配車はいしゃアプリ「Uber（ウーバー）」が4月がつ16日にち、サービスを停止ていしした。

　ウーバーを提供ていきょうするウーバーテクノロジーズは米国べいこく生うまれで、世界せかい70カ国かこく以上いじょうでサービスを展開てんかいする。フィリピンでは2014年ねん1月がつからサービスを開始かいし。ウーバーは「既存きそんのタクシー」の配車はいしゃではなく、ウーバー専用せんように自身じしんの車くるまを登録とうろくしたドライバーと利用りよう者しゃのマッチングサービスを提供ていきょうしていた。ウーバーは登録とうろく車しゃを新車しんしゃまたは新車しんしゃ同等どうとうの車くるまに限定げんていしたことから、非常ひじょうにきれいな登録とうろく車しゃばかりと評判ひょうばんになった。既存きそんのタクシーが「不衛生ふえいせい、乱暴らんぼう、ぼったくり」等とう悪評あくひょうが多おおかった事こともあり、富裕ふゆう層そうや外国がいこく人じん、ビジネスパーソンから瞬またたく間まに支持しじを集あつめ規模きぼを拡大かくだいした。2017年ねん7月がつの調査ちょうさでは約やく3万まん台だいの登録とうろく車しゃがメトロマニラで利用りようされていた。

　脱法だつほう営業えいぎょうで既存きそんの規制きせいを回避かいひしているウーバーに対たいしては、厳きびしい規制きせいをクリアして営業えいぎょうしている既存きそんのタクシー業界ぎょうかいからの不満ふまんは大おおきく、また客きゃくとのトラブルや事故じこ時じの対応たいおうなど、さまざまな問題もんだいが浮上ふじょうし、フィリピン陸上りくじょう交通こうつう許認可きょにんか規制きせい委員いいん会かい（LTFRB）は2017年ねん8月がつ、ウーバーの営業えいぎょう停止ていしを命令めいれいした（約やく1カ月かげつ後ごに再開さいかい）。

　東南とうなんアジアにおいてはライバル会社かいしゃ「Grab（グラブ）」の健闘けんとうでウーバーは伸のび悩なやんでいたこともあり、ウーバーは東南とうなんアジアからの撤退てったいを発表はっぴょう。3月にはフィリピンの事業じぎょうはグラブに譲渡じょうとすることで合意ごういしていた。事業じぎょう譲渡じょうとは4月がつ8日にちに予定よていしていたが、グラブによる配車はいしゃ事業じぎょうの独占どくせんを懸念けねんした政府せいふによって譲渡じょうと延期えんきが命令めいれいされていた。政府せいふはグラブの朝夕あさゆうのラッシュアワーなど繁忙はんぼう時間じかん帯たいに徴収ちょうしゅうされている割増わりまし運賃うんちんや初乗はつのり運賃うんちんや距離きょり運賃うんちんの他ほかに徴収ちょうしゅうされている「特別とくべつ時間じかん料金りょうきん」などを問題もんだい視ししており、グラブ側がわに説明せつめいと改善かいぜんを求もとめていた。

　利用りよう客きゃくからもウーバーの撤退てったいに関かんしてグラブのサービス低下ていかを懸念けねんする声こえが広ひろがっている。ウーバーを通勤つうきんで利用りようしていた日系にっけい企業きぎょうに勤つとめる女性じょせいは「ウーバーの東南とうなんアジア撤退てったいが伝つたえられた頃ころから、予約よやくした車くるまの到着とうちゃくが遅おくれるようになり、ドライバー側がわから急せきょキャンセルになるなどしていたグラブだけのサービスになって大丈夫だいじょうぶか」と不安ふあんを訴うったえる。

　あるタクシー会社かいしゃのマネジャーは「便利べんりだからといって脱法だつほう行為こういで荒稼あらかせぎしている業者ぎょうしゃが法律ほうりつに従したがって営業えいぎょうしている正規せいき業者ぎょうしゃの生活せいかつを脅おびやかすのはどうかと思おもう。メトロマニラは渋滞じゅうたいが激はげしく公定こうてい料金りょうきんでは利益りえきが出でない状況じょうきょうが、ドライバーが公定こうてい料金りょうきんを守まもらない一因いちいんでもある（フィリピンのタクシーはドライバーが事業じぎょう者しゃから車くるまを借かりて営業えいぎょうするため、売うり上あげの減少げんしょうはドライバーの収入しゅうにゅう源げんに直結ちょっけつする）」と不満ふまんを強調きょうちょうする。

　普段ふだんは8ペソのジプニーを2回かい乗のり継ついで通勤つうきんしているというリンさんは「ウーバーやグラブはタクシーよりも高たかい別べつの乗のり物ものでタクシーではない。いろいろな交通こうつう手段しゅだんが選えらべるようになるということはマニラが豊ゆたかになっているので良よい。地下鉄ちかてつや高速こうそく鉄道てつどうもできるのでワクワクしている」とマニラの発展はってんに期待きたいを寄よせる。