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CRD2

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

CRD2(シーアールディーツー)は、商業しょうぎょうデブリ除去じょきょ実証じっしょうCommercial Removal of Debris Demonstration)の英語えいご略称りゃくしょうで、宇宙うちゅう航空こうくう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう (JAXA) がスペースデブリ宇宙うちゅうゴミ)の除去じょきょ技術ぎじゅつ開発かいはつ実証じっしょう民間みんかん企業きぎょう連携れんけいしておこなうプログラムである。CRD2はスペースデブリへの近接きんせつランデブーと撮影さつえいおこなうフェーズIとデブリの捕獲ほかく大気圏たいきけんへの突入とつにゅうによる除去じょきょおこなうフェーズIIの段階だんかいかれている。いずれのフェーズも標的ひょうてきとなるスペースデブリはかつてJAXAがいま軌道きどうじょうのこっているロケットを予定よていしている。フェーズIはアストロスケールホールディングス委託いたくされ、同社どうしゃ衛星えいせいADRAS-Jによっておこなわれる[1]。ADRAS-Jのげは2024ねん2がつ18にち予定よていされている。

背景はいけい

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宇宙うちゅう空間くうかんでのランデブーと捕獲ほかく

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宇宙うちゅう空間くうかんにおいて2つの人工じんこう衛星えいせい軌道きどうじょう接近せっきんすることをランデブーという。ランデブーはふたつの人工じんこう衛星えいせい物理ぶつりてき接触せっしょく(あるいは捕獲ほかく)することを目的もくてきとしていることがおおく、そのなかでもふたつの人工じんこう衛星えいせいはなれないよう結合けつごうさせることをドッキングという。無人むじん人工じんこう衛星えいせい同士どうしでランデブー・ドッキングをおこなったのはきゅうソ連それんコスモス186,188ごう世界せかいはじめてである。その日本にっぽんではきく7ごうでチェイサー衛星えいせいひこぼしとターゲット衛星えいせいおりひめでこれらに成功せいこうしている。米国べいこくではNASAの衛星えいせいDARTべつ衛星えいせいMUBLCOM標的ひょうてきにランデブー実験じっけんおこなったが、両機りょうき衝突しょうとつにより失敗しっぱいわった。国防こくぼう高等こうとう研究けんきゅう計画けいかくきょく (DARPA) のOrbital Expressミッションでは衛星えいせいASTROがNEXTSatとのランデブー・ドッキングに成功せいこうしている。2018ねんがったイギリスのRemoveDEBRISから分離ぶんりしたCubeSatのDebrisSat 1をあみ捕獲ほかくする実験じっけん成功せいこうした。2019ねんがったノースロップ・グラマン衛星えいせいMEV-1世界せかいはじめてドッキングを想定そうていしたつくりとなっていない運用うんようちゅう衛星えいせいへのドッキングに成功せいこうした。MEV-1はドッキング相手あいて衛星えいせいインテルサット901のエンジンノズルをつかむことでドッキングを実現じつげんさせている[2]

協力きょうりょく物体ぶったいへのランデブー

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XSS-10によって撮影さつえいされたデルタ IIロケットの上段じょうだん。CRD2フェーズIではこのような画像がぞう取得しゅとく期待きたいされている。

運用うんよう稼働かどうしていない人工じんこう衛星えいせい・ロケットは宇宙うちゅうゴミのなかではサイズがおおきい部類ぶるいとなるが、その状態じょうたい遠方えんぽうから調しらべる手段しゅだんかぎられている。これらの協力きょうりょく物体ぶったいちかくから観測かんそくしたれいとして、アメリカ空軍くうぐん研究所けんきゅうじょが2003ねんげた衛星えいせいXSS-10はロケットから分離ぶんり搭載とうさいされていたロケット上段じょうだん近傍きんぼう姿勢しせい制御せいぎょおこないつつその撮影さつえいおこなった。2006ねんがったDARPAのMiTExミッションではげつまえ故障こしょうにより運用うんようできなくなった衛星えいせいDSP-23たい小型こがた衛星えいせい接近せっきん観測かんそくおこなった。日本にっぽんでは2021ねんがった川崎重工かわさきじゅうこう衛星えいせいDRUMS英語えいごばんから分離ぶんりした宇宙うちゅうゴミを模擬もぎしたターゲットの観測かんそくおこなっている[3]。これらの事例じれいはいずれも稼働かどう停止ていしからの期間きかんみじかかった宇宙うちゅうゴミに接近せっきんしたものであり、運用うんよう停止ていしすうねん単位たんい時間じかん経過けいかした宇宙うちゅうゴミへのランデブーはCRD2フェーズIが世界せかいはじめていどむことになる。

CRD2フェーズI

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ADRAS-J
ランデブーをおこなうADRAS-Jの想像そうぞう
所属しょぞく アストロスケールJAXA
しゅ製造せいぞう業者ぎょうしゃ アストロスケール
公式こうしきページ アストロスケール ADRAS-J
国際こくさい標識ひょうしき番号ばんごう 2024-034A
カタログ番号ばんごう 58992
状態じょうたい 運用うんようちゅう
目的もくてき 技術ぎじゅつ実証じっしょう
打上うちあ エレクトロン
打上うちあ日時にちじ 2024ねん2がつ19にち
1452ふんUTC
ランデブー 未定みてい
物理ぶつりてき特長とくちょう
本体ほんたい寸法すんぽう 830 x 810 x 1200 mm[4]
最大さいだい寸法すんぽう 3700 x 810 x 1200 mm[5]
質量しつりょう 150 kg[5]
姿勢しせい制御せいぎょ方式ほうしき さんじく制御せいぎょ
軌道きどう要素ようそ
軌道きどう 太陽たいよう同期どうき軌道きどう
高度こうど (h) やく600 km
きんてん高度こうど (hp) 563.4 km
とおてん高度こうど (ha) 624.8 km
軌道きどう傾斜けいしゃかく (i) 98.2
軌道きどう周期しゅうき (P) 96.4 ふん
テンプレートを表示ひょうじ

2020ねん、JAXAはCRD2フェーズIを企業きぎょうとしてアストロスケール選定せんていした[1]。アストロスケールはほんミッションのために衛星えいせいADRAS-JActive Debris Removal by AstroScale-Japan)を開発かいはつし、その運用うんようおこなう。ADRAS-Jはロケット・ラボエレクトロンロケットによってニュージーランドのマヒア半島はんとうからげられる。ロケット・ラボがJAXAの衛星えいせいげをおこなうのは今回こんかいはじめてである。なおこのげは同社どうしゃによってOn Closer Inspectionというミッションネームがけられている。げは2024ねん2がつ18にち予定よていされている。ADRAS-Jはいぶきげに使用しようされたH-IIAロケット15号機ごうき上段じょうだん近接きんせつ様々さまざまマヌーバ試験しけんする。アストロスケールはこの技術ぎじゅつをRPO (Rendezvous and Proximity Operations)とんでいる。

2024ねん撮影さつえいした画像がぞう公開こうかいした[6]

CRD2フェーズII

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CRD2フェーズIIは2026年度ねんど以降いこう実施じっし構想こうそうされている[7]

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 商業しょうぎょうデブリ除去じょきょ実証じっしょう(CRD2)フェーズI について”. 宇宙うちゅう開発かいはつ利用りよう部会ぶかい (2021ねん12月13にち). 2024ねん2がつ17にち閲覧えつらん
  2. ^ 鳥嶋とりしま也 (2020ねん3がつ12にち). “NASA、有人ゆうじんがつ探査たんさ実現じつげんけてちょう小型こがた衛星えいせい活用かつよう - 2021ねん”. マイナビニュース. 2024ねん2がつ18にち閲覧えつらん
  3. ^ 革新かくしんてき衛星えいせい技術ぎじゅつ実証じっしょう号機ごうき小型こがた実証じっしょう衛星えいせい号機ごうき(RAISE-2)の成果せいかについて”. 宇宙うちゅう開発かいはつ利用りよう部会ぶかい (2023ねん6がつ27にち). 2024ねん2がつ18にち閲覧えつらん
  4. ^ PRESS KIT” (PDF). アストロスケール. 2024ねん5がつ4にち閲覧えつらん
  5. ^ a b 小林こばやし 行雄ゆきお (2023ねん9がつ27にち). “SDGsのかぎにぎ宇宙うちゅう持続じぞく可能かのう実現じつげんいどむアストロスケール”. TECH+. 2024ねん5がつ4にち閲覧えつらん
  6. ^ 商業しょうぎょうデブリ除去じょきょ実証じっしょうフェーズI「定点ていてん観測かんそく」の画像がぞう公開こうかい”. JAXA (2024ねん6がつ14にち). 2024ねん6がつ17にち閲覧えつらん
  7. ^ 打上うちあげ延期えんき気後きおくれなし、アストロスケールのデブリ除去じょきょ実証じっしょう衛星えいせい「ADRAS-J」が完成かんせい”. MONOist (2023ねん9がつ27にち). 2024ねん2がつ18にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク

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