Daily Archives: 2022/08/04

　東京電力とうきょうでんりょくは3日にち、福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ（福島ふくしま県けん大熊おおくま町まち、双葉ふたば町まち）の汚染おせん水すいを浄化じょうか処理しょりした後のちの水みずの海洋かいよう放出ほうしゅつに向むけ、海底かいていトンネルなどの設備せつび工事こうじを4日にちに始はじめると発表はっぴょうした。来年らいねん春はるの放出ほうしゅつ開始かいしを目指めざすが、気象きしょう条件じょうけんなどで海上かいじょう工事こうじが遅おくれた場合ばあい、設備せつびの完成かんせいは来年らいねん夏なつごろにずれ込こむ可能かのう性せいがあるという。漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃを中心ちゅうしんに反対はんたいの声こえは強つよく、実際じっさいに放出ほうしゅつできるかは不透明ふとうめいだ。（増井ますいのぞみ） […] 東電とうでんは、一部いちぶの工事こうじは同意どういの対象たいしょう外がいとして進すすめており、海底かいていトンネルにつながる貯水ちょすい槽そうが入はいる穴あなは掘ほり終おえた。　記者きしゃ会見かいけんした東電とうでん福島ふくしま第だい一いち廃はい炉ろ推進すいしんカンパニーの松本まつもと純一じゅんいち氏しは、理解りかいが得えられなければ海洋かいよう放出ほうしゅつはしないとした福島ふくしま県けん漁いざり連れんとの約束やくそく文書ぶんしょについて「漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃとの文書ぶんしょは順守じゅんしゅすることで間違まちがいない」と明言めいげん。ただ、理解りかいを得えていく道筋みちすじについては「説明せつめいを尽つくす」と繰くり返かえすだけだった。　 着工ちゃっこう前まえに東電とうでん幹部かんぶが漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃに説明せつめいするかを問とわれると、「予定よていはない」と答こたえた。一方いっぽう、岸田きしだ文雄ふみお首相しゅしょうは同日どうじつに全国ぜんこく漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごう会かいの坂本さかもと雅信まさのぶ会長かいちょうと面会めんかい。漁業ぎょぎょう継続けいぞくのための大型おおがた基金ききんについて「使つかい方かたは漁業ぎょぎょう者しゃの意見いけんを聞きいた上うえで、理解りかいを得えられるようにしたい」と述のべた。　 東電とうでんの計画けいかくでは、放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつトリチウムが主おもに残のこる処理しょり水すいを大量たいりょうの海水かいすいで薄うすめて国くにの排出はいしゅつ基準きじゅんの40分ぶんの1未満みまんにし、海底かいていトンネルを通つうじて沖合おきあい約やく1キロに放出ほうしゅつする。 ◆「政府せいふに声こえ届とどけかない」市民しみん団体だんたいが抗議こうぎ 　東京電力とうきょうでんりょくが福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつに向むけた設備せつび工事こうじの開始かいしを発表はっぴょうした3日にち、福島ふくしま県けんの市民しみん団体だんたいは県庁けんちょう前まえで抗議こうぎ行動こうどうを展開てんかいし、原発げんぱつが立地りっちする自治体じちたいの首長しゅちょうらは風評ふうひょう被害ひがい対策たいさくの徹底てっていなどを政府せいふに要請ようせいした。 「え、もう始はじまるの」。3日にち午後ごご、翌日よくじつの着工ちゃっこう方針ほうしんを聞きいた「これ以上いじょう海うみを汚けがすな！市民しみん会議かいぎ」共同きょうどう代表だいひょうの織田おだ千代ちよさん（67）＝福島ふくしま県けんいわき市し＝は絶句ぜっくした。福島ふくしま県けんや大熊おおくま町まち、双葉ふたば町まちが工事こうじに同意どういしてからわずか2日にち後ごの着工ちゃっこう。「引ひき返かえせない状態じょうたいになっていくのでは」と不安ふあんを募つのらせた。 この日ひの午前ごぜんには、同どう会かいが県庁けんちょう前まえで横断幕おうだんまくを掲かかげて抗議こうぎ。その後ごに開ひらいた記者きしゃ会見かいけんで、織田おださんは「放出ほうしゅつありきで計画けいかくが進すすんでいる。これだけ反対はんたいや不安ふあんの声こえがあるのに、政府せいふにはこの声こえは届とどかないのか」と憤いきどおった。同どう県けん伊達だて市しの渡辺わたなべ馨かおるさん（66）は「工事こうじを進すすめて既成きせい事実じじつを作つくり、押おし切きって海洋かいよう放出ほうしゅつするのではないかと不安ふあん」と懸念けねんした。 福島ふくしま県けんの内堀うちぼり雅雄まさお知事ちじと吉田よしだ淳あつし・大熊おおくま町長ちょうちょう、伊沢いさわ史朗しろう・双葉ふたば町長ちょうちょうは経済けいざい産業さんぎょう省しょうを訪おとずれ、萩生田はぎうだ光一こういち経けい産さん相しょうに要望ようぼう書しょを提出ていしゅつ。内堀うちぼり知事ちじは報道陣ほうどうじんに「放出ほうしゅつによって福島ふくしま県民けんみんが積つみ重かさねてきた努力どりょくが水泡すいほうに帰きすことがないよう、政府せいふ一丸いちがんとなって（風評ふうひょう被害ひがいなどに対たいする）必要ひつような対策たいさくをしてほしい」と話はなした。（片山かたやま夏子なつこ、増井ますいのぞみ） 全文ぜんぶん