偏愛へんあい的てきプレミアリーグ見聞けんぶん録ろく

クラブの公式こうしきサイトがアナウンスしたのは、2023年ねん6月がつ28日にち。カイ・ハヴェルツのアーセナル移籍いせきは、総額そうがく6500万まんポンドの移籍いせき金きんとともに、驚おどろきをもって報ほうじられました。2週間しゅうかん後ごに1億おく500万まんポンドで獲得かくとくしたデクラン・ライスほど、必要ひつような存在そんざいと見み做されていなかったからです。チェルシーでは最前線さいぜんせんでプレイすることが多おおかったアタッカーは、ベストポジションが不明ふめいな選手せんしゅでした。

それから15ヵ月かげつ。彼かれとレアンドロ・トロサールが、2トップとして絶大ぜつだいな信頼しんらいを集あつめる世界せかいを想像そうぞうした人ひとはいなかったでしょう。現地げんちメディアの記者きしゃは、「アルテタ戦術せんじゅつを体現たいげんするストライカー」「シーズン20ゴールを叩たたき出だせる」と絶賛ぜっさんしています。これまでの軌跡きせきを振ふり返かえりつつ、「新あらたなストライカー不要ふよう論ろん」について考察こうさつしてみましょう。

当初とうしょの指揮しき官かんの構想こうそうは、左ひだりのインサイドMF。グラニト・ジャカの後継こうけい者しゃでした。193cmの長身ちょうしんを活いかしたヘディングとフィジカルの強つよさを兼かね揃ぞろえたアタッカーは、ジャカのように攻守こうしゅのバランスを取とりながら、攻撃こうげき力りょくを高たかめることを求もとめられていました。2023-24シーズンの最初さいしょの4試合しあいは先発せんぱつで起用きようされたものの、フィットするまでに時間じかんがかかりそうでした。

プレミアリーグ12節せつのバーンリー戦せんまでのゴールは、ボーンマス戦せんでブカヨ・サカに譲ゆずられたPKのみ。センターフォワードとしてプレイしたのは、マルティネッリの決勝けっしょうゴールをアシストしたマンチェスター・シティ戦せんの15分ふんだけでした。それでも着実ちゃくじつにアーセナルでの役割やくわりに慣なれていったMFは、11月末まつのブレントフォード戦せんからの5試合しあいで3ゴールをゲットしました。

ジャーナリストもグーナーも、彼かれはこのままジャカのポジションで得点とくてん力りょくと守備しゅび力りょくを活いかすものと考かんがえていたはずです。度重たびかさなる負傷ふしょうに苦くるしんだガブリエウ・ジェズスと、開幕かいまくからの3試合しあいで2ゴールを決きめたエンケティアが結果けっかを出だしていれば、現在げんざいのカイ・ハヴェルツへの評価ひょうかは違ちがうものになっていたでしょう。最前線さいぜんせんで初はじめて先発せんぱつしたのは、2月がつ25日にちのニューカッスル戦せんでした。

この試合しあいでゴールを決きめたレフティは、最前線さいぜんせんで先発せんぱつしたプレミアリーグ11試合しあいで8ゴール6アシストという出色しゅっしょくの数字すうじを残のこしています。3月がつ以降いこう、左ひだりのインサイドに戻もどったのは、アストン・ヴィラ戦せんとウルヴス戦せんのみ。ジェズスを復活ふっかつさせたかったのだと思おもわれますが、ゴール＆アシストを積つみ重かさねていた彼かれを中盤ちゅうばんに配はいしたヴィラ戦せんの采配さいはいは、痛恨つうこんだったといわざるをえません。

2024-25シーズンは開幕かいまくからセンターフォワードで、公式こうしき戦せん9試合しあい5ゴール1アシスト。直近ちょっきんはペースアップしており、カラバオカップのボルトン戦せん、プレミアリーグのレスター戦せん、チャンピオンズリーグのパリ戦せんと3試合しあい連続れんぞくでゴールを記録きろくしています。絶妙ぜつみょうな飛とび出だしからのヘッダーは、ジェズスやトロサールにはない魅力みりょくです。

アーセナルに移籍いせきしてからのプレミアリーグのスタッツを見みると、左足ひだりあしで9発はつ、右みぎは3発はつ、ヘディングは4つ。ボックスの外そとからは、サカが仕掛しかけたカウンターからのループシュートのみで、75％はゴール前まえからのフィニッシュです。プレーヤーとしては、激はげしいプレスや泥どろくさい守備しゅびを厭いとわないオールラウンダーですが、最前線さいぜんせんでは純度じゅんどの高たかいワンタッチゴーラーです。

カイ・ハヴェルツがシーズン20発はつに到達とうたつしても、次つぎの夏なつにシェシュコやギョケレスに目めを向むけるのでしょうか。ワールドカップカタール大会たいかいで重傷じゅうしょうを負おってから、トップフォームに戻もどらないジェズスを諦あきらめるなら、新あらたなストライカーが必要ひつようとなります。ただし獲得かくとくするなら、実績じっせきと高額こうがくがセットの即そく戦力せんりょくではなく、磨みがけば輝かがやきそうな原石げんせきでしょう。

今季こんきのプレミアリーグ2で5戦せん5発はつのネイサン・バトラー＝オイェデジや、3戦せん3発はつのケイヨン・エドワーズにチャンスを与あたえるという手てもあります。カイ・ハヴェルツは、プレミアリーグ最強さいきょうストライカーの座ざはハーランドに譲ゆずるとしても、「アルテタ戦術せんじゅつをインストールした最高さいこうのストライカー」にはなれるはずです。今日きょうのセインツ戦せんでも、ぜひ爽快そうかいなゴールを！