(Translated by https://www.hiragana.jp/)
面積分 - Wikipedia コンテンツにスキップ

面積めんせきぶん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ベクトル解析かいせきにおける面積めんせきぶん(めんせきぶん、surface integral)は、曲面きょくめんうえでとったてい積分せきぶんであり、じゅう積分せきぶんとしてとらえることもできる。せん積分せきぶんいち次元じげん類似るいじぶつにあたる。曲面きょくめんあたえられたとき、そのうえスカラーじょうベクトルじょう積分せきぶんすることができる。

面積めんせきぶん物理ぶつりがくとく電磁気でんじきがく古典こてんろん応用おうようがある。

面積めんせきぶん定義ていぎは、曲面きょくめんちいさなめんもと分解ぶんかいすることによってされる。

めんもと

[編集へんしゅう]

なめらかな曲面きょくめん S うえてん座標ざひょう x = (x, y, z) が独立どくりつ変数へんすう u, v関数かんすうとして x = S(u, v) := (x(u, v), y(u, v), z(u, v)) によってあらわされるとき、

曲面きょくめん S = S(u, v) の u, vかんする面積めんせき要素ようそあるいはめんもとぶ。

ここで、

は、Sせんもと ds2 = Edu2 + 2Fdudv + Gdv2 からさだまるだいいち基本きほんりょう

によって記述きじゅつできて、めんもと dσしぐま はパラメータ u, vかたらない。

ひとつのめんもとしきめんもとかぎりなくちいさく、極限きょくげんをとって、それで曲面きょくめん近似きんじする。

スカラーじょう面積めんせきぶん

[編集へんしゅう]

曲面きょくめん S とそのうえ定義ていぎされたスカラーじょう fかんがえる。Sなんらかの物質ぶっしつでできていて、Sかくてん x において物質ぶっしつ密度みつどf(x) であるものとかんがえるならば、S うえf面積めんせきぶんS単位たんいあつさあたりの質量しつりょうあたえる(もちろんこれは、曲面きょくめん無限むげんうす立体りったい看做みなした場合ばあいにのみただしい)。つまり、面積めんせきぶん計算けいさんするひとつの方法ほうほうろんは、曲面きょくめん非常ひじょうちいさい無数むすう小片しょうへん分割ぶんかつし、そのかく小片しょうへん密度みつど近似きんじてき定数ていすうであると仮定かていして、かく小片しょうへんについてその面積めんせき密度みつどとをけて単位たんいあつさあたりの質量しつりょうもとめ、それらをすべてげてられるかずとして S単位たんいあつさあたりのそう質量しつりょうもとめればよいということになる。

面積めんせきぶん明示めいじしきるには、(球面きゅうめんうえ経線けいせん緯線いせんのように)Sうえ曲線きょくせん座標ざひょうけいるための媒介ばいかい変数へんすう必要ひつようである。そのような媒介ばいかい変数へんすう表示ひょうじx(s, t) といて (s, t) が座標ざひょう平面へいめん適当てきとう領域りょういき Tうごくものとすると、面積めんせきぶん

定義ていぎされる。ただし、右辺うへんたてぼうはさまれたしきx(s, t) の種類しゅるいへん微分びぶん同士どうし交叉こうさせきノルムおおきさ英語えいごばん)である。

たとえば、一般いっぱん函数かんすう z = f(x, y) であたえられる曲面きょくめん表面積ひょうめんせきもとめるなら、r = (x, y, z) として

計算けいさんすることになる。このとき、

であるから、代入だいにゅうして整理せいりすれば

る。これが一般いっぱん函数かんすうあたえられた曲面きょくめんきょく面積めんせきたいするよくられた公式こうしきである。しきちゅうへん微分びぶんのクロスせきとしてられるベクトル

は、この曲面きょくめん法線ほうせんベクトルとして理解りかいすることができる。

上記じょうき公式こうしきにはクロスせきあらわれているから、この公式こうしき曲線きょくせんさん次元じげん空間くうかんまれているときのみ有効ゆうこうであることに注意ちゅうい

ベクトルじょう面積めんせきぶん

[編集へんしゅう]
曲面きょくめんじょうのベクトルじょう

S うえのベクトルじょう vかんがえる。つまり、Sかくてん xたいして v(x) がベクトルであるものとする。

ベクトルじょう面積めんせきぶんは、成分せいぶんごとのスカラーじょう面積めんせきぶんとして定義ていぎすることができる(結果けっかはベクトルになる)。これはたとえば、電荷でんかびた曲面きょくめんから発生はっせいする電場でんじょうのある固定こていされたてんにおけるしきや、物質ぶっしつめんから発生はっせいする重力じゅうりょくのある固定こていされたてんにおけるあらわすのに利用りようされる。

あるいは、ベクトルじょうほう成分せいぶん積分せきぶんすることもできる(結果けっかはスカラーになる)。S通過つうかしてながれる流体りゅうたいかんがえ、てん x における流体りゅうたい速度そくどv(x) であたえられるものとすると、単位たんい時間じかんたりに S通過つうかする流体りゅうたいりょうとしてながれたばさだまる。このようにかんがえると、ベクトルじょうかくてんSせっするならば(流体りゅうたいS平行へいこうSはいりももしないから)りゅうたばは 0 であることがわかる。またそのことから、vS沿ってながれるだけでなく、せっ成分せいぶんほう成分せいぶんつものならば、ながれたば寄与きよするのはほう成分せいぶんのみであることもわかる。このような理由りゆうもとづけば、ながれたばもとめるのに、かくてんでベクトルじょう v曲面きょくめん Sほうベクトルとのてんじょうせき必要ひつようがあって、それはスカラーじょうあたえるから、そのスカラーじょう面積めんせきぶんすでべた仕方しかた計算けいさんできる。

しきでまとめれば、

ける。右辺うへんのクロスせき媒介ばいかい変数へんすうあらわされた Sほうベクトルじょうである。このしき左辺さへんは、右辺うへんしきで「定義ていぎ」されるもの(ドットがあるのとめんもとがベクトル記法きほうになっていることに注意ちゅうい)である。

2-形式けいしき面積めんせきぶん

[編集へんしゅう]

曲面きょくめん S うえ微分びぶん 2-形式けいしき

あたえられ、(s, t) が領域りょういき Dうごくとき

Sきをたも媒介ばいかい表示ひょうじとすると、fS うえ面積めんせきぶん

あたえられる。ここで、

S直交ちょっこうするめんである。

この 2-形式けいしき面積めんせきぶんは、成分せいぶんが (fx, fy, fz) であるようなベクトルじょう面積めんせきぶんおなじものであることに注意ちゅうい

面積めんせきぶんかんする定理ていり

[編集へんしゅう]

発散はっさん定理ていりやその一般いっぱんであるストークスの定理ていりのような、面積めんせきぶんたいする有用ゆうよう結果けっか微分びぶん幾何きかがくベクトル解析かいせきもちいて、様々さまざまられる。

すすんだ注意ちゅういてん

[編集へんしゅう]

面積めんせきぶんが、曲面きょくめん S媒介ばいかい変数へんすう表示ひょうじもちいて定義ていぎされることに留意りゅういすべきである。あたえられた曲面きょくめんたいして、その媒介ばいかい変数へんすう表示ひょうじはいくつもかんがえうる。たとえば、球面きゅうめんじょう北極ほっきょく南極なんきょく位置いちうごかせば、球面きゅうめんじょうかくてん経度けいど緯度いどもそれにともなってわる。ゆえに、面積めんせきぶん定義ていぎ媒介ばいかい変数へんすう表示ひょうじかた依存いぞんするかどうかとかんがえるのは自然しぜん疑問ぎもんである。スカラーじょう積分せきぶんかんしてはこたえは単純たんじゅんで、どのような媒介ばいかい変数へんすう表示ひょうじっても面積めんせきぶん同一どういつである。

ベクトルじょう面積めんせきぶんたいしては、ほうベクトルがから所為せい事態じたいすこ複雑ふくざつになるが、おな曲面きょくめんふたつの媒介ばいかい変数へんすう表示ひょうじ曲面きょくめんかくてんおなきのほうベクトルをつならば、いずれの媒介ばいかい変数へんすう表示ひょうじかんする面積めんせきぶんおなつことが証明しょうめいできる。ところが、それらのほうベクトルがたがいにぎゃくきをつならば、一方いっぽう媒介ばいかい変数へんすう表示ひょうじかんしてられる面積めんせきぶん他方たほうかんするもののはんかずになる。このことから、曲面きょくめんあたえられたときにはその一意的いちいてき媒介ばいかい変数へんすう表示ひょうじはどれも区別くべつする必要ひつようはないが、ベクトルじょう積分せきぶんするときにはよりすすんで、かくてん法線ほうせん方向ほうこうめ、媒介ばいかい変数へんすう表示ひょうじ一貫いっかんした法線ほうせん方向ほうこうつものをえらばなければならないことがわかる。

もうひとつの問題もんだいは、曲面きょくめん全体ぜんたいおおうことのできる媒介ばいかい変数へんすう表示ひょうじたない曲面きょくめん存在そんざいすることである。そのようなれいとして、(たかさが有限ゆうげんな)円柱えんちゅう表面ひょうめん側面そくめん上面うわつら底面ていめん)としてあたえられる曲面きょくめんげることができる。この問題もんだいは、曲面きょくめんをいくつかの小片しょうへん分割ぶんかつして、それぞれの小片しょうへん面積めんせきぶん計算けいさんし、それらをすべてげることで、すぐに解決かいけつできる。これで実際じっさいにうまくいくのだが、ベクトルじょう積分せきぶんについてはやはり、分割ぶんかつかく小片しょうへんでのほうベクトルを、ふたたびもとのひとつの曲面きょくめんもどしたときに方向ほうこう一貫いっかんせいつように、をつけてえら必要ひつようがある。円柱えんちゅうれいえば、側面そくめんでのほう方向ほうこう立体りったいそときにったならば、上面うわつら底面ていめんでもおなじく立体りったいからそときにほう方向ほうこうらねばならないということである。

そうするとつぎ問題もんだいは、かくてんほう方向ほうこう曲面きょくめん全体ぜんたい一貫いっかんしてれることができない曲面きょくめん存在そんざいである(たとえば、メビウスのおび)。そのような曲面きょくめん小片しょうへん分割ぶんかつしてかく小片しょうへんじょう媒介ばいかい変数へんすうをとり、再度さいどもとのようにわせると、別々べつべつ小片しょうへん由来ゆらいするほうベクトルのあいだ辻褄つじつまわせることができない。つまり、あるふたつの小片しょうへんあいだつなほうベクトルの方向ほうこう反対はんたいになるのである。このような曲面きょくめん不能ふのうであるとう。不能ふのう曲面きょくめんうえでベクトルじょう積分せきぶんについて記述きじゅつすることはできない。

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]
  • Weisstein, Eric W. "Surface Integral". mathworld.wolfram.com (英語えいご).
  • surface integration with respect to area - PlanetMath.英語えいご
  • Surface Integral -- Theory and exercises