三菱みつびし一いち号館ごうかん美術館びじゅつかん再開さいかい館かん後ごの展覧てんらん会かいはソフィ・カル氏しとの出会であいを発端ほったんとした“不在ふざい”がテーマ！　新しん館長かんちょうが再さい開館かいかんについて掘ほり下さげる

　みなさん、こんにちは。この4月がつに三菱みつびし一いち号館ごうかん美術館びじゅつかんの館長かんちょうに就任しゅうにんした池田いけだ祐子ゆうこです。わずかに東京とうきょう勤務きんむの経験けいけんはあるものの、ずっと関西かんさいで美術館びじゅつかん人じんとしての経験けいけんを積つんできた自分じぶんは、完全かんぜんなる丸まるの内うち初心者しょしんしゃ。それを逆手さかてにとって、新あたらしい眼めや気持きもちで、これからの三菱みつびし一いち号館ごうかん美術館びじゅつかんをみなさんと一緒いっしょに盛もり立だてていけたらと思おもいます。

　「丸まるの内うちLOVEWalker」に掲載けいさいされた、LOVEWalker総そう編集へんしゅう長ちょう・玉置たまき氏しによるインタビュー記事きじを読よんでくださった方ほうもおられると思おもいますが、ここでは再さい開館かいかん、そしてその後ごについて、少すこし具体ぐたい的てきにお伝つたえしましょう。

1年ねん半はんのメンテナンスを終おえ11月がつに再開さいかい館かんでどう変かわる!? 「三菱みつびし一いち号館ごうかん美術館びじゅつかん」の池田新いけだしん館長かんちょうに会あってみた
https://lovewalker.jp/elem/000/004/198/4198443/

再さい開館かいかん記念きねんなのにテーマは「不在ふざい」？

　2019年ねん12月に端はしを発はっする新型しんがたコロナウィルス感染かんせん症しょうは、瞬またたく間まに世界せかいに広ひろがり、人ひとと人ひとの接触せっしょくや外出がいしゅつが制限せいげんされる中なか、美術館びじゅつかんは様々さまざまな困難こんなんに直面ちょくめんしました。そしてようやくそれが収おさまりつつある時期じきに、当館とうかんは設備せつびメンテナンス休館きゅうかんとなり今いまに至いたっています。

　この期間きかん私わたしたちは、来館らいかん者しゃそして働はたらく人ひとが不在ふざいの美術館びじゅつかん、作品さくひんが不在ふざいの美術館びじゅつかん、活動かつどうが不在ふざいの美術館びじゅつかんを目まの当あたりにしました。翻ひるがえってそれは、美術館びじゅつかんの存在そんざいそのものを考かんがえる時間じかんでもありました。「不在ふざい」を考かんがえることは「存在そんざい」を考かんがえること。美術館びじゅつかんの再さいスタートにあたって色々いろいろな課題かだいを検討けんとうする中なかで、常つねに意識いしきされていたことがテーマになり、再さい開館かいかん後ご最初さいしょの展覧てんらん会かいとなる「三菱みつびし一いち号館ごうかん美術館びじゅつかん　再さい開館かいかん記念きねん『不在ふざい』―ソフィ・カルとトゥールーズ=ロートレック」を開催かいさいすることになりました。

なぜ現代げんだいアーティストの展覧てんらん会かい？

　当館とうかんが、今こん活躍かつやく中ちゅうのアーティストを採とり上あげるのは、これが初はじめてとなります。実じつは、ソフィ・カル氏しとの偶然ぐうぜんの出会であいがその発端ほったんとなりました。

　2019年ねんに当館とうかんを訪おとずれた彼女かのじょは、オディロン・ルドンの《グラン・ブーケ（大おおきな花束はなたば）》が、通常つうじょうは展示てんじ室しつの仮設かせつ壁かべの背後はいごに保管ほかんされていることに触発しょくはつされ、彼女かのじょ自身じしんの《グラン・ブーケ》を制作せいさくしました。ときに「存在そんざい」し、ときに「不在ふざい」、「在あるけれどない」。このような《グラン・ブーケ》をめぐる状況じょうきょうはソフィ・カル氏しの制作せいさく主題しゅだいとシンクロし、再さい開館かいかん記念きねん展てんのテーマを考かんがえる上うえでの重要じゅうようなヒントとなりました。今いまを生いきる人ひととの協きょう働はたらけを通つうじた問題もんだい設定せっていは、すでに在あるものに新あらたな光ひかりを与あたえます。今回こんかいは、当館とうかんコレクションのトゥールーズ＝ロートレック作品さくひん群ぐんを、その新あらたな光ひかりの下したに展示てんじします。このような試こころみを、たとえ小ちいさな形かたちや異ことなる形かたちであったとしても、継続けいぞく的てきに行いっていけたらと思おもいます。

新あたらしい部屋へや？

　再さい開館かいかんを機きに、「小しょう展示てんじ室しつ」を設もうけます。当館とうかんのコレクションは約やく1000点てんと比較的ひかくてき小規模しょうきぼですが、実じつは極きわめて質しつの高たかい、各所かくしょよりお預あずかりしている寄託きたく作品さくひん群ぐんもあります。「小しょう展示てんじ室しつ」では、美術館びじゅつかんのコレクションにより親したしんでもらうために、これらの作品さくひんを用もちいて年とし3回かいほどの小しょう展示てんじを行おこないます。

　第だい1回かい目めのテーマは、「坂本さかもと繁二郎はんじろうとフランス」。再さい開館かいかん後ごは、充実じゅうじつした企画きかく展てんと併あわせて、この小しょう展示てんじをご覧らんいただけます。そして多た目的もくてき室しつとして「Espace（エスパス）1894」も開設かいせつ。この部屋へやでの具体ぐたい的てきな活動かつどうはまだ検討けんとう過程かていですが、一いち度どの訪問ほうもんでいくつもの経験けいけんが楽たのしめる環境かんきょうの整備せいびを目指めざします。

　今回こんかいのメンテナンス休館きゅうかんの主要しゅような目的もくてきは、空調くうちょう機械きかいなどの更新こうしんや、経年けいねん劣化れっかによる屋根やねや外壁がいへきの修理しゅうりで、建物たてものそれ自体じたいに大おおきな変更へんこうは加くわえられていません。新あたらしい部屋へやも、増築ぞうちくではなく既存きそん空間くうかんの転用てんようです。それでも、良よい意味いみで、これまでとは異ことなる印象いんしょうを感かんじていただければ幸さいわいです（その理由りゆうは来館らいかん時じのお楽たのしみ）。

　展覧てんらん会かいやその図録ずろくの内容ないよう、広報こうほうビジュアル、ストアのグッズやCafé 1894のメニューなど、これまでの成果せいかを踏ふまえつつ、丸まるの内うちに新あたらしい風かぜを吹ふかせるべく、色々いろいろとチャレンジしていきますので、応援おうえんのほどよろしくお願ねがいします。

三菱みつびし一いち号館ごうかん美術館びじゅつかん　再さい開館かいかん記念きねん『不在ふざい』―ソフィ・カルとトゥールーズ=ロートレック
会期かいき： 2024年ねん11月23日にち（土ど）〜2025年ねん1月がつ26日にち（日ひ）
https://mimt.jp/exhibition/#sophie-calle