片田舎かたいなかで道場どうじょうを構かまえるしがない剣術けんじゅつ師範しはんの中年ちゅうねん、ベリル・ガーデナント。
剣士けんしとしての頂いただきを目指めざした日々ひびは遠とおく過すぎ去さり、自身じしんの実力じつりょくに気持きもちの折おり合あいをつけてのんびり過すごしていた彼かれのもとへ
今いまや王国おうこく騎士きし団長だんちょうにまで出世しゅっせした元もと弟子でしの一人ひとり、アリューシアが十じゅう年ねんの時ときを経へて来訪らいほうする。

「先生せんせいを騎士きし団だん付つきの特別とくべつ指南しなん役やくとして推薦すいせんし、無事ぶじ承認しょうにんされました」

このまま田舎いなか暮くらしで静しずかに生涯しょうがいを終おえる、それでも構かまわないと割わり切きっていたベリルの運命うんめいが、大おおきく変かわる─！

都会とかいでの生活せいかつ。大おおきく成長せいちょうした元もと弟子でしたちとの再会さいかい。新あらたな仲間なかま、そして強敵きょうてきとの巡めぐり会あい。

「俺おれみたいな峠とうげを過すぎたおっさんには、荷にが重おもすぎるよ……」

そう思おもうベリルだが、長ながきにわたり実直じっちょくに鍛きたえ続つづけた剣けんの腕うでは
”片田舎かたいなかの剣聖けんせい”と称しょうされるほどの凄すさまじい領域りょういきに達たっしていて─