青あお林堂はやしどう

青あお林堂はやしどう
正式せいしき名称めいしょう	株式会社かぶしきがいしゃ青あお林堂はやしどう
前身ぜんしん	大和やまと書店しょてん 足立あだち文庫ぶんこ 日本にっぽん漫画まんが社しゃ 三洋さんよう社しゃ
現況げんきょう	事業じぎょう継続けいぞく中ちゅう
法人ほうじん番号ばんごう	5011001012276
設立せつりつ日び	1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）
代表だいひょう者しゃ	長井ながい勝一かついち（1962年ねん - 1990年ねん） →山中やまなか潤じゅん（1990年ねん - 1997年ねん） →福井ふくい源はじめ（1998年ねん） →蟹江かにえ幹彦みきひこ（1999年ねん - 現在げんざい）
本社ほんしゃ郵便ゆうびん番号ばんごう	150-0002
本社ほんしゃ所在地しょざいち	東京とうきょう都と千代田ちよだ区く神田かんだ神保じんぼう町まち1-55 →千代田ちよだ区く神田神保かんだじんぼう町まち1-62　平川ひらかわビル →渋谷しぶや区く初台はつだい1-47-1 小田急おだきゅう西新宿にししんじゅくビル8階かい →渋谷しぶや区く渋谷しぶや3-7-6 第だい6矢木やぎビル
従業じゅうぎょう員数いんずう	3名めい
主要しゅよう出版しゅっぱん物ぶつ	ガロ（休刊きゅうかん） ジャパニズム（休刊きゅうかん）
関係かんけいする人物じんぶつ	長井ながい勝一かついち（創業そうぎょう者しゃ） 白土しらつち三平さんぺい（創業そうぎょう者しゃ） 高野たかの慎まこと三さん（ガロ編集へんしゅう者しゃ） 手塚てづか能理子のりこ（ガロ副ふく編集へんしゅう長ちょう） 白取しらとり千夏ちなつ雄ゆう（ガロ副ふく編集へんしゅう長ちょう）
外部がいぶリンク	GARO WEB 青あお林堂はやしどう
Twitter	青あお林堂はやしどう

株式会社かぶしきがいしゃ青あお林堂はやしどう（せいりんどう）は、東京とうきょう都と渋谷しぶや区くに本社ほんしゃを置おく1962年ねん創業そうぎょうの老舗しにせ出版しゅっぱん社しゃである。

漫画まんが専門せんもん出版しゅっぱん社しゃの草分くさわけ的てき存在そんざいで「ガロ系けい」と称しょうされる一群いちぐんの漫画まんが作家さっかを輩出はいしゅつし、日本にっぽん漫画まんが文化ぶんか史上しじょうに一いち時代じだいを築きずいたと言いわれる。

歴史れきし

前史ぜんし

1959年ねん、貸本かしほん漫画まんが出版しゅっぱん社しゃの「日本にっぽん漫画まんが社しゃ」を経営けいえいしていた長井ながい勝一かついちの友人ゆうじんである小出こいで英男ひでお、夜よる久ひさし勉つとむの出資しゅっしにより、長井ながいを業務ぎょうむ責任せきにん者しゃとし、青あお林堂はやしどうの前身ぜんしんとなる「三洋さんよう社しゃ」が設立せつりつされる。青あお林堂はやしどうの成立せいりつ時期じきに関かんしては、元もと・青あお林堂はやしどう編集へんしゅう者しゃの高野たかの慎まこと三さんによれば、定さだかではなく、1957年ねん発行はっこうの貸本かしほん業界ぎょうかいの機関きかん紙し『全国ぜんこく貸本かしほん新聞しんぶん』の1962年ねんには青あお林堂はやしどうの広告こうこくが掲載けいさいされているが、それ以前いぜんにはないのでこの年としが発足ほっそく時期じきだろうと推測すいそくしている。また、白土しらつち三平さんぺいの『サスケ』が刊行かんこうされていたのと同どう時期じきに、長井ながいが参加さんかしていた三洋さんよう社しゃからは『忍者にんじゃ武芸ぶげい帳ちょう 影かげ丸まる伝つたえ』が続つづけ刊かんされ、即すなわち『サスケ』と『忍者にんじゃ武芸ぶげい帳ちょう』は三洋さんよう社しゃと青あお林堂はやしどうから同どう時期じきに出版しゅっぱんされていたという。さらには、高野たかのは青あお林堂はやしどうの前身ぜんしんは新刊しんかん書店しょてんで長井ながいの実姉じっしの長井ながい貴久子きくこ夫妻ふさいが経営けいえいしていた「青あお林堂はやしどう」であり、長井ながいがかかわる前まえから存在そんざいしていたように見みえ、青あお林堂はやしどうを立たち上あげたのはこの姉あねではないかとも証言しょうげんしている。それは、貴久子きくこが高野たかのが入社にゅうしゃした1966年ねん当時とうじ、長井ながいに対たいしてオーナー然しかとした態度たいどで接せっし、「石森いしもりさん」「赤塚あかつかさん」と親したしげに口くちにしていたことなどから推測すいそくされたとしている。

三洋さんよう社しゃでは白土しらつち三平さんぺいの『忍者にんじゃ武芸ぶげい帳ちょう』や水木みずきしげるの『鬼太郎おにたろう夜話やわ』などの貸本かしほん漫画まんがを世よに送おくり出だしヒットさせた。特とくに白土しらつちの『忍者にんじゃ武芸ぶげい帳ちょう』は1962年ねんまで全ぜん17巻かんを刊行かんこうする。これは当時とうじとしても破格はかくの大だい長編ちょうへんであり、貸本かしほん漫画まんが最大さいだいのヒットとして金字塔きんじとうを打うち立たてる。

白土しらつちの『忍者にんじゃ武芸ぶげい帳ちょう』は、それまでの荒唐無稽こうとうむけいな忍者にんじゃ漫画まんがとは異ことなり、作中さくちゅうで使用しようされる忍術にんじゅつにも科学かがく的てき考証こうしょうによる説明せつめいが与あたえられ、リアリティが醸かもし出だされていた。手塚てづか治虫おさむによると、白土しらつちが登場とうじょうしてから子供こども漫画まんがには重厚じゅうこうなドラマ、リアリティ、イデオロギーが要求ようきゅうされるようになったという。

『忍者にんじゃ武芸ぶげい帳ちょう』で展開てんかいされる階級かいきゅう闘争とうそうは、労働ろうどう者しゃ階級かいきゅうの読者どくしゃからインテリ層そうまで絶大ぜつだいな支持しじを受うけ、全共闘ぜんきょうとう世代せだいのバイブル的てき存在そんざいとなる。また『忍者にんじゃ武芸ぶげい帳ちょう』は安保あんぽ闘争とうそうと関連かんれんづけて論ろんじられることも多おおかったが、長井ながいや白土しらつち本人ほんにんは「読者どくしゃが安保あんぽ闘争とうそうに関連かんれんづけて読よむのは勝手かってである」としつつも「あれと安保あんぽは余あまり関係かんけいがない」と語かたるなど、特とくに時流じりゅうを意識いしきしていた訳わけでもなかったという。

黎明れいめい期き

三洋さんよう社しゃの解散かいさん後ご、長井ながい勝一かついちは1962年ねんに神田かんだ神保じんぼう町まちで新しん出版しゅっぱん社しゃ「青あお林堂はやしどう」を創業そうぎょうする。当初とうしょは三洋さんよう社しゃ時代じだいと同様どうように貸本かしほん漫画まんがを中心ちゅうしんに出版しゅっぱんしていたが、1964年ねん7月がつ24日にちより白土しらつち三平さんぺいと共同きょうどうで漫画まんが雑誌ざっし『月刊げっかん漫画まんがガロ』を創刊そうかんする。当時とうじは劇画げきがブーム前夜ぜんやであり、『ガロ』は全共闘ぜんきょうとう時代じだいの大学生だいがくせいに強つよく支持しじされ一いち世せいを風靡ふうびした。後のちに7月がつ24日にちは「劇画げきがの日ひ」と呼よばれるようになる。

元々もともと『ガロ』は題材だいざい・内容ないようと、そのスケールから連載れんさいする場所ばしょが無なかった白土しらつちの漫画まんが『カムイ伝でん』の連載れんさいの場ばを設もうけることが創刊そうかんの最大さいだいの目的もくてきであった。同時どうじに、活躍かつやくの場ばを失うしないつつあった貸本かしほん漫画まんが家かへの媒体ばいたい提供ていきょうと、新人しんじん発掘はっくつのためという側面そくめんもあった。また青あお林堂はやしどうでは商業しょうぎょう的てきなメジャー系けい出版しゅっぱん社しゃの漫画まんが事業じぎょうと対極たいきょくのスタンスで、掲載けいさい作品さくひんの作品さくひん性せいを重視じゅうしする編集へんしゅう方針ほうしんを取とり、白土しらつち三平さんぺいや水木みずきしげるといった有名ゆうめい作家さっかから、つげ義春よしはる、花輪はなわ和一かずいち、安部あべ慎一しんいち、鈴木すずき翁おきな二に、古川ふるかわ益三ますぞう、蛭子えびす能収よしかず、根本ねもと敬たかし、山田やまだ花子はなこ、ねこぢる、山野やまの一はじめ、みうらじゅん、内田うちだ春菊しゅんぎく、林はやし静一せいいち、丸尾まるお末広すえひろ、近藤こんどうようこ、杉浦すぎうら日向子ひなこ、やまだ紫むらさき、矢口やぐち高雄たかお、ひさうちみちお、久住ひさずみ昌之まさゆき、古屋こや兎うさぎ丸まる、福満ふくみつしげゆきといった「ガロ系けい」と称しょうされる一群いちぐんの漫画まんが作家さっかに表現ひょうげんの場ばを与あたえ輩出はいしゅつし、日本にっぽん漫画まんが文化ぶんか史上しじょうに一いち時代じだいを築きずいた。

1960年代ねんだいの『ガロ』は、白土しらつち三平さんぺいの『カムイ伝でん』と水木みずきしげるの『鬼太郎おにたろう夜話やわ』の2本ほん柱ばしらでおよそ100ページを占しめ、残のこるページをつげ義春よしはる、滝田たきたゆう、池上いけがみ遼りょう一いち、つりたくにこ、佐々木ささきマキ、勝又かつまた進すすむ、永島ながしま慎二しんじなどがレギュラーとして作品さくひんを発表はっぴょうしていた。新人しんじん発掘はっくつにも力ちからを入いれていた当時とうじの青あお林堂はやしどうには、毎日まいにちのように作品さくひんが郵送ゆうそうで届とどき、多おおいときには2日にち、最低さいていでも3日にちに一人ひとりは作品さくひんを小脇こわきに抱かかえた若者わかものが訪おとずれたという。当時とうじの編集へんしゅう部ぶでは実質じっしつ的てきに編集へんしゅうを任まかされていた高野たかの慎まこと三さん（権藤ごんどう晋すすむ）と長井ながいの二人ふたりで新人しんじんを発掘はっくつしていった。高野たかのは特とくに『ガロ』に発表はっぴょうされた“既成きせいのマンガのワクを乗のり越こえ、新あたらしいマンガの創造そうぞうを”と謳うたった「白土しらつちテーゼ」を信奉しんぽうし、つげ以降いこうのマンガ表現ひょうげんに大おおいなる関心かんしんを寄よせていた。

『ガロ』は商業しょうぎょう性せいよりも作品さくひんを重視じゅうし、オリジナリティを何なにより第だい一いちとしたため、編集へんしゅう者しゃの干渉かんしょうが比較的ひかくてき少すくなく、作家さっか側がわにすれば自由じゆうに作品さくひんを発表はっぴょう出来できたため、新人しんじん発掘はっくつの場ばとして独創どくそう的てきな作品さくひんを積極せっきょく的てきに掲載けいさいした。このことは、それまで漫画まんがという表現ひょうげんを選択せんたくすることのなかったアーティストたちにも門戸もんこを開放かいほうする結果けっかとなり、ユニークな新人しんじんが続々ぞくぞくと輩出はいしゅつされるようになった。

発刊はっかん3年ねん後ごの1967年ねんには、主おもに『カムイ伝でん』を目当めあてにした小学館しょうがくかんによる買収ばいしゅうおよび、当時とうじの同社どうしゃの中学生ちゅうがくせい以上いじょうの男性だんせい向むけ雑誌ざっし『ボーイズライフ』との統合とうごう話ばなしが持もち上あがったが、無名むめいの新人しんじんを発見はっけんし育そだてるのが『ガロ』の目的もくてきという長井ながいの意向いこうから破談はだんに終おわる。後のちにこの構想こうそうは1968年ねんの『ビッグコミック』創刊そうかんに結実けつじつする。

1968年ねんにはつげ義春よしはるが6月がつ増刊ぞうかん号ごうに『ねじ式しき』を発表はっぴょう、これは漫画まんが史上しじょうにおいて初はじめてシュルレアリスム表現ひょうげんを革新かくしん的てきに取とり入いれた記念きねん碑ひ的てき作品さくひんとなり、現在げんざいに至いたるまで漫画まんが界かいのみならず数々かずかずの作家さっかに多大ただいな影響えいきょうを与あたえ続つづけている。

長ながい不遇ふぐうの時代じだい

つげ義春よしはるが1970年ねんの『やなぎ屋や主人しゅじん』完結かんけつを最後さいごに休きゅう筆ひつに入はいったのに加くわえて、同年どうねんには滝田たきたゆうの『寺島てらしま町まち奇き譚たん』の連載れんさいが終了しゅうりょう、1971年ねんには白土しらつちの『カムイ伝でん』が終了しゅうりょうし、これと共ともに『ガロ』の売上うりあげは徐々じょじょに下降かこう線せんをたどり、原稿げんこう料りょうも既すでに支払しはらいを停止ていしせざるを得えなくなっていった。水木みずきしげるが『ガロ』1970年ねん10月がつ号ごうから連載れんさいを開始かいしした『星ほしをつかみそこねる男おとこ』も連載れんさい中ちゅうは青あお林堂はやしどうの経営けいえい悪化あっかが原因げんいんで原稿げんこう料りょうが全まったく支払しはらわれなかったという。『ガロ』を強つよく意識いしきしていた手塚てづか治虫おさむの漫画まんが雑誌ざっし『COM』は『ガロ』のように「原稿げんこう料りょうゼロ」という訳わけにはいかず、1971年ねん末まつに廃刊はいかんする。

時期じきを同おなじくして水木みずきしげる、林はやし静一せいいち、つげ忠男ただお、楠くすのき勝平しょうへい、佐々木ささきマキ、辰巳たつみヨシヒロら黎明れいめい期きの作家さっか陣じんが『ガロ』の誌面しめんから姿すがたを消けす。その一方いっぽうで『カムイ伝でん』の連載れんさいが終了しゅうりょうした1971年ねん7月がつ号ごうで花輪はなわ和一かずいちが入選にゅうせんしたのを皮切かわきりとして同年どうねん10月がつ号ごうでは川崎かわさきゆきおが入選にゅうせん、1973年ねんには蛭子えびす能収よしかず、菅野かんの修おさむ、ますむらひろしが入選にゅうせん。これに加くわえて安部あべ慎一しんいち、鈴木すずき翁おきな二に、古川ふるかわ益三ますぞうら「ガロ三羽烏さんばがらす」や「一いち二に三さんトリオ」と称しょうされた文学ぶんがく性せいの強つよい新人しんじん作家さっかが同どう時期じきに入選にゅうせんし、『ガロ』の世代せだい交替こうたいが起おこる。後のちに古川ふるかわは中野なかのブロードウェイに漫画まんが専せん門もんの古書こしょ店てん「まんだらけ」を開店かいてんする。

1973年ねん7月がつ号ごうには赤瀬あかせ川原平かわらたいが『ねじ式しき』の画期的かっきてきなパロディ漫画まんが『おざ式しき』を描えがく。同年どうねん、長井ながい勝一かついちは山上やまかみたつひこ初期しょきの代表だいひょう作さく『喜劇きげき新しん思想しそう大系たいけい』の単行たんこう本ほん刊行かんこうに際さいして山上さんじょうと打うち合あわせを行おこなう。この打うち合あわせで長井ながいは「あれは面白おもしろいけれど、あくまでも大人おとなのものだから『喜劇きげき新しん思想しそう大系たいけい』を子供こども向むけにして出版しゅっぱん社しゃに持もっていったら受うけるんじゃないか」と山上さんじょうに助言じょげんし『がきデカ』誕生たんじょうの契機けいきを作つくる。1976年ねん4月がつ号ごうからは糸井いとい重しげる里さと原作げんさく・湯村ゆむら輝彦てるひこ作画さくがによる元祖がんそヘタウマ漫画まんが『ペンギンごはん』の連載れんさいが開始かいし、蛭子えびす能収よしかずや根本ねもと敬たかし、みうらじゅんなど『ガロ』出身しゅっしんの作家さっかに多大ただいな影響えいきょうを与あたえ、1980年代ねんだいにおきるヘタウマブームの嚆矢こうしとなる。

その後ご、当時とうじ編集へんしゅう部ぶに在籍ざいせきしていた編集へんしゅう者しゃであった南みなみ伸しん坊ぼうや渡辺わたなべ和博かずひろらが一時いちじ編集へんしゅう長ちょうとなり、面白おもしろければ漫画まんがという表現ひょうげんに囚とらわれぬという誌面しめん作づくりを提唱ていしょう（＝「面白おもしろ主義しゅぎ」）した。その結果けっか、サブカルチャーの総本山そうほんざん的てきな立場たちばとして一部いちぶのマニア、知識ちしき者しゃ層そう、サブカルチャーファンなどに一目いちもく置おかれる。しかし1980年代ねんだいには、バブル景気けいきで金かね余あまりの世相せそうにありながら『ガロ』の部数ぶすうは実じつ売うれ3000部ぶ代だいまで落おち込こみ、神田かんだ神保じんぼう町まちの明治大学めいじだいがく裏手うらての材木ざいもく店てんの倉庫そうこの二に階かいに間借まがりして細々こまごまと営業えいぎょうする経営けいえい難なんを経験けいけんする。

この頃ころになると社員しゃいんですらまともに生活せいかつが出来できないほど経営けいえいが行いき詰づまっており、完全かんぜんに単行本たんこうぼんの売上うりあげによって雑誌ざっしの赤字あかじを埋うめるといういびつな体制たいせいになっていた。それでも社員しゃいん編集へんしゅう者しゃたちは『ガロ』以外いがいの媒体ばいたいから単行本たんこうぼんを刊行かんこうさせてくれる作家さっかを見みつけ、編集へんしゅうの合間あいまに営業えいぎょうや倉庫そうこの在庫ざいこ出だし、返品へんぴん整理せいりをするなどして『ガロ』を支ささえ続つづけた。また「『ガロ』でのデビュー＝入選にゅうせん」に憧あこがれる投稿とうこう者しゃは依然いぜん多おおく、部数ぶすう低迷ていめい期きにあってもその中なかから数々かずかずの有望ゆうぼう新人しんじんを発掘はっくつしていった。新入しんにゅう社員しゃいんも1名めい募集ぼしゅうするだけで、薄給はっきゅうにもかかわらず100名めい200名めいが簡単かんたんに集あつまったという。

1981年ねんに『ガロ』でデビューした特殊とくしゅ漫画まんが家かの根本ねもと敬たかしは当時とうじの『ガロ』と青あお林堂はやしどうについて「妖怪ようかいみたいなもんですね。そもそも『ガロ』って名前なまえ自体じたいが白土しらつち三平さんぺいさんの漫画まんがの中なかに出でてくる妖怪ようかいからとられていたんです。ノーギャラなのに、『ガロ』に描えがきたいって人ひとがわんさかいましたし、青あお林堂はやしどうの社員しゃいんだって給料きゅうりょう安やすいのに、競争きょうそう率りつは講談社こうだんしゃとか集英社しゅうえいしゃの比ひじゃなかったですから」と語かたっている。

新しん世代せだいの『ガロ』

創業そうぎょう者しゃである長井ながい勝一かついちを支持しじする歴代れきだいの作家さっか陣じんなどの精神せいしん的てき・経済けいざい的てき支援しえんや強つよい継続けいぞくの声こえ、そして長井ながいの座右ざゆうの銘めい「継続けいぞくは力ちからなり」をモットーに新人しんじん発掘はっくつの場ばとして細々こまごまながらも刊行かんこうは続つづき、低迷ていめいしながらも会社かいしゃは存続そんぞくしたが、1990年代ねんだいに入はいり長井ながいの高齢こうれいと経営けいえい難なんから、松沢まつざわ呉ご一はじめの仲介ちゅうかいでPCソフト開発かいはつ会社かいしゃの株式会社かぶしきがいしゃツァイトの経営けいえい者しゃである山中やまなか潤じゅんが1990年ねん9月がつより青あお林堂はやしどう代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょうに就任しゅうにんし経営けいえいを引ひき継つぐ。

1991年ねん3月がつ、『ガロ』別冊べっさつとして音楽おんがく雑誌ざっし『REMIX』が創刊そうかん、発売はつばい元もと・青あお林堂はやしどう、発行はっこう元もと・アウトバーンで刊行かんこう。

山中やまなか潤じゅんは『ガロ』1991年ねん12月がつ号ごう誌上しじょうで「『ガロ』は差別さべつをなくす目的もくてきで創刊そうかんしたと聞きいている。それは単純たんじゅんに『なくそう』『やめよう』と言いうのではなく、自分じぶんの体からだを通とおしてそれを問とい直なおしてみようという方法ほうほうだった。この挑戦ちょうせんの姿勢しせいこそ今いまも続つづくこの雑誌ざっしの本質ほんしつだ。それは表現ひょうげんとしての漫画まんがの可能かのう性せいを作つくり出だし、今日きょうの漫画まんがに多大ただいな影響えいきょうを与あたえた。90年代ねんだい、僕ぼくは『ガロ』を商業しょうぎょうベースに乗のせて漫画まんが雑誌ざっしを中核ちゅうかくに置おいたマルチメディア出版しゅっぱん社しゃにしていきたい」と宣言せんげんし、長井ながい勝一かついちと『ガロ』、青あお林堂はやしどうは三位一体さんみいったいであると改あらためて確認かくにん、その形かたちを維持いじさせながら、山中さんちゅうは慎重しんちょうに会社かいしゃとしての経営けいえい、財務ざいむと営業えいぎょう、また出版しゅっぱん社しゃとしての編集へんしゅう体制たいせいなどを建たて直なおすことに着手ちゃくしゅする。1992年ねんには長井ながいが編集へんしゅう長ちょうを辞じし、山中さんちゅうが編集へんしゅう長ちょうに就任しゅうにんする。この頃ころ、雑誌ざっし『SPA!』に『ゴーマニズム宣言せんげん』を連載れんさいしていた小林こばやしよしのりがご成婚せいこんパレードでオープンカーに乗のった皇太子こうたいし妃ひ雅子まさこが「天皇てんのう制せい反対はんたいーっ」と叫さけびながら周囲しゅういに大量たいりょうの爆ばく弾だんを投なげつけるという漫画まんがを描えがき、『SPA!』に掲載けいさい拒否きょひされて『ガロ』に持もち込こみ、無事ぶじ掲載けいさいされるという出来事できごとがあった（この漫画まんがは『ガロ』1993年ねん9月がつ号ごう特集とくしゅう「三流さんりゅうエロ雑誌ざっしの黄金おうごん時代じだい」に特別とくべつ編へんとして掲載けいさいされている）。

1993年ねんには月刊げっかん『ガロ』創刊そうかん30周年しゅうねん記念きねん作さくとして、障害しょうがい者しゃプロレスのドキュメンタリー映画えいが『無敵むてきのハンディ・キャップ』を製作せいさく。また経営けいえい母体ぼたいとなるツァイトでも『ねじ式しき』を始はじめとする『ガロ』の名作めいさく漫画まんがのPCゲーム化かや、根本ねもと敬たかしや幻まぼろしの名めい盤ばん解放かいほう同盟どうめいが監修かんしゅうした特殊とくしゅな映像えいぞう作品さくひんのビデオ化かを行おこなう。1994年ねんには青あお林堂はやしどうとツァイトとの共同きょうどうであがた森もり魚ぎょ監督かんとくによる映画えいが『オートバイ少女しょうじょ』を製作せいさくするなど、積極せっきょく的てきにメディアミックスを展開てんかいした。こうした映画えいがのタイアップ企画きかくや『南みなみくんの恋人こいびと』『ねこぢるうどん』『おもひでぽろぽろ』のヒットなどで単行たんこう本ほんが好調こうちょうとなり、この頃ころには原稿げんこう料りょうも幾いくらかは支払しはらわれるようになった。1995年ねんには青あお林堂はやしどうのトレードマークであった神田かんだ神保じんぼう町まちの材木ざいもく屋や2階かいから渋谷しぶや区く初台はつだいの雑居ざっきょビル8階かいに社屋しゃおくを移転いてんする。

内部ないぶの軋轢あつれき、『ガロ』休刊きゅうかんへ

順風じゅんぷう満まん帆ほに見みえた『ガロ』であったが、親会社おやがいしゃのツァイトがPCソフトのプラットフォームがMS-DOSからWindowsへと変かわる時代じだいの変化へんかに乗のり遅おくれ、経営けいえいが悪化あっか。1996年ねんには青あお林堂はやしどう創業そうぎょう者しゃで初代しょだい編集へんしゅう長ちょうであった長井ながい勝一かついちが死去しきょする。

その後ご、山中さんちゅうは来きたるべきインターネット時代じだいを先取さきどりし、1997年ねん当時とうじとしては画期的かっきてきであったインターネットとコミックの融合ゆうごう雑誌ざっし『デジタルガロ』（編集へんしゅう長ちょう・白取しらとり千夏ちなつ雄ゆう）刊行かんこうに着手ちゃくしゅする。だが編集へんしゅう部ぶ内ないでは、インターネットを『ガロ』にはそぐわないものとする守旧しゅきゅう派はと白取しらとりら推進すいしん派はが対立たいりつし、その結果けっか白取しらとりは『ガロ』副ふく編集へんしゅう長ちょうのままツァイトへ移籍いせきして『デジタルガロ』の編集へんしゅうにあたるという、変則へんそく的てきな事態じたいを迎むかえることとなった。

この先見せんけん的てきな試こころみは、山中さんちゅう社長しゃちょうが強引ごういんに搬入はんにゅう部数ぶすうを10万まん部ぶまで増ふやしたため結果けっか的てきに失敗しっぱい（最終さいしゅう的てきな実じつ売うれは15000 - 18000部ぶ）に終おわり、大だい赤字あかじを出だすこととなった。この『デジタルガロ』失敗しっぱいに加くわえて、社長しゃちょう交代こうたい話ばなしを巡めぐって経営けいえい陣じんと編集へんしゅう部ぶが対立たいりつし、手塚てづか能理子のりこを筆頭ひっとうとする編集へんしゅう陣じんが事前じぜん連絡れんらくも無ないまま保管ほかんしてあった作家さっかの原稿げんこうを持もち去さり、1997年ねん7月がつ7日にち付づけをもって一斉いっせいに集団しゅうだん退社たいしゃするという内紛ないふん騒動そうどうが発生はっせいする。これがきっかけとなりツァイトは倒産とうさんし、『ガロ』は休刊きゅうかんに追おい込こまれた。後のちに退社たいしゃ組ぐみは青あお林堂はやしどうの後継こうけいと称しょうして新しん出版しゅっぱん社しゃ「青あお林りん工藝こうげい舎しゃ」を興おこす。

社員しゃいんを失うしなった青あお林堂はやしどうは体制たいせいを立たて直なおすため新しん社員しゃいんを募集ぼしゅう。福井ふくい源はじめが経営けいえいを引ひき継つぎ、白取しらとり千夏ちなつ雄ゆうの仲介ちゅうかいで編集へんしゅう長ちょうに長戸ながと雅之まさゆきを招まねく。1998年ねん1月がつより青あお林堂はやしどうは『ガロ』を復刊ふっかんさせるが、同年どうねん9月がつには再ふたたび休刊きゅうかんした。

『ガロ』2度目どめの休刊きゅうかん後ご、ねこぢるのグッズを販売はんばいしていた大和やまと堂どうの蟹江かにえ幹彦みきひこが1999年ねんより青あお林堂はやしどうの経営けいえいを引ひき継つぎ、休刊きゅうかんしていた『ガロ』を2000年ねん1月がつより復刊ふっかんさせるが、採算さいさんが見込みこめず2001年ねん半なかばより隔月かくげつ刊かんとなり、2002年ねん半なかばから季刊きかん誌しへと移行いこう。そして2002年ねん10月がつ号ごうを最後さいごに休刊きゅうかんする。

漫画まんが出版しゅっぱんから総合そうごう出版しゅっぱん、右派うは路線ろせんへ

2002年ねんより青あお林堂はやしどうグループの青あお林堂はやしどうネットコミュニケーションズが青あお林堂はやしどうB.O.Dシリーズとして過去かこの名作めいさく漫画まんがのオンデマンド出版しゅっぱんを行おこなっていたが、2000年代ねんだい半なかばには新作しんさくの供給きょうきゅうが途絶とだえた。2003年ねん3月がつにタカラが青あお林堂はやしどうグループ会社かいしゃの青あお林堂はやしどうビジュアルを子会社こがいしゃ化かするが、1億おく円えんの負債ふさいを抱かかえ2012年ねん1月がつに特別とくべつ清算せいさんされる形かたちで消滅しょうめつ。2009年ねんから定期ていき刊行かんこうを始はじめた成年せいねん向むけ漫画まんが雑誌ざっし『ぷるるんMAX』も2011年ねん3月がつを以って休刊きゅうかんとなった。

現げん社長しゃちょうの蟹江かにえ幹彦みきひこは、青あお林堂はやしどうの路線ろせん変更へんこうは「経営けいえい上じょうの問題もんだい」によるもので、「他たのジャンルの売うり上あげが減へった分ぶんを保守ほしゅ本ほんが補填ほてんしてくれている」と取材しゅざいに答こたえている。また、別べつの取材しゅざいに対たいして青あお林堂はやしどうの現げん社員しゃいんは「憲法けんぽう21条じょうで言論げんろん、表現ひょうげん、出版しゅっぱんの自由じゆうが認みとめられている。うちのような本ほんも左翼さよくの本ほんも出版しゅっぱんされていて、読よんだ上じょうで論争ろんそうが行おこなわれているのが正常せいじょうな社会しゃかいなのではないでしょうか」「『ガロ』が休刊きゅうかんしたのは2002年ねん。時代じだいが違ちがいます」と述のべている。2017年ねんに大手おおてマスコミで青あお林堂はやしどうについて報道ほうどうされた際さいは、「かつてガロを刊行かんこうしていた」など過去かこ形がたで言及げんきゅうされている。

なお元もと青あお林堂はやしどう社長しゃちょうの山中やまなか潤じゅんは青あお林堂はやしどうに関連かんれんする一連いちれんの報道ほうどうについて「現在げんざいの青あお林堂はやしどうは名前なまえは同おなじであっても、創業そうぎょう者しゃの長井ながい勝一かついちとはまるで関係かんけいのない、単たんに株式かぶしきを取得しゅとくした人間にんげんが、元々もともとの青あお林堂はやしどうや『ガロ』の精神せいしんとは関係かんけいのないところで行おこなっている全然ぜんぜん別べつの事業じぎょうに過すぎず、元々もともとの『ガロ』とは無関係むかんけいです」「私わたしより、かつてのガロ・青あお林堂はやしどうを愛あいして下くださった、読者どくしゃ・作家さっか・関係かんけい者しゃ、そして『ガロ』を今いまでも愛あいし続つづけてくださるファンの皆様みなさまが、様々さまざまな誤解ごかいや偏見へんけんに晒さらされることもあるかと思おもいましたのでこのような文章ぶんしょうを記しるさせていただきました」という声明せいめいを出だしており、現げん社長しゃちょうの蟹江かにえ幹彦みきひこについても「ガロ編集へんしゅう部ぶとの付つき合あいは極きわめて薄うすく、長井ながい氏しとは面識めんしきもありません」と語かたっている。

裁判さいばん

• 青あお林堂はやしどうの分裂ぶんれつ騒動そうどう後ご、青あお林りん工藝こうげい舎しゃの手塚てづか能理子のりこ社長しゃちょうとの間あいだで訴訟そしょう継続けいぞく中ちゅうであったが和解わかいで終了しゅうりょうした旨むねが『ガロ』2002年ねん2月がつ号ごうと『アックス』25号ごうに掲載けいさいされた。
• 2013年ねん11月に出版しゅっぱんの井上いのうえ太郎たろう著ちょ『日本にっぽんのために 井上いのうえ太郎たろう＠kaminoishi』によって名誉めいよを毀損きそんされたとして、対たいレイシスト行動こうどう集団しゅうだん構成こうせい員いんの木野きの寿ひさし紀きが青あお林堂はやしどうを提訴ていそ。2015年ねん6月がつ15日にちに和解わかいが成立せいりつし、木野きのに慰謝いしゃ料りょう25万まん円えんを支払しはらい、公式こうしきウェブサイトから記事きじを削除さくじょして謝罪しゃざい文ぶんを掲載けいさいし、該当がいとう記載きさいを削除さくじょした書籍しょせきの改訂かいてい版ばんを出版しゅっぱんすることで合意ごういしている。著者ちょしゃの井上いのうえへの提訴ていそも行おこなう意向いこうであったが、井上いのうえの「所在しょざいがつかめなかった」ために、訴訟そしょうを取とり下さげている。
• 2019年ねん、青あお林堂はやしどうから出版しゅっぱんされた田岡たおか春はる幸こうの著作ちょさくで労働ろうどう組合くみあいのプレカリアートユニオンと組合くみあい員いんと内容ないようをめぐり名誉めいよ毀損きそんを問とう裁判さいばんが起おこった。同年どうねん12月がつ被告ひこくの青あお林堂はやしどうと田岡たおかと原告げんこくの労働ろうどう組合くみあいと組合くみあい員いんは被告ひこくの謝罪しゃざいと和解わかい金きん40万まん円えんの支払しはらい、及および名誉めいよを毀損きそんした著作ちょさくの販売はんばい終了しゅうりょうで和解わかいした。

元もと社員しゃいんによる提訴ていそ　青あお林堂はやしどう事件じけん

• 男性だんせい社員しゃいんへのパワハラ行為こういや東京とうきょう管理かんり職しょくユニオンの脱退だったいの強要きょうよう、労働ろうどう契約けいやく書しょの一方いっぽう的てきな調印ちょういん、他た社員しゃいんとの隔離かくり的てき待遇たいぐうや嫌いやがらせがあったとして、東京とうきょう都と労働ろうどう委員いいん会かいによって不当ふとう労働ろうどう行為こういだとして訴うったえられており、2017年ねん2月がつには社員しゃいんが会社かいしゃを相手取あいてどり、損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめる訴訟そしょうを東京とうきょう地裁ちさいに提起ていきしている。東京とうきょう都と労働ろうどう委員いいん会かいは2017年ねん3月がつ28日にち、青あお林堂はやしどうに対たいし、社員しゃいんの組合くみあい活動かつどうに対たいする介入かいにゅうをしない、文書ぶんしょ掲示けいじの命令めいれい書しょを出だした。これは社員しゃいんの主張しゅちょうが全すべて救済きゅうさいされた事ことを意味いみする。
• 元もと男性だんせい社員しゃいんは2017年ねん末日まつじつに青あお林堂はやしどうを退社たいしゃ、労働ろうどう委員いいん会かい及およびユニオンとの訴訟そしょうは2019年ねん現在げんざいまだ終おわっていない。
  • 社長しゃちょうの蟹江かにえ幹彦みきひこは従業じゅうぎょう員いんに対たいし12月3日にち、会社かいしゃ内ないにおいて従業じゅうぎょう員いんらが同席どうせきする中なか「全すべての元凶げんきょうはユニオンなわけよ。君きみがユニオン辞やめれば、普通ふつうにみんな付つき合あう」「まあ、こういうこと言いうと、支配しはい介入かいにゅうって言いわれるけどな」「何なんでも言いうよ。君きみが嫌きらいじゃなくて、ユニオンが嫌きらいなんだから」などの発言はつげんを行おこなった。労働ろうどう委員いいん会かいでの話はなし合あいで蟹江かにえはこの発言はつげんは精神せいしん衰弱すいじゃく状態じょうたいのものであり責任せきにん能力のうりょくがないと主張しゅちょう、しかし医師いしの診断しんだん書しょには記述きじゅつがなく労働ろうどう委員いいん会かいは一連いちれんの発言はつげんを支配しはい介入かいにゅうであると判断はんだんした。
  • 原告げんこく側がわ弁護士べんごしの佐々木ささき亮あきらは「青あお林堂はやしどうは、これは左翼さよくの陰謀いんぼうであるなどと言いっているようであるが、最初さいしょに言いっておきたいことは『パワハラに右翼うよくも左翼さよくも関係かんけいない』ということである」「もちろん、青あお林堂はやしどうからみた『左翼さよく団体だんたい』においてもパワハラは存在そんざいする。私わたしはその場合ばあいでも、特とくに躊躇ちゅうちょすることなく、被害ひがい者しゃとなった労働ろうどう者しゃの権利けんり擁護ようごをしたいと考かんがえているし、実際じっさいにしてきた実績じっせきがある」「なお、対話たいわ者しゃに無断むだんで録音ろくおんすることが違法いほうであるかのような誤解ごかいがあるが、そんなことはない。職場しょくばにおけるトラブルがある場合ばあいに、証拠しょうこ保全ほぜんの意味いみで録音ろくおんすることは問題もんだいない。むしろ、労働ろうどう者しゃが取とりうる唯一ゆいいつの証拠しょうこ収集しゅうしゅうにおける対抗たいこう手段しゅだんといっても過言かごんではない」「青あお林堂はやしどう社長しゃちょうの主張しゅちょう内容ないようが、事実じじつに反はんしていたり、社員しゃいんや所属しょぞく労組ろうその名誉めいよを傷きずつけたりしている場合ばあいは、別べつのところで反論はんろんをさせていただくし、裁判さいばんにおける請求せいきゅうの拡張かくちょうに利用りようさせていただくこともある」「青あお林堂はやしどう事件じけんは、ハラスメントの陰湿いんしつさと、それを支ささえる証拠しょうこが多おおくあることでたくさんの注目ちゅうもくを集あつめた。しかし、俯瞰ふかん的てきに見みれば、これはわが国くににはびこるパワハラ事件じけんの一ひとつに過すぎないのである。もっとも、一ひとつに過すぎないとしても、これだけ注目ちゅうもくが集あつまった事件じけんである。青あお林堂はやしどうには、パワハラを行おこなったことについて、しっかり責任せきにんを取とっていただきたい」と反論はんろんしている。
  • 2019年ねん7月がつ、東京とうきょう地裁ちさいで青あお林堂はやしどうが男性だんせいに謝罪しゃざいするという形かたちで和解わかいが成立せいりつした。しかし、会社かいしゃのホームページ上じょうには「素行そこう不良ふりょうの半年はんとし勤務きんむの契約けいやく社員しゃいん」「（ユニオンの街宣がいせんでは）何故なぜかハングル語ごが飛とび交かい」など男性だんせいや男性だんせいの所属しょぞくする労働ろうどう組合くみあいを中傷ちゅうしょうするような内容ないよう（いずれも裁判さいばんでは否定ひていされている）が継続けいぞくして掲載けいさいされていることから、男性だんせいは8月がつ6日にちに会見かいけんを開ひらき「やっと終おわれるかなと思おもったのに残念ざんねんです」と述のべ、法的ほうてき措置そちも検討けんとうするとしている。また東京とうきょう管理かんり職しょくユニオンは青あお林堂はやしどうが2016年ねんに出版しゅっぱんした書籍しょせき『中小ちゅうしょう企業きぎょうがユニオンに潰つぶされる日ひ』について男性だんせいと組合くみあいを中傷ちゅうしょうする内容ないようを掲載けいさいしたとして名誉めいよ毀損きそんの訴訟そしょうを起おこしており、男性だんせいとユニオン側がわは「和解わかいしたのに反省はんせいの色いろがない」と憤いきどおりをあらわにしている。なお、青あお林堂はやしどうの蟹江かにえ幹彦みきひこはこの裁判さいばんについて「書籍しょせきの表現ひょうげんの自由じゆうに関かんする件けんでの裁判さいばん」と説明せつめいしている。

特定とくていの弁護士べんごしへの大量たいりょう懲戒ちょうかい請求せいきゅう事件じけん

詳細しょうさいは「弁護士べんごしの懲戒ちょうかい処分しょぶん#特定とくていの弁護士べんごしへの大量たいりょう懲戒ちょうかい請求せいきゅう事件じけん」を参照さんしょう

年表ねんぴょう

• 1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん） 長井ながい勝一かついちにより神田かんだ神保じんぼう町まちに設立せつりつ。
• 1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）7月がつ24日にち 『月刊げっかん漫画まんがガロ』創刊そうかん。
• 1972年ねん（昭和しょうわ47年ねん）高野たかの慎まこと三さん退社たいしゃ、北きた冬ふゆ書房しょぼうを設立せつりつ。南みなみ伸しん坊ぼうが入社にゅうしゃし後ごに編集へんしゅう長ちょうに。
• 1990年ねん ツァイトに経営けいえい譲渡じょうと。ツァイト社長しゃちょうの山中さんちゅう潤じゅんが社長しゃちょうに就任しゅうにん。
• 1991年ねん ガロ増刊ぞうかんとして『REMIX (雑誌ざっし)』を創刊そうかん（発行はっこうはアウトバーン）。
• 1992年ねん 山中さんちゅうが編集へんしゅう長ちょうとなり、長井ながいが会長かいちょうに就任しゅうにん。
• 1994年ねん 『月刊げっかんガロ』創刊そうかん30周年しゅうねん記念きねんパーティー。
• 1995年ねん 長井ながいが日本にっぽん漫画まんが協会きょうかい選考せんこう委員いいん特別とくべつ賞しょうを受賞じゅしょう。
• 1995年ねん 神田かんだ神保じんぼう町まちの材木ざいもく屋やから渋谷しぶや区くに社屋しゃおくを移転いてん。
• 1997年ねん ガロ8月がつ号ごうを出だした後のち、編集へんしゅう部員ぶいんが総そう退社たいしゃし休刊きゅうかん。退社たいしゃ組ぐみは後のちに「青あお林りん工藝こうげい舎しゃ」を興おこす。
• 1998年ねん ガロを1月がつ号ごうより復刊ふっかん　9月がつ号ごうまでで再度さいど休刊きゅうかん。
• 2000年ねん ガロを1月がつ号ごうより復刊ふっかん　年とし半なかばに隔月かくげつ刊かん化か。
• 2001年ねん ガロ再々さいさい度ど休刊きゅうかん　今次こんじは事実じじつ上じょう廃刊はいかん。
• 2011年ねん『ジャパニズム』創刊そうかん。
• 2020年ねん『ジャパニズム』休刊きゅうかん。

参考さんこう書籍しょせき

• 長井ながい勝一かついち『「ガロ」編集へんしゅう長ちょう』（1987年ねん 筑摩書房ちくましょぼう）
• ガロ史し編纂へんさん委員いいん会かい『ガロ曼陀羅まんだら』（1991年ねん TBSブリタニカ）
• 高野たかの慎まこと三さん『つげ義春よしはる1968』（2002年ねん 筑摩書房ちくましょぼう）
• 白取しらとり千夏ちなつ雄ゆう＋手塚てづか能理子のりこ「“ガロ”のまんが道どう」（ワイズ出版しゅっぱん『キッチュ』2016年ねん - 2019年ねん）
• 大泉おおいずみ実成さねなり＋加藤かとう直樹なおき＋木村きむら元彦もとひこ『さらば、ヘイト本ほん！嫌いや韓かん反はん中本なかもとブームの裏側うらがわ』（2015年ねん ころから）
• 白取しらとり千夏ちなつ雄ゆう『全身ぜんしん編集へんしゅう者しゃ』（2019年ねん おおかみ書房しょぼう）

関連かんれん項目こうもく

• 長井ながい勝一かついち
• ガロ (雑誌ざっし) / ガロ系けい
• 青あお林りん工藝こうげい舎しゃ

外部がいぶリンク

• 青あお林はやし堂どう｜まんがで読よむ古事記こじき
• 青あお林堂はやしどう (@seirindo_book) - X（旧きゅうTwitter）
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