非公式ひこうしき帝国ていこく

非公式ひこうしき帝国ていこく（ひこうしきていこく、英語えいご：Informal Empire）とは、イギリスの歴史れきし家か、ジョン・ギャラガーとロナルド・ロビンソンによって提唱ていしょうされた、自由じゆう貿易ぼうえき帝国ていこく主義しゅぎ論ろんの核かくとなる概念がいねんであり、政治せいじ的てき・経済けいざい的てきな従属じゅうぞく下かにあるものの公的こうてきな支配しはいを伴ともなわない地域ちいきを指さす。東ひがしインド会社かいしゃ支配しはい下かのインド、19世紀せいきの南みなみアメリカ諸国しょこく、19世紀せいき後半こうはんから20世紀せいき初頭しょとうにかけての清きよしなどがイギリスの代表だいひょう的てきな非公式ひこうしき帝国ていこくである。

非公式ひこうしき帝国ていこく化かする為ための前提ぜんてい条件じょうけんとして、自由じゆう貿易ぼうえきで他たの競合きょうごう国こくを圧倒あっとうする経済けいざい力りょくと、航路こうろの安全あんぜんを保障ほしょうし自由じゆう貿易ぼうえきを相手あいてに強制きょうせいする軍事ぐんじ力りょくが必要ひつようとなる。政治せいじ的てき・行政ぎょうせい的てき支配しはいの伴ともなう公式こうしき帝国ていこくに比較ひかくし、非公式ひこうしき帝国ていこくは直接的ちょくせつてきな支配しはいを必要ひつようとしない分ぶん、官僚かんりょうや軍隊ぐんたいの維持いじに必要ひつようなコストを低ひくく抑おさえる事ことができるとされる。

非公式ひこうしき帝国ていこくという概念がいねんは政治せいじ支配しはいと経済けいざい単位たんいの一致いっちするホブソン、レーニン的てきな古典こてん的てき帝国ていこく観かんを覆くつがえし、ウォーラステインと彼かれの世界せかいシステム論ろんに大おおきな影響えいきょうを与あたえた。非公式ひこうしき帝国ていこくという視座しざは現在げんざいもイギリス帝国ていこく研究けんきゅうに受うけ継つがれ、ホブソンの「帝国ていこく主義しゅぎの非ひ経済けいざい的てき側面そくめん」とともに、現在げんざいのイギリス帝国ていこく研究けんきゅうの中心ちゅうしん的てきな枠組わくぐみとなっているジェントルマン資本しほん主義しゅぎ論ろんに大おおきな影響えいきょうを与あたえている。

資料しりょう

• John Gallagher and Ronald Robinson, (1953) "The Imperialism of Free Trade", The Economic History Review, Second series, Vol. VI, no. 1. An online version of this seminal article is available at: http://www.mtholyoke.edu/acad/intrel/ipe/gallagher.htm
• A.. H. Imlah,(1952) 'British Balance of Payments and Exports of Capital, 1816-1913', Econ. Hist. Rev. 2nd ser. V, pp. 237, 239; Hancock, op. cit. p. 27.
• Barton, G.A. and B.M. Bennett, (2010) Forestry as Foreign Policy: Anglo-Siamese Relations and the Origins of Britain's Informal Empire in the Teak Forests of Northern Siam, 1883–1925 34 (1): 65-86

関連かんれん項目こうもく

• イギリス帝国ていこく
• ジョン・アトキンソン・ホブソン
• ウラジーミル・レーニン
• イマニュエル・ウォーラーステイン
• 世界せかいシステム論ろん
• 帝国ていこく主義しゅぎ
• 自由じゆう貿易ぼうえき