1日に開かれた「第1回毎日イノベーション・フォーラム」では、小池百合子東京都知事が登壇し、「世界一のイノベーション都市『東京』」と題して記念メッセージを寄せた。
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◇「東京が世界で一番の都市になる」
東京都知事に就任して1年、さまざまな課題を片付けると同時に、新しい種もまいてきました。その一つが、いかに経済を活性化させるかであり、そのためには、東京にイノベーションの花を開かせることが大事です。今年7月には都議会も新しい構成になり、これからは質を高めていく段階に入りました。
2020年にはオリンピック・パラリンピック東京大会という世界の「ショーウインドー」がありますので、東京のイノベーションを世界の皆さんに感じていただくことを目標に、企業の皆さまに発奮していただく下地作りをしていきます。
都は昨年、防災や高齢化、待機児童問題など、都政の道筋を示す「未来への航路」となる実行プランをまとめました。訪都外国人旅行客数の倍増、都民の生活満足度を54%から70%に、世界の都市ランキングを3位から1位に引き上げる――などを目標に、金融(Finance)、イノベーション(Innovation)、強みを伸ばす(Rise)、誰もが活躍する(Success)、最先端技術(Technology)の頭文字をとり、「Strategy5“FIRST”戦略」を掲げました。「東京が世界で一番になる」という意気込みを示すものです。
◇規制でがんじがらめの中からは何も生まれない
IoT、フィンテック(金融とテクノロジーを組み合わせた造語)は日進月歩です。私は知事として、東京にセーフシティー、ダイバーシティ、スマートシティーの「3つのシティー」作りを進めています。その一つ、スマートシティーは環境、金融が目玉です。
日本は(バブル崩壊後の)「失われた20年」に、アジアの金融集積地としての地位を他のアジア諸国に奪われました。東京を再び、国際金融都市にするために、兜町から大手町を東京の「ウォールストリート」にしたいと考えています。海外から金融人材が家族を連れて東京に来られるように、インターナショナルスクールや、多言語対応の病院といった環境を整えていきます。フィンテック分野で、日本はすでに海外勢に後れをとっているという声も聞かれますが、ここは踏ん張りどころです。
インバウンドの観光客を増やすために、IoTによる多言語サイネージ(電子看板)や、スマートフォンを使った案内など、日本語の「壁」を取り除く知恵が出てくることにも期待しています。日本はいろいろな分野でガラパゴス化しているのでないでしょうか。イノベーションにはスピード感が必要です。規制でがんじがらめの所からは何も生まれません。
◇東京都、VCへの出資などベンチャー支援を拡大
皆さんが社会の課題に挑戦できるように、都は(1)ベンチャー企業の海外展開を支援し、投資会社などと出合える場を提供(2)ベンチャーファンドへの出資に向けた準備(3)「未利用エネルギー」である女性の力を活かすため、働く環境と法制度を変える――といった三つの支援を進めています。
「AI、IoTと言えば東京」といわれるように、ぜひ皆さんと高めあっていきたいと考えています。【岡礼子】