バックオフィスへのクラウド導入どうにゅうで労務ろうむが「花形はながた業務ぎょうむ」になる時代じだいがくる - TECO Design杉野すぎの氏しが見据みすえる労務ろうむの未来みらい

• 株式会社かぶしきがいしゃTECO Design 杉野すぎの 愼まこと 氏し

働はたらき方かた改革かいかくやDX推進すいしんを背景はいけいに、企業きぎょうの働はたらき方かたは多様たよう化かしてきました。そして、労務ろうむ業務ぎょうむにおいても多様たよう化かが進すすんできています。その結果けっか、給与きゅうよ計算けいさんや勤怠きんたい管理かんりといった既存きそん業務ぎょうむの傍かたわら、時代じだいの潮流ちょうりゅうに合あわせた新あらたな業務ぎょうむをこなさなければならない労務ろうむ担当たんとう者しゃの負担ふたんは増ます一方いっぽうです。そこで注目ちゅうもくされているのがバックオフィスへのクラウド導入どうにゅう。

クラウドサービスにより業務ぎょうむを効率こうりつ化かすることで、労務ろうむ担当たんとう者しゃの負担ふたんの軽減けいげんにつながることが期待きたいできます。さらに、クラウド導入どうにゅうのメリットはそれだけではありません。効率こうりつ化かにより生うまれたリソースを活用かつようすることで、労務ろうむ担当たんとう者しゃのキャリア形成けいせいや会社かいしゃの組織そしき風土ふうどの醸成じょうせいなどが可能かのうになるのです。

今回こんかいは、マネーフォワード クラウドのHRソリューションのラインナップを始はじめとし、人事じんじ労務ろうむ関連かんれんのクラウドサービス導入どうにゅう支援しえんを行おこなうTECO Designの杉野すぎのさんに、現在げんざいの労務ろうむが抱かかえる課題かだいとその解決かいけつ策さく、そしてクラウドサービスを活用かつようすることで生うまれる新あらたな時代じだいの労務ろうむの価値かちについてお話はなしいただきました。

社しゃ労ろう士し事務所じむしょで感かんじたバックオフィスIT導入どうにゅう支援しえんの必要ひつよう性せい

──まず、TECO Designの事業じぎょうについて教おしえてください。

TECO Designは、人事じんじ労務ろうむ関連かんれんSaaSの導入どうにゅう支援しえん・設定せってい代行だいこうを事業じぎょうとして行いっています。特とくに中小ちゅうしょう企業きぎょうはIT人材じんざいが不足ふそくしていたり、情報じょうほう収集しゅうしゅうする時間じかんがなかったりといった課題かだいをお持もちの方ほうが多おおいため、独力どくりょくでのテクノロジー導入どうにゅうはそう簡単かんたんではありません。

TECO Designは人事じんじ・労務ろうむ分野ぶんやにおける業務ぎょうむ設計せっけいおよびIT導入どうにゅうのノウハウを持もっており、バックオフィスへのIT導入どうにゅうを支援しえんしております。また、IT導入どうにゅうにおいて必要ひつようとなる従業じゅうぎょう員いんへの説明せつめい会かいや管理かんり者しゃ研修けんしゅう、動画どうがマニュアルの提供ていきょうなど、トータルでサービスをご提供ていきょうしています。

──IT導入どうにゅうに興味きょうみはあるけれどなかなか踏ふみ出だせなかった企業きぎょうにとって、TECO Designは強つよい味方みかたといえますね。そもそも杉野すぎのさんはなぜTECO Designを設立せつりつして人事じんじ労務ろうむのIT導入どうにゅう支援しえんを行おこなおうと考かんがえたのでしょうか。

TECO Design設立せつりつの背景はいけいには自分じぶん自身じしんの経験けいけんがあります。もともと私わたしは社会しゃかい保険ほけん労務ろうむ士し事務所じむしょに10年間ねんかん勤務きんむしていたのですが、そこで強つよく感かんじたのがバックオフィスへのIT導入どうにゅうの必要ひつよう性せいです。当時とうじのバックオフィス業務ぎょうむは紙かみなどを使つかったアナログなやり方かたがまだまだ多おおく、効率こうりつがいいとは言いえない状態じょうたいでした。

そんな折おり、当時とうじの所長しょちょうの方針ほうしんで中小ちゅうしょう企業きぎょうにおける労務ろうむ管理かんりのIT導入どうにゅうを支援しえんするグループ会社かいしゃをつくることになり、私わたしがその会社かいしゃの責任せきにん者しゃになりました。事業じぎょうをスタートしてみるとすぐにたくさんのお問とい合あわせやご依頼いらいをいただき、このビジネスに大おおきなニーズがあることを実感じっかんしました。ただ、そのせいで当時とうじは忙いそがしくなりすぎてむちゃくちゃな働はたらき方かたになっていましたね。朝あさ9時じまでに送おくらないといけない資料しりょうを夜中よなかの2時じから作つくる、みたいな（笑）。

そこまでやっても、自分じぶんだけの力ちからではせいぜい10件けんや15件けんくらいのお客様きゃくさましか一いち度どに抱かかえられませんでした。そこで、これはきちんと組織そしきにするべきだろうと考かんがえ始はじめました。また当時とうじは広島ひろしまにいたのですが、東京とうきょうをはじめ全国ぜんこくからも「お願ねがいします」「次つぎはいつこちらに来きたられますか」といったお問とい合あわせをいただくようになっていました。

これだけ困こまっている方々かたがたが全国ぜんこくにいて、幸さいわい自分じぶんにはその課題かだいを解決かいけつできる経験けいけんとチャンスがある。それならやるしかないだろうと思おもい、TECO Designを設立せつりつし独立どくりつしたのです。

労務ろうむの業務ぎょうむは標準ひょうじゅん化かされず“秘伝ひでんのタレ”状態じょうたいになっている！？

──多おおくの企業きぎょうの労務ろうむ管理かんりにおけるIT導入どうにゅうを支援しえんされている杉野すぎのさんから見みて、労務ろうむ担当たんとう者しゃの課題かだいはどんなものがあるでしょうか。

ITやクラウドが導入どうにゅうできていない場合ばあい、業務ぎょうむが非ひ効率こうりつになってしまうことはまず課題かだいといえます。さらに労務ろうむ担当たんとう者しゃ個人こじんにおける大おおきな課題かだいは、周まわりに相談そうだんする人ひとがいなかったり、キャリアのロールモデルがいなかったりすることです。たとえば営業えいぎょうなら同期どうき入社にゅうしゃのメンバーがそれなりの人数にんずういたり、エンジニアなら勉強べんきょう会かいなどで他社たしゃの人ひととつながる機会きかいがあったりするでしょう。

しかし、労務ろうむ担当たんとう者しゃは社内しゃないの人数にんずうもそう多おおくはないですし、会社かいしゃの機密きみつ情報じょうほうを扱あつかうことが多おおいため、社外しゃがいの労務ろうむ担当たんとう者しゃとも交流こうりゅうしにくい現状げんじょうがあります。そもそも交流こうりゅう会かいを開催かいさいしても、そこに集あつまるのはビジネスのことも労務ろうむのことも深ふかく理解りかいしているような“スーパー労務ろうむ担当たんとう者しゃ”なんですね。しかし、そういう方ほうは一いち握にぎりです。僕ぼくたちが支援しえんしたいのは、むしろそういった集あつまりに参加さんかしにくさを感かんじているようなごく普通ふつうの労務ろうむ担当たんとう者しゃなんです。

そもそも労務ろうむ担当たんとう者しゃは他たの仕事しごとと比くらべてもスキルに差さが出でやすい職種しょくしゅといえます。なぜかというと、業務ぎょうむ内容ないようが会社かいしゃによってまったく異ことなったまま月日つきひが経過けいかし、業界ぎょうかいでの標準ひょうじゅん化かが進すすまず、1社しゃでのスキルがポータブルになりにくいからです。いわば“秘伝ひでんのタレ”なんですよ。

労働ろうどう基準きじゅん法ほうなどの法律ほうりつを土台どだいに、会社かいしゃ独自どくじのルールを継つぎ足たししながらどんどんローカル化かしてしまっているケースが多おおいです。ですから1つの会社かいしゃで長ながく経験けいけんを積つんで仕事しごとを最適さいてき化かしても、それはその会社かいしゃでしか通用つうようしません。転職てんしょくするとまたゼロから仕事しごとのやり方かたを覚おぼえないといけなかったりします。これでは労務ろうむ担当たんとう者しゃはキャリアを描えがきにくいですよね。

──たしかに同おなじバックオフィスでも経理けいりや人事じんじと比くらべて、労務ろうむの業務ぎょうむ内容ないようはイメージしにくいです。

ふわっとしたイメージですよね。おそらく多おおくの社員しゃいんさんは自社じしゃの労務ろうむ担当たんとう者しゃのことを何なんとなく“ただの事務じむ屋やさん”くらいで認識にんしきしているのではないでしょうか。だけど実際じっさいには労務ろうむ担当たんとう者しゃは会社かいしゃにとって重要じゅうようなポジションを担になっていることが多おおいんです。

というのも、先さきほど申もうし上あげたように会社かいしゃには法律ほうりつの上うえに築きずかれた独自どくじのローカルルールがあり、それを握にぎっているのが労務ろうむ担当たんとう者しゃだからです。ローカルルールはいわばその会社かいしゃの「カルチャー」です。たとえば当社とうしゃでは社員しゃいんの行動こうどう指針ししんを定さだめていますが、それは法律ほうりつ的てきには別べつになくてもいいものです。でも、何なにか判断はんだんに迷まよったときに「TECO Designとして何なにを大切たいせつにしているか」という拠より所どころがあった方ほうが社員しゃいんは動うごきやすくなるんです。

そういった“企業きぎょう風土ふうど”みたいなものがあると、法律ほうりつだけではコントロールしきれない会社かいしゃの細部さいぶまでカバーすることができます。労務ろうむ担当たんとう者しゃが重要じゅうようなポジションになると申もうし上あげたのは、この企業きぎょう風土ふうどを構築こうちくし、定着ていちゃくさせる役割やくわりとして最適さいてきだからです。

労務ろうむはこれからの時代じだいの「花形はながた業務ぎょうむ」になる

──これまでの労務ろうむの業務ぎょうむイメージから、一段いちだん視座しざが上あがったような感覚かんかくですね。

そうですね。そういう意味いみで私わたしは労務ろうむという仕事しごとはこれから「花形はながた業務ぎょうむ」になると考かんがえています。それを予測よそくして他た職種しょくしゅから労務ろうむ業務ぎょうむに参入さんにゅうしようとする動うごきはすでに出でてきています。

これまでビジネスサイドでばりばりやってきた人ひとが労務ろうむを体系たいけい的てきに学まなび、スキルの習得しゅうとくを始はじめています。そういった高たかい意識いしきを持もった労務ろうむ担当たんとう者しゃもいれば、一般いっぱん的てきなイメージ通どおり“事務じむ屋やさん”として同おなじ仕事しごとを繰くり返かえしている労務ろうむ担当たんとう者しゃもいるわけです。このままでは従来じゅうらいの労務ろうむ担当たんとう者しゃの仕事しごとは、AIよりも先さきに新しん世代せだいの労務ろうむ担当たんとう者しゃに奪うばわれてしまうかもしれません。

──同おなじ労務ろうむ担当たんとう者しゃでもスキルの違ちがいで大おおきな差さが生うまれようとしているのですね。従来じゅうらいの労務ろうむ担当たんとう者しゃから新あらたな労務ろうむ担当たんとう者しゃへとステップアップするにはどうすればいいのでしょうか。

まずは、ITや、マネーフォワードをはじめとするITベンダー各社かくしゃが提供ていきょうするクラウドサービスの導入どうにゅうにより、労務ろうむの業務ぎょうむを効率こうりつ化かするべきでしょう。そうやってつくった時間じかんを活用かつようして、労務ろうむ担当たんとう者しゃとしてありたい姿すがたを目指めざすのです。

たとえば企業きぎょうのカルチャーや風土ふうどを構築こうちくする役割やくわりを担になったり、あるいは人事じんじのスキルを身みに付つけて労務ろうむと人事じんじの両方りょうほうを担になえる人材じんざいを目指めざしたり、労務ろうむの知識ちしきをさらに深ふかめることで単たんなる事務じむ屋やさんではなく会社かいしゃの人ひとから「あの人ひとにお願ねがいしたい」と思おもわれるようなスーパー労務ろうむ担当たんとう者しゃを目指めざしたりと、道みちはさまざまです。いずれにしても一いち日にち中ちゅうアナログな業務ぎょうむに向むき合あって過すごす労務ろうむのスタイルとは決別けつべつする必要ひつようがあります。

それは経営けいえい者しゃ側がわも同おなじです。実じつは労務ろうむにITを導入どうにゅうしない理由りゆうとして「今いま困こまっていないから」ということが多おおいんです。今いまいる人ひとでまわっているから、と。しかしよく聞きいてみると「ITを導入どうにゅうして8時間じかんかかっていた仕事しごとが30分ふんで終おわるようになったら、労務ろうむに残のこりの7時じ間あいだ半はん何なにをさせたらいいかわからない」と経営けいえい者しゃは思おもっていたりします。

そんな意識いしきのままだと、従来じゅうらいの労務ろうむ担当たんとう者しゃの仕事しごとは新しん世代せだいの労務ろうむやAIに取とって代かわられます。だからこそ経営けいえい者しゃは「労務ろうむをどうしていくのか」をまず考かんがえてからITやクラウドを導入どうにゅうすることが大事だいじです。ITの導入どうにゅうで従来じゅうらいの作業さぎょうコストが9割わり削減さくげんできるなら、そのリソースを使つかって労務ろうむを次つぎのステップへ進すすめる必要ひつようがあります。

──ただ労務ろうむ担当たんとう者しゃが改革かいかくを望のぞんでも、経営けいえい者しゃ側がわが動うごいてくれないこともあります。特とくにバックオフィスへの投資とうしは売上うりあげや利益りえきに直結ちょっけつしないことも多おおいですよね。

そこは、経営けいえい層そうとして気きになるポイントに結むすびつけた数字すうじや効果こうかを、労務ろうむが提示ていじするしかないと思おもいますね。単たんに「業務ぎょうむが効率こうりつ化かします」では「今いままわっているから投資とうしは不要ふよう」と判断はんだんされるかもしれません。しかし、たとえば残業ざんぎょう時間じかんや有給ゆうきゅう消化しょうか率りつって、人ひとを採用さいようするとしたらすごく重要じゅうような要素ようそなんですよ。採用さいようは経営けいえい者しゃにとっても重要じゅうような事柄ことがらなので、IT導入どうにゅうによって、残業ざんぎょう時間じかんを削減さくげんしたり有給ゆうきゅう消化しょうか率りつを上あげたりして採用さいように好影響こうえいきょうが出でることを示しめせば、経営けいえい者しゃもバックオフィスへの投資とうしを検討けんとうするのではないでしょうか。

──TECO Designの今後こんごの展望てんぼうについて教おしえてください。

大おおきく3つの事業じぎょうを展開てんかいしていきたいと考かんがえています。1つはYouTubeでの情報じょうほう発信はっしんやSaaSのショールーム運営うんえい、社しゃ労ろう士し検索けんさくプラットフォームといったメディア事業じぎょうです。たとえばYoutubeでは、マネーフォワード クラウド勤怠きんたいを始はじめとし、人事じんじ労務ろうむ関連かんれんのさまざまなSaaSの操作そうさ方法ほうほうレクチャーやレビュー、人事じんじ労務ろうむ領域りょういきの情報じょうほう発信はっしんなどをしてします。もう1つは社しゃ労ろう士し法人ほうじんを設立せつりつして行おこなうコンサルティング事業じぎょう、そして最後さいごにBPO事業じぎょうです。労務ろうむ担当たんとう者しゃを育そだてるくらいのつもりで、お客様きゃくさまの業務ぎょうむフローにも口くちを出だすスタンスでやっていきます。

• 人事じんじ労務ろうむ関連かんれんのSaaSを体験たいけんできるショールーム「クラウドステーション」
  ※写真しゃしんの神楽坂かぐらざかショールームは4月がつ取材しゅざい時点じてん。6月より神楽坂かぐらざかショールームはTECO Design本社ほんしゃ内ないに移転いてん予定よてい。

TECO Design YouTubeチャンネル

──それでは、最後さいごに労務ろうむ担当たんとう者しゃに向むけてメッセージをお願ねがいします。

労務ろうむはこれから花形はながた業務ぎょうむになっていくと思おもいます。会社かいしゃの文化ぶんかやルールを握にぎっている重要じゅうようなポジションであり、重要じゅうような役割やくわりを担になえる立場たちばなのです。単たんに事務じむをやっているだけと思おもわず、誇ほこりを持もって労務ろうむという仕事しごとに取とり組くんでいただきたいですね。

マネーフォワード クラウドのHRソリューションの詳細しょうさいはこちら

 

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