震災の被害を免れた珠洲焼を一堂に集めた特別展示販売会「珠洲焼創炎会展」が5月3日~5日の3日間、しいのき迎賓館(金沢市広坂2)で開かれた。
展示販売された珠洲焼作品
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元日の地震で、窯のほとんどが被害を受け、再開のめどは立っていないが、陶工の団体である「珠洲焼創炎会」に所属する約30人が、被害を免れた作品1200点を持ち寄り、復興への第一歩として企画した。
珠洲焼は、平安時代末期から室町時代後期にかけて、石川県能登半島の最北端の珠洲市を中心に生産された焼き物で、1200度以上の高温で焼き、窯内を酸欠状態にすることで生まれる灰黒色のフォルムが特徴。珠洲市などにより1979(昭和54)年に復活し、石川県の伝統的工芸品に指定されている。
初日は、つぼやかめなどの大型作品から、日常使いできる皿やビアカップまで、大小さまざまな作品が並び、珠洲焼を求める多くの来場者で終始にぎわいを見せた。珠洲焼基礎課程2回生で運営を手伝う金丸聖さんは珠洲焼を学ぶため、昨年5月に移住し、2度の震災を経験した。現在も珠洲市で暮らしながら、災害ボランティアとしても活動している。金丸さんは「今朝、珠洲から駆け付けたが、開場前から列ができ、大勢の人が来てくれてうれしい。先日、ようやく水道も通り、前向きに頑張っていきたい」と前を向く。金沢に一時避難している珠洲市の住民や能登方面から訪れた客もいるという。
珠洲焼創炎会の篠原敬会長は「まだまだ作陶できない作家も多いが、これが第一歩。珠洲焼の復興が地域再生の光となってくれれば。これからも、チーム珠洲焼で一丸となって、盛り上げていきたい」と意気込む。収益は全て各陶工の支援に使われる。
3日は、珠洲市の物産品の販売も行われた。珠洲市産業振興課の岡田あゆみさんは「たくさんの人に買っていただき、ありがたい。現状はまだまだだが、頑張っている珠洲焼とともに、珠洲市も復興を目指していきたい」と話す。