Tag Archives: 海洋かいよう放出ほうしゅつ

2024年ねん2月がつ21日にち 19時じ16分ふん 　東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい1原発げんぱつ（福島ふくしま県けん大熊おおくま町まち、双葉ふたば町まち）の汚染おせん水すい処理しょり設備せつびで水みず漏もれ事故じこが相次あいついだことを受うけ、斎藤さいとう健けん経済けいざい産業さんぎょう相しょうは21日にち、東電とうでんの小早川こばやかわ智明ともあき社長しゃちょうを呼よび、再発さいはつ防止ぼうしの徹底てっていを指導しどうした。汚染おせん水すいを浄化じょうか処理しょりした水みずの海洋かいよう放出ほうしゅつの開始かいしから24日にちで半年はんとし。風評ふうひょう被害ひがいの影響えいきょうが続つづく中なかで起おきた放出ほうしゅつの基幹きかん設備せつびでのずさんな管理かんりは、リスクを軽視けいしする東電とうでんの体質たいしつを浮うき彫ぼりにする。（小野沢おのざわ健太けんた） ◆人為じんい的てきなミスが原因げんいん […]「単たんなるヒューマンエラーとして対処たいしょするのではなく経営けいえい上じょうの課題かだいとして重おもく受うけ止とめていただきたい」と求もとめた。小早川こばやかわ社長しゃちょうは「私わたしが先頭せんとうに立たち、責任せきにんを持もって再発さいはつ防止ぼうしに取とり組くむ」と約束やくそくした。 　福島ふくしま第だい1原発げんぱつでは、原子げんし炉ろ建屋たきのやにたまる汚染おせん水すいの除染じょせん設備せつびで7日にち、洗浄せんじょう廃液はいえきを建屋たきのや外がいに漏もらす事故じこが発生はっせい。昨年さくねん10月がつには多た核種かくしゅ除去じょきょ設備せつび（ALPS）で、洗浄せんじょう廃液はいえきが飛散ひさんして作業さぎょう員いん2人にんが被ひばくし、一時いちじ入院にゅういんした。 　二ふたつの事故じこはいずれも、東電とうでんや下請したうけ企業きぎょうに過去かこの作業さぎょう経験けいけんによる慣なれがあり、状況じょうきょう確認かくにんや防護ぼうご対策たいさくを怠おこたったことが共通きょうつうしている。 ◆開ひらいたままの手動しゅどう弁べんから廃液はいえき漏もれ 除染じょせん設備せつびでは、屋外おくがいの排気はいき口こうにつながる手動しゅどう弁べん10カ所かしょが開ひらいたまま洗浄せんじょうし、廃液はいえきが漏もれ出でた。過去かこに14回かいあった同様どうようの作業さぎょうでは、洗浄せんじょう前まえの設備せつび点検てんけんの際さいには弁べんが閉しまっていたという。 　今回こんかいは、弁べんが開ひらいた状態じょうたいだったことの情報じょうほう共有きょうゆうが東電とうでんの部署ぶしょ間あいだで不十分ふじゅうぶんだったため、閉しめないまま点検てんけんに入はいった。東電とうでんが作成さくせいした作業さぎょうの手順てじゅん書しょも、これまでと同様どうように弁べんが閉しまった前提ぜんていの手順てじゅんになっていた。点検てんけんした下請したうけ企業きぎょうの作業さぎょう員いんも、弁べんは閉しまっていると思おもい込こみ、開閉かいへい状じょう況きょうまで確たしかめなかった。 ◆かっぱ着用ちゃくようせずに作業さぎょう、廃液はいえきかぶる 　ALPSでの被ひばく事故じこも、従来じゅうらいの洗浄せんじょう作業さぎょうでは廃液はいえきタンクから周囲しゅういに飛とび散ちったことはなく、作業さぎょう員いん2人にんがかっぱを着きなかった。しかし、想定そうていしていなかった飛散ひさんが起おき、廃液はいえきをかぶって放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつが体からだに付着ふちゃくした。この事故じこで、東電とうでんは安全あんぜん管理かんりの意識いしき徹底てっていなどの再発さいはつ防止ぼうし策さくを打うち出だしたが、3カ月かげつほどでまた事故じこが起おきた。 　これらの設備せつびで処理しょりした水みずの海洋かいよう放出ほうしゅつは、昨年さくねん8月がつ24日にちに始はじまった。これまでのところ、原発げんぱつ周辺しゅうへんの海水かいすいの放射能ほうしゃのう濃度のうど測定そくていで異常いじょうは確認かくにんされていないが、中国ちゅうごくやロシアは日本にっぽん産さん水産物すいさんぶつの輸入ゆにゅう停止ていしを継続けいぞく。東電とうでんは今月こんげつ14日にち時点じてんで、約やく30件けんの風評ふうひょう被害ひがいの賠償ばいしょう請求せいきゅうに対たいし、計けい約やく41億おく円えんを支払しはらった。 　放出ほうしゅつの影響えいきょうが続つづく一方いっぽう、福島ふくしま第だい1原発げんぱつの事故じこ収束しゅうそく作業さぎょうは「緩ゆるみ」が深刻しんこく化かしている。19日にちの原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいの会合かいごうで、福島ふくしま県けん大熊おおくま町まち商工会しょうこうかいの蜂須賀はちすか礼子あやこ会長かいちょうは、東電とうでんトップの言葉ことばをこう切きり捨すてた。「社長しゃちょうさんは『（事故じこ収束しゅうそくに）覚悟かくごを持もって取とり組くむ』とよく言いうけど、覚悟かくごの『か』の字じも見みえない」 　福島ふくしま第だい1原発げんぱつの汚染おせん水すい処理しょり 1〜3号機ごうき内ないの溶とけ落おちた核かく燃料ねんりょう（デブリ）に触ふれた冷却れいきゃく水すいが汚染おせん水すいとなり、建屋たきのやに流入りゅうにゅうする地下水ちかすいや雨水あまみずと混まざって増加ぞうか。1日にち当あたり約やく90トンが発生はっせいしている。汚染おせん水すいは除染じょせん設備せつびで放射ほうしゃ性せいセシウムやストロンチウムを低減ていげんした後のち、多た核種かくしゅ除去じょきょ設備せつび（ALPS）でトリチウムを除のぞく大半たいはんの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを除去じょきょして貯蔵ちょぞうタンクに保管ほかん。昨年さくねん8月がつ24日にちに処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつが始はじまり、処理しょり水すいに大量たいりょうの海水かいすいを混まぜてトリチウム濃度のうどを国くにの排水はいすい基準きじゅんの40分ぶんの1未満みまんにした上うえで、沖合おきあい約やく1キロの海底かいていから放出ほうしゅつしている。 全文ぜんぶん

政府せいふは13日にち、東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ（福島ふくしま県けん大熊おおくま町まち、双葉ふたば町まち）で発生はっせいする汚染おせん水すいを浄化じょうか処理しょりした後のちの水みずの海洋かいよう放出ほうしゅつについて関係かんけい閣僚かくりょう会議かいぎを開ひらき、「放出ほうしゅつ開始かいしは今年ことし春はるから夏なつごろを見込みこむ」とする方針ほうしんを決きめた。2021年ねん4月がつの海洋かいよう放出ほうしゅつ方針ほうしんの決定けってい時じに「2年ねん程度ていど後ご」としていた開始かいし時期じきが具体ぐたい化かした。漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃからは反対はんたいの声こえが上あがっており、実際じっさいに放出ほうしゅつできるかは見通みとおせない。 【関連かんれん記事きじ】処理しょり水すい海洋かいよう放出ほうしゅつの地元じもと同意どういないまま進すすむ海底かいていトンネル工事こうじの現場げんばとは　公開こうかいした東電とうでんは「順調じゅんちょう」 　政府せいふと東電とうでんは15年ねん、福島ふくしま県けん漁いざり連れんに対たいし「関係かんけい者しゃの理解りかいなしには、いかなる処分しょぶん（海洋かいよう放出ほうしゅつ）も行おこなわない」と文書ぶんしょで約束やくそくしていた。全国ぜんこく漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごう会かいの坂本さかもと雅信まさのぶ会長かいちょうは13日にち、「海洋かいよう放出ほうしゅつに反対はんたいであることはいささかも変かわらない」との談話だんわを出だした。 　この日ひの閣僚かくりょう会議かいぎでは、海洋かいよう放出ほうしゅつに向むけた行動こうどう計画けいかくを改定かいていした。放出ほうしゅつ開始かいしの見込みこみのほか、全国ぜんこくの漁業ぎょぎょう者しゃ向むけに新あらたに500億おく円えんの基金ききんを創設そうせつし、漁業ぎょぎょうの継続けいぞく支援しえんを強化きょうか。新あらたな漁場ぎょじょうの開拓かいたくや漁船ぎょせんの燃料ねんりょうコスト削減さくげん策さくなどに対たいし、必要ひつよう経費けいひを基金ききんから支援しえんする。 　テレビCMなどを活用かつようした情報じょうほう発信はっしんの拡充かくじゅうも盛もり込こみ、計画けいかくは「安全あんぜん確保かくほと風評ふうひょう対策たいさくのために必要ひつような具体ぐたい策さくのメニューはおおむね出でそろった」とした。 […] ◆形骸けいがい化かした約束やくそく…理解りかい得えられたかの判断はんだん基準きじゅんもなく 　＜解説かいせつ＞　東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつの開始かいし時期じきを「今春こんしゅんから夏なつごろを見込みこむ」と政府せいふが示しめしたことで、反対はんたいを貫つらぬく漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃとの「約束やくそく」の形骸けいがい化かが進すすんだ。「関係かんけい者しゃの理解りかいなしに海洋かいよう放出ほうしゅつはしない」と約束やくそくしてきた以上いじょう、開始かいし時期じきの目安めやすは、漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃらの理解りかいを得えた後のちに示しめすのがあるべき姿すがただ。 　反対はんたい意見いけんに向むき合あわずに手続てつづきを進すすめる政府せいふの姿勢しせいは、昨年さくねん末まつの原発げんぱつ政策せいさくの見直みなおしで、原則げんそく40年ねん、最長さいちょう60年ねんとしてきた原発げんぱつの運転うんてん期間きかんについて60年ねん超ちょうの運転うんてんを可能かのうとするなど原発げんぱつの積極せっきょく活用かつように転てんじた際さいも同おなじだった。 　処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつについて政府せいふや東電とうでんは「丁寧ていねいに説明せつめいを続つづける」とするが、理解りかいが得えられたかどうかをどのようにして判断はんだんするのか、詳くわしい説明せつめいをしようとしない。漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃの間あいだでもあきらめの声こえが上あがる。 　福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつでは汚染おせん水すいが毎日まいにち増ふえ続つづけ、いずれは処理しょり水すいの貯蔵ちょぞうも限界げんかいを迎むかえる。ただ、処理しょり水すいの増加ぞうか量りょうは東電とうでんの従来じゅうらいの説明せつめいよりも緩ゆるやかになっており、今夏こんかまでに放出ほうしゅつするほど差さし迫せまってはいない。なし崩くずし的てきに放出ほうしゅつに踏ふみ切きるのではなく、時間じかんをかけ、まずは関係かんけい者しゃの理解りかいを得えることが前提ぜんていだ。（小野沢おのざわ健太けんた） 全文ぜんぶん

　東京電力とうきょうでんりょくは3日にち、福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ（福島ふくしま県けん大熊おおくま町まち、双葉ふたば町まち）の汚染おせん水すいを浄化じょうか処理しょりした後のちの水みずの海洋かいよう放出ほうしゅつに向むけ、海底かいていトンネルなどの設備せつび工事こうじを4日にちに始はじめると発表はっぴょうした。来年らいねん春はるの放出ほうしゅつ開始かいしを目指めざすが、気象きしょう条件じょうけんなどで海上かいじょう工事こうじが遅おくれた場合ばあい、設備せつびの完成かんせいは来年らいねん夏なつごろにずれ込こむ可能かのう性せいがあるという。漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃを中心ちゅうしんに反対はんたいの声こえは強つよく、実際じっさいに放出ほうしゅつできるかは不透明ふとうめいだ。（増井ますいのぞみ） […] 東電とうでんは、一部いちぶの工事こうじは同意どういの対象たいしょう外がいとして進すすめており、海底かいていトンネルにつながる貯水ちょすい槽そうが入はいる穴あなは掘ほり終おえた。　記者きしゃ会見かいけんした東電とうでん福島ふくしま第だい一いち廃はい炉ろ推進すいしんカンパニーの松本まつもと純一じゅんいち氏しは、理解りかいが得えられなければ海洋かいよう放出ほうしゅつはしないとした福島ふくしま県けん漁いざり連れんとの約束やくそく文書ぶんしょについて「漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃとの文書ぶんしょは順守じゅんしゅすることで間違まちがいない」と明言めいげん。ただ、理解りかいを得えていく道筋みちすじについては「説明せつめいを尽つくす」と繰くり返かえすだけだった。　 着工ちゃっこう前まえに東電とうでん幹部かんぶが漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃに説明せつめいするかを問とわれると、「予定よていはない」と答こたえた。一方いっぽう、岸田きしだ文雄ふみお首相しゅしょうは同日どうじつに全国ぜんこく漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごう会かいの坂本さかもと雅信まさのぶ会長かいちょうと面会めんかい。漁業ぎょぎょう継続けいぞくのための大型おおがた基金ききんについて「使つかい方かたは漁業ぎょぎょう者しゃの意見いけんを聞きいた上うえで、理解りかいを得えられるようにしたい」と述のべた。　 東電とうでんの計画けいかくでは、放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつトリチウムが主おもに残のこる処理しょり水すいを大量たいりょうの海水かいすいで薄うすめて国くにの排出はいしゅつ基準きじゅんの40分ぶんの1未満みまんにし、海底かいていトンネルを通つうじて沖合おきあい約やく1キロに放出ほうしゅつする。 ◆「政府せいふに声こえ届とどけかない」市民しみん団体だんたいが抗議こうぎ 　東京電力とうきょうでんりょくが福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつに向むけた設備せつび工事こうじの開始かいしを発表はっぴょうした3日にち、福島ふくしま県けんの市民しみん団体だんたいは県庁けんちょう前まえで抗議こうぎ行動こうどうを展開てんかいし、原発げんぱつが立地りっちする自治体じちたいの首長しゅちょうらは風評ふうひょう被害ひがい対策たいさくの徹底てっていなどを政府せいふに要請ようせいした。 「え、もう始はじまるの」。3日にち午後ごご、翌日よくじつの着工ちゃっこう方針ほうしんを聞きいた「これ以上いじょう海うみを汚けがすな！市民しみん会議かいぎ」共同きょうどう代表だいひょうの織田おだ千代ちよさん（67）＝福島ふくしま県けんいわき市し＝は絶句ぜっくした。福島ふくしま県けんや大熊おおくま町まち、双葉ふたば町まちが工事こうじに同意どういしてからわずか2日にち後ごの着工ちゃっこう。「引ひき返かえせない状態じょうたいになっていくのでは」と不安ふあんを募つのらせた。 この日ひの午前ごぜんには、同どう会かいが県庁けんちょう前まえで横断幕おうだんまくを掲かかげて抗議こうぎ。その後ごに開ひらいた記者きしゃ会見かいけんで、織田おださんは「放出ほうしゅつありきで計画けいかくが進すすんでいる。これだけ反対はんたいや不安ふあんの声こえがあるのに、政府せいふにはこの声こえは届とどかないのか」と憤いきどおった。同どう県けん伊達だて市しの渡辺わたなべ馨かおるさん（66）は「工事こうじを進すすめて既成きせい事実じじつを作つくり、押おし切きって海洋かいよう放出ほうしゅつするのではないかと不安ふあん」と懸念けねんした。 福島ふくしま県けんの内堀うちぼり雅雄まさお知事ちじと吉田よしだ淳あつし・大熊おおくま町長ちょうちょう、伊沢いさわ史朗しろう・双葉ふたば町長ちょうちょうは経済けいざい産業さんぎょう省しょうを訪おとずれ、萩生田はぎうだ光一こういち経けい産さん相しょうに要望ようぼう書しょを提出ていしゅつ。内堀うちぼり知事ちじは報道陣ほうどうじんに「放出ほうしゅつによって福島ふくしま県民けんみんが積つみ重かさねてきた努力どりょくが水泡すいほうに帰きすことがないよう、政府せいふ一丸いちがんとなって（風評ふうひょう被害ひがいなどに対たいする）必要ひつような対策たいさくをしてほしい」と話はなした。（片山かたやま夏子なつこ、増井ますいのぞみ） 全文ぜんぶん

姫ひめ田た小夏こなつ：ジャーナリスト 日本にっぽん政府せいふが4月がつ13日にちに発表はっぴょうした「処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつ」の決定けっていは、中国ちゅうごくにも波紋はもんが広ひろがった。中国ちゅうごくの専門せんもん家からも反発はんぱつの声こえを上あげているが、中国ちゅうごくの原発げんぱつも放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを排出はいしゅつしている。それでも、なぜ日本にっぽんの対応たいおうは不安ふあん視しされているのか。複数ふくすうのレポートから客観きゃっかん的てきにその不安ふあんの原因げんいんを探さぐった。（ジャーナリスト　姫ひめ田た小夏こなつ） 中国ちゅうごくの専門せんもん家からも批判ひはんする5つの根拠こんきょ 　福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつにおけるデブリの冷却れいきゃくなどで発生はっせいした放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを含ふくむ汚染おせん水すいを処理しょりし、2年ねん後ごをめどに海洋かいよう放出ほうしゅつするという決定けっていを日本にっぽん政府せいふが発表はっぴょうした。これに、中国ちゅうごくの一般いっぱん市民しみんから強つよい反対はんたいの声こえが上あがった。 中国ちゅうごくの原発げんぱつも環境かんきょう中ちゅうにトリチウムを放出ほうしゅつしている。にもかかわらず、日本にっぽん政府せいふの決定けっていには、中国ちゅうごくの政策せいさく提言ていげんにも関かかわる専門せんもん家かや技術ぎじゅつ者しゃも声こえを上あげた。その主おもな理由りゆうとして、下記かきの要因よういんを挙あげている。（1）　10年ねん前まえ（2011年ねん3月がつ）の福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこが、チェルノブイリ原発げんぱつ事故じこ（1986年ねん4月がつ）に相当そうとうする「レベル7」の事故じこであること（2）　排出はいしゅつされる処理しょり水すいが、通常つうじょうの稼働かどう下かで排出はいしゅつされる冷却れいきゃく水すいとは質しつが異ことなること（3）　事故じこの翌年よくねん（2012年ねん）に導入どうにゅうした多た核種かくしゅ除去じょきょ設備せつび（ALPS）が万全ばんぜんではなかったこと（4）　日本にっぽん政府せいふと東京電力とうきょうでんりょくが情報じょうほうやデータの公開こうかいが不十分ふじゅうぶんであること（5）　国内外こくないがいの反対はんたいにもかかわらず、近隣きんりん諸国しょこくや国際こくさい社会しゃかいと十分じゅうぶんな協議きょうぎもなく一方いっぽう的てきに処分しょぶんを決定けっていしたこと 　さらに、復ふく旦だん大学だいがくの国際こくさい政治せいじ学者がくしゃである沈逸教授きょうじゅはネット配信はいしん番組ばんぐみで、国際こくさい原子力げんしりょく機関きかん（IAEA）が公表こうひょうした2020年ねん4月がつの報告ほうこく書しょ（*1）を取とり上あげた。 報告ほうこく書しょによると、IAEAの評価ひょうかチームは「『多た核種かくしゅ除去じょきょ設備せつび等とう処理しょり水すいの取扱とりあつかいに関かんする小しょう委員いいん会かい（ALPS小しょう委員いいん会かい）』の報告ほうこくは、十分じゅうぶんに包括ほうかつ的てきな分析ぶんせきと科学かがく的てきおよび技術ぎじゅつ的てき根拠こんきょに基もとづいていると考かんがえている」としている。しかし、同どう教授きょうじゅは「それだけで、IAEAが処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつに対たいして“通行つうこう証しょう”を与あたえたわけではない」とし、この報告ほうこく書しょに記載きさいされている次つぎの点てんについて注目ちゅうもくした。 (略りゃく） 放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつの総量そうりょうは依然いぜん不明ふめいのまま 　今回こんかいの処理しょり水すい放出ほうしゅつの発表はっぴょうをめぐっては、日本にっぽん政府せいふの説明せつめいもメディアの報道ほうどうも、トリチウムの安全あんぜん性せいに焦点しょうてんを当あてたものが多おおかった。東京電力とうきょうでんりょくはトリチウムについて「主おもに水みずとして存在そんざいし、自然しぜん界かいや水道すいどう水すいのほか、私わたしたちの体内たいないにも存在そんざいする」という説明せつめいを行おこなっている。 　原子力げんしりょく問題もんだいに取とり組くむ認定にんていNPO・原子力げんしりょく資料しりょう情報じょうほう室しつの共同きょうどう代表だいひょうの伴ばん英幸ひでゆき氏しは、取材しゅざいに対たいし「トリチウムの健康けんこうへの影響えいきょうがないとも、海洋かいよう放出ほうしゅつが安全あんぜんともいえない」とコメントしている。その理由りゆうとして、海洋かいよう放出ほうしゅつした場合ばあいに環境かんきょう中ちゅうで生物せいぶつ体たいの中なかでトリチウムの蓄積ちくせきが起おき、さらに食物しょくもつ連鎖れんさによって濃縮のうしゅくが起おきる可能かのう性せいがあること、仮かりにトリチウムがDNAに取とり込こまれ、DNAが損傷そんしょうした場合ばあい、将来しょうらい的てきにがん細胞さいぼうに進展しんてんする恐おそれがあること、潮しおの流ながれが複雑ふくざつなため放出ほうしゅつしても均一きんいつに拡散かくさんするとは限かぎらないこと、などを挙あげている(*2)。 （略りゃく） ちなみに中国ちゅうごくでも「人体じんたいに取とり込こまれたトリチウムがDNAを断だん裂きれさせ、遺伝子いでんし変異へんいを引ひき起おこす」（国家こっか衛生えいせい健康けんこう委員いいん会かいが主管しゅかんする専門せんもん媒体ばいたい「中国ちゅうごく放射能ほうしゃのう衛生えいせい」の掲載けいさい論文ろんぶん）ため、環境かんきょう放射能ほうしゃのうモニタリングの重要じゅうような対象たいしょうとなっている。 　国際こくさい的てきな環境かんきょうNGOのFoE Japanで事務じむ局長きょくちょうを務つとめる満田みつた夏なつ花はなさんは「トリチウムは規制きせいの対象たいしょうとなる放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつであるにもかかわらず、日本にっぽん政府せいふは『ゆるキャラ』まで登場とうじょうさせ、処理しょり水すいに対たいする議論ぎろんを単純たんじゅん化かさせてしまいました」と語かたる。同時どうじに、「私わたしたちが最もっとも気きにするべきは『処理しょり水すいには何なにがどれだけ含ふくまれているか』であり、この部分ぶぶんの議論ぎろんをもっと発展はってんさせるべき」だと指摘してきする。 「ALPS処理しょり水すいには、除去じょきょしきれないまま残留ざんりゅうしている長寿ちょうじゅ命いのちの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつがある」とスクープしたのは共同通信社きょうどうつうしんしゃ（2018年ねん8月がつ19日にち）だった。これは、東京電力とうきょうでんりょくが従来じゅうらい説明せつめいしてきた「トリチウム以外いがいの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつは除去じょきょし、基準きじゅんを下回したまわる」との説明せつめいを覆くつがえすものとなった。 　このスクープを受うけて東京電力とうきょうでんりょくは「セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素もと129などの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつが残留ざんりゅうし、タンク貯留ちょりゅう水すいの約やく7割わりで告示こくじ濃度のうど比ひ総和そうわ1（*3）を上回うわまわっている」と修正しゅうせいし、「二に次じ処理しょりして、基準きじゅん以下いかにする」という計画けいかくを打うち出だした。 海洋かいよう放出ほうしゅつ以外いがいの代替だいたい案あんが選えらばれなかった理由りゆう 　一方いっぽう、海洋かいよう放出ほうしゅつ以外いがいの代替だいたい案あんには、（1）地層ちそう注入ちゅうにゅう、（2）海洋かいよう放出ほうしゅつ、（3）水蒸気すいじょうき放出ほうしゅつ、（4）水素すいそ放出ほうしゅつ、（5）地下ちか埋設まいせつ、の5案あんが検討けんとうされていた。ALPS小しょう委員いいん会かいの報告ほうこく書しょ（2020年ねん2月がつ10日とおか）は、それぞれが必要ひつようとする期間きかんとコストを次つぎのように説明せつめいしている。（1）地層ちそう注入ちゅうにゅう　         期間きかん：104＋20nカ月かげつ（n＝実際じっさいの注入ちゅうにゅう期間きかん）＋912カ月かげつ（減衰げんすいするまでの監視かんし期間きかん）　         コスト：180億おく円えん＋6.5n億おく円えん（n＝実際じっさいの注入ちゅうにゅう期間きかん）（2）海洋かいよう放出ほうしゅつ　　　　　期間きかん：91カ月かげつ（*5）　　　　コスト：34億おく円えん（3）水蒸気すいじょうき放出ほうしゅつ　　　　　期間きかん：120カ月かげつ　　　　コスト：349億おく円えん（4）水素すいそ放出ほうしゅつ　　　　　期間きかん：106カ月かげつ　　　　コスト：1000億おく円えん（5）地下ちか埋設まいせつ　　　　期間きかん：98カ月かげつ＋912カ月かげつ（減衰げんすいするまでの監視かんし期間きかん）　　　　コスト：2431億おく円えん （略りゃく） 日にち中ちゅうの国民こくみんの利害りがいは共通きょうつう環境かんきょう問題もんだいと中国ちゅうごく問題もんだいは切きり離はなして 　対立たいりつする米べい中ちゅうが気候きこう変動へんどうでも協力きょうりょく姿勢しせいを見みせたこともあるのか、今回こんかいの取材しゅざいでは「中国ちゅうごくに脅威きょういを感かんじているが、海洋かいよう放出ほうしゅつをめぐっては日本にっぽんの国民こくみんと中国ちゅうごくの国民こくみんは利害りがいが共通きょうつうする」という日本にっぽんの市民しみんの声こえも聞きかれた。 全文ぜんぶんは中国ちゅうごくはなぜ原発げんぱつ処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつに反対はんたいするのか、専門せんもん家かが指摘してきする5つの理由りゆう

[…] 韓国かんこく大学生だいがくせい進歩しんぽ連合れんごうは20日はつか午後ごご1時じごろ、ソウル・チョンノク（鍾路区く）の日本にっぽん大使館たいしかん前まえで、日本にっぽん政府せいふの原発げんぱつ処理しょり水すい放出ほうしゅつ決定けっていを糾弾きゅうだんし、韓国かんこく政府せいふの積極せっきょく的てきな抗議こうぎを求もとめるため、坊主ぼうず頭あたまにした。 　同日どうじつの団体だんたい剃髪ていはつ式しきには当初とうしょ、32人にんの大学生だいがくせいが参加さんかするとされていたが、現場げんばで2人ふたりが追加ついかで参加さんかし、計けい34人にんが剃髪ていはつした。団体だんたい剃髪ていはつ式しきは4人にんずつ一いち列れつに座すわり、断髪だんぱつする方式ほうしきで行おこなわれた。丸刈まるがりの参加さんか者しゃの中なかには髪かみの毛けが胸元むなもとまであるロングヘアの女性じょせい参加さんか者しゃもいた。大学生だいがくせいらは悲壮ひそうな表情ひょうじょうで淡々たんたんと剃髪ていはつ式しきに臨のぞんだ。 　現場げんばには100人にん余あまりの取材しゅざい陣じんとユーチューバーらが集あつまり、団体だんたい剃髪ていはつ式しきに対たいする関心かんしんを示しめした。 全文ぜんぶん

東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの敷地しきち内ないにたまる処理しょり済ずみ汚染おせん水すいの処分しょぶんについて、朝日新聞社あさひしんぶんしゃの世論せろん調査ちょうさ（郵送ゆうそう）で尋たずねたところ、政府せいふが検討けんとうする海洋かいようへの放出ほうしゅつには「賛成さんせい」は32%にとどまり、「反対はんたい」が55%だった。放出ほうしゅつによる水産物すいさんぶつへの風評ふうひょう被害ひがいの不安ふあんは、8割わり以上いじょうが「感かんじる」と答こたえた。 （略りゃく） 　調査ちょうさでは「汚染おせんされた水みずから大半たいはんの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを取とり除のぞき、国くにの基準きじゅん値ち以下いかに薄うすめた処理しょり水すいを海うみに流ながす」ことへの賛否さんぴを聞きいた。内閣ないかく支持しじ層そうでも50%、自民じみん支持しじ層そうでも47%が海洋かいよう放出ほうしゅつに反対はんたいし、いずれも賛成さんせいを上回うわまわった。男性だんせいは賛成さんせい44%、反対はんたい46%に割われたが、女性じょせいは賛成さんせい22%、反対はんたい62%と大おおきく開ひらいた。 　海洋かいよう放出ほうしゅつによって水産物すいさんぶつに風評ふうひょう被害ひがいが出でる不安ふあんは「大おおいに」42%、「ある程度ていど」44%合あわせて86%が「感かんじる」。「感かんじない」は「あまり」9%、「全まったく」2%合あわせて11%だった。海洋かいよう放出ほうしゅつには賛成さんせいの人ひとでも、風評ふうひょう不安ふあんは68%が「感かんじる」と答こたえた。 　福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこに対たいするこれまでの政府せいふ対応たいおうへの評価ひょうかも聞きいた。「評価ひょうかしない」が67%で、「評価ひょうかする」は20%。自民じみん支持しじ層そうでも56%が「評価ひょうかしない」と答こたえた。政府せいふの事故じこ対応たいおうを「評価ひょうかしない」人にんは、処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつに64%が「反対はんたい」と答こたえ、全体ぜんたいより反対はんたいが多おおかった。 　調査ちょうさは昨年さくねん11～12月がつ、新型しんがたコロナウイルス関連かんれんの調査ちょうさと同時どうじに実施じっしした。全国ぜんこくの有権者ゆうけんしゃから無作為むさくいに選えらんだ3千せん人にんが対象たいしょうで有効ゆうこう回答かいとうは2126人にん、回収かいしゅう率りつは71%。 （略りゃく） 　原案げんあんでは、地元じもと自治体じちたいや市民しみん団体だんたいから要望ようぼうが出でているタンクでの保管ほかん継続けいぞくは漏出ろうしゅつリスクの増加ぞうかにつながるなどとして退しりぞけ、海洋かいよう放出ほうしゅつを選択せんたく。放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつの濃度のうどを法令ほうれいの基準きじゅんより十分じゅうぶんに低ひくくした上うえで敷地しきち内ないから流ながすことにした。除去じょきょが難むずかしい放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつのトリチウムは海水かいすいで基準きじゅんの40分ぶんの1以下いかに薄うすめ、放出ほうしゅつ総量そうりょうは事故じこ前まえの福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの目標もくひょう値ち（年とし22兆ちょうベクレル）内ないに収おさめる。 　放出ほうしゅつ後ごのモニタリングの強化きょうかや、生産せいさん・流通りゅうつう・消費しょうひの各かく段階だんかいでの対策たいさくを徹底てっていした上うえでも生しょうじた風評ふうひょう被害ひがいには東電とうでんに賠償ばいしょうさせる。賠償ばいしょうの仕組しくみは今いまもあるが、地域ちいきや業種ぎょうしゅなどを限定げんていしないことを明確めいかくにする。風評ふうひょう対策たいさくに特とく化かした新あらたな会議かいぎ体たいも立たち上あげる。 　海洋かいよう放出ほうしゅつは、専門せんもん家かでつくる経けい産さん省しょうの小しょう委員いいん会かいが昨年さくねん2月がつに「確実かくじつに実施じっしできる」と有力ゆうりょく視しする提言ていげんを公表こうひょうしたが、風評ふうひょう被害ひがいへの懸念けねんが強つよく、全国ぜんこく漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごう会かいは「漁業ぎょぎょう者しゃ、国民こくみんの理解りかいを得えられない海洋かいよう放出ほうしゅつは絶対ぜったい反対はんたい」と表明ひょうめいしている。政府せいふが昨年さくねん実施じっしした意見いけん募集ぼしゅうなどでも不安ふあんの声こえは多おおく、「国民こくみんへの説明せつめいが不足ふそくしている」との指摘してきは与党よとう内ないからもあがっている。 全文ぜんぶんは福島ふくしま原発げんぱつの処理しょり水すい、海洋かいようへ放出ほうしゅつ「反対はんたい」55%　世論せろん調査ちょうさ

福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょの処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつについて、日本にっぽん政府せいふは、放出ほうしゅつが決きまった場合ばあい、韓国かんこくなど周辺しゅうへん国こくが安全あんぜん性せいを確認かくにんできるようモニタリングを行おこなう考かんがえを示しめしました。 ソウルの日本にっぽん大使館たいしかんの関係かんけい者しゃは20日はつか、メディアからの質問しつもんで、韓国かんこく政府せいふと共同きょうどうで福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつのプロセスを検証けんしょうし、透明とうめいに公開こうかいする意向いこうがあるかと聞きかれたのに対たいし、「すべての情報じょうほうを公開こうかいするようになっている。日本にっぽん政府せいふは適切てきせつなモニタリング方法ほうほうをもうけ、韓国かんこくなど周辺しゅうへん国こくに提供ていきょうするだろう」と述のべました。 そのうえで、「周辺しゅうへん国こくが実際じっさいにモニタリングにどのような形かたちで関かかわるのか、具体ぐたい的てきな方法ほうほうは決きまっていない。韓国かんこく政府せいふの方針ほうしんは十分じゅうぶんに認識にんしきしており、誠実せいじつに対応たいおうする」としました。 福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつでは、溶とけ落おちた核かく燃料ねんりょうを冷ひやす水みずと地下水ちかすいが原子げんし炉ろ建屋たきのやで混まざり、汚染おせん水すいが増ふえ続つづけており、放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを取とり除のぞく多核たかく種しゅ除去じょきょ設備せつびで処理しょりしたあとタンクに保管ほかんしています。 (略りゃく） 日本にっぽん大使館たいしかんの関係かんけい者しゃは、「どの時点じてんで放出ほうしゅつを始はじめるのかについては断定だんていできないが、2022年ねん夏なつごろを想定そうていしている」としたうえで、日本にっぽん政府せいふが海洋かいよう放出ほうしゅつを決定けっていする時期じきについて、「近ちかいうちに決きまると思おもう。断言だんげんすることはできないが、年内ねんないの可能かのう性せいもある」としています。 全文ぜんぶんは福島ふくしま原発げんぱつの処理しょり水すい　日本にっぽん政府せいふ「海洋かいよう放出ほうしゅつ決きまればモニタリング実施じっし」

松久保まつくぼ肇はじめ・日本にっぽん原子力げんしりょく資料しりょう情報じょうほう室しつ事務じむ局長きょくちょう　原発げんぱつ周辺しゅうへんの広大こうだいな土地とちを活用かつようすべき　タンクに入いれた後のち、コンクリートで固かためる案あんも　日本にっぽん国民こくみんも同意どういしない海洋かいよう放出ほうしゅつを止とめるべき　韓かん日にち市民しみんの連帯れんたいなど国際こくさい的てき圧力あつりょくがカギ 「福島ふくしま原発げんぱつの汚染おせん水すいはひとまず地上ちじょうのタンクでの保管ほかんを継続けいぞくすべき。タンク容量ようりょうが足たりなくなったからといって海洋かいよう放出ほうしゅつという選択肢せんたくしはあり得えない」 日本にっぽん原子力げんしりょく資料しりょう情報じょうほう室しつ（CNIC）の松久保まつくぼ肇はじめ事務じむ局長きょくちょうは最近さいきん、「ハンギョレ」との書面しょめんインタビューで、福島ふくしま原発げんぱつの汚染おせん水すい処理しょりと関連かんれんし、最もっとも現実げんじつ的てきかつ安全あんぜんな対策たいさくとは何なにかという質問しつもんに対たいし、このように答こたえた。原子力げんしりょく資料しりょう情報じょうほう室しつは、日本にっぽんの脱だつ原発げんぱつ運動うんどうの象徴しょうちょうだった核かく物理ぶつり学者がくしゃ、高木たかぎ仁三郎じんざぶろう氏しの主導しゅどうで1975年ねんに設立せつりつされた市民しみん団体だんたいだ。脱だつ原発げんぱつ関連かんれんの研究けんきゅうと講演こうえん、資料集しりょうしゅうの発刊はっかんなど活発かっぱつに活動かつどうしている。以下いかは一いち問もん一いち答とう。 (略りゃく） －海洋かいよう放出ほうしゅつを推おし進すすめている理由りゆうは何なにだと思おもうか。「日本にっぽんだけでなくどの国くにでも原発げんぱつの運転うんてんなどで汚染おせん水すいに含ふくまれるトリチウムは海洋かいようや大気たいきに放出ほうしゅつされてきた。その延長線えんちょうせんでの決定けっていだと思おもう。また海洋かいよう放出ほうしゅつが最もっとも安価あんかだということも一因いちいんだろう」 －日本にっぽん国内こくないでも反対はんたいの声こえが高たかいようだが。「多おおくの市民しみんが反対はんたいしている。特とくに漁民ぎょみんは“風評ふうひょう被害ひがい”など深刻しんこくな影響えいきょうを受うけるとして強つよく反対はんたいしている。また、福島ふくしま県内けんないや周辺しゅうへんの複数ふくすうの議会ぎかいが汚染おせん水すいの放出ほうしゅつに対たいする懸念けねんを示しめす決議けつぎを行おこなっている」 －このような反対はんたい世論せろんが、政府せいふの政策せいさくを変かえる可能かのう性せいはあるか。「特とくに直接ちょくせつの利害りがい関係かんけい者しゃとなる漁民ぎょみんの反対はんたいの声こえは強つよく影響えいきょうする。以前いぜん、東京電力とうきょうでんりょくは福島ふくしまなど地元じもとの理解りかいが得えられない限かぎり、汚染おせん水すいを海洋かいよう放出ほうしゅつしないと文章ぶんしょうで約束やくそくした」 －汚染おせん水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつに対たいし、韓国かんこくや海外かいがいの環境かんきょう団体だんたいなどが制止せいしする方法ほうほうはないか。 「国連こくれん海洋かいよう法ほう条約じょうやくに基もとづく訴訟そしょうなどが考かんがえられる。ただ、韓国かんこくで稼動かどう中ちゅうの原発げんぱつ、特とくに月つき城じょう（ウォルソン）原発げんぱつからは大量たいりょうのトリチウムが放出ほうしゅつされている。福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの汚染おせん水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつによる影響えいきょうを立証りっしょうするのはなかなか難むずかしいだろう」 －汚染おせん水すい処理しょりで最もっとも現実げんじつ的てきで安全あんぜんな対策たいさくは何なにか。「最もっとも現実げんじつ的てきな選択肢せんたくしは、ひとまずタンク保管ほかんを継続けいぞくすることだ。福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつには土地とちがないというが、周辺しゅうへんには放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつを保管ほかんするための広大こうだいな土地とち（中間なかま貯蔵ちょぞう施設しせつ）がある。経済けいざい産業さんぎょう省しょうは他たの目的もくてきには流用りゅうようできないといっているが、地権ちけん者しゃなどと交渉こうしょうすることは可能かのうなはずだ。タンクの容量ようりょうが足たりなくなって放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを海うみに放出ほうしゅつするという選択肢せんたくしはあり得えない。日本にっぽんの市民しみんグループは、地上ちじょうでの保管ほかんを継続けいぞくしながら、コンクリートで固かためることを提案ていあんしている。また、海洋かいよう放出ほうしゅつすれば国際こくさい問題もんだいになるだろうと政府せいふに警告けいこくしている」 （略りゃく） 再さい処理しょり工場こうじょうの問題もんだいはそれだけではない。プルトニウムは核兵器かくへいきの原材料げんざいりょうにもなり得える。韓国かんこく・日本にっぽんの市民しみんの連帯れんたいで、両国りょうこくの再さい処理しょり計画けいかくを食くい止とめなければならない」キム・ソヨン記者きしゃ (お問とい合あわせ japan@hani.co.kr)http://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/956181.html韓国かんこく語ご原文げんぶん入力にゅうりょく:2020-08-03 04:59訳やくH.J 全文ぜんぶんは［インタビュー］「原発げんぱつ汚染おせん水すい、ひとまず地上ちじょうのタンク保管ほかんが最もっとも現実げんじつ的てきで安全あんぜん」

東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしま第だい１原発げんぱつ事故じこで発生はっせいした放射能ほうしゃのう汚染おせん水すいを処理しょりした後のちに残のこる高こう濃度のうどのトリチウム（３重水素じゅうすいそ）を含ふくむ汚染おせん水すいを薄うすめて海うみに流ながす案あんなどを政府せいふが検討けんとうしている問題もんだいで、意見いけん書しょや決議けつぎを可決かけつした福島ふくしま県内けんないの議会ぎかいが、少すくなくとも県けんと２０市町村しちょうそんの計けい２１議会ぎかいにのぼることが、日本にっぽん共産党きょうさんとう県議けんぎ団だんの調査ちょうさで分わかりました。海洋かいよう放出ほうしゅつに反対はんたいする意見いけんが圧倒的あっとうてきで、風評ふうひょう被害ひがいへの対策たいさく、住民じゅうみんや関係かんけい者しゃからの丁寧ていねいな意見いけん聴取ちょうしゅなどを求もとめる声こえがあがっています。 意見いけん書しょは、全ぜん県けん５９市町村しちょうそんのうち、いわき市しや南みなみ相馬そうま市しなど太平洋たいへいように面めんした浜はま通どおり地方ちほうだけでなく、内陸ないりく部ぶの会津若松あいづわかまつ市しや郡山こおりやま市しなど県内けんない全域ぜんいきで次々つぎつぎと可決かけつされています。 （略りゃく） 　海洋かいよう放出ほうしゅつに賛成さんせいはなく、１８議会ぎかいが悪影響あくえいきょうに直接ちょくせつ言及げんきゅうするなど否定ひてい的てきで、うち１３議会ぎかいは明確めいかくに反対はんたい。海洋かいよう放出ほうしゅつへの是非ぜひを避さけた３議会ぎかいも漁業ぎょぎょう者しゃへの風評ふうひょう被害ひがいに懸念けねんを示しめしました。三春みはる町まちと西郷さいごう村むら（にしごうむら）は大気たいきへの放出ほうしゅつにも反対はんたいしました。陸上りくじょうでの長期ちょうき保管ほかんを求もとめる声こえも多おおく、トリチウムの分離ぶんり・回収かいしゅう技術ぎじゅつの開発かいはつを望のぞむ声こえもありました。 全文ぜんぶんは海洋かいよう放出ほうしゅつ「反対はんたい」圧倒的あっとうてき 原発げんぱつ汚染おせん水すい　福島ふくしま２１議会ぎかいが意見いけん書しょ