Monthly Archives: November 2022

飯舘いいたて村むらでは、東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょの事故じこのため帰還きかん困難こんなん区域くいきとなり避難ひなん指示しじが続つづいている長泥ながどろ地区ちくのうち先行せんこうして除染じょせんなどを進すすめる「特定とくてい復興ふっこう再生さいせい拠点きょてん区域くいき」になっていない地域ちいきの一部いちぶについて、いわゆる「除染じょせんなき避難ひなん指示しじ解除かいじょ」の枠組わくぐみを使つかって、来年らいねん春はるの大型おおがた連休れんきゅうごろに避難ひなん指示しじを解除かいじょする方針ほうしんを明あきらかにしました。「拠点きょてん区域くいき外がい」の避難ひなん指示しじ解除かいじょの具体ぐたい的てきな時期じきが示しめされたのは、初はじめてです。 立たち入いりが厳きびしく制限せいげんされる帰還きかん困難こんなん区域くいきとなっている飯舘いいたて村むらの長泥ながどろ地区ちくは、全体ぜんたいの１７％が先行せんこうして除染じょせんなどを進すすめる「特定とくてい復興ふっこう再生さいせい拠点きょてん区域くいき」として来年らいねん春はるの避難ひなん指示しじ解除かいじょを目指めざしていて、このほかの地域ちいきについても来年らいねん春はる以降いこう段階だんかい的てきに解除かいじょしたいとする案あんが示しめされていました。 国くにと飯舘いいたて村むらは、２０日にち、福島ふくしま市内しないで住民じゅうみん説明せつめい会かいを行おこなったうえで記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、国くにによる除染じょせんが行おこなわれていなくても自治体じちたいに土地とち活用かつようの強つよい意向いこうがあれば放射線ほうしゃせん量りょうが下さがり住民じゅうみんが帰還きかんしないことなどを条件じょうけんに避難ひなん指示しじを解除かいじょできる「除染じょせんなき避難ひなん指示しじ解除かいじょ」の枠組わくぐみを使つかって、来年らいねん春はるの大型おおがた連休れんきゅうごろに、「拠点きょてん区域くいき外がい」の一部いちぶの避難ひなん指示しじを解除かいじょする方針ほうしんを明あきらかにしました。 解除かいじょされるのは、地面じめんにコンクリートを打うつなどして放射線ほうしゃせんを遮さえぎる国くにの実証じっしょう実験じっけんが行おこなわれていた６４００平方へいほうメートルの土地とちで、村内むらうちの「拠点きょてん区域くいき外がい」の０.０７％にあたります。 放射線ほうしゃせん量りょうが十分じゅうぶん下さがったことが確認かくにんされたことから、こうした実証じっしょう事業じぎょうの成果せいかを広ひろく見みてもらうため自由じゆうに立たち入いれるようにするということです。 「拠点きょてん区域くいき外がい」の避難ひなん指示しじ解除かいじょの具体ぐたい的てきな時期じきが示しめされたのは、初はじめてです。 また、これにあわせて村むら内ないの拠点きょてん区域くいきの避難ひなん指示しじをすべて解除かいじょする方針ほうしんも示しめされました。 […] 全文ぜんぶん

　東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつが立地りっちし、原発げんぱつ事故じこで高こう濃度のうどに汚染おせんされた大熊おおくま町まちでは６月がつ３０日にち、双葉ふたば町まちでは８月がつ３０日にち、それぞれ主要しゅよう地域ちいきの避難ひなん指示しじが解除かいじょされた。故郷こきょうに帰かえる選択肢せんたくしができたことは喜よろこばしいが、どこまで放射線ほうしゃせん量りょうは下さがったのか。１０月がつ２９、３０の両日りょうじつ、首都しゅと圏けんのほか両町りょうちょうでも測定そくてい活動かつどうを続つづける丹野たんの心こころ平たいらさん(42)とともに調しらべた。（山川やまかわ剛史たけし） […] 　双葉ふたば町まちは相対そうたい的てきに線量せんりょうは低ひくめで、特とくに敷地しきち造成ぞうせいしたJR常磐線じょうばんせん双葉ふたば駅えき周辺しゅうへんは毎時まいじ０．１マイクロシーベルトを下回したまわる地点ちてんも多おおかった。ただ、北側きたがわの高台たかだいにある住宅じゅうたく地ちは明あきらかに高たかく、周辺しゅうへんの森もりを調しらべると、どこも３マイクロシーベルトを優ゆうに超こえ、土ども１キログラム当あたり１２万まんベクレル超ちょうと、放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつの基準きじゅん（同どう８０００ベクレル）の１５倍ばい超ちょうあった。事故じこ以来いらい、傾かたむいたまま放置ほうちされている廃はい工場こうじょう周辺しゅうへんにたまった土どからは１００万まんベクレルを超こえる汚染おせんが確認かくにんされた。　大熊おおくま町まちの大野おおの駅えき周辺しゅうへんは元もとの線量せんりょうが非常ひじょうに高たかく、商店しょうてん街がいなど大半たいはんの建物たてものが解体かいたいされたのに、路上ろじょうでも毎時まいじ０．６マイクロシーベルトあった。車くるまを降おり、歩あるいて調しらべると、各所かくしょで急きゅうに線量せんりょうが上あがるホットスポットに遭遇そうぐうした。　大熊おおくま町まちの除染じょせん検証けんしょう委員いいんでもある東大とうだいの小豆しょうず川がわ（しょうずがわ）勝見かつみ助じょ教きょうは「除染じょせんして終おわりではなく、引ひき続つづき調査ちょうさ、対策たいさく、周知しゅうちが必要ひつようだ。高こう線量せんりょうの地点ちてんでは、だれもが分わかる表示ひょうじが必要ひつようだ」と話はなしている。 […] 全文ぜんぶん

青木あおき美希みき いまだに放射線ほうしゃせん量りょうが高たかい帰還きかん困難こんなん区域くいき 福島ふくしま県けん双葉ふたば町まちの鵜沼うぬま（うぬま）家かに入はいる道路どうろは、今いまも銀色ぎんいろのゲートで行ゆく手てを阻はばまれている。看板かんばんには「この先さき 帰還きかん困難こんなん区域くいきにつき通行止つうこうどめ」という文字もじ。住民じゅうみんの立たち入いりは厳きびしく制限せいげんされている。 帰還きかん困難こんなん区域くいきは7市町村しちょうそんの計けい337平方へいほうキロメートルに及およんでいる。住民じゅうみん登録とうろくしている人ひとは約やく2万まん人にん。国くにはその面積めんせきの8％を「特定とくてい復興ふっこう再生さいせい拠点きょてん」とし、避難ひなん指示しじ解除かいじょを始はじめているが、鵜沼うぬまさん宅たくの地域ちいきは対象たいしょう外がいだ。 震災しんさい後ごに夫おっとを亡なくした鵜沼うぬま久江ひさえさん（69）はこの10月、20日はつかぶりにこの自宅じたくに戻もどり、私わたしも同行どうこうした。 ゲートの前まえで鵜沼うぬまさんが電話でんわすると、3分ふん後ごに青あおい作業さぎょう服ふくの男性だんせいがやってきた。男性だんせいは、鵜沼うぬまさんと私わたしの運転うんてん免許めんきょ証しょうを確認かくにん。施錠せじょうされた銀色ぎんいろのゲートを押おし開あけた。鵜沼うぬまさんが車くるまを進すすませると、セイタカアワダチソウやササなど高たかさ2メートルほどの草くさが道みちの両側りょうがわを埋うめ尽つくしていた。 「ここはみんな田たんぼです」 どこが畔ほとり（あぜ）なのか。田たんぼを思おもわせるものは何なにも見みえない。 鵜沼うぬまさんは、ハンドルを握にぎりながらフロントガラスに顔かおを近ちかづけ、道路どうろをじっと見みつめる。道路どうろには落おち葉ばが積つもり、その下したにどんなものが落おちているのか、注意ちゅういしなければならないからだ。 2分ふんほど車くるまを徐行じょこうさせたところで、ピーピーという警告けいこく音おんが鳴なりはじめた。私わたしが持もってきたウクライナ製せい線量せんりょう計けいのアラームだ。初期しょき設定せっていで0.3マイクロシーベルト毎時まいじを超こえると鳴なるようになっている。事故じこ前まえの双葉ふたば町まちは0.03マイクロシーベルト毎時まいじ程度ていどだったので、10倍ばい超ちょうということだ。 数値すうちはその後ごも上あがっていく。 […] […] 「持もち出だせるものなんて何なにもありません」 位牌いはいもですかと問とうと、鵜沼うぬまさんはうなずいた。 線量せんりょう計けいの値ねが1マイクロを超こえる。 「（アラームが）鳴なりっぱなしですものね。『あれを持もっていこう』と思おもうときもあるんですけど、どうせ持もっていったって、（汚染おせん限度げんどを）超こえて没収ぼっしゅうとなるでしょう？ 持もち出だす気きにもなれません」 帰還きかん困難こんなん区域くいきで外そとに持もち出だせるものは、対象たいしょう物ぶつの汚染おせん（1分間ふんかん当あたりの放射線ほうしゃせんの計数けいすう率りつ）が1万まん3000cpmを下回したまわるものに限かぎられている。 牛舎ぎゅうしゃに残のこる、逃にげられなかった牛うしの骨ほね 「牛舎ぎゅうしゃを見みせていただけますか」と頼たのむと、鵜沼うぬまさんが案内あんないしてくれた。来きた道みちを戻もどっていく。右側みぎがわに牛舎ぎゅうしゃが見みえた。事故じこ前まえの鵜沼うぬまさんは放牧ほうぼくで約やく50頭とうの黒毛くろげ和牛わぎゅうを育そだてており、牛舎ぎゅうしゃは餌えさ場じょうだった。今いまはがらんとしていて、コンクリートの床ゆかは乾かわいた牛糞ぎゅうふんで埋うめ尽つくされている。その上うえに白しろいものが散ちらばっていた。 「骨ほねです」 […] 一いち度どは東電とうでんが骨ほねを片付かたづけたが、あのときに見みた牛うしたちの骨ほねは、どれがどこの部分ぶぶんかわからないほどの微細びさいな欠片かけらとなってしまった。散ちり散ぢりになって落おちていたり、埋うまったりしている。「まだまだ出でてくるんです」と言いいながら、鵜沼うぬまさんは靴くつで骨ほねを掘ほり返かえす。「何なにとかならないかと思おもうんだけど、一人ひとりで拾ひろうのは勇気ゆうきがなくて……」。 鵜沼うぬまさんの放牧ほうぼく場じょうは広大こうだいで、福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの敷地しきちと隣接りんせつしていた。 「原発げんぱつ構内こうないからうちの牛うしが見みえるのよ。福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつを視察しさつに来きた人ひとたちには、『安全あんぜんですよ』というすごいいいPRだったと思おもいます。のんびりエサ食たべて寝ねっ転ころがって」 東電とうでんから原発げんぱつは安全あんぜんだと繰くり返かえし聞きかされてきたという。 線量せんりょう計けいの値ねは1.7マイクロにまで上あがった。事故じこ前まえの56倍ばいだ。被曝ひばくさせるのは申もうし訳わけないと思おもい、私わたしは鵜沼うぬまさんに先さきに外そとに出でてもらい、残のこされた骨ほねを撮影さつえいした。これは脚あしか、こっちは首くびか。考かんがえながら、カメラとビデオを向むける。 福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつから西北西せいほくせい2.5キロに住すんでいた鵜沼うぬまさん夫妻ふさいは2011年ねん3月がつ11日にち、牛うしとともに被災ひさいした。 防災ぼうさい無線むせんが聞きこえず、地域ちいきの町民ちょうみんたちが避難ひなんしていくのを見みて避難ひなんを始はじめようとしたが、牛うしが気きになって仕方しかたない。近所きんじょの一家いっかを避難ひなんさせたあと、いったん自宅じたくに戻もどった。出産しゅっさんを控ひかえていた牛うしがいたからだ。その日ひは近ちかくで車中しゃちゅう泊はくしたが、牛うしは出産しゅっさんせず、結局けっきょく、牛舎ぎゅうしゃを離はなれた。 忘わすれることはできない震災しんさいの記憶きおく 鵜沼うぬまさんは11年ねんあまり前まえの、突然とつぜん自分じぶんたちを襲おそった避難ひなんの日々ひびを忘わすれたことがない。 同おなじ双葉ふたば町まちの町民ちょうみんたちは自家用車じかようしゃで北西ほくせいの川俣かわまた町まちを目指めざした。鵜沼うぬまさんは疑問ぎもんだった。年とし1度どの訓練くんれんでは近ちかくの公民館こうみんかんに集あつまり、自衛隊じえいたいのトラックで双葉ふたば町まち役場やくばまで行いっていた。事故じこが現実げんじつになってみると、避難ひなん先さきは計画けいかくと異ことなり、移動いどうも自力じりきを強しいられた。 […] 「テレビも何なにもなく、情報じょうほうがなかったんです。東電とうでんの制服せいふくを着きた職員しょくいんが『メルトダウンしてるんだからここにいてはだめだ』と叫さけんでまわってて。体育館たいいくかんの戸とが閉しめられ、『出でないように』と言いわれ、閉とじこもりました」 鵜沼うぬまさんは事故じこから3日にち後ごの3月がつ14日にち、避難ひなん所しょの体育館たいいくかんを出でて、車くるまで牛舎ぎゅうしゃに向むかった。その時点じてんで、避難ひなん指示しじは原発げんぱつから20キロ圏内けんないまで拡大かくだいされていた。鵜沼うぬまさんは制止せいしをかいくぐって進すすんだ。牛舎ぎゅうしゃに着つくと、濡ぬれた子こ牛うしがいた。出産しゅっさんは終おわっている。しかし、母はは牛うしからは母乳ぼにゅうが出でていない。置おいていけば死しんでしまうが、連つれていくわけにはいかない。 翌よく15日にち午前ごぜん、浪江なみえ町まちが全ぜん町民ちょうみんの町まち外がい避難ひなんを決きめたため、鵜沼うぬまさんも内陸ないりく部ぶの二本松にほんまつ市しに向むかった。 「牛うしたちが気きがかりでしたが、『放射能ほうしゃのうで牛うしがみんな死しんだ』という情報じょうほうが流ながれ、あきらめました。それがうそ情報じょうほうだとわかったのはあとのことです」 原発げんぱつ新しん増設ぞうせつの方針ほうしんに対たいする疑問ぎもん … Continue reading →

2022/11/15 19:30 原発げんぱつ事故じこ後ごの福島ふくしま県内けんないの被曝ひばくリスクや行政ぎょうせいの怠慢たいまんを正面しょうめんから問とう「子こども脱だつ被ひばく裁判さいばん」の控訴こうそ審しん。第だい5回かい口頭こうとう弁論べんろんが14日にち午後ごご、仙台せんだい高裁こうさい101号ごう法廷ほうてい（石栗いしぐり正子まさこ裁判さいばん長ちょう）で行おこなわれ、石栗いしぐり裁判さいばん長ちょうは控訴こうそ人じん（一いち審しん原告げんこく）から出だされていた5人にんへの証人しょうにん尋問じんもん申請しんせいをすべて却下きゃっかした。高裁こうさいは福島ふくしま県けんの内堀うちぼり雅雄まさお知事ちじなど判断はんだん権けん者しゃの話はなしを聴きかないまま、SPEEDI情報じょうほう隠蔽いんぺいや学校がっこう再開さいかいについての「年とし20mSv基準きじゅん」など、国くにや福島ふくしま県けんの原発げんぱつ事故じこ対応たいおうについて判断はんだんする。次回じかい期日きじつは3月がつ27日にち15時じ。2月1日にちには、審理しんりが分離ぶんりされ結審けっしんした行政ぎょうせい訴訟そしょう（子こども人権じんけん裁判さいばん）についての判決はんけつがい渡いわたされる。 【「立証りっしょう趣旨しゅしは理解りかいしているが…」】　石栗いしぐり裁判さいばん長ちょうが全員ぜんいん却下きゃっかを伝つたえると、「ええええええ」と傍聴ぼうちょう席せきがどよめいた。　5人にん全員ぜんいんとはいかないまでも、何人なんにんかの尋問じんもんは実現じつげんするだろう。誰だれもがそう考かんがえていた。開廷かいてい前まえの事前じぜん集会しゅうかいでも、井戸いど謙一けんいち弁護士べんごし（弁護べんご団長だんちょう）は「何人なんにんかの採用さいようはあるはず」と話はなしていた。しかし、石栗いしぐり裁判さいばん長ちょうは言葉ことば遣づかいこそていねいだったが、控訴こうそ人じん側がわからの申請しんせいを一切いっさい認みとめなかった。　「結論けつろんを申もうし上あげます。立証りっしょう趣旨しゅしとしてお書がきになっているところについては裁判所さいばんしょとしては理解りかいしておりますけれども、この5人にんの方ほうの証拠しょうこ調しらべ（証人しょうにん尋問じんもん）が必要ひつようであるというふうには考かんがえておりませんので、いずれも採用さいようしないことと致いたします」　すぐに井戸いど弁護士べんごしが立たちあがった。　「裁判所さいばんしょが必要ひつようないという考かんがえなのであれば、前回ぜんかいわざわざ審理しんりを分離ぶんりしなくても良よかったのではないか。分離ぶんりしてわざわざ今日きょうの期日きじつを設もうけていただいたということは、何人なんにんになるかは分わからないけれども、採用さいようしていただけるというお考かんがえなのだろうと期待きたいしていた。前回ぜんかい期日きじつから今日きょうまでに考かんがえが変かわられたのか？」　石栗いしぐり裁判さいばん長ちょうは「そういうことではありません」と否定ひていした。　「前回ぜんかい期日きじつも、行政ぎょうせい事件じけんについては十分じゅうぶんご主張しゅちょうが整ととのっているとは思おもわなかったが、時間じかん的てきにあの時点じてんで審理しんりを終結しゅうけつしなければ年度内ねんどないに判決はんけつをい渡いわたすことが難むずかしい状況じょうきょうだったので分離ぶんりした…あの時点じてんで証拠しょうこ調しらべについて何なんらかの考かんがえを持もっていて、それが変かわったということはございません」　古川ふるかわ健三けんぞう弁護士べんごしも納得なっとくがいかないという様子ようすで立たち上あがった。　「すいません、もう一度いちど不ふ採用さいようの理由りゆうを説明せつめいしていただけないでしょうか」　しかし、石栗いしぐり裁判さいばん長ちょうは同おなじ言葉ことばを繰くり返かえすばかりだった。　「控訴こうそ人じんらの立証りっしょう趣旨しゅしについて、お書がきになっているところは理解りかいしておりますが、立証りっしょう趣旨しゅしとの関係かんけいで、この方々かたがたの人証じんしょう調しらべが必要ひつようであるというふうには考かんがえていないということです」　古川ふるかわ弁護士べんごしは「私わたしどもとしては少すくなくとも福島ふくしま県けんの内堀うちぼり氏しか荒あら竹ちく氏しかは採用さいようしていただけると考かんがえていたので非常ひじょうに残念ざんねん」と述のべたが、裁判所さいばんしょの判断はんだんが覆くつがえるはずもなかった。 […] 　※弁論べんろんの併合へいごうと分離ぶんりについて　「子こども脱だつ被ひばく裁判さいばん」はこれまで、「行政ぎょうせい訴訟そしょう」（通称つうしょう・子こども人権じんけん裁判さいばん）と「国家こっか賠償ばいしょう請求せいきゅう訴訟そしょう」（通称つうしょう・親子おやこ裁判さいばん）の2つの訴訟そしょうを併合へいごうし、同時どうじ進行しんこうで進すすめられてきた。　「行政ぎょうせい訴訟そしょう」は、福島ふくしま県内けんないの公立こうりつの小・中学生しょうちゅうがくせいである子こどもたち（原告げんこく）が、福島ふくしま県内けんないの市しや町まち（被告ひこく）に対たいし、被曝ひばくという点てんにおいて安全あんぜんな環境かんきょうの施設しせつで教育きょういくを実施じっしするよう求もとめた。　「国家こっか賠償ばいしょう請求せいきゅう訴訟そしょう」は、3･11当時とうじ、福島ふくしま県内けんないに居住きょじゅうしていた親子おやこが原告げんこく。国くにと福島ふくしま県けん（被告ひこく）の『5つの不合理ふごうりな施策しさく』（①SPEEDIやモニタリング結果けっかなど必要ひつような情報じょうほうを隠蔽いんぺいした②安定あんていヨウ素もと剤ざいを子こどもたちに服用ふくようさせなかった③それまでの一般いっぱん公衆こうしゅうの被曝ひばく限度げんどの20倍ばいである年とし20mSv基準きじゅんで学校がっこうを再開さいかいした④事故じこ当初とうしょは子こどもたちを集団しゅうだん避難ひなんさせるべきだったのに、させなかった⑤山下やました俊一しゅんいち氏しなどを使つかって嘘うその安全あんぜん宣伝せんでんをした）によって子こどもたちに無用むような被曝ひばくをさせ、精神せいしん的てき苦痛くつうを与あたえられたとして、損害そんがい賠償ばいしょう（1人ひとり10万まん円えん）を求もとめている。　しかし、行政ぎょうせい訴訟そしょうは子こどもたちが中学校ちゅうがっこうを卒業そつぎょうしてしまうと原告げんこく資格しかくを失うしなうため徐々じょじょに原告げんこくが減へり、来年らいねん3月がつにはついに原告げんこくがゼロになる事態じたいを迎むかえる。そこで、控訴こうそ人じん（一いち審しん原告げんこく）側がわは仙台せんだい高裁こうさいに弁論べんろんの分離ぶんりを申請しんせい。石栗いしぐり裁判さいばん長ちょうは前回ぜんかい9月がつの期日きじつで分離ぶんりを認みとめたうえで行政ぎょうせい訴訟そしょうを結審けっしん。判決はんけつを2月がつ1日にちにい渡いわたすとことを決きめた。一方いっぽうの「国家こっか賠償ばいしょう請求せいきゅう訴訟そしょう」は審理しんりが継続けいぞくしており、今回こんかいの人証じんしょう申請しんせいは「国家こっか賠償ばいしょう請求せいきゅう訴訟そしょう」に関かんするものだった。　2つの訴訟そしょうの違ちがいや争そう点てんなどについては2021年ねん2月がつ20日にち号ごうで詳報しょうほうしている。 原文げんぶん