「うる星やつら」は1978~87年にかけて小学館「週刊少年サンデー」で連載された、高橋留美子による人気漫画。1981年にテレビアニメ化され約4年半にわたって放送、『うる星やつら オンリー・ユー』(83)『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84)『うる星やつら いつだってマイ・ダーリン』(91)など6本の劇場版も製作され、初期は押井守が監督を務めたことでも知られている。SF、鬼や雪女などの伝承、学園ラブコメ、シュール、ギャグ、お色気などなど。ありとあらゆるエッセンスが詰め込まれた唯一無二のファンタジーであるこの大人気作品が新たにテレビアニメ化されることになり、ついに10月13日よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送がスタートした。本作が大きな注目を集めている理由の一つに、1981年版からキャスト陣が一新されていることが挙げられる。そこで、おもなキャラクターの新旧キャストを振り返っていきたい。
ある日、宇宙から鬼族が地球に侵攻。地球を賭けて鬼ごっこで勝負をすることになり、鬼族代表にはキュートな鬼の少女ラム、地球代表には“最凶”の男子高校生、諸星あたるに白羽の矢が。地球の存亡を賭けた鬼ごっこの結果、2人は結婚を前提に地球で一緒に暮らすことに。しかし、浮気グセのあるあたるは、ラムから電撃を食らう日々。さらに、2人の周りには個性的なキャラクターが次々と現れ、様々な騒動を巻き起こしていく。
ガールハントが趣味で浮気性の主人公、諸星あたる
主人公の諸星あたるは、ガールハントが趣味で、ラムの電撃を何度食らってもめげない精神力と生命力を持つ。浮気性でラムを悩ませるが、時には男気を見せ、そうかと思えばかわい子ちゃんを見つけては猫なで声で飛んで行く。81年版では「ドラゴンボール」のピッコロ役などで知られる古川登志夫が声優を務め、テンションのジェットコースターのような、多彩な側面を繰り出すあたるをコミカルに創り上げていた。
そんなあたるを22年版では神谷浩史が演じている。「進撃の巨人」のリヴァイや「ONE PIECE」のトラファルガー・ロー、「夏目友人帳」の夏目貴志などのシリアスな役が多い印象がある一方、「さよなら絶望先生」の糸色望、「斉木楠雄のΨ難」の斉木楠雄といったギャグ系、その両方を兼ね備えた「化物語」の阿良々木暦も器用に演じる実力派。声の感じは古川とは異なるが、あの冷静な声から発せられるギャグという、ギャップの魅力は神谷にとってある種の武器。ドタバタコメディの上で、冷静にツッコミを入れるような、新たな“あたる像”に期待が膨らむ。
トラ柄ビキニ姿がセクシーな電撃少女ラム
ラムは、空中を自由に飛び回り、怒りがマックスに達すると電撃を繰り出す。誰からも好かれる愛らしさを持ちながら、常にトラ柄のビキニ姿というセクシーさも魅力だ。81年版でラムを演じた平野文は、これが声優デビューだったと言うから驚き。
そんなかわいさ、セクシーさ、そして”だっちゃ”という語尾で、当時のアニメファンをメロメロにしたラムを、22年版では上坂すみれが担当する。上坂といえば、これまで個性的な役を数多く演じてきた。「中二病でも恋がしたい!」の凸守早苗における”DEATH”や、「オーバーロード」のシャルティア役での”ありんす”といった具合で、語尾に特徴がある役も多い。また、上坂のオタク気質なところも、「うる星やつら」という作品の持つコレクターズアイテム感とも合致し、むしろそんな上坂がやってくれてありがとうという気持ちにさせられる。きっと変幻自在のオタク力も発揮しながら、令和のラムちゃんを演じきってくれるだろう。