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R-24 (ミサイル)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
R-24 / Р-24
R-24R
ウクライナ空軍くうぐん博物館はくぶつかん展示てんじひん
種類しゅるい そら対空たいくうミサイル
製造せいぞうこく ソ連それん
設計せっけい 機械きかい設計せっけいきょく「ヴィーンペル」
性能せいのうしょもと
ミサイル直径ちょっけい 223mm
ミサイル全長ぜんちょう 4.487m
ミサイル重量じゅうりょう 243kg
射程しゃてい 0.5-50km
誘導ゆうどう方式ほうしき 中間ちゅうかん指令しれい誘導ゆうどう
セミアクティブレーダー誘導ゆうどう
飛翔ひしょう速度そくど マッハ3
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R-24ロシア: Р-24エール・ドヴァーッツァチ・チトィーリェ)は、ソ連それん開発かいはつされたなか射程しゃていそら対空たいくうミサイルУправляемая ракета средней дальности класса воздух-воздухそらたい空中くうちゅう射程しゃてい誘導ゆうどうロケット)である。

設計せっけいきょく名称めいしょうK-24К-24カー・ドヴァーッツァチ・チトィーリェ)で、開発かいはつ機械きかい設計せっけいきょく「ヴィーンペル」によっておこなわれた。しゅとしてMiG-23後期こうきがた運用うんようされた。

NATOコードネームは AA-7“エイペックス”(英語えいご: APEX:「(図形ずけいの)頂点ちょうてん」「山岳さんがく頂点ちょうてん最高さいこう地点ちてん)」の)。R-23とおなじNATOコードであるが、まったくの別物べつものである。

誘導ゆうどう方式ほうしきは、セミアクティブ・レーダー・ホーミング誘導ゆうどうによる終末しゅうまつ誘導ゆうどう電波でんぱ指令しれい誘導ゆうどうによる中間ちゅうかん誘導ゆうどうわせであった。また、赤外線せきがいせん誘導ゆうどうものどういちめい存在そんざいするため、冷戦れいせんなか西側にしがわ諸国しょこく情報じょうほう撹乱かくらん成功せいこうしていた。

概要がいよう

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背景はいけい

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R-23として制式せいしき採用さいようされたK-23は、ソ連それんはつ本格ほんかくてき中距離ちゅうきょりそら対空たいくうミサイルであったが、ははレーダー性能せいのう限界げんかいもあってアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくAIM-7Fスパローミサイルおくれをとる結果けっかわった。ソ連それんでは、K-23の開発かいはつ平行へいこうして鹵獲ろかくしたAIM-7FをコピーしたK-25ミサイルの開発かいはつおこなっていたが、スケジュールのおくれとK-23の完成かんせいにより計画けいかく破棄はきされた。そのため、MiG-23搭載とうさいする候補こうほとなるなか射程しゃていミサイルは、R-23を搭載とうさいするMiG-23Mソ連それん空軍くうぐん制式せいしき採用さいようされた1974ねん時点じてんではR-23のほかにソ連それんには存在そんざいしなかった。

AIM-7Fを搭載とうさいするF-4EファントムII戦闘せんとう決定的けっていてき陵駕りょうがするため、MiG-23のさらなる改良かいりょう必要ひつようとなった。改良かいりょうがたにはあたらしいR-27ちゅう射程しゃていミサイルの搭載とうさいのぞまれたが、1974ねん時点じてんでそれはまだ計画けいかくいきだっしていなかった。そこで、すでに完成かんせいしていたR-23の欠陥けっかんおぎなった改良かいりょうがたなか射程しゃていミサイルの開発かいはつ決定けっていされた。

開発かいはつ

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R-23完成かんせい作業さぎょう過程かていにおいて断定だんていされたことは、射程しゃてい延長えんちょうにはナビゲーションシステムによる飛行ひこう機能きのう大幅おおはば近代きんだい必要ひつようであるということであった。R-23では、弾道だんどうミサイルのような弾道だんどううえ目標もくひょう迎撃げいげき実現じつげんされていた。しかしながら、MiG-23搭載とうさいしたRP-23「サプフィール23」レーダーでは長距離ちょうきょり索敵さくてき照射しょうしゃ能力のうりょく限界げんかいがあり、したがってミサイル自体じたい飛行ひこう距離きょり延長えんちょうしたとしても攻撃こうげき可能かのう距離きょり向上こうじょうにはおのずと限界げんかいがあった。また、R-23ではははからのレーダー照射しょうしゃ反射はんしゃ必要ひつようとするセミアクティブレーダー誘導ゆうどう弾頭だんとうしか誘導ゆうどう手段しゅだん用意よういされていなかった。レーダー照射しょうしゃはミサイルの発射はっしゃ直後ちょくごから目標もくひょうへの命中めいちゅうまでおこなわねばならず、レーダー目標もくひょうたって反射はんしゃしてくることがもとめられたことから、レーダー性能せいのうがミサイルの発射はっしゃ距離きょりきびしく制約せいやくしていた。これらのことから、シーカー誘導ゆうどうによる目標もくひょう迎撃げいげきさいしミサイルの射程しゃてい目標もくひょうから十分じゅうぶん距離きょりをとれていたとはがたかった。

ミサイルの射程しゃてい命中めいちゅう精度せいど向上こうじょうのためには、なによりもまずははのレーダー反射はんしゃ利用りようする自動じどう誘導ゆうどう弾頭だんとうによる飛行ひこう時間じかん短縮たんしゅくもとめられたが、そのためには自動じどう誘導ゆうどうわるまでの飛行ひこうきわするミサイルのナビゲーションが必要ひつようとされた。この中間ちゅうかん誘導ゆうどう可能かのうとするため、あらたに電波でんぱによる指令しれい誘導ゆうどう導入どうにゅうされることになった。これは目標もくひょうへのレーダー反射はんしゃ必要ひつようとされないため、結果けっかとしてミサイルの発射はっしゃ位置いちをよりながることができると期待きたいされた。これにくわえ、ははのレーダー出力しゅつりょく向上こうじょうとミサイルへのよりこう感度かんど自動じどう誘導ゆうどう弾頭だんとう搭載とうさいはかられた。

R-23を搭載とうさいするMiG-23M制式せいしき採用さいようされるのに平行へいこうして、1974ねん1がつ9にちから将来しょうらい近代きんだい航空こうくうへいそう検討けんとう指示しじされた。あたらしいへいそう完成かんせいは、R-23を開発かいはつしたV・A・プストヴォイストフひきいるヴィーンペル設計せっけいきょくおこなわれることとなった。

構造こうぞう

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1975ねんあたらしいミサイルK-24概要がいようあきらかにされた。このミサイルは、あたらしいセミアクティブレーダー誘導ゆうどう方式ほうしき(PAR)の自動じどう照準しょうじゅん誘導ゆうどう弾頭だんとう終末しゅうまつ誘導ゆうどう装置そうち目標もくひょう捜索そうさく装置そうち;GSN)をそなえていた。このシーカーは、たい誘導ゆうどう攪乱かくらん能力のうりょく迎撃げいげき距離きょり強化きょうかしたセミアクティブレーダー自動じどう誘導ゆうどう弾頭だんとう反射はんしゃ電波でんぱ受信じゅしん装置そうち)RGS-24(9B-1022)であった(なお、RGSはロシアで「レーダー自動じどう誘導ゆうどう弾頭だんとう」の頭文字かしらもじである)。セミアクティブレーダー自動じどう誘導ゆうどう弾頭だんとう装備そうびするたまたいは、「製品せいひん140」とばれた。RGS-24では、レーダー反射はんしゃとらえるたまたい自体じたい自動じどう照準しょうじゅんによる終末しゅうまつ誘導ゆうどう飛行ひこうを10秒間びょうかんつづけることができた。

最初さいしょ計画けいかくでは、あたらしい自動じどう誘導ゆうどう弾頭だんとうには「トパーズM」が採用さいようされることがかんがえられていたが、実現じつげんされなかった。また、最大限さいだいげん効果こうかるため信管しんかん変更へんこうおこなわれた。より強力きょうりょくエンジン搭載とうさいされ、これにより射程しゃていはR-23の35kmから50kmまで飛躍ひやくてき向上こうじょうすることとなった。こうした数々かずかず修正しゅうせいにより、ミサイルの基本きほん構成こうせいおおきな変更へんこうこうむることとなり、たまたい大型おおがたされた。

そうしたなかで、最大さいだい変更へんこうてん主翼しゅよくであった。主翼しゅよくのちあたりは、K-23でたまたい中央ちゅうおうせんたいして垂直すいちょくであったものが前方ぜんぽう傾斜けいしゃした前進ぜんしんつばさかた形状けいじょう変更へんこうされた。つばさは、大小だいしょうあわせて12まい装備そうびされた。また、内部ないぶ構造こうぞう変更へんこうされ、たいG性能せいのうも5-8Gに強化きょうかされた。たまたい先端せんたん部分ぶぶんとなるだい1区画くかくは、自動じどう誘導ゆうどう弾頭だんとう搭載とうさい区画くかくとされた。だい2区画くかくには、近接きんせつ信管しんかん「スクヴォレーツ」(「椋鳥むくどり」の)と自動じどう操縦そうじゅう装置そうちタービンジェネレーターの特殊とくしゅ火薬かやくアキュムレーターの作動さどう装置そうちがうまくおさめられた。また、中間ちゅうかん指令しれい誘導ゆうどうもちいる電波でんぱ受信じゅしんするためのアンテナも設置せっちされた。だい3区画くかくは、10mの破壊はかい半径はんけい炸薬さくやく予備よび機関きかん搭載とうさいした中枢ちゅうすう部分ぶぶんとなった。固体こたい燃料ねんりょう使用しようするPRD-287ガスジェネレーター(ロケットエンジン)は、だい4区画くかく収納しゅうのうされた。だい5区画くかくはノズルにかこまれた区画くかくとなっており、そこからジェット噴射ふんしゃによって推進すいしんりょく発生はっせいさせる駆動くどうおよびたま体操たいそうたて区画くかくとなっていた。

赤外線せきがいせん誘導ゆうどう方式ほうしきによる派生はせいがた開発かいはつされた。開発かいはつには「製品せいひん160」とばれ、改良かいりょうされた赤外線せきがいせん探知たんちTGS-23T4を搭載とうさいしていた(TGSとは、ロシアで「温度おんど誘導ゆうどう弾頭だんとう」すなわち「赤外線せきがいせん誘導ゆうどう弾頭だんとう」のことである)。このシーカーにより、R-24Tは前任ぜんにんのR-23Tにくら大幅おおはば向上こうじょうした照準しょうじゅん誘導ゆうどう能力のうりょく獲得かくとくした。

R-24は、改良かいりょうがたミサイル発射はっしゃ装置そうちAPU-23Mに装着そうちゃくされた。

R-24は前任ぜんにんのR-23にくら大幅おおはば能力のうりょく向上こうじょうされていた。とはいえ、R-24には弾道だんどうミサイル迎撃げいげき能力のうりょく付与ふよされていたが、搭載とうさいする近接きんせつ信管しんかんではたか効果こうか期待きたいできなかった。弾道だんどうミサイルへの効果こうかてき攻撃こうげきにはたまたい直撃ちょくげき必要ひつようであったが、R-24にはそのために必要ひつよう高速こうそく目標もくひょうたいするこう精度せいど照準しょうじゅん能力のうりょくそなわっていなかった。

運用うんよう

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ミサイル設計せっけい発射はっしゃ試験しけん短期間たんきかん終了しゅうりょうした。しかし、この新型しんがたミサイルの制式せいしき採用さいようは、これを搭載とうさいする予定よていMiG-23MLMiG-23P配備はいびおくれのため1981ねんまでずれんだ。K-24のレーダー誘導ゆうどうがたR-24R赤外線せきがいせん誘導ゆうどうがたR-24Tとして制式せいしき採用さいようとなった。

MiG-23MLに搭載とうさいされたR-24はレバノン内戦ないせんときみなみレバノン上空じょうくうでの実戦じっせん投入とうにゅうされ、満足まんぞく結果けっかのこすこととなった。1982ねん、「ガリラヤの平和へいわ作戦さくせん」によりイスラエル軍隊ぐんたいみなみレバノンに侵攻しんこうすると、レバノン戦争せんそうばれるだい規模きぼ戦闘せんとう状態じょうたい発生はっせいした。この空域くういきおこなわれた空中くうちゅうせんでは、シリアのMiG-23MLが自軍じぐん損失そんしつなしにイスラエル国防こくぼうぐんF-15を3F-4を1撃墜げきついしたことが記録きろくされているが、イスラエルの記録きろくではF-15の損傷そんしょう1、F-4およクフィル撃墜げきついかく1となっており、報告ほうこくおおくのF-16たいする報告ほうこくとも確認かくにんされていない(自国じこく兵器へいき運用うんようじょうきょう能力のうりょく研究けんきゅうのため現地げんちにオブザーバーをおくっていたソ連それんがわでは空中くうちゅうせんにおける多数たすう戦果せんか記録きろくしている。とくに、この4撃墜げきついはロシア資料しりょうではかならずといってよいほど言及げんきゅうされる)。

一方いっぽうイラン・イラク戦争せんそうでは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく中心ちゅうしんにR-23/R-24は機動きどう目標もくひょう撃墜げきついすることのできない失敗しっぱいさくであるという評価ひょうかられる。これは、同国どうこく入手にゅうしゅした情報じょうほうによればこの戦争せんそうちゅう40から100はつ程度ていどのR-23/R-24が発射はっしゃされたにもかかわらず、撃墜げきついはわずかに4であったためである。なお、べつ情報じょうほうによればR-24によってF-4Eが2F-5Eが1撃墜げきついされたことになっている。このうち1986ねん2がつ13にちにMiG-23MLによってF-5Eが撃墜げきついされたけんについては、双方そうほう確認かくにんされている。

シリアでは、MiG-23MF1982ねん6月11にちにR-24Rでイスラエル国防こくぼうぐんE-2Cを1撃墜げきついしたという情報じょうほうがあるが、MiG-23MFはR-24Rを運用うんようできないのでうたがわしい。

1988ねん9月28にちには、だい120戦闘せんとう飛行ひこう連隊れんたいの2のMiG-23MLDが、それぞれ1ずつ イラン空軍くうぐんAH-1JシーコブラをR-24で撃墜げきついしたことが確認かくにんされている。つまりソ連それんぐんのパイロットは機動きどう目標もくひょう命中めいちゅうさせているわけで、イラク空軍くうぐん運用うんよう成績せいせきはミサイルの能力のうりょくではなく、むしろイラク空軍くうぐんひく技術ぎじゅつ水準すいじゅんにより、適切てきせつ状況じょうきょう発射はっしゃされていなかったことに起因きいんする可能かのうせいがある。

ソ連それんのアフガニスタン侵攻しんこうでは、2はつのR-24が使用しようされたとされるが、てき撃墜げきついにはいたっていない。ソ連それんMiG-23MLDがパキスタンのF-16戦闘せんとう1撃墜げきついしていることが確認かくにんされているが、これはR-60赤外線せきがいせん誘導ゆうどうミサイルによるものである。

アンゴラでは、R-60とR-23もしくはR-24のわせで、みなみアフリカ共和きょうわこく空軍くうぐんミラージュF1戦闘せんとうを1撃墜げきついしたと報告ほうこくされたが、この機体きたいのち修復しゅうふくされている。

ソビエト連邦れんぽう崩壊ほうかい1992ねん4がつには、ロシア防空ぼうくうぐんのMiG-23MLDが、R-24でグルジア空軍くうぐんSu-25撃墜げきついしたという情報じょうほうもある。

改良かいりょう

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のちにR-24は改良かいりょうされ、R-24Mばれた。このかたには、たい誘導ゆうどう攪乱かくらん能力のうりょく強化きょうかした自動じどう誘導ゆうどう弾頭だんとう搭載とうさいされていた。レーダー誘導ゆうどうがたR-24MR赤外線せきがいせん誘導ゆうどうがたR-24MTばれた。

R-24の製造せいぞうMiG-23後期こうきがた製造せいぞう併行へいこうしておこなわれ、1985ねんには終了しゅうりょうされたとされる。

評価ひょうか

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R-23/R-24ミサイル運用うんよう製造せいぞう歴史れきしじょう重大じゅうだい出来事できごととなったのが1976ねんベレンコ中尉ちゅうい亡命ぼうめい事件じけんであった。この事件じけんにより、当時とうじ国土こくど防空ぼうくうぐんさい新鋭しんえい迎撃げいげき戦闘せんとうであったMiG-25Pぜんシステムが西側にしがわあきらかになってしまった。そのため、MiG-25に搭載とうさいされる電子でんし機器ききやミサイルへいそうあらため設計せっけい作業さぎょう急遽きゅうきょはやめられることとなった。そうしたなかで、MiG-25Pの搭載とうさいレーダーがMiG-23搭載とうさいのRP-23「サプフィール23」の発展はってんがたであるRP-25「サプフィール25」に更新こうしんされたことはとく意義いぎふかかった。これにともない、搭載とうさいミサイルもあらため設計せっけいされたR-40Dとなった。このミサイルには、R-24の搭載とうさいする自動じどう誘導ゆうどう弾頭だんとうRGS-24をもとにしたあたらしい自動じどう誘導ゆうどう弾頭だんとうRGS-25が搭載とうさいされた。あらため設計せっけい作業さぎょうあたらしいMiG-25はMiG-25PDとばれ、それまでのMiG-25Pにかわってソ連それん防空ぼうくう任務にんむいた。一方いっぽう、これにじゅんじたシステムを搭載とうさいするMiG-23の発展はってんがた前線ぜんせん戦闘せんとうMiG-23MLとして空軍くうぐん採用さいようされ、その迎撃げいげき戦闘せんとうがたとなるMIG-23Pも開発かいはつ、MiG-25PDを補佐ほさする迎撃げいげき戦闘せんとうとして国土こくど防空ぼうくうぐん配備はいびされた。

MiG-25PDとMiG-23MLの完成かんせいまでは、空軍くうぐん運用うんようする前線ぜんせん戦闘せんとう国土こくど防空ぼうくうぐん運用うんようする迎撃げいげき戦闘せんとうには能力のうりょくめんにおいて比較的ひかくてき明確めいかく線引せんひきがなされており、前線ぜんせん戦闘せんとうには迎撃げいげき戦闘せんとうよりも一般いっぱん能力のうりょくひくいシステム・へいそう採用さいようされていた。しかし、MiG-23のシステムをもとにMiG-25のための改良かいりょう研究けんきゅうおこなわれた結果けっか、その研究けんきゅう成果せいかがMiG-23の技術ぎじゅつ革新かくしんにも反映はんえいされることとなり、迎撃げいげき戦闘せんとうMiG-25と前線ぜんせん戦闘せんとうMiG-23のシステムが一元化いちげんかされるという結果けっかしょうじた。MiG-25における研究けんきゅうすすんだ結果けっか搭載とうさいレーダーが能力のうりょくたかめたものに革新かくしんされるなどMiG-23搭載とうさいシステムの研究けんきゅう開発かいはつ促進そくしんされ、搭載とうさいするR-24においてもより能力のうりょくたかいシステムの搭載とうさいというかたち影響えいきょうおよぶこととなった。

全体ぜんたいとして、R-24の完成かんせいソ連それんのミサイル開発かいはつなかのひとつの重要じゅうよう契機けいきとなった。ソ連それん空軍くうぐん前線ぜんせん戦闘せんとうはR-24の装備そうびによってはじめて、これまでは国土こくど防空ぼうくうぐん迎撃げいげき戦闘せんとうしかっていなかったアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく軍事ぐんじようだか高度こうど飛行ひこう物体ぶったい遠距離えんきょりから迎撃げいげきする能力のうりょくたのである。この能力のうりょくたことから、R-24を装備そうびするMiG-23Pが迎撃げいげき戦闘せんとうとして国土こくど防空ぼうくうぐん採用さいようとなったといえ、これ以降いこう次第しだい迎撃げいげき戦闘せんとう前線ぜんせん戦闘せんとうという枠組わくぐみは曖昧あいまいになっていった。

R-24にたいして、北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう(NATO)はとくNATOコードネーム付与ふよしなかった。これは、R-24がソ連それんにおいてこうした意味いみ重要じゅうよう位置いちにあったにもかかわらず、西側にしがわではそれを十分じゅうぶん認識にんしきされていなかったことを意味いみしている。西側にしがわでは前任ぜんにんのR-23の能力のうりょく過小かしょう評価ひょうかしていたが、能力のうりょく向上こうじょうがたのR-24もそれと区別くべつすることをせず、一括いっかつしてAA-7「エイペックス」Apex)のNATOコードネームでんでいた模様もようである。これは、R-24が大型おおがたされ形状けいじょうにも変化へんかしょうじたとはいえ遠目とおめにはおなじような形態けいたいであるため、外見がいけん重視じゅうしするNATOの識別しきべつ基準きじゅんからすると「おなじようなもの」と区分くぶんされてしまったものとかんがえられる。なお、下位かい分類ぶんるいではR-24R/TにたいしてはそれぞれAA-7C/Dというコードネームがもちいられていた。

R-24は、実戦じっせん結果けっかかぎだい成功せいこうおさめたミサイルであるとはがたいようである。しかし、長距離ちょうきょりミサイルに中間ちゅうかん指令しれい誘導ゆうどうれたという経験けいけんは、のちのR-73などの成功せいこういしずえきずいたと評価ひょうかされる。中間ちゅうかん指令しれい誘導ゆうどう方式ほうしきは、初期しょき指令しれい誘導ゆうどうミサイルをのぞき、それまではもっぱ長距離ちょうきょりミサイルに使用しようされるシステムで、なか短距離たんきょりミサイルではこの機能きのう不要ふようであるとかんがえられていた。長距離ちょうきょりミサイルとしてそれを採用さいようした初期しょきのミサイルR-24においてはそれはたんに射程しゃてい延長えんちょうという目的もくてきでしかなかったが、R-73では中間ちゅうかん指令しれい誘導ゆうどうシステムの搭載とうさいにより真横まよこ目標もくひょう攻撃こうげきする「オフ・ボア・サイト」攻撃こうげき能力のうりょく実現じつげんされ、ソ連それんせいそら対空たいくうミサイルとしてははじめて明白めいはく西側にしがわせいどうクラスのものを凌駕りょうがする性能せいのう獲得かくとくしたのである。R-24以降いこう長距離ちょうきょりミサイルにも中間ちゅうかん指令しれい誘導ゆうどうシステムをれるという方式ほうしき次第しだい一般いっぱんてきになっていった。

その

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R-24は、ソ連それん後期こうき主力しゅりょくちゅう射程しゃていミサイルとしてR-23と併用へいようされるかたちひろ使用しようされた。レバノンでの実戦じっせん使用しようのように海外かいがいでの運用うんよう実績じっせきもあるが、どの程度ていど輸出ゆしゅつされたのかについてはあきらかでない。ソ連それん国内こくない配備はいびだんたいについては、ソビエト連邦れんぽう崩壊ほうかいこうロシア連邦れんぽうウクライナベラルーシなど、MiG-23後期こうきがた運用うんようした独立どくりつ国家こっか共同きょうどうたい各国かっこくがれた。

R-24は、結局けっきょく最後さいごまでR-23と併用へいようされ、ロシア連邦れんぽうでは1997ねんMiG-23MLD退役たいえきするまで運用うんようつづけられた。ウクライナでも2000年代ねんだい初頭しょとうにMiG-23MLDが退役たいえきするまで運用うんようされた。そのくにについてはあきらかでないが、MiG-23の運用うんようできるもっと高性能こうせいのう中距離ちゅうきょりミサイルはR-24であったとられることから、MiG-23後期こうきがた現役げんえき時期じきとおして運用うんよう継続けいぞくされたものとかんがえられる。MiG-23が退役たいえきすると、R-24は運用うんようする機体きたいがないため廃棄はいき処分しょぶんされたものとられている。

後継こうけいがたミサイルとしては、おなじくヴィーンペル設計せっけいきょくによってR-27が開発かいはつされた。MiG-23の後継こうけいとなったMiG-29Su-27では、R-24は運用うんようされず当初とうしょよりR-27が搭載とうさいされた。また、改修かいしゅうがたMiG-23-98などでもR-23/R-24にかわってR-27やさらにあたらしいR-77搭載とうさいできるように設計せっけいされた。

かくかた

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R-24
基本きほんがた
R-24R
レーダー誘導ゆうどうがた
R-24T
赤外線せきがいせん誘導ゆうどうがた
R-24M
攪乱かくらん装置そうちたいする対抗たいこうりょく強化きょうかされた発展はってんがた
R-24MR
攪乱かくらん装置そうちたいする対抗たいこうりょく強化きょうかされたレーダー誘導ゆうどうがた
R-24MT
攪乱かくらん装置そうちたいする対抗たいこうりょく強化きょうかされた赤外線せきがいせん誘導ゆうどうがた

スペック

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  • 全長ぜんちょう:4.487m
  • つばさはば:1.0m
  • 直径ちょっけい:223mm
  • 重量じゅうりょう:243kg
  • 弾頭だんとう重量じゅうりょう:35kg(信管しんかん重量じゅうりょうふくむ)
  • 飛行ひこう速度そくどマッハ3
  • 最大さいだい射程しゃてい:50km
  • 最小さいしょう射程しゃてい:0.5km
  • たいG性能せいのう:5–8G
  • 目標もくひょう高度こうど:0.04–25km
  • 全長ぜんちょう:4.194m
  • つばさはば:1.0m
  • 直径ちょっけい:223mm
  • 重量じゅうりょう:235kg
  • 弾頭だんとう重量じゅうりょう:35kg(信管しんかん重量じゅうりょうふくむ)
  • 飛行ひこう速度そくど:マッハ3
  • 最大さいだい射程しゃてい:35km
  • 最小さいしょう射程しゃてい:0.5km
  • たいG性能せいのう:5–8G
  • 目標もくひょう高度こうど:0.04–25km

搭載とうさい航空機こうくうき

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MiG-23MLDの主翼しゅよく基部きぶパイロンに搭載とうさいされたR-24R
胴体どうたい搭載とうさいされている小型こがたのミサイルはR-60

R-24R/Tは、しゅとして以下いか航空機こうくうき搭載とうさいされた。

外部がいぶリンク

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