ベクトル解析 かいせき における面積 めんせき 分 ぶん (めんせきぶん、surface integral )は、曲面 きょくめん 上 うえ でとった定 てい 積分 せきぶん であり、二 に 重 じゅう 積分 せきぶん として捉 とら えることもできる。線 せん 積分 せきぶん は一 いち 次元 じげん の類似 るいじ 物 ぶつ にあたる。曲面 きょくめん が与 あた えられたとき、その上 うえ のスカラー場 じょう やベクトル場 じょう を積分 せきぶん することができる。
面積 めんせき 分 ぶん は物理 ぶつり 学 がく 、特 とく に電磁気 でんじき 学 がく の古典 こてん 論 ろん に応用 おうよう がある。
面積 めんせき 分 ぶん の定義 ていぎ は、曲面 きょくめん を小 ちい さな面 めん 素 もと へ分解 ぶんかい することによって成 な される。
滑 なめ らかな曲面 きょくめん S 上 うえ の点 てん 座標 ざひょう x = (x , y , z ) が独立 どくりつ な変数 へんすう u , v の関数 かんすう として x = S (u , v ) := (x (u , v ), y (u , v ), z (u , v )) によって表 あらわ されるとき、
d
σ しぐま
=
|
d
x
|
=
|
d
S
|
:=
|
∂
S
∂
u
×
∂
S
∂
v
|
d
u
d
v
{\displaystyle d\sigma =|d\mathbf {x} |=|dS|:=\left\vert {\dfrac {\partial S}{\partial u}}\times {\dfrac {\partial S}{\partial v}}\right\vert \,du\,dv}
を曲面 きょくめん S = S (u , v ) の u , v に関 かん する面積 めんせき 要素 ようそ あるいは面 めん 素 もと と呼 よ ぶ。
ここで、
|
∂
S
∂
u
×
∂
S
∂
v
|
2
=
|
∂
y
∂
u
∂
y
∂
v
∂
z
∂
u
∂
z
∂
v
|
2
+
|
∂
z
∂
u
∂
z
∂
v
∂
x
∂
u
∂
x
∂
v
|
2
+
|
∂
x
∂
u
∂
x
∂
v
∂
y
∂
u
∂
y
∂
v
|
2
=
E
G
−
F
2
{\displaystyle \left\vert {\dfrac {\partial S}{\partial u}}\times {\dfrac {\partial S}{\partial v}}\right\vert ^{2}={\begin{vmatrix}{\dfrac {\partial y}{\partial u}}&{\dfrac {\partial y}{\partial v}}\\[14pt]{\dfrac {\partial z}{\partial u}}&{\dfrac {\partial z}{\partial v}}\end{vmatrix}}^{2}+{\begin{vmatrix}{\dfrac {\partial z}{\partial u}}&{\dfrac {\partial z}{\partial v}}\\[14pt]{\dfrac {\partial x}{\partial u}}&{\dfrac {\partial x}{\partial v}}\end{vmatrix}}^{2}+{\begin{vmatrix}{\dfrac {\partial x}{\partial u}}&{\dfrac {\partial x}{\partial v}}\\[14pt]{\dfrac {\partial y}{\partial u}}&{\dfrac {\partial y}{\partial v}}\end{vmatrix}}^{2}=EG-F^{2}}
は、S の線 せん 素 もと ds 2 = Edu 2 + 2Fdudv + Gdv 2 から定 さだ まる第 だい 一 いち 基本 きほん 量 りょう
{
E
:=
(
∂
x
∂
u
)
2
+
(
∂
y
∂
u
)
2
+
(
∂
z
∂
u
)
2
F
:=
∂
x
∂
u
∂
x
∂
v
+
∂
y
∂
u
∂
y
∂
v
+
∂
z
∂
u
∂
z
∂
v
G
:=
(
∂
x
∂
v
)
2
+
(
∂
y
∂
v
)
2
+
(
∂
z
∂
v
)
2
{\displaystyle {\begin{cases}E:=\left({\dfrac {\partial x}{\partial u}}\right)^{2}+\left({\dfrac {\partial y}{\partial u}}\right)^{2}+\left({\dfrac {\partial z}{\partial u}}\right)^{2}\\[14pt]F:={\dfrac {\partial x}{\partial u}}{\dfrac {\partial x}{\partial v}}+{\dfrac {\partial y}{\partial u}}{\dfrac {\partial y}{\partial v}}+{\dfrac {\partial z}{\partial u}}{\dfrac {\partial z}{\partial v}}\\[14pt]G:=\left({\dfrac {\partial x}{\partial v}}\right)^{2}+\left({\dfrac {\partial y}{\partial v}}\right)^{2}+\left({\dfrac {\partial z}{\partial v}}\right)^{2}\end{cases}}}
によって記述 きじゅつ できて、面 めん 素 もと d σ しぐま はパラメータ u , v の取 と り方 かた に依 よ らない。
一 ひと つの面 めん 素 もと の模 も 式 しき 図 ず 。面 めん 素 もと は限 かぎ りなく小 ちい さく、極限 きょくげん をとって、それで曲面 きょくめん を近似 きんじ する。
曲面 きょくめん S とその上 うえ で定義 ていぎ されたスカラー場 じょう f を考 かんが える。S が何 なん らかの物質 ぶっしつ でできていて、S の各 かく 点 てん x において物質 ぶっしつ の密度 みつど が f (x ) であるものと考 かんが えるならば、S 上 うえ の f の面積 めんせき 分 ぶん は S の単位 たんい 厚 あつ さあたりの質量 しつりょう を与 あた える(もちろんこれは、曲面 きょくめん を無限 むげん に薄 うす い立体 りったい と看做 みな した場合 ばあい にのみ正 ただ しい)。つまり、面積 めんせき 分 ぶん を計算 けいさん する一 ひと つの方法 ほうほう 論 ろん は、曲面 きょくめん を非常 ひじょう に小 ちい さい無数 むすう の小片 しょうへん に分割 ぶんかつ し、その各 かく 小片 しょうへん の密度 みつど は近似 きんじ 的 てき に定数 ていすう であると仮定 かてい して、各 かく 小片 しょうへん についてその面積 めんせき と密度 みつど とを掛 か けて単位 たんい 厚 あつ さあたりの質量 しつりょう を求 もと め、それらをすべて足 た し上 あ げて得 え られる数 かず として S の単位 たんい 厚 あつ さあたりの総 そう 質量 しつりょう を求 もと めればよいということになる。
面積 めんせき 分 ぶん の明示 めいじ 式 しき を得 え るには、(球面 きゅうめん 上 うえ の経線 けいせん と緯線 いせん のように)S の上 うえ に曲線 きょくせん 座標 ざひょう 系 けい を取 と るための媒介 ばいかい 変数 へんすう が必要 ひつよう である。そのような媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ を x (s , t ) と書 か いて (s , t ) が座標 ざひょう 平面 へいめん の適当 てきとう な領域 りょういき T を動 うご くものとすると、面積 めんせき 分 ぶん は
∫
S
f
d
S
:=
∬
T
f
(
x
(
s
,
t
)
)
|
∂
x
∂
s
×
∂
x
∂
t
|
d
s
d
t
{\displaystyle \int _{S}f\,dS:=\iint _{T}f(\mathbf {x} (s,t))\left|{\partial \mathbf {x} \over \partial s}\times {\partial \mathbf {x} \over \partial t}\right|ds\,dt}
と定義 ていぎ される。ただし、右辺 うへん の縦 たて 棒 ぼう で挟 はさ まれた式 しき は x (s , t ) の二 に 種類 しゅるい の偏 へん 微分 びぶん 同士 どうし の交叉 こうさ 積 せき のノルム (大 おお きさ(英語 えいご 版 ばん ) )である。
例 たと えば、一般 いっぱん の函数 かんすう z = f (x , y ) で与 あた えられる曲面 きょくめん の表面積 ひょうめんせき を求 もと めるなら、r = (x , y , z ) として
A
:=
∫
S
d
S
=
∬
T
|
∂
r
∂
x
×
∂
r
∂
y
|
d
x
d
y
{\displaystyle A:=\int _{S}\,dS=\iint _{T}\left|{\partial \mathbf {r} \over \partial x}\times {\partial \mathbf {r} \over \partial y}\right|dx\,dy}
を計算 けいさん することになる。このとき、
∂
r
∂
x
=
(
1
,
0
,
f
x
(
x
,
y
)
)
,
∂
r
∂
y
=
(
0
,
1
,
f
y
(
x
,
y
)
)
{\displaystyle {\partial \mathbf {r} \over \partial x}=(1,0,f_{x}(x,y)),\quad {\partial \mathbf {r} \over \partial y}=(0,1,f_{y}(x,y))}
であるから、代入 だいにゅう して整理 せいり すれば
A
=
∬
T
(
∂
f
∂
x
)
2
+
(
∂
f
∂
y
)
2
+
1
d
x
d
y
{\displaystyle A=\iint _{T}{\sqrt {\left({\partial f \over \partial x}\right)^{\!\!2}+\left({\partial f \over \partial y}\right)^{\!\!2}+1}}\ dx\,dy}
を得 え る。これが一般 いっぱん の函数 かんすう で与 あた えられた曲面 きょくめん の曲 きょく 面積 めんせき に対 たい するよく知 し られた公式 こうしき である。式 しき 中 ちゅう で偏 へん 微分 びぶん のクロス積 せき として得 え られるベクトル
(
−
∂
f
∂
x
,
−
∂
f
∂
y
,
1
)
{\displaystyle \left(-{\frac {\partial f}{\partial x}},-{\frac {\partial f}{\partial y}},1\right)}
は、この曲面 きょくめん の法線 ほうせん ベクトル として理解 りかい することができる。
上記 じょうき の公式 こうしき にはクロス積 せき が現 あらわ れているから、この公式 こうしき は曲線 きょくせん が三 さん 次元 じげん 空間 くうかん に埋 う め込 こ まれているときのみ有効 ゆうこう であることに注意 ちゅうい 。
曲面 きょくめん 上 じょう のベクトル場 じょう
S 上 うえ のベクトル場 じょう v を考 かんが える。つまり、S の各 かく 点 てん x に対 たい して v (x ) がベクトルであるものとする。
ベクトル場 じょう の面積 めんせき 分 ぶん は、成分 せいぶん ごとのスカラー場 じょう の面積 めんせき 分 ぶん として定義 ていぎ することができる(結果 けっか はベクトルになる)。これは例 たと えば、電荷 でんか を帯 お びた曲面 きょくめん から発生 はっせい する電場 でんじょう のある固定 こてい された点 てん における式 しき や、物質 ぶっしつ 面 めん から発生 はっせい する重力 じゅうりょく のある固定 こてい された点 てん における値 ね を表 あらわ すのに利用 りよう される。
あるいは、ベクトル場 じょう の法 ほう 成分 せいぶん を積分 せきぶん することもできる(結果 けっか はスカラーになる)。S を通過 つうか して流 なが れる流体 りゅうたい を考 かんが え、点 てん x における流体 りゅうたい の速度 そくど が v (x ) で与 あた えられるものとすると、単位 たんい 時間 じかん 当 あ たりに S を通過 つうか する流体 りゅうたい の量 りょう として流 ながれ 束 たば が定 さだ まる。このように考 かんが えると、ベクトル場 じょう が各 かく 点 てん で S に接 せっ する ならば(流体 りゅうたい は S に平行 へいこう で S に入 はい りも出 で もしないから)流 りゅう 束 たば は 0 であることがわかる。またそのことから、v が S に沿 そ って流 なが れるだけでなく、接 せっ 成分 せいぶん も法 ほう 成分 せいぶん も持 も つものならば、流 ながれ 束 たば に寄与 きよ するのは法 ほう 成分 せいぶん のみであることもわかる。このような理由 りゆう に基 もと づけば、流 ながれ 束 たば を求 もと めるのに、各 かく 点 てん でベクトル場 じょう v と曲面 きょくめん S の法 ほう ベクトルとの点 てん 乗 じょう 積 せき を取 と る必要 ひつよう があって、それはスカラー場 じょう を与 あた えるから、そのスカラー場 じょう の面積 めんせき 分 ぶん が既 すで に述 の べた仕方 しかた で計算 けいさん できる。
式 しき でまとめれば、
∫
S
v
⋅
d
S
:=
∫
S
(
v
⋅
n
)
d
S
=
∬
T
v
(
x
(
s
,
t
)
)
⋅
(
∂
x
∂
s
×
∂
x
∂
t
)
d
s
d
t
{\displaystyle \int _{S}{\mathbf {v} }\cdot d{\mathbf {S} }:=\int _{S}({\mathbf {v} }\cdot {\mathbf {n} })dS=\iint _{T}{\mathbf {v} }(\mathbf {x} (s,t))\cdot \left({\partial \mathbf {x} \over \partial s}\times {\partial \mathbf {x} \over \partial t}\right)ds\,dt}
と書 か ける。右辺 うへん のクロス積 せき は媒介 ばいかい 変数 へんすう で表 あらわ された S の法 ほう ベクトル場 じょう である。この式 しき の左辺 さへん は、右辺 うへん の式 しき で「定義 ていぎ 」されるもの(ドットがあるのと面 めん 素 もと がベクトル記法 きほう になっていることに注意 ちゅうい )である。
曲面 きょくめん S 上 うえ の微分 びぶん 2-形式 けいしき
f
=
f
z
d
x
∧
d
y
+
f
x
d
y
∧
d
z
+
f
y
d
z
∧
d
x
{\displaystyle f=f_{z}\,dx\wedge dy+f_{x}\,dy\wedge dz+f_{y}\,dz\wedge dx}
が与 あた えられ、(s , t ) が領域 りょういき D を動 うご くとき
x
(
s
,
t
)
=
(
x
(
s
,
t
)
,
y
(
s
,
t
)
,
z
(
s
,
t
)
)
{\displaystyle \mathbf {x} (s,t)=(x(s,t),y(s,t),z(s,t))\!}
が S の向 む きを保 たも つ媒介 ばいかい 表示 ひょうじ とすると、f の S 上 うえ の面積 めんせき 分 ぶん は
∬
D
[
f
z
(
x
(
s
,
t
)
)
∂
(
x
,
y
)
∂
(
s
,
t
)
+
f
x
(
x
(
s
,
t
)
)
∂
(
y
,
z
)
∂
(
s
,
t
)
+
f
y
(
x
(
s
,
t
)
)
∂
(
z
,
x
)
∂
(
s
,
t
)
]
d
s
d
t
{\displaystyle \iint _{D}\left[f_{z}(\mathbf {x} (s,t)){\frac {\partial (x,y)}{\partial (s,t)}}+f_{x}(\mathbf {x} (s,t)){\frac {\partial (y,z)}{\partial (s,t)}}+f_{y}(\mathbf {x} (s,t)){\frac {\partial (z,x)}{\partial (s,t)}}\right]ds\,dt}
で与 あた えられる。ここで、
∂
x
∂
s
×
∂
x
∂
t
=
(
∂
(
y
,
z
)
∂
(
s
,
t
)
,
∂
(
z
,
x
)
∂
(
s
,
t
)
,
∂
(
x
,
y
)
∂
(
s
,
t
)
)
{\displaystyle {\partial \mathbf {x} \over \partial s}\times {\partial \mathbf {x} \over \partial t}=\left({\frac {\partial (y,z)}{\partial (s,t)}},{\frac {\partial (z,x)}{\partial (s,t)}},{\frac {\partial (x,y)}{\partial (s,t)}}\right)}
は S に直交 ちょっこう する面 めん 素 そ である。
この 2-形式 けいしき の面積 めんせき 分 ぶん は、成分 せいぶん が (f x , f y , f z ) であるようなベクトル場 じょう の面積 めんせき 分 ぶん と同 おな じものであることに注意 ちゅうい 。
発散 はっさん 定理 ていり やその一般 いっぱん 化 か であるストークスの定理 ていり のような、面積 めんせき 分 ぶん に対 たい する有用 ゆうよう な結果 けっか が微分 びぶん 幾何 きか 学 がく やベクトル解析 かいせき を用 もち いて、様々 さまざま に得 え られる。
面積 めんせき 分 ぶん が、曲面 きょくめん S の媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ を用 もち いて定義 ていぎ されることに留意 りゅうい すべきである。与 あた えられた曲面 きょくめん に対 たい して、その媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ はいくつも考 かんが えうる。たとえば、球面 きゅうめん 上 じょう で北極 ほっきょく と南極 なんきょく の位置 いち を動 うご かせば、球面 きゅうめん 上 じょう の各 かく 点 てん の経度 けいど や緯度 いど もそれに伴 ともな って変 か わる。故 ゆえ に、面積 めんせき 分 ぶん の定義 ていぎ が媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ の取 と り方 かた に依存 いぞん するかどうかと考 かんが えるのは自然 しぜん な疑問 ぎもん である。スカラー場 じょう の積分 せきぶん に関 かん しては答 こた えは単純 たんじゅん で、どのような媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ を取 と っても面積 めんせき 分 ぶん の値 ね は同一 どういつ である。
ベクトル場 じょう の面積 めんせき 分 ぶん に対 たい しては、法 ほう ベクトルが絡 から む所為 せい で事態 じたい は少 すこ し複雑 ふくざつ になるが、同 おな じ曲面 きょくめん の二 ふた つの媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ が曲面 きょくめん の各 かく 点 てん で同 おな じ向 む きの法 ほう ベクトルを持 も つならば、いずれの媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ に関 かん する面積 めんせき 分 ぶん も同 おな じ値 ち を持 も つことが証明 しょうめい できる。ところが、それらの法 ほう ベクトルが互 たが いに逆 ぎゃく の向 む きを持 も つならば、一方 いっぽう の媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ に関 かん して得 え られる面積 めんせき 分 ぶん の値 ね は他方 たほう に関 かん するものの反 はん 数 かず になる。このことから、曲面 きょくめん が与 あた えられたときにはその一意的 いちいてき な媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ はどれも区別 くべつ する必要 ひつよう はないが、ベクトル場 じょう を積分 せきぶん するときにはより進 すす んで、各 かく 点 てん の法線 ほうせん 方向 ほうこう を決 き め、媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ は一貫 いっかん した法線 ほうせん 方向 ほうこう を持 も つものを選 えら ばなければならないことがわかる。
もう一 ひと つの問題 もんだい は、曲面 きょくめん 全体 ぜんたい を覆 おお うことのできる媒介 ばいかい 変数 へんすう 表示 ひょうじ を持 も たない曲面 きょくめん が存在 そんざい することである。そのような例 れい として、(高 たか さが有限 ゆうげん な)円柱 えんちゅう の表面 ひょうめん (側面 そくめん と上面 うわつら と底面 ていめん )として与 あた えられる曲面 きょくめん を挙 あ げることができる。この問題 もんだい は、曲面 きょくめん をいくつかの小片 しょうへん に分割 ぶんかつ して、それぞれの小片 しょうへん で面積 めんせき 分 ぶん を計算 けいさん し、それらをすべて足 た し上 あ げることで、すぐに解決 かいけつ できる。これで実際 じっさい にうまくいくのだが、ベクトル場 じょう の積分 せきぶん についてはやはり、分割 ぶんかつ の各 かく 小片 しょうへん での法 ほう ベクトルを、再 ふたた びもとの一 ひと つの曲面 きょくめん に戻 もど したときに方向 ほうこう が一貫 いっかん 性 せい を持 も つように、気 き をつけて選 えら ぶ必要 ひつよう がある。円柱 えんちゅう の例 れい で言 い えば、側面 そくめん での法 ほう 方向 ほうこう を立体 りったい の外 そと 向 む きに取 と ったならば、上面 うわつら や底面 ていめん でも同 おな じく立体 りったい から外 そと 向 む きに法 ほう 方向 ほうこう を取 と らねばならないということである。
そうすると次 つぎ の問題 もんだい は、各 かく 点 てん の法 ほう 方向 ほうこう を曲面 きょくめん 全体 ぜんたい で一貫 いっかん して入 い れることができない曲面 きょくめん の存在 そんざい である(例 たと えば、メビウスの帯 おび )。そのような曲面 きょくめん を小片 しょうへん に分割 ぶんかつ して各 かく 小片 しょうへん 上 じょう に媒介 ばいかい 変数 へんすう をとり、再度 さいど もとのように貼 は 合 あ わせると、別々 べつべつ の小片 しょうへん に由来 ゆらい する法 ほう ベクトルの間 あいだ で辻褄 つじつま を合 あ わせることができない。つまり、ある二 ふた つの小片 しょうへん の間 あいだ の繋 つな ぎ目 め で法 ほう ベクトルの方向 ほうこう が反対 はんたい になるのである。このような曲面 きょくめん は向 む き付 づ け不能 ふのう であると言 い う。向 む き付 づ け不能 ふのう な曲面 きょくめん の上 うえ でベクトル場 じょう の積分 せきぶん について記述 きじゅつ することはできない。