菅波栄純(THE BACK HORN)

れいのアーティストとSNS だい4かい [バックナンバー]

菅波すがなみさかえじゅん(THE BACK HORN)がつたえる、SNSの真実しんじつ

バズをねら必要ひつようはない

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この記事きじかんするナタリー公式こうしきアカウントの投稿とうこうが、SNSじょうでシェア / いいねされたかず合計ごうけいです。

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アーティストとファンのコミュニケーションのかたちを、SNSの観点かんてんからさぐるこの連載れんさいだい4かいTHE BACK HORN菅波すがなみさかえじゅん(G)へのインタビューを掲載けいさいする。

菅波すがなみ今年ことし4がつはいってから各種かくしゅSNSの投稿とうこう急増きゅうぞう。1カ月かげつで107ほん動画どうがをYouTubeにアップすると、そのもハイペースで動画どうが量産りょうさんしている。またInstagramやTikTokへもつきに30ほん前後ぜんこう投稿とうこうおこなっているほか、MixCannel、Pinterest、ブログ、noteの更新こうしんにも注力ちゅうりょく。Twitterへの投稿とうこうつきに150ほんにおよぶ。キャリア20ねんほこ菅波すがなみは、なぜせきったようにSNSを更新こうしんつづけているのか。その理由りゆうとSNSを運用うんようするうえでのアドバイスをくと、独自どくじ視点してんからSNSの分析ぶんせきやSNSの真実しんじつおしえてくれた。

取材しゅざいぶん / 丸澤まるさわ嘉明よしあき 撮影さつえい / きちじょう正和しょうわ

SNSの投稿とうこう急増きゅうぞうした理由りゆう

──4がつ以降いこう各種かくしゅSNSの投稿とうこう急増きゅうぞうしましたが、なぜここまで積極せっきょくてきおこなうようになったのでしょうか?

まず自分じぶんのスタンスからはなしたほうがいいとおもうんですけど、根本こんぽんてきおれきょくさえつくっていられたらしあわせな人間にんげんなんです。もちろん他者たしゃからの承認しょうにん欲求よっきゅう人並ひとなみにはありますけど、究極きゅうきょくてきにはきょくつくって「いいきょくができた」と自分じぶんおもえたら、下手へたしたら他者たしゃ評価ひょうかがなくてもよくて。なのでだれにでもてはまる汎用はんようせいたかはなしができる自信じしんはないですけど、それでもいいですか?

──もちろんです。

なぜSNSを頻繁ひんぱん更新こうしんするようになったのかというはなしですが、MixChannel以外いがいのSNSはけっこうまえからアカウント自体じたいっていたんです。YouTubeはたぶん4、5ねんまえかな。TikTokもはじまったときにアカウントをつくったし、PinterestやTumblrも日本にっぽん上陸じょうりくしてすぐにアカウントつくって、“ROMる”ってうんですけど、それぞれのSNSがどういう雰囲気ふんいきなのか、そこでの投稿とうこうるのがきで。民族みんぞく学者がくしゃひと調査ちょうさのためにいろんな集落しゅうらくあしれる感覚かんかくちかいかもしれないです。ただ、自分じぶん人生じんせい一番いちばんやりたい作曲さっきょく時間じかん確保かくほしながら、多岐たきにわたるSNSも更新こうしんしていくことができなくて、一番いちばん投稿とうこう気楽きらくなTwitterだけやっていて、途中とちゅうからInstagramもはじめました。おれのアカウントじょうでパイがおおきいのはTwitterとインスタなんですけど、その2つはなんとかやれた。そういうミュージシャンもおおいとおもいます。1つしゅ戦場せんじょうがあって、もう1つサブでやっているような。おれ現実げんじつ問題もんだいとしてほかのSNSに時間じかんをかけられなくて、アカウントはってるけど自分じぶんでは投稿とうこうができない状態じょうたいすうねんつづきました。それが、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうでよくもわるくもおおきな時間じかんあたえられたので、いまかたちまでってこれたんですよね。

──ただ、まとまった時間じかんができたとしてもSNSはるだけにしておくこともできたわけですよね。それでもここまで自分じぶん投稿とうこうするようになったのには、なに理由りゆうがあるのかなとおもうのですが。

いまはなしたのはおれ根本こんぽんてきにSNSに興味きょうみがあるというはなしで、説明せつめいするにはあと2つ要素ようそがあります。1つは自分じぶんが20だい中盤ちゅうばん精神せいしんてきにめちゃめちゃちたときがあって、回復かいふくできたのはメンバーやスタッフ、ファンのみなさんとか、まわりのちからがものすごくおおきかったんですけど、そのときに時間じかん管理かんりとかタスク管理かんり勉強べんきょうはじめたんですよ。当時とうじ自分じぶん絶望ぜつぼうしていたことって、なんかモヤがかかってるがして。

──漠然ばくぜんとした将来しょうらいへの不安ふあんのような?

そうです、漠然ばくぜんとした絶望ぜつぼう。もしかしたらこれは自分じぶんのタスクを小分こわけにしていったら明確めいかくされるんじゃないか、それが絶望ぜつぼうたたか唯一ゆいいつ方法ほうほうなんじゃないかとおもって。そのときにつくったタスク管理かんりシステムがあって、いまでも使つかってるんです。そううとロックミュージシャンのイメージとわないとおもわれるかもしれないですけど、自分じぶんのクリエイティブな時間じかん確保かくほするためにとても重要じゅうようなことで。さきのことを不安ふあんがってなにかずクリエイティブな時間じかん浪費ろうひするくらいなら、タスク管理かんりでもなんでもやってその時間じかん確保かくほする。それがおれにとってはきるためのたたかいなんです。

──たとえば1にちなかでここからここまでの時間じかん作曲さっきょくてる、みたいな?

はい、どれだけいそがしいでも1にちなか確実かくじつ音楽おんがく没頭ぼっとうするときあいだをキープするということです。きょくづくりはすじトレにちかいところがあって、3にちやらないだけでものすごくよわるんです。プロ野球やきゅう選手せんしゅ練習れんしゅうしないとバットのスイングのスピードがちるのとおなじで、毎日まいにちやらなきゃいけなくて。あとおれはギタリストなので毎日まいにちギターの練習れんしゅうをするときあいだをキープする。もう1つ、音楽おんがく時間じかん必要ひつよう音楽おんがくくインプットの時間じかん作曲さっきょくするアウトプットの時間じかん、そしてギターの練習れんしゅうをするときあいだ毎日まいにち生活せいかつむとなると、適当てきとうだったらグチャグチャになるんです。そのうち「おれなにもできていない」って自信じしんをなくしていくのがえていて、そうならないように10ねん以上いじょう自分じぶんなりのシステムを使つかってやっていますけど、いま成立せいりつしていて。そのシステムもつねにレビューして更新こうしんしているので、SNSのほうにもひろげられるようになったのが今年ことし自粛じしゅく期間きかんちゅう時間じかんがあったのでシステム自体じたいをリニューアルできたんです。

──いままで作曲さっきょく、ギターの練習れんしゅう、リスニングに活用かつようしていたタスク管理かんりシステムにSNSの運用うんようむことができたわけですね。

PCのOSでったらやっとメジャーアップデートできたかんじです。この新型しんがたコロナウイルスの自粛じしゅく期間きかんがなかったら一気いっきにできなかったので、それが今回こんかいここまでっていけた理由りゆうの1つです。

──では、もう1つの理由りゆうは?

おれ編集へんしゅう工学こうがくしゃ松岡まつおかただしつよしさんがきなんです。松岡まつおかさんみたいにきたいとおもうくらいあこがれていて。松岡まつおかさんはじつジャンルのほんむんですよ。むずかしい概念がいねんけいほんむし、サブカルもむ。サブカルのなかでも、エロいやつもちゃんとんで解説かいせつしてくれるんです(笑)。松岡まつおかさんは「この世界せかいはいろいろな情報じょうほうわせでできていて、優劣ゆうれつ上下じょうげ関係かんけいはない」とっていて、おれはそのかんがえに感銘かんめいけているんです。松岡まつおかさんのうようにかんがえれば全員ぜんいん平等びょうどうで、「おれはミュージシャンだからクリエイティビティがそのへんのひとよりうえだ」みたいな、しょうもないプライドをたなくてむというか。おれ自分じぶんいまいる位置いちまもりたいとはまったくおもってなくて。「20年間ねんかんロックバンドをやってきて、作曲さっきょくでギタリストで……」みたいないろんな肩書かたがきいているとおもうんですけど、そんなものはどうでもいいとおもっている。むしろ、いろんなひとからえるおれのいろんなプロフィールがあって、それがかさなったものが自分じぶんだとかんがえているから、たくさんのSNSに自分じぶん存在そんざいしていてるほうが面白おもしろいとおもっているんです。

菅波栄純(THE BACK HORN)

菅波すがなみさかえじゅん(THE BACK HORN)

いまはまだ試行錯誤しこうさくご段階だんかい

──それにしても、いくらタスク管理かんりできるようになったとはいえ、動画どうがコンテンツはほぼすべてのSNSに投稿とうこうしているので、それだけで相当そうとう時間じかんかかりますよね。

おれ、アルゴリズムがけっこうきなんですよ。たとえばコーヒーだったら、まめあぶせんじして、いて、れるという作業さぎょうがあるとして、「この作業さぎょう作業さぎょうえたほうが効率こうりつがいいな」とか「これをやっているあいだにこれをやろう」とかかんがえるのがきで。それは手順てじゅんなんですけど、手順てじゅんわせていくとアルゴリズムになるので。投稿とうこうかんしてうと「YouTubeにこの動画どうがをアップロードしたら、Twitterにはこのかたち投稿とうこうして、TikTokは画面がめんのサイズがちがうからYouTubeの編集へんしゅうのときにさき画面がめんのサイズを2つつくっておいて……」みたいなフローがおれのPCじょうになっていて、その手順てじゅんながらすすめるだけなのでれちゃえばじつはけっこうスムーズで。

──そうなんですね。基本きほんてき動画どうがはどのSNSにもアップされていますが、菅波すがなみさんのなかで「この動画どうがおもにここのSNSようだな」という意識いしきはありますか?

あります。ただ自分じぶんなかではまだ実験じっけん段階だんかいで。かわながれを観察かんさつするかんじというか、「このSNSからスタートするとこういうふうにながれていくんだ」というかんじで、いろいろためしている状態じょうたいです。YouTubeようつく企画きかくとTikTokようつく企画きかくとでは、たとえば「ギターをいてみた」という企画きかくがあったとしても、本来ほんらいはテイストをえる必要ひつようがあって。

──そうですね。

本当ほんとう全部ぜんぶえたいんですけど、いまはまだ試行しこう錯誤さくごしています。自分じぶん時間じかん管理かんりなかに「企画きかく時間じかん」があるので、企画きかくてる段階だんかいでしっかりんでおきたくて。「TikTokよう動画どうがだから15びょうつくっちゃおう」「YouTubeだったら1ふんくらいばせるからカットをやそう」みたいなことを事前じぜんかんがえて、撮影さつえいするときにいっぺんに素材そざいって、それぞれのSNSにしっくりくるかたち編集へんしゅうして投稿とうこうするというのが、いま目指めざしてるところです。

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菅波すがなみさかえじゅんインタビュー掲載けいさい

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