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黒塚(クロヅカ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

くろづかみ)クロヅカ

デジタル大辞泉だいじせんくろづか」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

くろづか【くろづか

福島ふくしまけん二本松にほんまつ阿武隈川あぶくまがわ東岸とうがん安達あだちあだちばら古跡こせき鬼女きじょ伝説でんせつがある。
謡曲ようきょく番目ばんめぶつ観世かんぜりゅうでは「安達あだちばら」。奥州おうしゅう安達あだちばらにすむ鬼女きじょいえ山伏やまぶし投宿とうしゅくし、おそわれるがいのせる。
歌舞伎かぶき舞踊ぶよう長唄ながうた木村きむら富子とみこ作詞さくし、4せいきね佐吉さきち作曲さっきょく昭和しょうわ14ねん(1939)東京とうきょう劇場げきじょう初演しょえんによったもので、市川いちかわ猿之助えんのすけえらんだ得意とくい舞踊ぶよう猿翁えんおうじゅうしゅ」のひとつにかぞえられている。

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてんくろづか」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

くろづか【くろづか

  1. [ いち ] 福島ふくしまけん二本松にほんまつ東部とうぶ安達あだちげん一部いちぶ名称めいしょう花崗岩かこうがんづかがある。むかし鬼女きじょんでいたという伝説でんせつがあり、歌枕うたまくらとして名高なだかい。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「みちのくの安達あだちはらのくろづかにおにこもれりとくはまことか」(出典しゅってん大和やまと物語ものがたり(947‐957ごろはち)
  2. [ ] 謡曲ようきょく安達あだちげん」の別名べつめい観世かんぜりゅう以外いがいもちいる。

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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてんくろづか」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

くろづか (くろづか)

(1)のう曲名きょくめい観世かんぜりゅうは《安達あだちげん(あだちがはら)》としょうする。よん番目ばんめぶつ作者さくしゃ不明ふめいシテ鬼女きじょたび山伏やまぶし(ワキ)が陸奥みちのく安達あだちばられ,荒野あらの一軒屋いっけんや宿やどりる。あるじのおんなぜんジテ)は,たびなぐさみにもなろうと糸車いとぐるままわしてせながら,あさましいうえなげいたり(〈かたグセ〉),えていとつくしのうたうたったりする(〈ロンギ〉)。よるけてさむさがすと,おんなたきぎってようとい,留守るすちゅう(ねや)をないようにとねんしてやまかける。とも能力のうりょく(アイ)がそっとのぞくと,寝屋ねやにはひと死体したい散乱さんらんしている。山伏やまぶしたちは,さてはおに有名ゆうめいくろづかだったかとす。やまからかえって様子ようすったおんなこうジテ)は,鬼女きじょ形相ぎょうそうあらわしてせまり,山伏やまぶしあらそうが,ついにいのせられる(〈イノリちゅうノリ〉)。人間にんげんしんめんせいえがいたのうとみることもでき,その場合ばあいあらわ小屋こやつくもの象徴しょうちょうてき意味いみをもつ。人形浄瑠璃にんぎょうじょうるり奥州おうしゅう安達あだちげん》などの原拠げんきょ
執筆しっぴつしゃ(2)歌舞伎かぶき舞踊ぶよう長唄ながうた。1939ねん11月東京とうきょう劇場げきじょうで2せい市川いちかわ猿之助えんのすけ(のちの猿翁えんおう)が初演しょえん作詞さくし木村きむら富子とみこ作曲さっきょく4せいきねきねや)佐吉さきち振付ふりつけ2せい花柳はなやぎ寿輔じゅすけ(のちの寿ことぶきおう),舞台ぶたい装置そうち松田まつだあおふう。3かん構成こうせいになっている。のうくろづか》に取材しゅざいした舞踊ぶようげきは,明治めいじ初年しょねん以来いらいすうしゅあったが,ほんきょくのう脱却だっきゃくした近代きんだいてき解釈かいしゃくくわえ,バレエから振付ふりつけヒントている。装置そうち照明しょうめいにも近代きんだい感覚かんかくんだしん舞踊ぶよう。3せい猿之助えんのすけがれ,海外かいがい公演こうえんでも好評こうひょうはくしている。〈猿翁えんおうじゅうしゅ〉のひとつ。
執筆しっぴつしゃ

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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてんくろづか」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

くろづか
くろづか

(1) のう曲名きょくめい番目ばんめぶつ観世かんぜりゅうでは「安達あだちげん (あだちがはら) 」とぶ。作者さくしゃしょうゆうけい山伏やまぶしいちぎょう (ワキ,ワキツレ,アイ) が,陸奥むつ安達あだちばらで,とあるあん宿やどりる。そのおんな主人しゅじん (ぜんシテ) は,糸繰いとくわざせ,浮世うきよのはかなさをなげく。よるがふけてさむさがすと,おんな留守るすあいだねや (ねや) をるなといいのこして裏山うらやまたきぎをとりにかける (中入なかいり) 。不審ふしんおもった能力のうりょく (アイ) がねやをのぞくと,にん死骸しがい白骨はっこつ累々るいるいかさなっている。そこでじょ主人しゅじんじつ鬼女きじょだとり,いちぎょうす。やまからかえったおんな鬼女きじょ姿すがたとなって (こうシテ) せまるが,山伏やまぶし法力ほうりきいのせられる。前場ぜんばおんなふか孤独こどくごう後場ごばは『あおいじょう』『道成寺どうじょうじ』とおなじく般若はんにゃめんをつけた鬼女きじょおそろしさをえがく。浄瑠璃じょうるり奥州おうしゅう安達あだちげん』の原拠げんきょ。 (2) 歌舞伎かぶき舞踊ぶようきょく長唄ながうた。 1939ねん 11月東京とうきょう劇場げきじょうで2せい市川いちかわ猿之助えんのすけにより初演しょえん木村きむら富子とみこ作詞さくし,4せいきね佐吉さきち作曲さっきょく,2せい花柳はなやぎ寿輔じゅすけ振付ふりつけ同名どうめい謡曲ようきょく (1) を原拠げんきょとする。老女ろうじょけて旅人たびびと安達あだちばら鬼女きじょが,客僧きゃくそう阿闍梨あじゃりゆうけいふつみちかれて後生ごしょうねがうようになるが,人骨じんこつやまかさなるねやをのぞかれて憤怒ふんぬ本性ほんしょうあらわし,最後さいご法力ほうりきによりいのせられるというもの。仏果ぶっかねが老女ろうじょればれとした心境しんきょう表現ひょうげんしたおどりと,鬼女きじょ本性ほんしょうあらわしたのちの荒々あらあらしさとの対照たいしょう眼目がんもく

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百科ひゃっか事典じてんマイペディアくろづか」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

くろづか【くろづか】

のう曲目きょくもく安達あだちげん(あだちがはら)とも。番目ばんめぶつりゅう現行げんこう安達あだちげん一軒家いっけんやきぬなげきの糸車いとぐるま老女ろうじょのところへ,山伏やまぶしたちが宿やどりるが,約束やくそくやぶってねや(ねや)の死体したいやまおどろき,すと老女ろうじょおにへんじてあとをう。人間にんげん孤独こどくごう(ごう)をえがいた傑作けっさく近世きんせい演劇えんげき三味線しゃみせん音楽おんがく題材だいざいとしてこのまれ,人形浄瑠璃にんぎょうじょうるりの《奥州おうしゅう安達あだちげん》をはじめ,それを改作かいさくした常磐津ときわづたかし安達ケ原あだちがはら》,長唄ながうたどう名曲めいきょくなどがつくられている。長唄ながうたは,能楽のうがく日吉ひよしよし左衛門さえもん依頼いらいによって1870ねんに2せいきね勝三郎かつさぶろう作曲さっきょく作曲さっきょくしゃさん大作たいさくをいう〈きねかちさんつて〉のひとつ。そののう歌舞伎かぶき舞踊ぶようした《くろづか》としょうする作品さくひんすうしゅある。
関連かんれん項目こうもく切能きりのうぶつ

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歌舞伎かぶき浄瑠璃じょうるり外題げだいよみかた辞典じてんくろづか」の解説かいせつ

くろづか
くろずか

歌舞伎かぶき浄瑠璃じょうるり外題げだい
作者さくしゃ
木村きむら富子とみこ
初演しょえん
昭和しょうわ7.10(東京とうきょう歌舞伎座かぶきざ)

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうちくろづか言及げんきゅう

安達あだちばら】より

安達あだちばら歌枕うたまくらとしておおくのうたまれ,安達太良山あだたらやま南東なんとうふもと本宮ほんぐう盆地ぼんちすともわれる。この土地とちにはふるくからおにむという伝説でんせつがあり,たとえば平安へいあん後期こうき成立せいりつの《拾遺しゅうい和歌集わかしゅう》に,平兼盛たいらのかねもりえいとして〈みちのくの安達あだちはらくろづかおにこもれりときくはまことか〉のうたはいっている。この古伝こでんせつまえて,謡曲ようきょくの《安達あだちげん》(現在げんざい観世かんぜりゅう以外いがい流派りゅうはでは《くろづか》という)がまれた。…

※「くろづか」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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