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WR 102ka

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
WR 102ka
スピッツァー宇宙望遠鏡がとらえたWR 102ka(上の小枠内の丸印で囲んだ恒星)、それを囲む赤色の星雲が「牡丹星雲」。赤外線の波長3.6 μmを青、8 μmを緑、24 μmを赤に割り当てて合成。出典: NASA / JPL-Caltech / L. Oskinova (Potsdam Univ.)[1]
スピッツァー宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうがとらえたWR 102ka(うえしょうわくないまるしるしかこんだ恒星こうせい)、それをかこ赤色あかいろ星雲せいうんが「牡丹ぼたん星雲せいうん」。赤外線せきがいせん波長はちょう3.6 μみゅーmあお、8 μみゅーmをみどり、24 μみゅーmをあかてて合成ごうせい出典しゅってん: NASA / JPL-Caltech / L. Oskinova (Potsdam Univ.)[1]
かり符号ふごう別名べつめい Peony nebula star[1]
星座せいざ いて
かけの等級とうきゅう (mv) J: 12.98[2]
分類ぶんるい ウォルフ・ライエぼし
位置いち
もと:J2000.0
あかけい (RA, αあるふぁ)  17h 46m 18.12s[3]
あかぬき (Dec, δでるた) −29° 01′ 36.5″[3]
視線しせん速度そくど (Rv) 60 km/s[4]
距離きょり 26,000 光年こうねん[5]
(8 ×103 パーセク[6]
物理ぶつりてき性質せいしつ
半径はんけい 92 R[7]
質量しつりょう 110 M[4]
スペクトル分類ぶんるい WN10[4]
光度こうど 2.95 ×106 L[4]
表面ひょうめん温度おんど 25,100 K[7][4]
いろ指数しすう (J-H) 2.71[3]
いろ指数しすう (H-K) 1.43[3]
年齢ねんれい ~ 2 ×106 とし[4]
カタログでの名称めいしょう
Peony star, 2MASS J17461811-2901366[8]
Template (ノート 解説かいせつ■Project

WR 102kaは、銀河ぎんが中心ちゅうしん付近ふきんにあるウォルフ・ライエぼしで、既知きち銀河系ぎんがけいうち恒星こうせいなかもっと光度こうどたかいものの候補こうほひとつである[5]

発見はっけん

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WR 102kaが位置いちする銀河ぎんが中心ちゅうしんちかくは、可視かしこうではあつちりおおかくされてまったくみえないが、ちり見通みとおすことができる赤外線せきがいせんであれば観測かんそくすることができる[1]。WR 102kaは、セロ・トロロひろしべい天文台てんもんだいで1996ねんから2000ねんにかけて実施じっしされた、赤外線せきがいせん掃天観測かんそくられた画像がぞうなかから、銀河ぎんが中心ちゅうしんちかくの輝線きせんぼしをみつけだすため、その候補こうほしぼってラ・シヤ天文台てんもんだいしん技術ぎじゅつ望遠鏡ぼうえんきょうや、セロ・トロロの4m望遠鏡ぼうえんきょうで2000ねん、2002ねん分光ぶんこう観測かんそくおこなった結果けっか、ウォルフ・ライエぼしであることがあきらかになった[3]赤外線せきがいせんげんとしては、それ以前いぜん2MASS検出けんしゅつされている[2][3]。また、赤外線せきがいせん宇宙うちゅう天文台てんもんだい銀河ぎんが中心ちゅうしん掃天観測かんそくでも検出けんしゅつされている[9]

名称めいしょう

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WR 102kaという名称めいしょうは、銀河系ぎんがけいないのウォルフ・ライエぼしをまとめたvan der Huchtカタログだい7はんでの命名めいめい規則きそく踏襲とうしゅうしている。この規則きそくは、カタログだい6はんでWR 1からWR 158まであかけいじゅん付与ふよした名称めいしょうえずに、あらたに発見はっけんされたウォルフ・ライエぼしあかけい基準きじゅんにしてだい6はんのカタログに挿入そうにゅうし、追加ついかされたぶんあかけいじゅんにアルファベットの小文字こもじの"a"から接尾せつび付加ふかしてゆく、というものである。WR 102kaは、あかけいがカタログだい7はん収録しゅうろくされたWR 102kとWR 102lのあいだにあることを意味いみしている[3][10][11]

特徴とくちょう

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WR 102kaは、銀河系ぎんがけい中心ちゅうしんからほどちか場所ばしょ存在そんざいし、天球てんきゅうめん射影しゃえいしたいてA*からの距離きょりは、およそ62光年こうねん(19パーセク)と計算けいさんされる[7]

スピッツァー宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうによるきんあかがい中間なかまあかがいでの観測かんそくで、WR 102kaの光度こうど推定すいていされ、太陽たいようのおよそ320まんばいとされた。この光度こうどは、既知きち銀河系ぎんがけいない恒星こうせいで、りゅうこつηいーたほしいでたかいものであった。どちらのほしも、光度こうど正確せいかく決定けっていできているわけではなく、WR 102kaはりゅうこつηいーたほし同等どうとう光度こうどである可能かのうせいもある[1][7]。WR 102kaは、初期しょき質量しつりょう太陽たいようのおよそ150ばい現在げんざい質量しつりょう太陽たいようのおよそ100ばい予想よそうされる、質量しつりょう非常ひじょうおおきいほしである[4]

中間ちゅうかんあかがいスペクトルでは、ちり豊富ほうふ星雲せいうんからの放射ほうしゃしめあかがい超過ちょうかがはっきりみられる。WNがたのウォルフ・ライエぼしほしあまねちり証拠しょうこがみつかったのは、これがはじめてである。ちりからは、内径ないけいほし半径はんけいの1,000ばい程度ていどとみられる[7]。また、水素すいそ分子ぶんし純粋じゅんすい回転かいてん遷移せんいによる輝線きせん検出けんしゅつされており、これも進化しんかすすんだだい質量しつりょうぼし検出けんしゅつされたのは、はじめてのことである[7]あたたかい水素すいそ分子ぶんしからの放射ほうしゃは、ほしあまね物質ぶっしつ中心ちゅうしんぼしからの放射ほうしゃひかり解離かいりする領域りょういき関係かんけいしており、そのすこ内側うちがわHII領域りょういきになっているとかんがえられる。このことから予想よそうされるWR 102kaのまわりのHII領域りょういき半径はんけいは、おおむすうパーセクで、一般いっぱんてき進化しんかしたこう温度おんどぼしまわりでみられるHII領域りょういきよりかなりちいさい。これはWR 102kaが、ほしあいだ物質ぶっしつ密度みつど圧力あつりょくたか領域りょういき位置いちしていることを示唆しさする[7]中間なかまあかがい画像がぞうでは、WR 102kaを星雲せいうん直接ちょくせつ検出けんしゅつされ、そのから「牡丹ぼたん星雲せいうん」とあだされている[7][5]

銀河ぎんが中心ちゅうしん付近ふきんちょう周期しゅうき変光星へんこうせいさがす掃天観測かんそくによって、WR 102kaではきんあかがいで0.1から0.2等級とうきゅうへんこう検出けんしゅつされている[12]

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d Brightest Star in the Galaxy has New Competition”. Spitzer Space Telescope. JPL-Caltech (2008ねん7がつ15にち). 2019ねん5がつ21にち閲覧えつらん
  2. ^ a b Cutri, R. M.; et al. (2003-06), “2MASS All-Sky Catalog of Point Sources”, VizieR: On-line Data Catalog: II/246, Bibcode2003yCat.2246....0C 
  3. ^ a b c d e f g Homeier, N. L.; et al. (2003-09), “Results from a near infrared search for emission-line stars in the Inner Galaxy: Spectra of new Wolf-Rayet stars”, Astronomy & Astrophysics 408: 153-159, Bibcode2003A&A...408..153H, doi:10.1051/0004-6361:20030989 
  4. ^ a b c d e f g Oskinova, L. M. (2013-12), “One of the most massive stars in the Galaxy may have formed in isolation”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 436 (4): 3357-3365, arXiv:1309.7651, Bibcode2013MNRAS.436.3357O, doi:10.1093/mnras/stt1817 
  5. ^ a b c そらかわ銀河ぎんが一番いちばんあかるいほしは、どっち?”. AstroArts (2008ねん7がつ23にち). 2019ねん5がつ22にち閲覧えつらん
  6. ^ Reid, Mark J. (1993), “The distance to the center of the Galaxy”, Annual Review of Astronomy & Astrophysics 31: 345-372, Bibcode1993ARA&A..31..345R, doi:10.1146/annurev.aa.31.090193.002021 
  7. ^ a b c d e f g h Barniske, A.; Oskinova, L. M.; Hamann, W. -R. (2008-08), “Two extremely luminous WN stars in the Galactic center with circumstellar emission from dust and gas”, Astronomy & Astrophysics 486 (3): 971-984, arXiv:0807.2476, Bibcode2008A&A...486..971B, doi:10.1051/0004-6361:200809568 
  8. ^ “WR 102ka -- Wolf-Rayet Star”, SIMBAD (CDS), https://simbad.u-strasbg.fr/simbad/sim-id?Ident=WR+102ka 2019ねん5がつ18にち閲覧えつらん 
  9. ^ Omont, A.; et al. (2003-06), “ISOGAL: A deep survey of the obscured inner Milky Way with ISO at 7 mu m and 15 mu m and with DENIS in the near-infrared”, Astronomy & Astrophysics 403: 975-992, Bibcode2003A&A...403..975O, doi:10.1051/0004-6361:20030437 
  10. ^ van der Hucht, Karel A. (2001-02), “The VIIth catalogue of galactic Wolf-Rayet stars”, New Astronomy Reviews 45 (3): 135-232, Bibcode2001NewAR..45..135V, doi:10.1016/S1387-6473(00)00112-3 
  11. ^ van der Hucht, K. A. (2006-11), “New Galactic Wolf-Rayet stars, and candidates. An annex to The VIIth Catalogue of Galactic Wolf-Rayet Stars”, Astronomy & Astrophysics 458 (2): 453-459, Bibcode2006A&A...458..453V, doi:10.1051/0004-6361:20065819 
  12. ^ Matsunaga, Noriyuki; et al. (2009-11), “A near-infrared survey of Miras and the distance to the Galactic Centre”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 399 (4): 1709-1729, Bibcode2009MNRAS.399.1709M, doi:10.1111/j.1365-2966.2009.15393.x 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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