今回は2024年10月17日よりNetflixで配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』を全6話鑑賞したので、その感想記事となります。
私は戦争映画が大好きです。特に好きなのは戦地からの脱出を描いたダンケルク(監督:クリストファーノーラン)。
本作品は日本製ガンダムよりもより一層戦争映画に近い文脈で語られる作劇が印象に残りました。
年齢層高め=大人なメインキャラクターが織りなすドラマ。
歩兵・戦車などのMS以外の兵力の描写が豊富。
勝利ではなく「生き延びる」ことを目的とした作劇。
戦争映画好きには堪らない要素がてんこ盛りです。これを快作と呼ばずして何と呼ぶ!
ガンダムらしさを残しつつも新規ガンダムファンの食指に触れるような逸品であったと断言できます。
既存のガンダムファンにも十分面白い作品であると感じましたが、どちらかというと新規ファン開拓という使命を帯びた作品であると思いますので、この作品を機によりグローバルにファンが増えていったら嬉しく思います。
今回の記事では『復讐のレクイエム』に触れて感じ取った魅力についてお届けできたらと思います。
分析:復讐のレクイエムの魅力3選
本作品には多数の魅力があります。シナリオ・キャラクター・音楽などなど。
この記事でその全てを触れるのはボリューム的に多すぎるので私がどうしてもピックアップしたい要素3選について語らせていただきます。
MSの兵器としての魅力を届ける演出
本作品のMSの挙動は重量感を感じさせる方向性でした。
近年に日本製ガンダムはスピード感を全面的に押し出していくアプローチでしたが、本作は全く異なる方向に舵を切ってきた印象です。
この重量感を重んじる演出が味わい深い!
MSが巨大兵器で質量の塊であることを再確認させてくれる。地球の重力化だからこそ描ける演出でもあると思うので本作のロケーションを有効活用している点とガンダムEXの化け物級の機動力・運動性能との対比効果も素晴らしい!
白い悪魔の名に相応しいガンダムEXの脅威から逃げる脱出劇
本作に登場する目玉MS「ガンダムEX」。
ガンダムEXが挙げる戦果は他のMSの追従を許さない圧倒的な代物。それが味方ではなく敵として立ちはだかる物語構造の面白さときたらこれまでのガンダムシリーズとは別ベクトルの旨みがあります。
圧倒的脅威の前にするソラリ大尉が決して折れない不屈の精神と母親としての人間性で立ち向かっていく姿勢は心に響きます。
白い悪魔のデザイン比較
正面から比較。
デザイン・造形・カラーリング・プロポーション。どこをとっても別物なのだけどちらもガンダムであると頷けるデザインに仕上がっている。メインカラーのホワイトも白亜・灰色に近い感じなのもヒール感を増長させて素晴らしい!
何より白い悪魔の呼び名に相応しい外観に再解釈されているのが汲み取れるのが良い!
本作の主人公陣営はガンダムと相対するジオン軍側なのでガンダムの圧倒的脅威を容姿・外見に反映させたかのような新規デザインに膝を打ってしまいます。
背面の無骨さも良いですね〜
背部マシンガンユニットは追加武装のようでいて、オリジナルの頭部バルカンに代わる武装なのかな?
サーベルラックが3本に増設されている点は素直にオリジナルよりもパワーアップしているポイントと見て良さそうです。
【感想】劇中での「白い悪魔」の印象
全6話まで通してみて一貫してガンダムEXに抱いた印象を一言でまとめると・・・
ゴジラ
日本で初めてハリウッドに渡った映画スターであり、怪獣王に異名に相応しい強さを誇るゴジラ。
今回のガンダムEXの戦果を目の当たりにするとゴジラを彷彿とさせて止まない。
硬い(戦車の砲撃や爆撃にも耐える装甲)
圧倒的ビーム兵器の破壊力(一撃でMSを仕留める)
他のMSを凌駕する機動性・運動性
走攻守、3拍子揃った化け物。それがガンダムEX。
残酷な戦争描写と対比的なアーティスティックな映像美
本作は色鮮やかな”赤”の配色が目立つシーンが豊富です。
夕焼け・木々の紅葉・赤いドレス・無識別型ザクなどなど。
同じ赤でも大気だったり、植物だったり、兵器だったりとバリエーション豊か。
戦争で血生臭い過酷な出来事ばかりが描写されていくのだけどこういった美しい映像にも触れられると脳がバグってきます。いい意味で。
深掘り分析ポイント3選
ここから先は本作をより堪能するために気になった箇所3ポイントを深掘りしていきましょう。
ガンダム(宇宙世紀)の正史に属するタイトルなのか?
正直、ここは判断が難しい。人によっては意見が異なりそうで公式の答えを聞かせて欲しい。
しかし、判断が難しいからと無回答というのも野暮というものなので現時点の自分の答えを残しておきます。
私の見解としては正史には属していないパラレル作品であるという答えに落ち着きます。
- ビーム兵器のアドバンテージをジオン軍側がまだ持っていないこと
- 一年戦争末期の開戦から11ヶ月目であること
以上の二点の理由から正史とは異なるタイムラインを歩んでいるパラレル作品である方が納得できます。
関連作品の予習をしないと楽しめない?
原点となる『機動戦士ガンダム』と同時期・同舞台ですが作中に登場するキャラクターなどは独立した人物ばかり。本作品のメインキャラクターだけで物語が進行していくので戦争をしている設定だけ齧っておけば十分作品を堪能できます。
もし予習するならばTVアニメをまとめた劇場3部作がおすすめ。後に派生する『機動戦士Zガンダム』なども劇場3部作の続編という立ち位置。宇宙世紀ガンダムの原点はTVアニメ版だけど、後に続くシリーズ作品の起点となっているのは劇場版の方なので尚のこと劇場版がオススメです。
【図解】一年戦争とは
超簡単に図解すると上記のような図式になります。
戦争をしている動機が理解できれば幸いです。
【⚠️ネタバレ要注意】続編の可能性は難しい?
本作品に続編の余地自体はあります。ソラリ大尉は生き延びたわけですからね。
しかし、ガンダムとそのパイロットの末路的に続編できるのかな?と考えしまいます。なんたってコックピットを背部から貫かれたわけですからね・・・
あれで生存しているとは考えにくい。
ガンダムが退場したのにガンダムのタイトルを維持したまま続編ができるのかと問われれば誰でもNOと答えるでしょう。
ガンダムがワンオフ機という訳でもないので、別の機体をこしらえることができればガンダムというタイトルをキープしたまま続編をリリースすることも可能でしょうが、そうなると時系列的に一年戦争のどこに当たるのか問題とかZガンダムの時期に突入するのかなど色々と思案させられる。
本作品をシリーズ化していくことは色々と厄介なハードルが付き纏いそうなので、そのリソースは別のところに投入する方が賢明だと思います。
【短評】感想いろいろ(⚠️ネタバレ有り)
ここからは感想コーナーです。
視聴していて感じたことをそのまま書きしていかせていただきます。
タイムリープ物かと思った第1話の終わり方
第1話のラスト。ソラリ大尉が絶体絶命の状況で幕を引きます。
彼女が大事している懐中時計や敵の攻撃を察知した事実などを勘案すると彼女がタイムリープしてこの戦場を何度も経験していると疑ってしまいました。
蓋を開いてみるとソラリ大尉はニュータイプだったというガンダムらしいオチだったので、全くの見当違いだったのですけどね。
ただ占拠した基地の爆破を予見したのはニュータイプとして解釈が違うな〜とか思ってしまった。強引に納得するとするならば爆発物を仕込んでいた連邦兵の思念をソラリ大尉が察知したということなのかな?
【人形劇っぽい】人間の**腕**の動きはなんかもっさりしてるな〜
MSの挙動・所作は機械的で良いです。
しかし、人間の腕の動きがなんかもっさりしている。人形劇っぽいと言えば伝わるでしょうか?妙なフワフワした挙動が残る。
人間の自然な仕草ではないように感じました。
普段日本やハリウッド(ピクサーなど)のハイクオリティCGアニメを摂取しているからなのか目が肥えてしまっていたんだろうか?
【復讐のレクイエム】タイトルに込められた意味
結構物騒なタイトルで今作は私怨剥き出しの復讐劇になると思い込んで見始めたのですが、違いましたね。
復讐に囚われそうになっている仲間を鎮めるのがソラリ大尉の作品内での立ち位置でした。
ソラリ大尉の人間性は素晴らしいですね。ガンダムシリーズは母性を描いていると言われますが、本作品は母親である彼女が主人公なのでより如実に母性が反映されていてガンダムしているな〜と感心してしまいました。
終わりに
今回はNetflixで配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』をレビューしました。
中々の快作でしたね!
全6話ピンチの連続なのが堪らない!
第1話の前半だけ快勝でそこからはギリギリの展開のオンパレード。やはり追い詰められていく主人公というのは格別な味わいを醸し出します!
個人的にミリタリー描写豊富なのが好印象でした。こういったガンダムシリーズが増えていったら最高です!
願わくばNetflixでマクロスの新作とかも期待したいですね!
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