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LF空間くうかん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学すうがくにおける LF-空間くうかん(エルエフくうかん、えい: LF-space)は、ベクトル空間くうかん一類いちるいで、一口ひとくちえばシュヴァルツちょう函数かんすう構成こうせいほう抽象ちゅうしょうするものである。LF-空間くうかんは、それがフレシェ空間くうかん増大ぞうだいれつ合併がっぺい正確せいかくには、狭義きょうぎ可算かさん帰納きのう極限きょくげんばれるもの)になっていることに由来ゆらいする (inductive Limit of F-space)。

定義ていぎ

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LF-空間くうかんとは、局所きょくしょとつ空間くうかん E であって、以下いか性質せいしつつフレシェ空間くうかんれつ (En) をつものをう。

  1. En単調たんちょう増大ぞうだい: 任意にんいnN について EnEn+1つ。
  2. かく nNたいして、En位相いそうEn+1 からの部分ぶぶん空間くうかん位相いそうである。
  3. EEn すべての合併がっぺいひとしい。
  4. E位相いそうは、任意にんい包含ほうがん写像しゃぞう EnE連続れんぞくにするもっとこまかい局所きょくしょとつ位相いそうである。

このような性質せいしつたすフレシェ空間くうかんれつ (En) を LF-空間くうかん E定義ていぎれつぶ。とく定義ていぎれつ各項かくこうバナハ空間くうかんである場合ばあいの LF-空間くうかんを LB-空間くうかんともぶ。

任意にんいのフレシェ空間くうかん E は、定値ていちれつ En = E定義ていぎれつとして、LF-空間くうかんである。

K-有限ゆうげんれつ全体ぜんたい数列すうれつ空間くうかん c00 = c00(K) は、(n + 1)-番目ばんめ以降いこうすべてのこうが 0 となるような数列すうれつ全体ぜんたい部分ぶぶん空間くうかんKn同一どういつするとき、Kn定義ていぎれつとする LF-空間くうかんとくに LB-空間くうかんす。空間くうかん c00位相いそうは、任意にんいはんノルムが位相いそうさだめるもっとこまかいとつ位相いそうである。

シュヴァルツちょう函数かんすうろんにおける構成こうせいかえると、コンパクト集合しゅうごう KRmKだい無限むげんかい微分びぶん可能かのう函数かんすう空間くうかん C(K) にたいし、ひらき集合しゅうごう ΩおめがRm うえ試験しけん函数かんすう空間くうかん

あたえられる。任意にんい包含ほうがん写像しゃぞう

連続れんぞくとするもっとこまかい局所きょくしょとつ位相いそうつから、 は LF-空間くうかんである。定義ていぎフレシェ空間くうかんれつは、Ωおめが ないのコンパクト集合しゅうごうれつ (Kn) で、かく KnKn+1内部ないぶふくまれ、かつ Kn すべての合併がっぺいΩおめが被覆ひふくするものにたいする (C(Kn)) であたえられる。ここで、位相いそうが、コンパクト集合しゅうごうれつかたらないことに注意ちゅうい

性質せいしつ

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有界ゆうかいせい

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LF-空間くうかん E における有界ゆうかいせいは、E定義ていぎれつもちいてつぎのようにべることができる:

  • 集合しゅうごう BE有界ゆうかいであるための必要ひつようじゅうふん条件じょうけんは、適当てきとう自然しぜんすう nNえらべば BEn かつ BEn において有界ゆうかいとできることである。

連続れんぞくせい

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LF-空間くうかん E からべつ局所きょくしょとつ空間くうかん F への線型せんけい作用素さようそ連続れんぞくせいは、E定義ていぎれつ (En) によってつぎのように特徴付とくちょうづけることができる:

線型せんけい作用素さようそ T: EF連続れんぞくとなるのは、任意にんい制限せいげん

すべ連続れんぞくとなるときである。

完備かんびせい

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ケーテ減少げんしょう定理ていりにより、[訳語やくご疑問ぎもんてん]任意にんいの LF-空間くうかん完備かんびである。

空間くうかんとの関係かんけい

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LF-空間くうかんたるがた有界ゆうかいがたかつちょう有界ゆうかいがたドイツばんであり、ウェブつ。ゆえに、バナッハ空間くうかんろんでよくられた古典こてんてきさん定理ていりは LF-空間くうかんたいして一般いっぱんすることができる。

バナハ・シュタインハウスの定理ていり一様いちよう有界ゆうかいせい原理げんり
(Tαあるふぁ)αあるふぁI局所きょくしょとつ空間くうかんあいだ連続れんぞく線型せんけい作用素さようそ EFぞくで、E は LF-空間くうかんかつ集合しゅうごう {Tαあるふぁ(x); αあるふぁI} がかく xEたいして有界ゆうかいとすると、(Tαあるふぁ)αあるふぁIどう程度ていど連続れんぞくすなわかく近傍きんぼう VFたいして適当てきとう近傍きんぼう UEえらんで、Tαあるふぁ(U) ⊂ Vすべての αあるふぁIたいしてつようにできる。
ひらけ写像しゃぞう定理ていり
LF-空間くうかんあいだ連続れんぞく線型せんけいぜん T: EFひらけである。
閉グラフ定理ていり
LF-空間くうかんあいだ線型せんけい写像しゃぞう T: EF はそのグラフが閉集合しゅうごうならば連続れんぞくである。

応用おうよう

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シュヴァルツちょう函数かんすうろんでは、ひらき集合しゅうごう ΩおめがRm うえちょう函数かんすうを、線型せんけい写像しゃぞう

で、以下いか連続れんぞくせい条件じょうけん:

KΩおめが がコンパクトで、 うちKだいはこ数列すうれつ (fn) が一様いちようfn → 0 をたすならば、T(fn) → 0 がつ。

たすものと定義ていぎする。この定義ていぎにおいて、この連続れんぞくせい条件じょうけん位相いそうかんする連続れんぞくせいあらわしていることは、一見いっけんしてわかりよいものではない。じつはこれにかんしては、ボルノロジー空間くうかんゆえ、てんれつ連続れんぞくせいかんがえれば十分じゅうぶんなのである。つまり、コンパクト集合しゅうごう KΩおめが について C(K) じょうTたいする制約せいやく条件じょうけんあたえることにならない。さきべた LF-空間くうかんじょう線型せんけい作用素さようそ連続れんぞくせいたいする性質せいしつから、実際じっさい の LF-空間くうかんとしての位相いそうかんする連続れんぞくせいみちびかれる。

このようにして、LF-空間くうかん うえ連続れんぞく線型せんけいひろし函数かんすうとして定義ていぎされるシュヴァルツちょう函数かんすう概念的がいねんてき構造こうぞうあらわされる。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • K. Floret, J. Wloka: Einführung in die Theorie der lokalkonvexen Räume, Lecture Notes in Mathematics 56, 1968
  • Treves, François (1967), Topological Vector Spaces, Distributions and Kernels, Academic Press, p. 126 ff . Dover 2006, ISBN 0-486-45352-9