「そうなの?」
なんだ、消したわけじゃあないんだ…
何だかホッとしたような、物足りないような気分だ。
「そうだ、カメ!」
思い出したように、ショータが言う。
グリンがさっき、ない…と言っていたのだが。
「あぁ~たしかに、ないなぁ」
ナイトは平然と、そう答える。
「ない?まさか、消したの?」
さっき、グリンが消えたみたいに?
ユウジの言葉に、あはは!とナイトが笑う。
「なんだよ、さっきから~人聞きの悪いなぁ。
よっぽど私に、消して欲しいみたいだなぁ」
そんなことが、ホイホイと出来るわけがないだろ!
軽い口調で、ユウジに向かってそう言う。
ショータは自分の腕にはまっている、リングを見つめる。
さっきまで、白く光っていたのだが…
もうその光はなく、ただの元の状態に戻っているようだ。
手を触れても、あの激しい暑さももうなくなっている。
「さっきのあれは、何だったのだろう」
ポツンとつぶやく。
「たぶん、魔の者に反応していたんだろう」
サラリと、そう答える。
「反応?もしかして、センサーみたいなもの?」
しげしげと、自分の腕を見つめる。
あの懐中時計のようなものか?
だがナイトは、ショータを振り向くと、
「そんなものじゃあないぞ」
にこやかに答える。
「そのエンジェルリングは…キミを正しい道に導いてくれる、
素晴らしいお守りなんだ」
ナイトはやけに、もったいぶったい方をする。