Daily Archives: 2022/05/05

　ロシアによるウクライナ侵攻しんこうでザポロジエ原発げんぱつが攻撃こうげきされ、戦時せんじに原発げんぱつが標的ひょうてきとされる危険きけん性せいが明白めいはくとなる中なか、日本にっぽん国内こくない最多さいたの15基き（廃はい炉ろ含ふくむ）の原発げんぱつが立地りっちする福井ふくい県けんで、ある変化へんかが起おきた。県けんの諮問しもん機関きかんとして原発げんぱつの安全あんぜん性せいを評価ひょうかする県けん原子力げんしりょく安全あんぜん専門せんもん委員いいん会かいで10年ねん以上いじょう、安全あんぜん性せいに疑念ぎねんを投なげかけてきた田島たじま俊彦としひこ・福井ふくい県立けんりつ大だい名誉めいよ教授きょうじゅ（76）が3月31日にち、自みずから退任たいにんしたのだ。田島たじまさんに思おもいを聞きくと、「実じつは……」。静しずかに語かたり始はじめた。 ロシア軍ぐんによる原発げんぱつ攻撃こうげきのニュースが飛とび込こんできた3月がつ上旬じょうじゅん、記者きしゃのもとに田島たじまさんから一いち通つうのメールが届とどいた。ザポロジエ原発げんぱつの状況じょうきょうを踏ふまえた「日本にっぽんでも、直ただちに最低さいていでも今こん運転うんてん中ちゅうの原子げんし炉ろの運転うんてんを停止ていしすべきだ」との訴うったえとともに、「私わたしはこの3月で委員いいんをやめる予定よていです」と書かかれていた。 　田島たじまさんが委員いいんを務つとめていた県けん原子力げんしりょく安全あんぜん専門せんもん委いは、関西電力かんさいでんりょく美浜原発みはまげんぱつ3号機ごうき（同どう県けん美浜みはま町まち）の蒸気じょうき噴出ふんしゅつ事故じこが起おきた2004年ねんに発足ほっそく。21年度ねんど時点じてんで、鞍くら谷たに文ぶん保ほ委員いいん長ちょう（福井大ふくいだい教授きょうじゅ）ら11人にんの委員いいんと外部がいぶ委員いいんで構成こうせいする。11年ねん3月がつの東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい1原発げんぱつ事故じこ後ごに原発げんぱつの安全あんぜん性せいへの懸念けねんが高たかまる中なか、歴代れきだいの福井ふくい県知事けんちじは、委員いいん会かいがまとめる「報告ほうこく書しょ」を原発げんぱつの安全あんぜん性せいの根拠こんきょとし、再さい稼働かどうの実質じっしつ的てきなゴーサインである「地元じもと同意どうい」を判断はんだんしてきた。つまり、委員いいん会かいは「原発げんぱつ銀座ぎんざ」の安全あんぜんを巡めぐる「最後さいごの砦とりで（とりで）」だ。 　その中なかで、独ひとり原発げんぱつの安全あんぜん対策たいさくの不備ふびを指摘してきし続つづけてきた田島たじまさんが委員いいんをやめる――。今後こんごの委員いいん会かいの議論ぎろんが安易あんいに「推進すいしん」に流ながれるのではないかと懸念けねんした。すぐに電話でんわで田島たじまさんに「これまでの委員いいん会かいでの議論ぎろんへの思おもいなどについて話はなしていただけませんか」とインタビュー取材しゅざいを申もうし込こんだ。 　数日すうじつ後ご、富山とやま市しの自宅じたくを訪おとずれた。田島たじまさんは硬かたい表情ひょうじょうで、静しずかに語かたり始はじめた。委員いいんに就任しゅうにんしたのは08年ねん。もともと素粒子そりゅうし物理ぶつり学がくの研究けんきゅう者しゃで原子力げんしりょくは専せん門外もんがい。就任しゅうにん前まえは学生がくせいに「原発げんぱつは安全あんぜんだ」と教おしえたこともあった。だが、福島ふくしま原発げんぱつ事故じこが考かんがえを大おおきく変かえた。「事故じこ後ごは、どんなに小ちいさくても危険きけん性せいが考かんがえられる限かぎり運転うんてんしてはいけないと思おもうようになった」と明あかす。 「軍事ぐんじ標的ひょうてきになる」と主張しゅちょうしたが…… 　だからこそ、ロシア軍ぐんのウクライナ侵攻しんこうでの原発げんぱつ攻撃こうげきを受うけて、原発げんぱつの安全あんぜん対策たいさくの不備ふびへの危機きき感かんを強つよめる。福井ふくい県内けんないの原発げんぱつは日本海にほんかい側がわに建たち並ならんでおり、断続だんぞく的てきな北朝鮮きたちょうせんのミサイル発射はっしゃと結むすびつけて危険きけん性せいが指摘してきされてきた。 […] もっと読よむ（有料ゆうりょう記事きじ）