「GCC 10.1」リリース、静的コード解析機能が実験的に導入される

　The GNU Compiler Collection（GCC）開発かいはつチームは5月7日にち、最新さいしんのメジャーリリースとなる「GCC 10.1」公開こうかいを発表はっぴょうした。静的せいてきコード解析かいせきが実験じっけん的てきに導入どうにゅうされ、C++20のサポートも強化きょうかした。

　The GNU Compiler Collection（GCC）はGNUオペレーティングシステム向むけのコンパイラとして開発かいはつがスタートしたプロジェクトで、 C/C++やObjective-C、Fortran、Ada、Go、Dなどさまざまな言語げんごに対応たいおうするフロントエンドとライブラリを提供ていきょうする。

　GCC 10.1は、2019年ねん5月がつに公開こうかいされたGCC 9.1に続つづくメジャーリリース。この間あいだ、プロジェクトはバージョン管理かんりをSubversionからGitに変更へんこうしている。

　C++20のサポートが、コンパイラとlibstdc++ライブラリの両面りょうめんで強化きょうかされている。constexpr関数かんすうにおける評価ひょうかされないasm宣言せんげんの許可きょか（P1668R1）など、新あらたに20近ちかくの機能きのうを実装じっそうした。また、C言語げんごではC2Xのサポートに向むけて新あたらしい機能きのうのサポートが加くわわった。

　新あたらしいコマンドラインオプションとして、静的せいてきコード解析かいせきを行おこなう「-fanalyzer」や、不要ふようなnewとdelete演算えんざん子このペアを削除さくじょする「-fallocation-dce」などが加くわわった。-fanalyzerはランタイムではなくコンパイラで問題もんだいを特定とくていする静的せいてきコード解析かいせきパスで、実験じっけん的てき扱あつかいとなっている。

　ビルトイン関数かんすうとしては、プリプロセッサ演算えんざん子こ「__has_builtin」を導入どうにゅう、GCCやそのほかのコンパイラのビルトイン関数かんすうのサポートをクエリできる。

　プロシージャー間あいだの最適さいてき化か、リンク時間じかんの最適さいてき化かでも多数たすうの機能きのうが加くわわった。プロファイル主導しゅどうの最適さいてき化かも強化きょうかした。

　言語げんごでは、並列へいれつコンピュータ標準ひょうじゅんOpenACC 2.6のサポートが、C、C++、Fortranの各かくコンパイラで実現じつげんした。並列へいれつプログラミングためのAPIであるOpenMP 5.0の仕様しようについてもサポートを進すすめた。OpenMPとOpenACCではAMD Radeon GPUへのオフロードが可能かのうになった（第だい3世代せだいのFijiと第だい5世代せだいのVEGA 10/VEGA20で使用しようできる）。

　このほか、新あたらしいターゲットやターゲット固有こゆうの強化きょうかも加くわわっている。

GCC
https://gcc.gnu.org/