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文ぶん＝横山よこやま渉わたる／ジャーナリスト 福井ふくい県けんなどの住民じゅうみん約やく130人にんが「大だい地震じしんへの耐震たいしん性せいが不十分ふじゅうぶんだ」として、国くにに大飯原発おおいいげんぱつ3、4号機ごうきの原子げんし炉ろ設置せっち許可きょかの取とり消けしを求もとめていた裁判さいばんの判決はんけつが12月4日にちにあった。大阪おおさか地裁ちさいは原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいの審査しんさ過程かていに看過かんかしがたい誤あやまりや欠落けつらくがあるとして、原発げんぱつの設置せっち許可きょかを取とり消けす判決はんけつをい渡いわたした。 　2011年ねんの東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの事故じこ以降いこう、原発げんぱつの運転うんてん停止ていしにつながる司法しほう判断はんだんは仮処分かりしょぶんを含ふくめ6例れい目めだが、原発げんぱつの設置せっち許可きょかを取とり消けす司法しほう判断はんだんは初はじめてだ。今回こんかいの司法しほう判断はんだんで規制きせい委いの審査しんさ基準きじゅん自体じたいに疑問符ぎもんふがつけられたことにより、安全あんぜん性せいの水準すいじゅんがさらに上あがることも予想よそうされ、全国ぜんこくの原発げんぱつに影響えいきょうする可能かのう性せいもある。 原発げんぱつ事故じこや廃はい炉ろへの備そなえが皆無かいむだった大手おおて電力でんりょく　原発げんぱつをめぐる裁判さいばんには、原発げんぱつの安全あんぜん性せいを争あらそうものや東電とうでん福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこでの損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうなどさまざまある。15の生協せいきょうなどでつくる「グリーンコープ共同きょうどう体たい」が設立せつりつした小売こうり電気でんき事業じぎょう者しゃ「グリーンコープでんき」は、電気でんき料金りょうきんをめぐって10月がつ15日にち、福岡ふくおか地裁ちさいに提訴ていそした。福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこに伴ともなう賠償金ばいしょうきんや廃はい炉ろ費用ひようなどを一般いっぱん家庭かていの電気でんき料金りょうきんに上乗うわのせし徴収ちょうしゅうすることを国くにが認可にんかしたのは違法いほうと訴うったえている。 　コロナ報道ほうどう一色いっしょくの大手おおてメディアではあまり報道ほうどうされなかったが、10月1日にちから「福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこの『賠償ばいしょう費用ひよう』と『廃はい炉ろ円滑えんかつ化か負担ふたん金きん』の託送たくそう料金りょうきんへの上乗うわのせ」がこっそり始はじまった。もっとも、これが決きまったのは電力でんりょく全面ぜんめん自由じゆう化かから日ひも浅あさい2017年ねんなので、大手おおてメディアはスルーしたのかもしれない。 　原発げんぱつ事故じこによって東電とうでんが背負せおう賠償金ばいしょうきんは莫大ばくだいだ。現在げんざい係争けいそう中ちゅうの裁判さいばんもあり、最終さいしゅう的てきに何なん兆ちょう円えんになるのか見通みとおしがつかない。そこで、賠償金ばいしょうきんを国民こくみん全員ぜんいんに負担ふたんさせようというわけだ。具体ぐたい的てきな金額きんがくは、事故じこ前まえに確保かくほされておくべきだった賠償ばいしょうへの備そなえの不足ふそく分ぶんの一部いちぶ2.4兆ちょう円えんで、年間ねんかん約やく600億おく円えん程度ていどが40年間ねんかんにわたって回収かいしゅうされる。 　原発げんぱつ事故じこ後ご、廃はい炉ろが決きまった原発げんぱつが全国ぜんこくに7社しゃ15基き（女川おながわ1号機ごうきや美浜みはま1、2号機ごうきなど）ある。「廃はい炉ろ円滑えんかつ化か負担ふたん金きん」は、これらの円滑えんかつな廃はい炉ろを促うながす環境かんきょう整備せいびの観点かんてんより一時いちじ的てきに生しょうじる費用ひようを分割ぶんかつ計上けいじょうするものだが、これも本来ほんらいは各かく大手おおて電力でんりょくが責任せきにんを持もって負担ふたんすべき費用ひようだ。 　上乗うわのせされる「託送たくそう料金りょうきん」とは、電気でんきを送おくる際さいに小売こうり電気でんき事業じぎょう者しゃが利用りようする送配そうはい電でん網もうの「利用りよう料りょう」のことだ。送配そうはい電でん網もうは一般いっぱん送配そうはい電でん事業じぎょう者しゃ（東京電力とうきょうでんりょくパワーグリッドや関西電力かんさいでんりょく送配そうはい電でんなど10社しゃ）が保有ほゆう・運営うんえいしており、料金りょうきんは事業じぎょう者しゃが設定せっていし、国くにが認可にんかする。 　当然とうぜんのことながら、新規しんき参入さんにゅうした新しん電力でんりょく各社かくしゃも託送たくそう料金りょうきんを払はらってこの送配そうはい電でん網もうを利用りようしている。新しん電力でんりょくは太陽光たいようこうや風力ふうりょくなど、CO2や放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつを出ださない、再生さいせい可能かのうエネルギーに力ちからを入いれている事業じぎょう者しゃが多おおい。提訴ていそしたグリーンコープでんきもそうだ。 […] 実際じっさいの値上ねあげは新型しんがたコロナの影響えいきょうで1年間ねんかん先送さきおくり　では、すぐにでも電気でんき料金りょうきんが値上ねあげされるのかといえば、そうではない。10月1日にちから託送たくそう料金りょうきんへの2つの上乗うわのせが始はじまったが、同時どうじにこれまで（05～20年ねん9月がつ）行おこなわれていた「使用しよう済ずみ燃料ねんりょう再さい処理しょり等とう既すんで発電はつでん費ひ相当そうとう額がく」の上乗うわのせが9月30日にちで終了しゅうりょうし、正確せいかくにいえば、入いれ替かわるかたちになった。 　よって、実際じっさいは差さし引ひきで、託送たくそう料金りょうきんの値上ねあげになる地域ちいきと値下ねさげになる地域ちいきがある。また、値上ねあげの場合ばあいでも、コロナの影響えいきょうにより1年間ねんかんは据すえ置おきされることになっている。ほとんどの消費しょうひ者しゃは将来しょうらいも、月々つきづきの電気でんき料金りょうきんを見みただけでは、託送たくそう料金りょうきんへの上乗うわのせの不条理ふじょうりに気きづくことはないかもしれない。それだけに姑息こそくで狡猾こうかつなスキームだといえる。 　福島ふくしま原発げんぱつ事故じこでいえば、賠償金ばいしょうきんを含ふくむ事故じこ処理しょり費用ひようについて、16年ねんの経けい産さん省しょうの議論ぎろんでは「21.5兆ちょう円えん」と試算しさんしていた。しかし、そもそもこの金額きんがくは極きわめて不十分ふじゅうぶんで低ひくい見積みつもりであり、日本にっぽん経済けいざい研究けんきゅうセンターのレポート（19年ねん3月がつ7日にち）では、35～80兆ちょう円えんと試算しさんしている。東京電力とうきょうでんりょくの経営けいえい陣じん、株主かぶぬし、債権さいけん者しゃの責任せきにんが問とわれないまま、ズルズルと将来しょうらい的てきに国民こくみんにツケ回まわしされるのである。 全文ぜんぶん

　２０１１年ねん３月がつ１１日にちに発生はっせいした東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい１原発げんぱつ事故じこの直後ちょくご、当時とうじの民主党みんしゅとうの菅かん直人なおと政権せいけんが、天皇てんのう在位ざいい中ちゅうの上皇じょうこうさまらに京都きょうとか京都きょうと以西いせいに避難ひなんするよう非公式ひこうしきに打診だしんしていたと、元もと政権せいけん幹部かんぶが２９日にちまでに証言しょうげんした。宮内庁くないちょう側がわは上皇じょうこうさまのご意向いこうとして「国民こくみんが避難ひなんしていないのに、あり得えない」と伝つたえ、政権せいけん側がわは断念だんねんしたという。複数ふくすうの元もと官邸かんてい幹部かんぶは皇位こうい継承けいしょう資格しかく者しゃである秋篠宮あきしののみやさまの長男ちょうなん悠ゆう仁ひとしさまの京都きょうと避難ひなんも検討けんとうしたと明あかした。 続つづきは原発げんぱつ事故じこで天皇てんのう避難ひなんを打診だしん

原発げんぱつ事故じこ後ごに福島ふくしま県けんの避難ひなん指示しじ区域くいき外がいから避難ひなんし国家こっか公務員こうむいん宿舎しゅくしゃに入居にゅうきょしている県民けんみんについて、県けんが今月こんげつに入はいり、避難ひなん者しゃの親おやや兄弟きょうだいなど親族しんぞくに手紙てがみや訪問ほうもんで〝避難ひなん者しゃ追おい出だし〟に協力きょうりょくするよう求もとめている事ことが分わかった。福島ふくしま県けんは2019年ねん4月がつ以降いこうも国家こっか公務員こうむいん宿舎しゅくしゃに入居にゅうきょを続つづける避難ひなん者しゃに対たいし、「損害そんがい金きん」と称しょうして家賃やちん2倍ばい請求せいきゅうを続つづけているが、親族しんぞくも巻まき込こんだ〝追おい出だし〟に取とり掛かかった格好かっこう。県けんは訴訟そしょうでの追おい出だしもチラつかせており、避難ひなん当事とうじ者しゃや支援しえん者しゃたちは「まるでサラ金さらきんの取とり立たて」、「生存せいぞん権けんや居住きょじゅう権けんの問題もんだいだ」と猛もう反発はんぱつしている。 【「特段とくだんのお力添ちからぞえを」】　25日にち午前ごぜん、「原発げんぱつ事故じこ避難ひなん者しゃ『2倍ばい請求せいきゅう』撤回てっかい訴訟そしょうを支援しえんする会かい」の瀬戸せと大作だいさくさん（「避難ひなんの協同きょうどうセンター」事務じむ局長きょくちょう）、熊本くまもと美彌子みやこさん（「避難ひなんの協同きょうどうセンター」世話人せわにん、田村たむら市しから都内とないに避難ひなん継続けいぞく中ちゅう）、村田むらた弘ひろしさん（同どう、南みなみ相馬そうま市し小高おたか区くから神奈川かながわ県けんに避難ひなん継続けいぞく中ちゅう）の3人にんが東京とうきょう・永田町ながたちょうの参議院さんぎいん議員ぎいん会館かいかんで記者きしゃ会見かいけんし、明あきらかにした。　瀬戸せとさんによると、福島ふくしま県けん生活せいかつ拠点きょてん課長かちょう名めいの文書ぶんしょ「国家こっか公務員こうむいん宿舎しゅくしゃに入居にゅうきょされている御ご親族しんぞくに関かんする御ご協力きょうりょくについて（依頼いらい）」が送付そうふされたのは今月こんげつ14日にち付づけ。「本県ほんけんとしては、引ひき続つづき住すまいの確保かくほに向むけた支援しえんを行おこないますが、貴殿きでんからも速すみやかに国家こっか公務員こうむいん宿舎しゅくしゃから転居てんきょされるよう、特段とくだんのお力添ちからぞえをお願ねがいします」と〝追おい出だし〟に協力きょうりょくするよう依頼いらいしている。　さらに「御ご親族しんぞくが自主じしゅ的てきに転居てんきょされない場合ばあいは、訴訟そしょうなど法的ほうてき手段しゅだんに移行いこうせざるを得えませんので、御ご承知しょうち願ねがいます」とも明記めいき。訴訟そしょうをチラつかせて、退去たいきょを促うながすよう求もとめている。　文書ぶんしょ送付そうふにとどまらず、福島ふくしま県けん職員しょくいんが二人ふたり一いち組くみで親族しんぞく宅たくを直接ちょくせつ訪問ほうもん。ここでも「転居てんきょ出来できない場合ばあいは訴訟そしょうを起おこす準備じゅんびがある」という趣旨しゅしの話はなしをしているという。　瀬戸せとさんは「なぜ避難ひなん生活せいかつを送おくっているのか。そもそもの『原発げんぱつ事故じこ』という問題もんだいと、生存せいぞん権けんや居住きょじゅう権けんの問題もんだいがある。多おおくの避難ひなん者しゃがさまざまな理由りゆうで転居てんきょが難むずかしい状況じょうきょうにあるが、10万まん円えんほどの月収げっしゅうでやりくりをして、新あたらしいアパートへの転居てんきょ費用ひようや初期しょき費用ひようさえ工面くめん出来できない人ひともいる。そういう避難ひなん者しゃに対たいして、福島ふくしま県けん職員しょくいんは『家賃やちん7～8万まん円えんのアパートを借かりれば良よいじゃないか』などと平然へいぜんとい放いはなっている。原発げんぱつ事故じこ被災ひさい県けんの態度たいどとしていかがなものか。ましてや、現在げんざいのコロナ禍かで国くに全体ぜんたいが疲弊ひへいしている中なかで、今いまそういう事ことをやる時ときか」と憤いきどおりを口くちにした。 [..] 　Sさんは既婚きこん男性だんせい。両親りょうしんが既すでに亡なくなっているため、妻つまの実家じっかに福島ふくしま県けんからの手紙てがみが届とどいたという。　「理不尽りふじん。妻つまの実家じっかの住所じゅうしょを調しらべる法的ほうてき根拠こんきょを知しりたい。次つぎは私わたしの職場しょくばに給料きゅうりょうの差さし止とめを求もとめるのでしょうか。今回こんかいの文書ぶんしょ送付そうふは、どのような法的ほうてき根拠こんきょの下したで行おこなわれているのでしょうか」　今回こんかい、福島ふくしま県けんが接触せっしょくした妻つまの実家じっかは、国家こっか公務員こうむいん宿舎しゅくしゃに入居にゅうきょする際さいの保証人ほしょうにんでも何なんでも無ない。しかも、年老としおいた親おやが行政ぎょうせいから「未払みはらい」「未み退去たいきょ」などの文字もじを突つきつけられれば、驚おどろき、狼狽ろうばいし、子ことの関係かんけいも悪化あっかしかねない。Sさんは「この件けんで妻つまの実家じっかと絶縁ぜつえんするような事ことがあれば県けんの罪つみは深ふかい。家族かぞくの人間にんげん関係かんけいを強引ごういんに壊こわす事ことは罪つみに問とわれないのだろうか。もし私わたしの良心りょうしんが健在けんざいなら、お上かみに逆さからう息子むすこを勘当かんどうしただろう。今回こんかいの文書ぶんしょは故郷こきょうを捨すてさせる踏ふみ絵えですか？」と憤いきどおる。 （下した）「ひだんれん」の武藤むとう類子るいこさんはリモート参加さんか。「避難ひなん者しゃの人権じんけんや尊厳そんげんを踏ふみにじる行為こうい。『最後さいごの1人ひとりまで寄より添そう』という言葉ことばとは真ま逆ぎゃくの仕打しうちだ。避難ひなん者しゃの生活せいかつ実態じったい調査ちょうさも行おこなわない」と福島ふくしま県けんの姿勢しせいを批判ひはんした＝参議院さんぎいん議員ぎいん会館かいかん 【「支援しえん活動かつどうの一環いっかん」】　福島ふくしま県けん生活せいかつ拠点きょてん課かの担当たんとう者しゃは、取材しゅざいに対たいし「まずは御ご本人ほんにん（34世帯せたい）に期限きげん付つきで転居てんきょを促うながす文書ぶんしょを送おくるのと同時どうじに、ご家族かぞくにも文書ぶんしょを送おくりました。文書ぶんしょでは退去たいきょ期限きげんを2021年ねん1月がつ末まつという事ことでご案内あんないしております。極力きょくりょくていねいな説明せつめいをと考かんがえて、親族しんぞくの家いえにも訪問ほうもんをさせていただいて、お考かんがえをお聴ききしたという状況じょうきょうです。親族しんぞくというのは親おやの場合ばあいもあるし、お子こさんの場合ばあいもあります。御ご兄弟きょうだいの場合ばあいもあります」と語かたった。　担当たんとう者しゃが何なん度ども口くちにしたのが「支援しえん」の二に文字もじ。　「私わたしたちの認識にんしきとしては『転居てんきょに向むけた支援しえん活動かつどうの一ひとつ』です。文書ぶんしょを送おくるだけでは無なくて、相談そうだん会かいのようなものも開ひらきました。今いまの状態じょうたいや課題かだいを確認かくにんさせていただいたり、希望きぼうされている物件ぶっけんの情報じょうほうが変かわっていないかどうか。これまで連絡れんらくがとれていなかった方ほうが自発じはつ的てきに相談そうだん会かいにいらっしゃった事こともありました。その意味いみで、「支援しえん活動かつどう」の一環いっかんとしては一定いってい程度ていどの成果せいかはあったのかなと考かんがえています。実際じっさい、御ご親族しんぞくの協力きょうりょくで退去たいきょに結むすびついた方ほうも1世帯せたいいらっしゃいます」　しかし、ここで言いう「支援しえん」とは転居てんきょ費用ひようや初期しょき費用ひようの支給しきゅうや融資ゆうし、ていねいな物件ぶっけん探さがしではなく、早急そうきゅうな退去たいきょに向むけた福祉ふくし機関きかんへの引ひき継つぎだ。　「1月がつ末まつまでに退去たいきょしない場合ばあいは、転居てんきょが難むずかしい理由りゆうなどを提出ていしゅつしていただく事ことになります。それを見みながら、『支援しえん』出来できるところは『支援しえん』していくという考かんがえでおります。まあ、われわれが出来できる『支援しえん』というのは避難ひなん先さきの専せん門もんの機関きかんにつないでいく、その御ご助力じょりょくをするという事ことになるんですが…。次つぎなる『支援しえん』としては、具体ぐたい的てきな不動産ふどうさんの契約けいやくに向むけた促うながしになるかと思おもいます」　会見かいけんで村田むらたさんは「一般いっぱん的てきな貧困ひんこんの問題もんだいのような話はなしになっているが、この問題もんだいにかかわる時ときにはやはり、原発げんぱつ事故じこの問題もんだいを外はずしてもらっては困こまる。避難ひなん者しゃは自分じぶんで選えらんで国家こっか公務員こうむいん宿舎しゅくしゃに入居にゅうきょしたのでは無ない。一方いっぽう的てきに割わり振ふられ、一方いっぽう的てきに退去たいきょを命めいじられているんだ」と語気ごきを強つよめた。　そもそも避難ひなんの必要ひつようが生しょうじた原因げんいんは何なになのか。なぜ退去たいきょや転居てんきょが難むずかしいのか。国くにや福島ふくしま県けんの言いう〝自立じりつ〟を果はたした人ひとたちだけを見みていると、問題もんだいの本質ほんしつを見み誤あやまる。これは私わたしたちに突つきつけられた問題もんだいでもある。 全文ぜんぶん

　東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの2号機ごうきと3号機ごうきで、原子げんし炉ろ格納かくのう容器ようきの真上まうえにあるふたのような部分ぶぶんが極きわめて高こう濃度のうどに汚染おせんされていることが、原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいの調査ちょうさで判明はんめいした。事故じこ時じに格納かくのう容器ようきから漏もれた放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつが大量たいりょうに付着ふちゃくしているらしい。容易よういに近ちかづくことができず、この部分ぶぶんを動うごかすのは困難こんなんとみられる。規制きせい委いは「極きわめて深刻しんこく」とみており、廃はい炉ろ工程こうていが見直みなおしを迫せまられる可能かのう性せいもある。 […] 規制きせい委いは現場げんばの線量せんりょうが下さがってきたとして、昨年さくねん9月がつに原発げんぱつ事故じこの未み解明かいめい事項じこうの調査ちょうさを約やく5年ねんぶりに再開さいかい。これまでの東電とうでんなどの調査ちょうさで2、3号機ごうきのシールドプラグ付近ふきんの線量せんりょうが異常いじょうに高たかかったことから、現地げんち調査ちょうさで周辺しゅうへんの線量せんりょうを詳くわしく測定そくていし直なおすなどして、汚染おせん実態じったいの解明かいめいを進すすめてきた。 　その結果けっか、3枚まい重かさねの一番いちばん上じょうと真まん中なかの板いたの間ま付近ふきんにあると推定すいていされるセシウム137の量りょうは、2号機ごうきで約やく20～40ペタベクレル（ペタは1千せん兆ちょう）、3号機ごうきで約やく30ペタベクレルに達たっした。周辺しゅうへんの線量せんりょうの測定そくてい値ちから2号機ごうきのその部分ぶぶんの線量せんりょうを推定すいていすると、毎時まいじ10シーベルトを超こえるレベルになる。1時じ間あいだもそばにいれば人じんは死しに至いたる。 […] 規制きせい委いは、メルトダウン（炉心ろしん溶融ようゆう）で格納かくのう容器ようきから漏もれ出でた膨大ぼうだいな放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを、損傷そんしょうの少すくなかった2、3号機ごうきのシールドプラグがとらえたことで外部がいぶへの放出ほうしゅつ量りょうが抑おさえられたとみて、年明としあけにもまとめる事故じこ調査ちょうさの中なか間あいだ報告ほうこく書しょ案あんに盛もり込こむ。これほどの量りょうのセシウムが集中しゅうちゅうした仕組しくみや理由りゆうははっきりせず、今後こんごも調査ちょうさを進すすめるという。 　シールドプラグが据すえ付つけられた建屋たきのや最上階さいじょうかいの開口かいこう部ぶは、作業さぎょうのため格納かくのう容器ようきや圧力あつりょく容器ようきの内部ないぶにアクセスする主要しゅようなルートの一ひとつ。廃はい炉ろの最さい難関なんかん工程こうていとされる溶とけ落おちた核かく燃料ねんりょう（燃料ねんりょうデブリ）の取とり出だしでも、2022年ねん以降いこうに延期えんきされた試験しけん的てき取とり出だしを終おえた後のちの本格ほんかく段階だんかいでの活用かつようが検討けんとうされている。 　規制きせい委いの更さら田でん豊志とよし委員いいん長ちょうは12月下旬げじゅんの会見かいけんで、シールドプラグの高こう濃度のうど汚染おせんについて「デブリが高たかいところにあるようなものととらえてよい。廃はい炉ろにとって極きわめてインパクトの強つよい状況じょうきょうだ」と指摘してき。シールドプラグを撤去てっきょする作業さぎょうは、どんな工法こうほうを選えらんでも極きわめて難むずかしくなるとの見解けんかいを示しめした。東電とうでんは「デブリ取とり出だしの工法こうほうはまだ決きまっていない。シールドプラグの状況じょうきょうをしっかり把握はあくしたい」と話はなしている。（桑原くわばら紀彦のりひこ） 全文ぜんぶん