ただ勝かったことにのみ意義いぎがある。

ポストシーズンの試合しあいというのは、内容ないようのある負まけというのに三文さんもんの価値かちもなく、とにかくあらゆる勝かちに意義いぎがあるものだ。しかし、古こ葉は監督かんとくの時代じだいを除のぞくとそのことを理解りかいしていた監督かんとくはいなかったと思おぼしい。とにかく「赤あかヘルらしい」野球やきゅうをやればなんとかなるという宗教しゅうきょう的てきな確信かくしんに凝こり固かたまり、それで負まけ続つづけていたのかもしれない。

そういう意味いみでは、どんな内容ないようであろうとまず頭あたまをひとつ取とったことに意義いぎがあるのだ。もちろん大だい一番いちばんで新井あらいがそこまで意識いしきしていたかは定さだかではないが、とにかく昨日きのうの試合しあい内容ないようは、とにかくなんでもいいから勝かちに行いったという趣おもむきである。

短期たんき決戦けっせんの戦術せんじゅつなど本当ほんとうにバーリ・トゥードでいいわけで、同点どうてんに追おいついた8回かい裏うらの攻撃こうげきなどまさにそうだろう。結果けっか的てきにノーヒットで点てんを取とったわけだが、これを赤あかヘル野球やきゅうの真髄しんずいとでも思おもう向むきがいたら、誤あやまりである。あくまで「こういうこともできる」であれば正ただしいが。

しかし、よく逆さかねじ食くらわされずによかったと思おもう。特とくに9回かいと10回かいはサヨナラ勝がちに持もち込こまなければいけなかっただろう。その流ながれで11回かい表ひょうがあったわけだから、まあ最悪さいあくの結果けっかを予想よそうしたのだが、要ようするにベイスターズの攻撃こうげきも大概たいがい悪わるかった。だから、怖こわがりすぎてはいけないのだ。警戒けいかいすることと怖こわがることは意味いみが違ちがう。

単たんにこの試合しあいを取とり上あげたら言いいたいことははっきり言いって山やまほどあるのだが、このシリーズの結末けつまつが出でるまでは言いわない。敢あえて言いうとしたら、相変あいかわらず新井あらいは人使ひとづかいの方法ほうほうを弁わきまえてないねということか。まあ無理むりやりねじ込こんだ野間のまが4安打あんだということでバカープファンの溜飲りゅういんが下さがったかどうかは知しらない。

これで、第だい2戦せんは持久じきゅう戦せんでよくなった。引ひき分わけでよいのであるから、自おのずと戦たたかい方かたは変かわるだろう。ただし、秋山あきやまが活躍かつやくしたからと言いって末包すえかねに替かえて秋山あきやまを入いれるのは愚ぐ中ちゅうの愚ぐである。敢あえて言いうなら西川にしかわと替かえるべきだろう。そうなるとまたバカープファンマターだから難むずかしいかな。

ポジティヴな要素ようそをあげるとしたら、堂林どうばやしの二塁打にるいだがサヨナラに繋つながったことである。レギュラーシーズン終盤しゅうばんから悩なやみの淵ふちに沈しずんでいてこの試合しあいもダメダメだっただけに、これで潮目しおめが変かわれば簡単かんたんにファーストステージを突破とっぱできるだろう。

ただ、もっとオフェンスがしっかりしないといけない。第だい1戦せんは勝かったとはいえ落第らくだい点てん。もっと頑張がんばらんとね。いくらベイスターズのオフェンスが崩くずれているといっても、何なにかの間違まちがいで繋つながってしまえばあっという間まにバカープファンの夢想むそうする「守まもり勝かつ野球やきゅう」なるものは吹ふっ飛とんてしまう。そうさせないためには、やはり対抗たいこうして打うちまくるしかないのだから。