「クラユカバ」神田かんだ伯はく山やまは降板こうばんも考かんがえていた？黒沢くろさわともよ＆芹澤せりざわ優ゆうは独特どくとくのしゃべりに苦戦くせん

長編ちょうへんアニメ映画えいが「クラユカバ」の初日しょにち舞台ぶたい挨拶あいさつが本日ほんじつ4月がつ12日にちに東京とうきょう・丸まるの内うちTOEIにて開催かいさいされ、荘そう太郎たろう役やくの神田かんだ伯はく山やま、タンネ役やくの黒沢くろさわともよ、サキ役やくの芹澤せりざわ優ゆう、稲荷いなり坂ざか役やくの坂本さかもと頼光よりみつに加くわえ、原作げんさく・脚本きゃくほん・監督かんとくを務つとめた塚原つかはら重義しげよしが登壇とうだんした。

本日ほんじつスピンオフ作品さくひんの「クラメルカガリ」と同時どうじに公開こうかいされた「クラユカバ」。完成かんせいした映像えいぞうの感想かんそうを聞きかれた伯はく山やまは「僕ぼくは『クラメルカガリ』より面白おもしろかったと思おもう」と講談こうだん師しらしく饒舌じょうぜつな冗談じょうだんで会場かいじょうの笑わらいを誘おびいつつも「クラメルカガリ」に対たいしてライバル心しんをむき出だしにする。映画えいがを観みたときは近所きんじょのデパートにあったお化ばけ屋敷やしきを思おもい出だしたという黒沢くろさわは「ちょっと怖こわいスリルをお化ばけ屋敷やしき的てきに楽たのしんでもらうもよしな素敵すてきな作品さくひん」と笑顔えがおをふりまいた。

中性ちゅうせい的てきなサキを演えんじた芹澤せりざわは最初さいしょどのように演えんじたらいいのか悩なやんだのだとか。作品さくひんを観み終おえた後のちは「ヒロインしてたな」と感かんじたそうで、「細こまかいところで出でてくるサキの表情ひょうじょうが女おんなの子こらしくて」とうれしそうに語かたる。そして「この世界せかいの中なかで自分じぶんの演えんじた役やくが生いきててキュンとした」と目めを輝かがやかせた。塚原つかはら監督かんとくとは17年ねんの付つき合あいがあり、塚原つかはら監督かんとくに伯はく山やまを紹介しょうかいした人物じんぶつでもある活動かつどう弁士べんしの坂本さかもとは「クラユカバ」「クラメルカガリ」両りょう作さくに出演しゅつえんし複数ふくすうの役やくを演えんじているのだと明あかす。多数たすうの役やくを任まかされたことに「（活動かつどう弁士べんし）冥利みょうりに尽つきますよ。人件じんけん費ひ対策たいさくかもしれませんけど」と述のべると観客かんきゃくからは笑わらいが起おこった。続つづけて塚原つかはら監督かんとくの苦労くろうに思おもいを馳はせ劇場げきじょう公開こうかいを改あらためて喜よろこびつつ、伯はく山やまの演技えんぎを「よかったでしょ？」と観客かんきゃくに尋たずねると大おおきな拍手はくしゅが送おくられた。

主役しゅやくという大役たいやくを任まかされた伯はく山やまは、アフレコに苦戦くせんもしたのだそう。古典こてん芸能げいのうは再さい放送ほうそうであると表現ひょうげんし、普段ふだんの講談こうだんも繰くり返かえすことは苦くではないと話はなしつつも「今回こんかい初はじめて苦くになりまして」と苦笑にがわらいした。「クラガリに曳ひかれるな」というセリフにはこだわったそうで、一度いちどOKをもらった後のち監督かんとくに「もう1回かいお願ねがいできますか」と申もうし出でたことを語かたると、塚原つかはら監督かんとくは「5、6回かいやりませんでした？」と笑わらいながらツッコミを入いれた。伯はく山やまとのかけ合あいが多おおい黒沢くろさわは「尊敬そんけいしてやまない方ほうでしたので、共演きょうえんさせていただきうれしかった」とニッコリ。黒沢くろさわは先さきに収録しゅうろくをした伯はく山やまの声こえを聞ききながらアフレコに挑いどんだそうで、その際さいの心境しんきょうを「勉強べんきょうしているみたい」と述懐じゅっかいした。

伯はく山やまを起用きようした際さいのことを塚原つかはら監督かんとくは「冒険ぼうけんだったんですよ。一番いちばんセリフが多おおいキャラクターを声優せいゆうじゃない方ほうに（オファーするのは）」と吐露とろする。不安ふあんはあったものの、最初さいしょのセリフを聞きいた瞬間しゅんかんに「『荘太そうた郎ろうがいる』と僕ぼくとか周まわりのプロデューサーが息いきを呑のんだ」とその声こえを絶賛ぜっさんした。しかし伯はく山やまは収録しゅうろくを3分ぶんの1ほど終おえたところで「（荘そう太郎たろう役やくは）中島なかじまヨシキさんでいいんじゃないか」と発言はつげんしたこともあったそうで、実じつは降板こうばんも考かんがえていたことを暴露ばくろ。当時とうじはこの事態じたいに塚原つかはら監督かんとくも「声優せいゆうは本業ほんぎょうじゃないですし無茶むちゃを言いったな」と反省はんせいしつつも、改あらためて伯はく山やまと話はなし合あって続つづけてもらえることになったのだと振ふり返かえった。なお一度いちど演技えんぎのコツを掴つかんでからは、伯はく山やまの収録しゅうろくはスムーズに進すすんだそうだ。

「クラユカバ」の独特どくとくのセリフ回せりふまわしには、声優せいゆうとして活躍かつやくする黒沢くろさわと芹澤せりざわも苦戦くせんしたと明あかした。塚原つかはら監督かんとくの作品さくひん初はつ参加さんかの黒沢くろさわは「（芹澤せりざわ）優ゆうちゃんと一緒いっしょに収録しゅうろくさせていただいたとき、私わたしは『クラガリに曳ひかれるな』しかセリフがございやせんで……」と話はなし始はじめ、そのセリフはテイクを重かさねたのだと語かたる。もともと落語らくごや講談こうだんは好すきだったとのことで、普段ふだんアニメでは演えんじない歌うたうようなセリフ回せりふまわしには「しゃべってて気持きもちいい」と新あらたな挑戦ちょうせんを歓迎かんげいしていた。黒沢くろさわが芹澤せりざわに「どうだった？」と尋たずねると、芹澤せりざわも「テンポやリズム感かんでセリフを言いうのが慣なれてなくて」と苦笑にがわらい。スタッフに落語らくごを見みるようアドバイスされたことから、勉強べんきょうしながらリズム感かんを自身じしんに落おとし込こんだと明あかす。そして「食くらいついていくような感かんじで収録しゅうろくさせていただきました」と努力どりょくを伝つたえた。序盤じょばんのかけ合あいを塚原つかはら監督かんとくが褒ほめ称たたえると、芹澤せりざわは「初はじめて聞ききました！ うれしい！」と小ちいさく跳はね上あがった。なおオーディションでは黒沢くろさわがサキ役やく、芹澤せりざわがタンネ役やくを受うけていたのだそう。本人ほんにんたちは配役はいやくが逆ぎゃくのイメージだったそうだが、塚原つかはら監督かんとくの直感ちょっかんで現在げんざいのキャスティングに決定けっていしたことも明あかされた。

構想こうそうから約やく10年ねんをかけて公開こうかいされた「クラユカバ」。自身じしん初はつ挑戦ちょうせんの長編ちょうへんアニメが声優せいゆう陣じんの声こえで彩いろどられていくアフレコを「この世界せかいに音おとがだんだん出来上できあがっていくという過程かていが心地ここちよかったです」と笑顔えがおを見みせた。また企画きかくが通とおらない時期じきや、クラウドファンディングを実施じっししたことを振ふり返かえり「『クラユカバ』は完成かんせいしていない状態じょうたいが長年ながねん自分じぶんの中なかで普通ふつうだった」と制作せいさく中ちゅうの日々ひびに思おもいを馳はせる。その長期ちょうきにわたる制作せいさくから、公開こうかいたことがまだ信しんじられないといった様子ようすで「知しらない世界せかいに来きているよう」と話はなした。

舞台ぶたい挨拶あいさつも終盤しゅうばんになり、伯はく山やまと塚原つかはら監督かんとくからはファンへメッセージが贈おくられる。伯はく山やまは現代げんだいがクリーンな世よの中なかになっているという所感しょかんを話はなしつつ「我々われわれ人間にんげんというのはどうしても光ひかりもあれば影かげもある。埃ほこりも必かならず叩はたけば出でてくるもの」と語かたり出だす。そして「この世よの中なかの“クラガリ”というものが実じつはけっこう面白おもしろい」と魅力みりょくを伝つたえた。続つづいてコメントを求もとめられた塚原つかはら監督かんとくは「長ながかったですね」としみじみ呟つぶやき「どうにかこの場ばに辿たどりつくことができました」と関係かんけい者しゃに感謝かんしゃを述のべ「もう1本ほん『クラメルカガリ』というのもありますので、ぜひそちらも一度いちど併あわせてご覧らんいただけたら」と深ふかく頭あたまを下さげた。最後さいごに塚原つかはら監督かんとくが続編ぞくへんの可能かのう性せいを尋たずねられると「この作品さくひんがもっと盛もり上あがっていけば作つくりたい」と意欲いよくを見みせる。伯はく山やまにも出演しゅつえんの可能かのう性せいが匂におわされると、伯はく山やまは今回こんかいの苦労くろうを思おもい出だしたのか「荘太そうた郎ろうが死しんでる可能かのう性せいが」と冗談じょうだんめかしながら逃にげ越ごしの姿勢しせいを見みせ会場かいじょうを笑わらいでいっぱいにし、舞台ぶたい挨拶あいさつは幕まくを閉とじた。

「クラユカバ」舞台ぶたい挨拶あいさつ　キャスト陣じんが新あらたな挑戦ちょうせん、神田かんだ伯はく山やまは降板こうばんも考かんがえていた？

※記事きじ初出しょしゅつ時じ、本文ほんぶんに誤あやまりがありました。お詫わびして訂正ていせいいたします。