Local area network (ローカル・エリア・ネットワーク。LAN )とは、企業 きぎょう ・官庁 かんちょう のオフィスや工場 こうじょう などの事業 じぎょう 所 しょ 、学校 がっこう 、家庭 かてい などで使用 しよう されるコンピュータネットワーク である。
狭義 きょうぎ にはイーサネット に代表 だいひょう される通信 つうしん ケーブルとデータリンク層 そう の技術 ぎじゅつ 方式 ほうしき 、規格 きかく を指 さ し、広義 こうぎ には事業 じぎょう 所内 しょない 、家庭 かてい 内 ない で使用 しよう されるコンピュータネットワーク と情報処理 じょうほうしょり システムを指 さ す場合 ばあい がある。
本 ほん 項 こう では狭義 きょうぎ の技術 ぎじゅつ 方式 ほうしき 、規格 きかく について解説 かいせつ する。
歴史 れきし 的 てき 経緯 けいい から初期 しょき の技術 ぎじゅつ 規格 きかく として可能 かのう な配線 はいせん 長 ちょう が数 すう 百 ひゃく m程度 ていど であったことから、室内 しつない 、建物 たてもの 内 ない を主 おも な対象 たいしょう とする意味 いみ でLocal Area Networkという名称 めいしょう であるが、現在 げんざい では数 すう 十 じゅう kmの延長 えんちょう が可能 かのう な規格 きかく も存在 そんざい する。
バスネットワークトポロジを使用 しよう したローカルエリアネットワークの概念 がいねん 図 ず 。
LANの標準 ひょうじゅん 化 か 組織 そしき である米国 べいこく 電気 でんき 電子 でんし 技術 ぎじゅつ 者 しゃ 協会 きょうかい (IEEE)や国際 こくさい 標準 ひょうじゅん 化 か 機構 きこう (ISO)での定義 ていぎ によると
限定 げんてい された広 ひろ がりをもつ地域 ちいき で、コンピュータをはじめとする様々 さまざま な機器 きき の間 あいだ で自由 じゆう に情報 じょうほう 交換 こうかん ができる。
導入 どうにゅう したユーザーが主体 しゅたい となって管理 かんり ・運営 うんえい する(電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 者 しゃ 資格 しかく が不要 ふよう )。
異 こと なるベンダー で作成 さくせい された機器 きき をLANに接続 せつぞく でき、相互 そうご に通信 つうしん 可能 かのう (マルチベンダ接続 せつぞく )。
といった特徴 とくちょう をもっている。
本 ほん 項 こう では狭義 きょうぎ の技術 ぎじゅつ 方式 ほうしき 、規格 きかく の種類 しゅるい と歴史 れきし を概観 がいかん する。個別 こべつ の方式 ほうしき の構成 こうせい や動作 どうさ についてはそれぞれの見出 みだ し項目 こうもく を参照 さんしょう されたい。
また本 ほん 項 こう で解説 かいせつ する単独 たんどく のLANを複数 ふくすう 組 く み合 あ わせた広義 こうぎ のLANである事業 じぎょう 所内 しょない LAN、企業 きぎょう 内 ない LANなどについては、該当 がいとう の節 ふし を参照 さんしょう されたい。
LANが商用 しょうよう 化 か される初期 しょき の時期 じき に規格 きかく 化 か されたLANの種類 しゅるい には次 つぎ のものが存在 そんざい する。
この内 うち イーサネットが商業 しょうぎょう 的 てき な普及 ふきゅう を広 ひろ め、以後 いご それを高速 こうそく 化 か した後継 こうけい 規格 きかく がデファクト・スタンダードとなっている。
近年 きんねん は無線 むせん 方式 ほうしき による、無線 むせん LAN (IEEE 802.11 シリーズ)も普及 ふきゅう している。
HomePNA は家庭 かてい 内 ない の既設 きせつ 電話 でんわ 線 せん を利用 りよう するLANである。
既設 きせつ の電灯 でんとう 線 せん ・配電 はいでん 線 せん を利用 りよう するPLC も家庭 かてい 内 ない LANの新 しん 技術 ぎじゅつ として注目 ちゅうもく されている。
LANの発祥 はっしょう の一 ひと つであるイーサネット は1973年 ねん に米 こめ Xerox パロアルト研究所 けんきゅうじょ でロバート・メトカーフ を中心 ちゅうしん に開発 かいはつ された。
これに先立 さきだ つ基 もと となる研究 けんきゅう として1960年代 ねんだい 中頃 なかごろ のポール・バラン (アメリカ)またはドナルド・デービス (イギリス)によるパケット通信 つうしん 、1970年 ねん 頃 ごろ のハワイ大学 はわいだいがく におけるALOHAプロジェクト による多重 たじゅう ランダムアクセス通信 つうしん 方式 ほうしき の研究 けんきゅう がある。
1980年 ねん 2月 がつ にIEEE 802委員 いいん 会 かい が発足 ほっそく する。これは可変 かへん サイズのパケットを伝送 でんそう するネットワークに関 かん する検討 けんとう を目的 もくてき としたものであった。
この年 とし DIX規格 きかく のEthernet Iが発表 はっぴょう される。
1982年 ねん 、DIX規格 きかく のEthernet IIが発表 はっぴょう される。
1983年 ねん 、IEEE 802.3 10Base5が標準 ひょうじゅん 化 か される。
1984年 ねん 、IEEE 802.3a 10Base2が標準 ひょうじゅん 化 か される。米 べい IBMがトークンリングを開発 かいはつ する。
1987年 ねん 、アメリカ国家 こっか 規格 きかく 協会 きょうかい (ANSI) でFDDIが標準 ひょうじゅん 化 か される。
1990年 ねん 、IEEE 802.3i 10Base-Tが標準 ひょうじゅん 化 か される。
1995年 ねん 、IEEE 802.3u 100Base-TXが標準 ひょうじゅん 化 か される。
1998年 ねん 、IEEE 802.3z 1000Base-SX、LXが標準 ひょうじゅん 化 か される。
1999年 ねん 、IEEE 802.3ab 1000Base-Tが標準 ひょうじゅん 化 か される。
2006年 ねん 、IEEE 802.3an 10GBase-Tが標準 ひょうじゅん 化 か される。
その後 ご 40GigabitEthernet、100GigabitEthernetの開発 かいはつ が続 つづ いている。
レイヤについてはOSI参照 さんしょう モデル を参照 さんしょう のこと。
トポロジー(形状 けいじょう )による分類 ぶんるい では、スター型 がた 、バス型 がた 、リング型 がた の3つに分類 ぶんるい される。これらは各 かく 規格 きかく における伝送 でんそう 媒体 ばいたい と接続 せつぞく 機器 きき の実装 じっそう により形成 けいせい されるものである。
スター型 がた LAN は、中央 ちゅうおう に集線 しゅうせん 装置 そうち であるハブ を置 お き、すべての端末 たんまつ を接続 せつぞく する形 かたち である。配置 はいち の変更 へんこう が柔軟 じゅうなん に行 おこな え、故障 こしょう 箇所 かしょ の特定 とくてい もしやすいことから、広 ひろ く普及 ふきゅう している。ただし、ハブ部分 ぶぶん で故障 こしょう が起 お きた場合 ばあい には全 ぜん 端末 たんまつ で相互 そうご 通信 つうしん が不可能 ふかのう になるため、信頼 しんらい 性 せい が必要 ひつよう な場合 ばあい はハブを二重化 にじゅうか するなどの対策 たいさく をとることが多 おお い。たとえばツイストペアケーブル (撚 ひね り対 たい 線 せん )を利用 りよう したイーサネット (10Base-T 、100Base-TX、1000Base-T等 とう )、トークンリング[ 1] がある。
バス型 がた LAN は、バスと呼 よ ばれる伝送 でんそう 路 ろ に接続 せつぞく する形 かたち であり、基幹 きかん ケーブルに短冊 たんざく 状 じょう に端 はし 末 まつ がぶら下 さ がるような形 かたち となる。バス上 じょう の一部 いちぶ で故障 こしょう が発生 はっせい した場合 ばあい 、故障 こしょう 点 てん を超 こ える通信 つうしん は不可能 ふかのう になる。構成 こうせい 上 じょう バスを増 ふ やす以外 いがい に信頼 しんらい 性 せい 向上 こうじょう の手段 しゅだん がないため、信頼 しんらい 性 せい 向上 こうじょう は難 むずか しい。たとえば同軸 どうじく ケーブルを用 もち いるイーサネット(10Base5、10Base2)、トークンバス がある。
リング型 がた LAN は、端末 たんまつ を順次 じゅんじ 伝送 でんそう 路 ろ につないでいく形 かたち であり、伝送 でんそう 路 ろ が数珠 じゅず つなぎの円形 えんけい となる。伝送 でんそう 路 ろ 及 およ び伝送 でんそう 路 ろ 機器 きき に障害 しょうがい が発生 はっせい するとLANが停止 ていし するため、伝送 でんそう 路 ろ を2重 じゅう にする場合 ばあい が多 おお い。また2重 じゅう 化 か することにより、途中 とちゅう 、伝送 でんそう 路 ろ 機器 きき の故障 こしょう 、伝送 でんそう 路 ろ の切断 せつだん などの各種 かくしゅ 障害 しょうがい に対 たい し非常 ひじょう に強 つよ くなるため、基幹 きかん 用 よう に用 もち いられることが多 おお い。たとえばFDDI がある。
LANのトポロジーに関 かん する議論 ぎろん は、伝送 でんそう 媒体 ばいたい (ケーブル、光 ひかり ケーブル)とデータリンク層 そう を接続 せつぞく する機器 きき 間 あいだ で共有 きょうゆう するイーサネット(10Base5、10Base2)、FDDI が現役 げんえき であった1990年代 ねんだい までは意義 いぎ のあるところだったが、その後 ご のLANスイッチの普及 ふきゅう 拡大 かくだい により、近年 きんねん ではほぼすべてがスター型 がた 配線 はいせん になっている。
各 かく 規格 きかく において使用 しよう する伝送 でんそう 媒体 ばいたい が定 さだ められている。主 おも な例 れい としては同軸 どうじく ケーブル 、ツイストペアケーブル(撚 ひね り対 たい 線 せん ) 、光 ひかり ファイバー 、無線 むせん (大気 たいき の電波 でんぱ 伝播 でんぱ ) が利用 りよう される。
標準 ひょうじゅん 名称 めいしょう
規格 きかく 名称 めいしょう
伝送 でんそう 媒体 ばいたい
IEEE 802.3
10Base5
外 そと 径 みち 9.5mm、特性 とくせい インピーダンス50Ω おーむ の同軸 どうじく ケーブル(Thickケーブル)
IEEE 802.3a
10Base2
外 そと 径 みち 5mm、特性 とくせい インピーダンス50Ω おーむ の同軸 どうじく ケーブル(Thinケーブル)
IEEE 802.3i
10BASE-T
カテゴリ3以上 いじょう のツイステッド・ペア・ケーブル
IEEE 802.3u
100Base-TX
カテゴリ5以上 いじょう のツイステッド・ペア・ケーブル
IEEE 802.3ab
1000Base-T
カテゴリ5e以上 いじょう のツイステッド・ペア・ケーブル
変調 へんちょう 方式 ほうしき による分類 ぶんるい (レイヤ1)[ 編集 へんしゅう ]
変調 へんちょう 方式 ほうしき による分類 ぶんるい では、ベースバンド 方式 ほうしき とブロードバンド 方式 ほうしき に分 わ けられる。
ベースバンド方式 ほうしき は、コンピュータで扱 あつか われるディジタルデータを符号 ふごう 化 か し、変調 へんちょう せずに電気 でんき パルスとして伝送 でんそう 路 ろ に送信 そうしん する方式 ほうしき である。イーサネットやFDDI (TP-PMD, CDDI) がこの方式 ほうしき である。
ブロードバンド方式 ほうしき は、コンピュータで扱 あつか われるディジタルデータを符号 ふごう 化 か し、変調 へんちょう して搬送波 はんそうは としてアナログ伝送 でんそう 路 ろ に送信 そうしん する方式 ほうしき である。IEEE 802.4(トークン・バス )がこの方式 ほうしき である。
LANの最 もっと も基本 きほん 的 てき な構成 こうせい はケーブルとデータリンク層 そう を共有 きょうゆう する単独 たんどく のLANである。それについては本 ほん 項 こう で種類 しゅるい を解説 かいせつ した。
企業 きぎょう などの事業 じぎょう 所内 しょない で利用 りよう するコンピューターネットワークとしてのLANでは、複数 ふくすう のLANをブリッジ 、ルーター 、LANスイッチ を用 もち いて接続 せつぞく し、ネットワークを拡張 かくちょう する。
ネットワークの拡張 かくちょう に当 あ たってはLAN技術 ぎじゅつ 以外 いがい にシリアル回線 かいせん 、ATM、WDM 伝送 でんそう 装置 そうち などが利用 りよう される場合 ばあい がある。
広義 こうぎ のLAN(大 だい 規模 きぼ LAN)の構成 こうせい や方式 ほうしき については先 さき に述 の べたものの他 ほか にIP(Internet Protocol) や関係 かんけい する技術 ぎじゅつ 、さらに上位 じょうい レイヤも含 ふく めた技術 ぎじゅつ の複 ふく 合体 がったい として成 な り立 た っている。
これらの話題 わだい についてはネットワーク構築 こうちく 、(情報 じょうほう )システム構築 こうちく の分野 ぶんや の技術 ぎじゅつ として、関係 かんけい する書籍 しょせき などの情報 じょうほう を参照 さんしょう されたい。
^ トークンリングという名称 めいしょう であるが、配線 はいせん 、機器 きき の実装 じっそう はツイストペアケーブルによるスター型 がた トポロジーである。