょかん別べつ雨竜うりゅう停車場ていしゃじょう線せん経由けいゆで26キロメートル。
• 登山とざん口こうから雨竜沼湿原うりゅうぬましつげんまで約やく3.5キロメートル。登山とざん口こうから南暑寒岳みなみしょかんだけ頂上ちょうじょう（標高ひょうこう1,296メートル）まで約やく9キロメートル。登山とざん口こうから暑寒別岳しょかんべつだけ頂上ちょうじょう（標高ひょうこう1,492メートル）まで約やく13キロメートル。

登山とざん口こうとなる「雨竜沼湿原うりゅうぬましつげんゲートパーク」で入山にゅうざん届とどけの記入きにゅうが必要ひつよう。施設しせつや周辺しゅうへん環境かんきょうの美化びか・保全ほぜんのために、18歳さい以上いじょう1人にん500円えんの協力きょうりょく金きんを募つのっている。管理人かんりにんは9時じから16時じ30分ふんまで駐在ちゅうざい。その時間じかん以外いがいに入山にゅうざんする場合ばあいは、時間じかん外がい入山にゅうざん届出とどけで所しょで入山にゅうざん届とどけを記入きにゅうする。

ゲートパークには雨竜うりゅう沼ぬま、暑寒別岳しょかんべつだけ登山とざんの拠点きょてんとなる山小屋やまごや「南みなみ暑寒しょかん荘そう」がある（無料むりょう：予約よやく不可ふか）。水洗すいせんトイレ完備かんび。寝袋ねぶくろ・食料しょくりょうなどは持参じさんする必要ひつようがある。また隣接りんせつしてキャンプ場じょうが設もうけられている（無料むりょう：予約よやく不可ふか）。

ギャラリー

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  チングルマ
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  ザゼンソウ
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  ミズバショウ
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  暑寒別岳しょかんべつだけ
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  ミズバショウの群生ぐんせい
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  池塘ちとう群ぐん
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  木き道どう
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  ショウジョウバカマ

外部がいぶリンク

• 雨竜沼湿原うりゅうぬましつげん - 北海道ほっかいどう遺産いさん
• 雨竜うりゅう町まち観光かんこう協会きょうかい
• IUCN日本にっぽん委員いいん会かい（ラムサール条約じょうやく）
• 地理ちり院いん地図ちず