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典型 てんけい 的 てき なかんむり座 ざ R型 がた 変光星 へんこうせい であるいて座 ざ RY星 ほし の1988年 ねん から2015年 ねん にかけての光度 こうど 曲線 きょくせん 。特徴 とくちょう 的 てき な急減 きゅうげん 光 こう が記録 きろく されている。
かんむり座 ざ R型 がた 変光星 へんこうせい (R Coronae Borealis variable)は、10分 ぶん の1程度 ていど の低 ひく い振幅 しんぷく のモードと1-9等級 とうきゅう の不規則 ふきそく で急激 きゅうげき なモードの2つのモードで光度 こうど が変化 へんか する爆発 ばくはつ 型 がた 変光星 へんこうせい である。RCB と略記 りゃっき する。プロトタイプ星 ぼし は、イングランド のアマチュア天文学 てんもんがく 者 しゃ であるエドワード・ピゴット が1794年 ねん に発見 はっけん したかんむり座 ざ R星 ほし である。それ以来 いらい 、約 やく 100個 こ のかんむり座 ざ R型 がた 変光星 へんこうせい だけが発見 はっけん されており[ 1] 、非常 ひじょう に珍 めずら しい分類 ぶんるい となっている。
減 げん 光 こう は、すす の形 かたち に凝集 ぎょうしゅう した炭素 たんそ が恒星 こうせい の可視 かし 光 こう を遮 さえぎ るために起 お こり、赤外線 せきがいせん では明 あか るさは変 か わらない。かんむり座 ざ R型 がた 変光星 へんこうせい は、通常 つうじょう はF型 かた またはG型 がた の黄色 おうしょく の超 ちょう 巨星 きょせい で、黄色 おうしょく の超 ちょう 巨星 きょせい に特徴 とくちょう 的 てき な二 に 原子 げんし 炭素 たんそ やシアン化物 ばけもの の分子 ぶんし 吸収 きゅうしゅう 帯 たい を持 も つ。かんむり座 ざ R型 がた 変光星 へんこうせい の大気 たいき は、水素 すいそ を欠 か いており、ヘリウム や他 た の元素 げんそ に対 たい する存在 そんざい 量 りょう は、1000分 ぶん の1から100万 まん 分 ぶん の1である。
かんむり座 ざ R型 がた 変光星 へんこうせい のスペクトルは多 おお くの種類 しゅるい に渡 わた るが、ほとんどはF型 がた かG型 がた の超 ちょう 巨星 きょせい かまたは比較的 ひかくてき 冷 つめ たいC-R型 がた の炭素 たんそ 星 ぼし の超 ちょう 巨星 きょせい である。しかし、例 たと えばいて座 ざ VS星 ほし 等 ひとし の3つは青 あお いB型 かた 星 ぼし であり、はくちょう座 ざ V482星 ほし は赤 あか い巨星 きょせい である。また4つはスペクトル中 ちゅう に鉄 てつ のフラウンホーファー線 せん を欠 か いている[ 2] 。共通 きょうつう する性質 せいしつ は、炭素 たんそ の吸収 きゅうしゅう 線 せん が強 つよ いこと、水素 すいそ を欠 か いていること、断続 だんぞく 的 てき なはっきりした減衰 げんすい を持 も つことである。
かんむり座 ざ R型 がた 変光星 へんこうせい の炭素 たんそ の塵 ちり の形成 けいせい については、主 おも に2つのモデルが提案 ていあん されている。1つのモデルは恒星 こうせい 中心 ちゅうしん から恒星 こうせい 半径 はんけい の20倍 ばい の位置 いち で塵 ちり が形成 けいせい されると仮定 かてい し、もう1つのモデルは恒星 こうせい の光 ひかり 球 だま の中 なか で形成 けいせい されると仮定 かてい する。前者 ぜんしゃ の論拠 ろんきょ は、炭素 たんそ の凝集 ぎょうしゅう 温度 おんど が1,500Kであることであるが、かんむり座 ざ R型 がた 変光星 へんこうせい の光度 こうど 曲線 きょくせん が最小 さいしょう 値 ち に達 たっ する直前 ちょくぜん に急速 きゅうそく に減退 げんたい することは説明 せつめい できない。このモデルは雲 くも を形成 けいせい するのに大量 たいりょう の塵 ちり を必要 ひつよう とし、長 なが い時間 じかん がかかるため、急速 きゅうそく な減 げん 光 こう を説明 せつめい するのは難 むずか しい。
後者 こうしゃ は、いて座 ざ RY星 ほし の大気 たいき 中 ちゅう で検出 けんしゅつ されたような衝撃波 しょうげきは の低圧 ていあつ 部 ぶ で局所 きょくしょ 的 てき な暴走 ぼうそう 冷却 れいきゃく により、4,500Kから6,500Kの環境 かんきょう で炭素 たんそ の塵 ちり が形成 けいせい されるとするものである[ 2] 。
恒星 こうせい そのものの形成 けいせい もはっきり分 わ かっていない。標準 ひょうじゅん 的 てき な恒星 こうせい 進化 しんか モデルでは、水素 すいそ を持 も たない大 だい 質量 しつりょう の明 あか るい恒星 こうせい は生 う まれ得 え ない。これらの恒星 こうせい を説明 せつめい するために考 かんが えられている2つの主 おも な理論 りろん は、どちらも風変 ふうが わりで、恐 おそ らくこのような珍 めずら しい恒星 こうせい に相応 ふさわ しいものである。1つは、ヘリウム白色 はくしょく 矮星 と炭素 たんそ -酸素 さんそ 白色 はくしょく 矮星の2種類 しゅるい の白色 はくしょく 矮星が融合 ゆうごう を起 お こした結果 けっか であるとするものである。白色 はくしょく 矮星は通常 つうじょう 水素 すいそ を欠 か いているため、生 しょう じた恒星 こうせい もこの元素 げんそ を欠 か くことになる。2つめのモデル燃焼 ねんしょう 中 ちゅう のヘリウム殻 から での大 だい 規模 きぼ な対流 たいりゅう を仮定 かてい し、水素 すいそ は恒星 こうせい 内部 ないぶ に潜 もぐ っていき、大気 たいき 中 ちゅう にはほとんど存在 そんざい しなくなるとするものである[ 3] 。かんむり座 ざ R型 がた 変光星 へんこうせい の多様 たよう 性 せい は、強 つよ ヘリウム星 ぼし や水素 すいそ を欠 か いた炭素 たんそ 星 ぼし と関連 かんれん する形成 けいせい 過程 かてい の多様 たよう 性 せい のためであると説明 せつめい することができる。
^ Tisserand; Clayton; Welch; Pilecki; Wyrzykowski; Kilkenny (2012). "The ongoing pursuit of R Coronae Borealis stars: ASAS-3 survey strikes again". arXiv :1211.2475v2 [astro-ph.SR ]。
^ a b Clayton, Geoffrey C. (1996). “The R Coronae Borealis Stars”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific 108 : 225. doi :10.1086/133715 . ISSN 0004-6280 .
^ Hema, B. P.; Pandey, Gajendra; Lambert, David L. (2012). “THE GALACTIC R CORONAE BOREALIS STARS: THE C2SWAN BANDS, THE CARBON PROBLEM, AND THE12C/13C RATIO”. The Astrophysical Journal 747 (2): 102. doi :10.1088/0004-637X/747/2/102 . ISSN 0004-637X .