BREW

BREW（ブリューまたはブリュウ、ブルー、Binary Runtime Environment for Wireless）はQualcomm REX OS上うえで動うごくCDMA 携帯けいたい電話でんわ向むけアプリケーションのプラットフォームである。cdmaOne、CDMA2000の開発元かいはつもとであるクアルコムが開発かいはつしたもので、同社どうしゃの登録とうろく商標しょうひょうとなっている。ネーミングに関かんしてはJavaの「コーヒー」に対たいして「ビール」の意味いみも込こめられている。

BREWの特徴とくちょう

BREWとはクアルコムが製造せいぞう販売はんばいしている携帯けいたい電話でんわ用ようプラットフォームMSMチップセット用ように構築こうちく・拡張かくちょうされたアプリケーション実行じっこう環境かんきょうである。コンパイルはクアルコム提供ていきょうのSDK、Microsoft Visual C++にアドインしたRVCT（ARMコンパイラ）、もしくはgccによって行おこなえる。なお、gcc は公式こうしきにはサポート外がいである。

日本にっぽんでは、2016年ねん 8月がつ現在げんざい、KDDIおよび沖縄おきなわセルラー電話でんわのスマートフォンとシャープ製せいのAQUOS Kシリーズ（SHF31、SHF32等ひとし）、京きょうセラ製せいのGRATINA 4Gシリーズ（KYF31等ひとし）、同おなじく京きょうセラ製せいのかんたんケータイシリーズ（KYF32等ひとし。旧称きゅうしょう・簡単かんたんケータイシリーズ）を含ふくむ一部いちぶのフィーチャーフォンを除のぞく各かくau携帯けいたい電話でんわのほとんどの機種きしゅがEZアプリ（BREW）を使用しようしている。2016年ねん9月がつ現在げんざい、スマートフォン、およびAQUOS Kシリーズ、GRATINA 4Gシリーズ、かんたんケータイシリーズ、mamorino Watch（ZTF31）以外いがいで使用しようできない機種きしゅには、W11H、W11K、W21H、A101K（簡単かんたんケータイS）、A1405PT、A1406PT、A1407PT、mamorinoシリーズ（KYY01、KYY02、KYY05）全ぜん機種きしゅ、PT001（簡単かんたんケータイS）、Mi-Look（KYY03）等とうがある。

以下いかの特徴とくちょうを持もつ。

C/C++でコンパイルされたバイナリ（アプリケーション）を実行じっこうする。
アプリケーションをダウンロードし、実行じっこうできる。
APIの実装じっそう形式けいしきにCOMを利用りようしており、拡張かくちょうが容易よういである。
Extensionという機構きこうを利用りようし、外部がいぶライブラリを利用りようできる。
メモリ保護ほご機能きのうが無ない。

携帯けいたい電話でんわによる実機じっきでの動作どうさテストはBREW ApploaderとよばれるツールでBREWアプリと認証にんしょう（sigファイル）を転送てんそうケーブルにより携帯けいたい電話でんわに転送てんそうする。また転送てんそう先さきの携帯けいたい電話でんわを転送てんそうモードに設定せっていする必要ひつようがある。クアルコムにデベロッパー登録とうろくを行おこなう事ことによってこれらのツールを入手にゅうしゅ出来できる。

BREWのExtensionとはダウンローダブルなライブラリのことである。実態じったいとしてBREWでは全すべてのAPIがExtension形式けいしきで実装じっそうされている。Extensionの実装じっそう者しゃはその利用りようを可能かのうとするため、「特権とっけん」を要求ようきゅうする事ことが出来できる。たとえばINetMgrというAPIを利用りようする為ためには、利用りようする側がわのアプリケーションが「PL_NETWORK」という特権とっけんを保持ほじしている必要ひつようがある。この仕組しくみによってBREWのアプリケーションは利用りよう可能かのうなExtension（=API）を外部がいぶへ示しめす必要ひつようがあるため、アプリケーションのサーバへの登録とうろくに対たいして審査しんさを行おこなう事ことが可能かのうとなっている。

KDDI（EZアプリ）での運用うんよう

BREWは携帯けいたい電話でんわ会社かいしゃや携帯けいたい電話でんわ製造せいぞう会社かいしゃにて様々さまざまなカスタマイズを施ほどこされ運用うんようがなされている。KDDIでもカスタマイズされており、運用うんよう上じょうの特徴とくちょうは以下いかの通とおりである。

BREW Apploaderの利用りよう、sigファイルの生成せいせい、転送てんそうモード設定せっていは現在げんざいKDDI公式こうしきコンテンツプロバイダのみ行おこなうことができる。いわゆる「野良のらアプリ」「勝手かってアプリ」と呼よばれる一般いっぱんユーザーが作つくったアプリの配布はいふおよび実行じっこうは、PC上じょうのエミュレータ上じょうで動うごかせるまでであり、携帯けいたい電話でんわへの配布はいふや実行じっこうはできない。また、公式こうしきコンテンツプロバイダであっても検証けんしょう合格ごうかく前まえのBREWアプリをネットワーク経由けいゆで携帯けいたい端末たんまつにダウンロードすることはできない。そのため、オープンアプリプレイヤーがリリースされるまでは、一般いっぱんユーザーはFlash Liteによるコンテンツ作成さくせいをする必要ひつようがあった。

なお、WIN対応たいおう機き以降いこうは、EZアプリ（BREW・Javaとも）は1アプリケーション当あたりで通信つうしんできるデータ量りょうが1つのアプリにつき3MBまでという自主じしゅ規制きせいが、公式こうしきコンテンツプロバイダに課かされている。また、EZアプリ全体ぜんたいでは、携帯けいたい電話でんわ側がわで1日にち6MBの通信つうしん制限せいげんがある。しかし、初期しょきの頃ころはこれを知しらずに順守じゅんしゅしなかったコンテンツプロバイダが存在そんざいし、定額ていがく制せい課金かきんに加入かにゅうしていないユーザーが知しらぬ間あいだに大量たいりょうのパケットを消費しょうひし、多額たがくのパケット料金りょうきんを請求せいきゅうされるなどの問題もんだいも存在そんざいした。

もともとのBREWの仕様しようとしてはそのような制限せいげんはなく、KDDIの仕様しように基もとづいたEZアプリ（BREW）が通常つうじょう利用りようするネットワーク（BREW.NET）の仕様しよう制限せいげんである。従したがって別べつの通信つうしんを利用りようするBREWアプリケーション、たとえばKCPやKCP+でBREWアプリケーション化かされたEZブラウザやEいーメールソフトウェアはこのような制限せいげんを受うけない。

2010年ねんの一部いちぶ機種きしゅでは通信つうしん制限せいげんを撤廃てっぱいされている機種きしゅもある。

2011年ねん春はるモデルよりEZアプリ（J）の登場とうじょうによりEZアプリ（B）に名称めいしょう変更へんこうとなった。

KDDIは2016年ねん4月がつ28日にち、対応たいおうする3G対応たいおうau携帯けいたい電話でんわの利用りよう者しゃが減少げんしょうしている（2013年ねん比ひで約やく40％減少げんしょう）ことから、EZアプリ（B）を提供ていきょうするために必要ひつようなクアルコムとのライセンス契約けいやくが終了しゅうりょうする2018年ねん3月がつ31日にちを以って、EZアプリ（B）の配信はいしんサービスとKDDIが提供ていきょうする一部いちぶアプリのサービスを終了しゅうりょうすることを発表はっぴょうした^[1]^[2]。配信はいしんサービス終了しゅうりょう後ごも、端末たんまつ上じょうにあるアプリ（プリインストールならびにダウンロード済ずみ）は引ひき続つづき実行じっこう可能かのうだが、アプリを削除さくじょしたり端末たんまつのリセット（初期しょき化か）を行おこなうとプリインストールアプリ以外いがいのアプリは再さい入手にゅうしゅできなくなる。また配信はいしんサービス終了しゅうりょうによりバージョンアップもできなくなるため、2018年ねん4月がつ以降いこうに仕様しよう変更へんこうなどが発生はっせいした場合ばあい、そのアプリは（プリインストールアプリも含ふくめ）事実じじつ上じょう使用しようできなくなる。

KDDI以外いがいの日本にっぽんの携帯けいたい電話でんわ会社かいしゃでの利用りよう

NTTドコモも2005年ねん8月がつ5日にち発売はつばいのSA700iSで導入どうにゅうされた。ただしこれは、ユーザがBREWアプリをダウンロードできるものでも、ドコモとしてBREWを導入どうにゅうするものでもなく、ブラウザやJava VM（iアプリ）、GPSナビゲーションアプリを動作どうささせる基本きほんプラットフォーム的てきな環境かんきょうとして導入どうにゅうしたものである。au向むけが主体しゅたいだった三洋電機さんようでんき（大阪おおさか、のちの京きょうセラSANYOブランド）がドコモに参入さんにゅうするにあたって、au端末たんまつ向むけの開発かいはつノウハウを流用りゅうようする目的もくてきもあったと推測すいそくされる。

バージョンについて

下記かきの機能きのうは、一般いっぱん的てきなBREWの仕様しように関かんする記述きじゅつであり、必かならずしも各かくキャリアやメーカが全すべての機能きのうを実装じっそうしている訳わけではない。

BREW 1.0: KDDIおよび沖縄おきなわセルラー電話でんわのau携帯けいたい電話でんわに採用さいよう。初はつ採用さいようされた機種きしゅはパナソニックモバイルコミュニケーションズ製せいの端末たんまつC3003P。ただしダウンロードして実行じっこうする機能きのうは搭載とうさいされておらず、純粋じゅんすいに携帯けいたい電話でんわ内部ないぶ用ようのアプリケーション作成さくせいに利用りようされた。
BREW 2.0/2.1: BREW Extensionのダウンロードという機能きのうが追加ついかされた。ネットワークを通とおして必要ひつようなプログラムが自動的じどうてきにダウンロードされる機能きのうである。マスコットカプセルエンジン等ひとしが該当がいとうする。このExtensionにより3D描画びょうがが可能かのうとなる。; その他た主おもにマルチメディア系けいAPIの充実じゅうじつが図はかられた。
BREW 3.0: 外部がいぶメモリからサウンドや写真しゃしんなどのファイルにアクセス可能かのうになり、シリアルポートまたはUSBを使つかってパソコンにアクセスする機能きのうが付加ふかされた。BREW3.0は世界中せかいじゅうで利用りようされず、Qualcommのヒストリからは削除さくじょされた。現在げんざいはSDKのダウンロードも出来できなくなった。
BREW 3.1: BREW 3.0を基本きほんにマルチメディアコンテンツのアクセス機能きのうやバリュー課金かきんと呼よばれるコンテンツ購入こうにゅう機能きのうなどが追加ついかされた。IAPPHISTORY、IAPPLETCTL等とうのプラットフォーム向むけのAPIが追加ついかされた。
BREW 4.0: KDDIおよび沖縄おきなわセルラー電話でんわのau携帯けいたい電話でんわに世界せかいで初はじめて採用さいようされた。採用さいよう機種きしゅはau携帯けいたい電話でんわ向むけ最新さいしんプラットフォーム「KCP+」(KCP2.x)対応たいおう端末たんまつ全ぜん機種きしゅ。マルチウィンドウ対応たいおう。au携帯けいたい電話でんわには「マルチプレイウィンドウ」として実装じっそうされ、この機能きのうはのちに「クイックアクセスメニュー」に発展はってんする。
BREW 5.0

KCP3.x、およびその元もととなったBrew MPに採用さいようされている。2016年ねん9月がつ現在げんざい、国内こくない市場いちば向むけ端末たんまつではau携帯けいたい電話でんわのPT003のみに搭載とうさい。

KDDIが提供ていきょうしていたアプリ（EZアプリ）

EZテレビ
GPSMAP
EZ-FM
EZナビウォーク - 「3Dナビ」対応たいおう版ばんを含ふくむ。
EZ助手じょしゅ席せきナビ
安心あんしんナビ
聴きかせて検索けんさく
EZ Game Street! - 2010年ねん現在げんざい提供ていきょう終了しゅうりょう。
Full Game! - 既存きそんのEZアプリ (BREW) の大だい容量ようりょう版ばんにあたるアプリでBREW4.0がベースとなっている。「KCP+」（KCP2.x）以降いこうのプラットフォームに対応たいおうした機種きしゅがこのアプリに対応たいおうする。
live earth
EZ Quick

脚注きゃくちゅう

外部がいぶリンク

[1] “KDDI、「EZアプリ」と3G端末たんまつの国際こくさいローミングを2018年ねん3月がつに終了しゅうりょう”. ITmedia. (2016年ねん4月がつ28日にち)

[2] “3G ケータイ向むけアプリサービス「EZアプリ」の配信はいしん、および一部いちぶサービスの終了しゅうりょうについて”. KDDI. (2016年ねん4月がつ28日にち)

[3] VoLTEに対応たいおうした法人ほうじん向むけの堅牢けんろうスマートフォン「TOUGHPAD FZ-N1」を取扱とりあつかい開始かいし - KDDI 2016年ねん 2月がつ23日にち（2016年ねん2月がつ24日にち閲覧えつらん）。

[4] 法人ほうじん向むけに国内こくない初はつのVoLTEに対応たいおうしたWindows 10 Mobile搭載とうさいのモバイルデバイス「HP Elite x3」を取とり扱あつかい開始かいし - KDDI 2016年ねん2月がつ22日にち（2016年ねん2月がつ22日にち閲覧えつらん）。

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