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苦悩するデナリ | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト

米国アラスカ州のデナリ国立公園では長年、人間と野生動物の共存の形が問われてきた。その広大な大地も、自然を守るには十分ではないのだろうか?

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苦悩くのうするデナリ

米国べいこくアラスカしゅうのデナリ国立こくりつ公園こうえんでは長年ながねん人間にんげん野生やせい動物どうぶつ共存きょうぞんかたちわれてきた。その広大こうだい大地だいちも、自然しぜんまもるには十分じゅうぶんではないのだろうか?

ぶん=トム・クラインズ/写真しゃしん=アーロン・ヒューイ

「2週間しゅうかん姿すがたかくしていましたが、今日きょうはかなり期待きたいできそうですよ」。バスの速度そくどとしながら運転うんてんしゅった。かすんではいたが、たかくそびえるさんまえあらわれた。

「デナリだ!」乗客じょうきゃくたちがおもわずこえげた。

 標高ひょうこう6190メートル、北米ほくべい大陸たいりく最高峰さいこうほう「デナリ」は先住民せんじゅうみん言葉ことば、アサバスカで「たかきもの」を意味いみし、数々かずかず伝説でんせつ伝承でんしょうにも登場とうじょうしてきた。だが1896ねんになって、金鉱きんこうさがしにやって白人はくじんが、このやまに「マッキンリーさん」というべつ名前なまえをつけた。米国べいこくオハイオしゅう政治せいじで、のちだい25だい大統領だいとうりょうとなるウィリアム・マッキンリーに敬意けいいひょうするためだった。ここすうじゅう年間ねんかん改名かいめいをめぐって議論ぎろんきていたが、2015ねん8がつ、オバマ大統領だいとうりょうはついに「デナリ」を正式せいしき名称めいしょうにすると発表はっぴょうした。

個々ここたねではなく、生態せいたいけい全体ぜんたい保全ほぜん

 生態せいたい学者がくしゃアドルフ・ムーリーは1939ねんに、当時とうじマッキンリーさん国立こくりつ公園こうえんばれていたこのはじめてやってた。そのころオオカミはがいじゅうなされ、レンジャーたちがつけ次第しだい射殺しゃさつしていたような状況じょうきょうだった。だが研究けんきゅうつうじて、さい上位じょうい捕食ほしょく動物どうぶつ健全けんぜん生息せいそく環境かんきょう不可欠ふかけつだと確信かくしんしたムーリーは、個々ここたねではなく、生態せいたいけい全体ぜんたい保全ほぜんするよう、公園こうえん管理かんりすべきだとうったえた。

 ムーリーにつづけとばかり、影響えいきょうりょくのある科学かがくしゃ思想家しそうかがデナリを目指めざした。この北米ほくべい大陸たいりく辺境へんきょうのこされた広大こうだい原生げんせいは、国立こくりつ公園こうえんとそれをまも人々ひとびと役割やくわりたいするかんがかたが、おおきく転換てんかんしていく出発しゅっぱつてんとなった。環境かんきょう保全ほぜん科学かがくもとづく意思いし決定けっていといった、いまではひろれられている価値かちかんおおくがこのはぐくまれたのだ。

※このつづきは、ナショナル ジオグラフィック2016ねん5がつごうでどうぞ。

編集者から

 ナショジオでいろいろな探検たんけん研究けんきゅうしゃげますが、「きな動物どうぶつちかくでらし、その生活せいかつをじっと見守みまもりながら、日々ひびあらたな発見はっけんをする」という生活せいかつおくる(おくった)ひとを、いつもうらやましくおもっています。たとえば、チンパンジーの研究けんきゅう有名ゆうめいジェーン・グドール。そして、デナリの特集とくしゅう登場とうじょうするオオカミ研究けんきゅうのパイオニア、アドルフ・ムーリーも、なかなかいいせんいっています。「使つかった道具どうぐは、双眼鏡そうがんきょう、カメラ、ノート、それに強靭きょうじんあしだけだ」という環境かんきょうはまさに理想りそう。いずれにしても、やりたいことに没頭ぼっとうできるってしあわせですよね。いまから学者がくしゃにはなれないけど、1にちに1つ、あらたな発見はっけんをするような人生じんせいにしたいものです。(編集へんしゅうH.O)

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