Monthly Archives: December 2015

福島ふくしま第だい1原発げんぱつ事故じこ直後ちょくご、収束しゅうそく作業さぎょうにあたった元もと作業さぎょう員いんが怒いかりの声こえを上あげた。離職りしょく後ごに３重じゅうのがんを発症はっしょう、労災ろうさいも認みとめられない状況じょうきょうから提訴ていそに踏ふみ切きったのだ。事故じこから４年ねん半はん余あまり、現実げんじつは何なにも変かわっていない。 　◇「汚染おせんがれきを抱かかえて運搬うんぱん」 　◇「線量せんりょう計けいを外はずし、作業さぎょう時間じかんもオーバー」 　札幌さっぽろ市しに住すむ57歳さいの男性だんせいＡさんは、福島ふくしま第だい１原発げんぱつの収束しゅうそく作業さぎょうに従事じゅうじしたことを後悔こうかいしている。現場げんばを離はなれた事故じこ翌年よくねんの２０１２年ねんから、相次あいついで三みっつのがんを発症はっしょうしたからだ。 　Ａさんは知人ちじんから重機じゅうきオペレーターの腕うでを買かわれ、福島ふくしま第だい１原発げんぱつに向むかった。事故じこから４カ月かげつ足たらずの７月がつ４日にちから働はたらき始はじめ、４カ月かげつ後ごの10月がつ31日にち、累積るいせき 被曝ひばく(ひばく)量りょうが原発げんぱつ労働ろうどう者しゃの年間ねんかん上限じょうげん50ミリシーベルトを超こえる56・41ミリシーベルトに達たっし、現場げんばを去さった。そして翌よく12年ねん６月がつに膀胱ぼうこう(ぼうこ う)がん、13年ねん３月がつに胃いがん、５月がつには結腸けっちょうがんを発症はっしょうした。 　Ａさんは今年ことし９月がつ１日にち、「がんの原因げんいんは杜撰ずさん(ずさん)な労働ろうどう環境かんきょうしか考かんがえられない」として、東京電力とうきょうでんりょく、作業さぎょう元請もとうけの大成建設たいせいけんせつ（東京とうきょう都と）、下請したうけの建設けんせつ会かい 社しゃを相手取あいてどり、約やく６５００万まん円えんの賠償ばいしょうを求もとめて札幌さっぽろ地裁ちさいに提訴ていそ。11月５日にちに開ひらかれる第だい１回かい口頭こうとう弁論べんろんで意見いけん陳述ちんじゅつを行おこなう予定よていだ。 （略りゃく） 現場げんばには、重機じゅうきでは片付かたづけられない中途半端ちゅうとはんぱな大おおきさや形かたちのがれきが数多かずおおくあった。Ａさんは７人にん１組くみの班はんに組くみ込こまれ、鉛なまりのベストを着きて、屋外おくがいで20キロ以上いじょうもあるがれきの塊かたまりを下腹かふくで支ささえるような格好かっこうで運はこんだ。 　着きていた鉛なまりのベストでは、外部がいぶ被曝ひばくは防ふせげないのか。放射線ほうしゃせん被曝ひばくに詳くわしい「旭川あさひかわ北きた医院いいん」の松崎まつざき道幸みちゆき医師いしは、こう否定ひていする。 「ガンマ線がんませんの線量せんりょうを10分ぶんの１にするには厚あつさ25ミリの鉛なまりが必要ひつようです。薄うすい鉛なまりのベストでは効果こうかがない」 　がん発症はっしょうを受うけ、Ａさんは福島ふくしま・富岡とみおか労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく署しょで労災ろうさい申請しんせいをした際さい、松崎まつざき医師いしの「病状びょうじょうに関かんする意見いけん書しょ」を添そえた。意見いけん書しょで松崎まつざき医師いしは「コンクリート片へんを下腹かふくで支ささえて持もち運はこべば、大腸だいちょうと膀胱ぼうこうが相当そうとう量りょうの近接きんせつ被曝ひばくを受うけた」とした。 　そして、Ａさんが作業さぎょう中ちゅうの被曝ひばくが原因げんいんとするもう一ひとつの理由りゆうが、防護ぼうごマスクの縁えんを塞せいだガムテープが何なん度どもはがれて浮うき、隙間すきま(すきま)から粉ふんじんを吸引きゅういんしたことだ。 「50代だい半なかばでの三みっつのがんのほぼ同時どうじ発症はっしょうは、『特別とくべつな発はつがん因子いんし』の作用さようで起おきたと考かんがえるしかない。それが放射能ほうしゃのう汚染おせんされた粉ふんじんであれば、内部ないぶ被曝ひばくもしていたことになる」（松崎まつざき医師いし） 　さらに、Ａさんは線量せんりょう計けいをあえて外はずして作業さぎょうしたことも度々たびたびあったという。 （略りゃく） ◇「10ミリシーベルト被曝ひばくでがん発症はっしょう率りつ３％増ぞう」 「原爆げんばくの被爆ひばくでは、これ以下いかの線量せんりょうなら安全あんぜんという『しきい値ち』は存在そんざいしない。低てい線量せんりょうでも発病はつびょうするということです」（高崎たかさき弁護士べんごし） 　労基署ろうきしょの判断はんだん材料ざいりょうにもなった「１００ミリシーベルト以下いかは健康けんこうに影響えいきょうがない」との理論りろんは、「極きわめて非ひ科学かがく的てき」と松崎まつざき医師いしは批判ひはんする。例たとえばカナダでは、 血管けっかん造影ぞうえいやＣＴ検査けんさなどを何なん度ども受うけた８万まん人にんへの疫学えきがく調査ちょうさで、「被曝ひばく量りょうが10ミリシーベルト増ふえるごとにがん発症はっしょう率りつも３％ずつ増ふえる（１００ミリシーベル トで30％）」との報告ほうこくが11年ねんに出でた。さらに松崎まつざき医師いしが驚おどろいたのが、日本にっぽんにも全まったく同おなじデータがあったことだ。 　文部もんぶ科学かがく省しょうの委託いたく調査ちょうさとして放射線ほうしゃせん影響えいきょう協会きょうかいが実施じっしした「原子力げんしりょく発電はつでん施設しせつ等とう放射線ほうしゃせん業務ぎょうむ従事じゅうじ者しゃ等とうに係かかる疫学えきがく的てき調査ちょうさ」では、原発げんぱつ労働ろうどう者しゃ約やく20万まん人にんを約やく11年ねん追おい 跡あとした結果けっか、「10ミリシーベルトの被曝ひばくでがん発症はっしょう率りつが平均へいきん３％上あがる」と10年ねんに報告ほうこくされていた。これらの報告ほうこくに学会がっかいからの反論はんろんはないという。 全文ぜんぶんは放射能ほうしゃのうがれき撤去てっきょで“３重じゅうがん”になった　元もと作業さぎょう員いん　怒いかりの提訴ていそ

原子げんし炉ろ建屋たきのや側がわへ移送いそうせざるを得えないため 　東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい１原発げんぱつで、一連いちれんの放射ほうしゃ性せい汚染おせん水すい対策たいさくが効果こうかを発揮はっきせず、逆ぎゃくに全体ぜんたいの汚染おせん水量すいりょうを増ふやす事態じたいに陥おちいっている。海うみ側がわに掘ほった「地下水ちかすいドレン」と言いわ れる井戸いどから地下水ちかすいをくみ上あげ、海うみへ放出ほうしゅつするはずだったが放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつの濃度のうどが高たかく、原子げんし炉ろ建屋たきのや側がわへ移送いそうせざるを得えないためだ。今年ことしは汚染おせん地下水ちかすいが海うみへ流出りゅうしゅつ するのを防ふせぐ「海うみ側がわ遮さえぎ水みず壁かべ」（総そう延長えんちょう７８０メートル）が完成かんせいしたことを受うけ、東電とうでんは「リスクを大おおきく低減ていげんできた１年ねんだった」と総括そうかつするが、一進一退いっしんいったいの状況じょうきょう は変かわっていない。 　東電とうでんは１０月がつ、地下水ちかすいドレンから地下水ちかすいをくみ上あげて海うみへ放出ほうしゅつする作業さぎょうを開始かいししたが、５本ほんある井戸いどのうち４本ほんの井戸水いどみずで、高こう濃度のうどの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつや塩分えんぶんが検出けんしゅつ され、海うみに流ながせなくなった。一方いっぽう、海うみ側がわ遮さえぎ水みず壁かべで流ながれをせき止とめられたため、地下水ちかすいが増加ぞうか。その水圧すいあつで、海うみ側がわ遮さえぎ水みず壁かべが約やく２０センチたわむトラブルも発生はっせいし、 東電とうでんは補強ほきょう工事こうじをするなどの対応たいおうに追おわれた。 　東電とうでんは、地下水ちかすいドレンや陸りく側がわの「サブドレン」と言いわれる井戸いどから地下水ちかすいをくみ上あげることで、１日にち３００トンずつ増ふえていた汚染おせん水すいを１５０トンに半減はんげんできるとしていたが、原子げんし炉ろ建屋たきのや側がわへ移送いそうしている汚染おせん水すいは１日にち最大さいだい約やく４００トンに上のぼり、逆ぎゃくに増ふえる結果けっかとなった。 続つづきは汚染おせん水すいが増加ぞうか　海うみ側がわの地下水ちかすい、濃度のうどが高たかく

東京とうきょう・霞かすみが関せきの経済けいざい産業さんぎょう省しょう前まえの敷地しきち内ないに張はられたテントが12月5日にち、美術館びじゅつかんになった。立たち退のきに対たいする対抗たいこう策さくとして設置せっちされたとみられる。30日にち、産経さんけいニュースなどが報ほうじた。 朝日新聞あさひしんぶんデジタルによると、テントは2011年ねん9月がつ以降いこう、脱だつ原発げんぱつを訴うったえるグループが経けい産さん省しょう前まえの国有こくゆう地ちに複数ふくすう設置せっちした。グループは原発げんぱつ政策せいさくに抗議こうぎする活動かつどうのために、事務所じむしょや物置ものおきとしてテントを使つかっている。 これに対たいし、国くには2013年ねん3月がつ、テントの撤去てっきょなどを求もとめて訴訟そしょうを起おこした。2015年ねん10月がつ、東京とうきょう高裁こうさいは「表現ひょうげんの自由じゆうとして許容きょようされる範囲はんいを超こえる」などとして、1審しんに引ひき続つづき、グループ側がわにテントの撤去てっきょと土地とちの明あけ渡わたし、損害そんがい賠償ばいしょうの支払しはらいを命めいじた。 グループ側がわの公式こうしきサイトによると、グループ側がわは現在げんざいは最高裁さいこうさいに上告じょうこく中ちゅう。 (略りゃく） 「脱だつ原発げんぱつを願ねがい、原発げんぱつ再さい稼働かどう・原発げんぱつ輸出ゆしゅつを止とめたいと願ねがう市民しみんたちの声こえを、今いままで以上いじょうにアピールするために、テントのうちの丸まるごと1棟むねを、美術館びじゅつかんとしてオープンすることになりました」と説明せつめい、美術館びじゅつかんにつくりかえた思おもいを記しるした。 全文ぜんぶん、画像がぞうは 脱だつ原発げんぱつテントが美術館びじゅつかんに

　国くにが地方自治体ちほうじちたいに出だす交付こうふ金きんをてこにした原発げんぱつ立地りっち自治体じちたいへの圧力あつりょくが強つよまっています。安倍晋三あべしんぞう政権せいけんは２０１６年度ねんど予算よさん案あんの作成さくせいにあわせて電源でんげん立地りっち地域ちいき対策たいさく 交付こうふ金きんの算定さんてい方法ほうほうを変更へんこうしました。再さい稼働かどうしなければ交付こうふ金きんが大幅おおはばに減額げんがくされる仕組しくみです。なかでも知事ちじが再さい稼働かどうに慎重しんちょう姿勢しせいをとっている新潟にいがた県けんの下落げらく幅はばが最さい も大おおきくなることが、本紙ほんしの調しらべで分わかりました。 （佐久間さくま亮あきら） （略りゃく） これまで国くには、停止ていし中ちゅうの原発げんぱつについて一律いちりつ８１％の“みなし稼働かどう率りつ”を適用てきようし、発電はつでん電力でんりょく量りょうを試算しさんしてきました。１６年度ねんど以降いこうは、原子げんし炉ろごとに福島ふくしま事故じこ 前まえ１０年間ねんかんの平均へいきん稼働かどう率りつを適用てきようします。上限じょうげんは６８％で下限かげんはありません。市町村しちょうそんに対たいしては下限かげんや激変げきへん緩和かんわ措置そちがあり、下限かげんなしで一気いっきに減額げんがくする道県どうけんと二に重じゅう 基準きじゅんになっています。 原発げんぱつが再さい稼働かどうした場合ばあいは、実際じっさいの発電はつでん電力でんりょく量りょうに基もとづいて交付こうふ金額きんがくを算定さんていし直なおします。全国ぜんこく４３基きの原発げんぱつのうち平均へいきん稼働かどう率りつが６８％を下回したまわるのは１８基き。多おおくの原発げんぱつは再さい稼働かどうで交付こうふ金きんが増ふえる可能かのう性せいが高たかく、再さい稼働かどうに向むけた動うごきが強つよまる恐おそれがあります。 新潟にいがた県けんの東電とうでん柏崎かしわざき刈羽かりわ原発げんぱつは、２０００年代ねんだいに東電とうでんのトラブル隠かくしや中越なかごえ沖おき地震じしんによって運転うんてん停止ていしが相次あいついだため、７基き合計ごうけいの平均へいきん稼働かどう率りつが約やく４８％と １５年度ねんどまでのみなし稼働かどう率りつと比くらべ３０ポイント以上いじょう落おち込こみます。同どう県けんの担当たんとう課かは「減額げんがくでいろいろ影響えいきょうがでてくる」と語かたります。 安倍あべ政権せいけんは、みなし稼働かどう率りつの見直みなおしで同どう交付こうふ金きんを１５年度ねんどから４３億おく円えん減額げんがくする一方いっぽう、廃はい炉ろが決きまった原発げんぱつ立地りっち自治体じちたい向むけの新あらたな補助ほじょ金きん（エネルギー 構造こうぞう転換てんかん理解りかい促進そくしん事業じぎょう）として４５億おく円えんを計上けいじょうしました。再さい稼働かどうに積極せっきょく的てきな福井ふくい県けんの西川にしかわ一誠いっせい知事ちじなどが政府せいふに求もとめてきたものです。 全文ぜんぶんは原発げんぱつ再さい稼働かどうしなければ交付こうふ金きんを減額げんがく 国こくが自治体じちたいへ圧力あつりょく