日常にちじょう（読よみ）ニチジョウ

中山なかやま法華経ほけきょう寺てら（現げん，千葉ちば県けん市川いちかわ市し）の開山かいさん。もとの名なを富木とみき常つね忍にん（ときじようにん）という。常つね忍にんは下総しもうさ国守くにもり護まもる千葉ちば頼よりゆき胤たねの家臣かしんであった。1254年ねん（建けん長ちょう6）たまたま日にち蓮に会あってその教化きょうかを受うけ，終生しゅうせい変かわらぬ檀越だんおち（だんおつ）（信者しんじゃ）として尽つくした。日にち蓮から深ふかく信頼しんらいされてたびたび消息しょうそくを送おくられ，とくに佐渡さわたりの流罪るざい地ちから託たくされた《観かん心こころ本尊ほんぞん抄しょう》（国宝こくほう）は，日にち蓮の信仰しんこう世界せかいを示しめすもっとも貴重きちょうな著述ちょじゅつとして有名ゆうめいである。日にち蓮の在世ざいせい中ちゅうは，下総しもうさ地方ちほうに住すむ信者しんじゃの中心ちゅうしんとして活動かつどうし，日にち頂いただきを支ささえて《法華経ほけきょう》の信仰しんこうに励はげんだ。日にち蓮が没ぼっすると，自宅じたくを改あらためて法華寺ほっけじを開ひらけ創そうし，日にち頂いただきを住持じゅうじとして中山法華経寺なかやまほけきょうじの基礎きそを築きずいた。しかし，やがて両者りょうしゃの間あいだに隙すきを生しょうじたので日にち頂いただきを追放ついほう，日常にちじょうと改名かいめいしてみずから住持じゅうじとなった。日にち蓮から賜たまわった著書ちょしょや消息しょうそくを集あつめ，聖教せいきょう殿どの（しようぎようでん）を設もうけて後世こうせいに伝つたえようと《本尊ほんぞん聖教せいきょう目録もくろく（ほんぞんしようぎようもくろく）》と題だいする目録もくろくを作成さくせいし，後事こうじを日にち高だかに託たくして没ぼっした。
執筆しっぴつ者しゃ：中尾なかお 尭たかし