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ドリームトリップはBLで 雄好 7-3.初任務
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このみ 7-3.はつ任務にんむ

 おくから芳香ほうこうふくんだ生暖なまあたたかく湿しめったふうが、規則正きそくただしくやってくる。

 あたりはくらく、自分じぶんまわりでさえ視界しかい覚束おぼつかない。
 そのうえ、トランポリンのうえあるいているかのように、足場あしば弾力だんりょくがあって不安定ふあんていだ。おもいのほかあるくのに筋力きんりょく使つかう。

 それに女神めがみの”キー”があるかもしれない場所ばしょだ。これも一種いっしゅのダンジョンであるのにはちがいないから、油断ゆだん出来できない。
 しかも、時間じかん時間じかんだ。れれば、じゅうたちうごきも活発かっぱつになる。
 博雅はくがおに合流ごうりゅうするまでのあいだ不本意ふほんいだがじゅうすうたい、アイテムボックスからすことにした。
 発光はっこうせいのあるバタフライ、はなくケンタロス、怪力かいりきのオーク。わすれもしない敏也としやがはじめてテイムした「名無ななし001」だ。

 じゅうたちはみな、久々ひさびさ娑婆しゃば(シャバ)の空気くうきったことよりも、あいしの敏也としやえたことをよろこぶ。
 バタフライが鱗粉りんぷん(リンプン)をりまきながら敏也としやはなあたまにキスをしてくるぐらいは可愛かわいらしかった。

 だが、ケンタロスにはゆびをベロベロとめられ、オークにはあつ抱擁ほうようされて、あやうく圧死あっしするかとおもった。
 だしした早々そうそう後悔こうかいした。

 それでもかりができたことは有難ありがたい。ケンタロスを先頭せんとうにオークを殿しんがり(シンガリ)にいて、おそおそまえへとすすみ、カーブをくるりとまわりたところで、予測よそくしていた合流ごうりゅう地点ちてんへとた。

 さき到着とうちゃくしていた博雅はくがおに余程よほどちくたびれたか、しかめっつらでイライラとゆび関節かんせつらしている。ぐに敏也としや姿すがたみとめたようなのだが、わらわらと敏也としやかこむテイムじゅうたちの存在そんざいづき、益々ますます渋面じゅうめんになった。

たせて、ごめんね。なるべくはや合流ごうりゅうしなければとおもったのだけど、また道中どうちゅうでいろいろとえちゃって……」

 敏也としや新入しんいりたちをゆびさす。
 だが、博雅はくがおに寒心かんしんにたえないすごみに、新入しんいりたちはふるがる。

「あっ、もう、博雅はくがおにもいるし、大丈夫だいじょうぶかな? ほら、みんな一旦いったんボックスにはいってね。名無ななし001たちも、ありがとう」

 じゅうあいだ板挟いたばさみにえられずに、かりをともすバタフライ以外いがい早々そうそうにアイテムボックスにしまう。てくるのは空笑そらわらいばかり。
 とはいえ、この博雅はくがおにおこったかおきらいではない。
 それに、じゅうたちを帰還きかんさたら、博雅はくがおに先程さきほどとはってわり、かりつらいながらにもすこうれしそうな表情ひょうじょうになった。

(あれ、この反応はんのう、”ちゃマロ”みたい)

 ”ちゃマロ”は敏也としや前世ぜんせいっていた愛犬あいけんだ。警戒けいかいしんつよいものの、ぬし忠実ちゅうじつ柴犬しばけん雑種ざっしゅで、敏也としやかまってあげるとおおきな尻尾しっぽをブンブンとって々としてあまえてきた。

 博雅はくがおに日頃ひごろ大人おとなびてクールだから、こういう反応はんのうをされると、その落差らくさあいおしさをかんじる。

かれたものの、問題もんだいはなかったようだな。形状けいじょうといい、やはりここ自体じたいかみじゅう領域りょういきみたいだな」
「うん」
「どうだ? このさきなにかんじるか? においはつよくなってきているようだが」
「うん、うでられる感覚かんかくしてきた。あのときおなじなら、女神めがみの”キー”があるとおもう」
「そうか。ならば、こう」

 博雅はくがおに足元あしもと風雲ふううんつくると、れていってやるかられとわんばかりに敏也としやかってした。
 敏也としやはその風雲ふううんのぼると、博雅はくがおに背中せなかうでまわして、しっかりとしがみつく。
 獣人じゅうじんといえど敏也としやおなじようにかよっている。密着みっちゃくしたところから博雅はくがおに体温たいおんつたわってきて心強こころづよい。

 そのままどんどんと奥深おくふかくだっていくと、だだっぴろ空洞くうどうた。底部ていぶ琥珀こはくしょくみずり、ちゅうからぐつぐつと気泡きほうこっている。
 あまかおりをともなっているから、一見いっけん炭酸たんさん飲料いんりょうのようで美味おいしそうなのだが、ここにちたらきっとタダではまないだろう。けて、敏也としやもこの炭酸たんさん飲料いんりょう一部いちぶになってしまうかもしれない。しがみつくにキュッとちからをこめる。
 すると、博雅はくがおに敏也としやおもんばかってか、ささえるうでちからつよくする。

「どうだ? どちらの方向ほうこうだ」
みぎおく

 敏也としや指示しじしたがい、博雅はくがおにかじる。
 すると、いわ隆起りゅうきしてテラスになったところがあらわれた。そこにつと、中央ちゅうおう祭壇さいだんがあり、厳重げんじゅう結界けっかいめぐらされなかに”キー”があった。

「さすが使徒しとだな。こう容易たやすく”キー”のあるところまで、侵入しんにゅうできるとは」
「こんなものじゃないの?」
ちがうな。普通ふつう門番もんばんかみじゅう目覚めざめて、くるう」

 たしかに敏也としやはじめて”キー”をにしたときも、使徒しとである自分じぶんはダンジョンのさい下層かそうまで容易たやすくことができた。一方いっぽう博雅はくがおには”キー”をまもかみじゅう交戦こうせんしていた。
 かぎじょうにもかみじゅうにも、使徒しとかを識別しきべつするちからがあるようだ。”キー”は各地かくちらばっているとはいえ、やはり敏也としやあつめること自体じたいはそう困難こんなんではないようだ。

「じゃ、いくよ」

 敏也としやはじめてかぎんだときおなじく、ながれるガイダンスにしたがい、”キー”にかざす。
 すると、”キー”は発光はっこうしながら、敏也としや指先ゆびさきからびたつた辿たどり、このかぎてい位置いちおもわれる鍵穴かぎあなへとしっぽりとおさまった。皮膚ひふにはかぎいんともに「Ⅱ」の数字すうじきざまれた。

かみじゅう、ありがとう。たしかに”キー”をったよ。だけど、つづきこのむらのこともよろしくね」

 岩肌いわはだれると、「まかせておけ」とばかりにそこがポコポコと波打なみうった。

――これでふたの”キー”があつまった。

 敏也としやたちはいちにち、このむら羽根はねばしたのちに、ふたたびブキ・パントランへともどっていった。




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