【軍神ぐんしんアレス（マルス）】メチャクチャ弱よわいツッパリヤンキー【ヴィランレビュー第だい2回かい】

人類じんるい史しというのはやはり戦争せんそうの歴史れきしです。
そのため世界中せかいじゅうに戦せんを司つかさどる「軍神ぐんしん」は存在そんざいします。
中なかでも「最さい弱じゃく」筆頭ひっとう候補こうほに挙あげられるのが今回こんかいご紹介しょうかいするギリシャ神話しんわの軍神ぐんしんアレスでございます。

このアレス、実じつはギリシャ神話しんわの主人公しゅじんこうにして最強さいきょうの主神しゅしんゼウスの実子じっしであり、オリュンポス12神かみにも名なを連つらねる文句もんくなしのエリートです。

しかしこれが滅法めっぽう弱よわい！
意外いがいですよね。
有名ゆうめいな神かみだとは思おもいますが、皆みなさんどれ程ほどこの軍神ぐんしんについてご存知ぞんちでしょうか。
そして今回こんかいカテゴリーは「ヒーロー」ではなく「ヴィラン」、悪役あくやくに分類ぶんるいさせていただきました。
これはいったいどうしたことでしょう？

ファンタジーの知識ちしきを知しれば、より楽たのしい！

それでは今回こんかいも皆みなさまの創作そうさく活動かつどうやゲームへの没入ぼつにゅう感かんの参考さんこうになることを願ねがって。
ぜひ最後さいごまでお付つき合あいくださいませ。

ギリシャ神話しんわ全体ぜんたいについてはこちらの記事きじからどうぞ！

そもそもアレスとはなんぞや？

アレスとはギリシャ神話しんわに登場とうじょうする神かみであり、オリュンポス12神かみに名なを連つらねる軍神ぐんしんです。

父ちちはゼウス、母はははゼウスの正妻せいさいヘラ。
弟おとうとに鍛冶たんやの神かみヘパイストス、妹いもうとに青春せいしゅんの女神めがみへべ、出産しゅっさんの女神めがみエイレイテュイア。

最高さいこう神しんゼウスの長男ちょうなんであり、正当せいとうな後継こうけい者しゃの位置いちにいる恵めぐまれた環境かんきょうですね。
しかしながら粗野そやで乱暴らんぼう、野蛮やばんで残忍ざんにん、不誠実ふせいじつで雑ざつな性格せいかくをしており、軍神ぐんしんといわれるだけに大変たいへん荒あらっぽいお方かたであります。

「城壁じょうへきの破壊はかい者しゃ」という異名いみょうを持もち、戦場せんじょうでは味方みかたを勝利しょうりに導みちびくよりも、どれだけ自分じぶんが気持きもちよく暴あばれられるかが重要じゅうよう。
その戦たたかいぶりはとにかくひたすらに攻撃こうげき、攻撃こうげき、攻撃こうげきの物理ぶつりゴリ押ごりおしタイプ。
「敗走はいそう」を象徴しょうちょうとするフォボス、「恐慌きょうこう」を象徴しょうちょうとするデイモス、「不和ふわの女神めがみ」エリスといういかにもな従者じゅうしゃを引ひき連つれていたというからさもありなん。

同おなじく「戦せん」を司つかさどり、知略ちりゃくに長たけた戦術せんじゅつタイプの女神めがみアテナとは反そりが合あわず、それぞれ敵てき味方みかたに分わかれて戦たたかうこともありました。
ところがアレスは一いち度どとしてアテナに勝かったことはないという。

正直しょうじき古代こだいギリシャの人々ひとびとからは一番いちばんの嫌きらわれ者しゃで、実父じっぷのゼウスにすら「オリュンポスにいる神かみの中なかでお前まえが一番いちばんキライ」とまで言いわれる始末しまつ。

ところが、である。
荒あらっぽい性格せいかくをしているが、端正たんせいな肉体美にくたいびと精悍せいかんな面構つらがまえから女子じょしに滅法めっぽうモテるのです。
中なかでも一番いちばんの愛人あいじんとなるのが美びの女神めがみアフロディーテ。
この辺あたりの女性じょせい心理しんりは理解りかいしがたいですが、何故なぜかモテるヤンキー理論りろんは古代こだい人類じんるい史しどころか神話しんわの時代じだいにまで遡さかのぼるのですね。

生涯しょうがい戦績せんせき、敗北はいぼくの歴史れきし

VSアテナ

アレスがアテナにこっぴどくやられた戦せんといえば「トロイア戦争せんそう」でしょう。

トロイア戦争せんそうとはトロイアとギリシャ連合れんごうが、スパルタの王妃おうひヘレネを取とり合あって10年ねんも続つづいた人間にんげん同士どうしの戦争せんそうです。
両りょう軍ぐんそれぞれに神かみ々が味方みかたに付つくことでこじれにこじれました。
「トロイの木馬もくば」で有名ゆうめいですが、近年きんねんこの戦争せんそうは実際じっさいにあった史実しじつであることが、遺跡いせきが発掘はっくつされたことで明あきらかになりました。

アレスはトロイア側がわ、アテナはギリシャ連合れんごうに付ついていました。

そこでアレスは神かみでありながら直接ちょくせつ人間にんげんたちのいる戦場せんじょうで大だい暴あばれ。
彼かれからしたら難易なんい度どEASYの無双むそう状態じょうたい。
それを懲こらしめるためアテナがディオメデスという英雄えいゆうに加護かごを与あたえ、アレスの投なげた槍やりを逸そらさせ、逆ぎゃくにディオメデスの投とうじた槍やりをアレスに命中めいちゅうさせます。
いかにアテナが付ついていたとは言いえ、人間にんげんに負まけるのも大概たいがいですが、下腹部かふくぶを槍やりで貫つらぬかれたアレスは思おもわず悲鳴ひめいを上あげると一目散いちもくさんにオリュンポス山やまへと逃にげ帰かえってしまったのです。
そして父ちちであるゼウスにすがり、あの人間にんげんに罰ばっを与あたえてくれよ！　と泣なきついたとまで言いわれています。
ちょっと情なさけないですよね。

しかもそのときゼウスになんと言いわれたか。
「このオリュンポスにいる神かみ々の中なかでお前まえが一番いちばんキライだ」とハッキリ言いわれてしまうんですね。

その後ご、逆恨さかうらみしたアレスはアテナに一騎討いっきうちちを申もうし出でますが、アイギスの盾たてを構かまえるアテナに全すべての攻撃こうげきを弾はじき返かえされ完敗かんぱい！
物理ぶつり攻撃こうげきしかしない脳のう筋すじですからね。
怒おこったアフロディーテもアテナに挑いどみますが、戦闘せんとうに関かんしてはアテナに敵てきうはずもなく。
恋人こいびとのアフロディーテが悲鳴ひめいを上あげてるなか、アレスはとっくに気絶きぜつしていたという事ことです。

VSヘラクレス

ヘラクレスにも完敗かんぱいしています。

ヘラクレスも同おなじゼウスの血ちをひいていますが、半分はんぶんは人間にんげんです。
そのヘラクレスが「パガサイの野の」で旅人たびびとを襲おそい、その骨ほねで宮殿きゅうでんを建たてていたアレスの息子むすこであるキュクノスを退治たいじしました。
すると怒おこったアレスがヘラクレスに襲おそいかかりますが逆ぎゃくにボコボコにされます。

また、ヘラクレスが「十じゅう二にの功業こうぎょう」で行おこなった人ひと喰くい馬ばの捕獲ほかくでも、その馬うまを飼かっていたトラキアの王おうはアレスの子こでした。
残忍ざんにんな性格せいかくを受うけ継ついでいたようですが、ここでもヘラクレスにボコボコにされています。

女神めがみヘラがヘラクレスを執拗しつようなまでに憎にくんだのは、もしかしたら人間にんげんでありながら我わが子こアレスより秀ひいでていた事ことに気付きづいた、やっかみもあったのかもしれませんね。

他ほかにも巨きょ人じんの兄弟きょうだいアローアダイに青銅せいどうの壺つぼに閉とじ込こめられ、ヘルメスに助たすけられるまで十じゅう三さんヶ月かげつもの間あいだ、何なにも出来できずに泣ないていたこともありました。

こんな具合ぐあいの軍神ぐんしんアレスですが、これが何故なぜだか女子じょしに大人気だいにんきだったりするんです。

何故なぜだかモテるヤンキータイプ

荒あらくれ者もののアレスですが、これが滅法めっぽう女子じょし（女神めがみ）に人気にんきがありました。

悪あくぶってるとカッコよく見みえるのか、乱暴らんぼうでも強つよい男おとこに庇護ひごされたい心理しんりなのか。
確たしかに筋肉質きんにくしつで肉体美にくたいびを誇ほこり、整ととのった顔立かおだちは精悍せいかんさを滲にじませ、黙だまっていればイケメンであり、かつゼウスとヘラの息子むすこという家柄いえがらも申もうし分ぶんなし。

モテるんですね、アレスは。

中なかでも最高さいこうの女おんなと言いえるのが「愛あいと美びの女神めがみ」アフロディーテでしょう。
そのため弟おとうとの鍛冶たんやの神かみヘパイストスに恥はずかしい仕打しうちを受うけることになります。

VSヘパイストス

アフロディーテには旦那だんながいます。
鍛冶たんやの神かみヘパイストスです。
ヘパイストスは類るい稀まれなる鍛冶たんや技術ぎじゅつの持もち主ぬしですが、実じつは神かみ界かい一いちのブサメンです。
そんなヘパイストスにアフロディーテが満足まんぞくするはずもなく、他たの男神おかみとの不倫ふりんに明あけ暮くれます。
その一番いちばんの相手あいてとなったのがアレスです。

ちなみにアレスとヘパイストスは兄弟きょうだいです。
弟おとうとの嫁よめを兄あにが寝取ねとったのですね。

なので二人ふたりを懲こらしめてやることにしました。
ヘパイストスお手製てせいのベッドで二に人にんが楽たのしんでいると突然とつぜん拘束こうそく具ぐが飛とび出だし、あられもないままの姿すがたで二に人にんとも拘束こうそくされてしまいました。
そして二に人にんの痴態ちたいが大勢おおぜいの神かみ々にそのまま晒さらされ笑わらい者しゃになったのです。
アレスは恥はずかしくなって縮ちぢこまりました。
ちなみにアフロディーテはというと、大勢おおぜいの前まえで「テヘッ」てはにかんで見みせたという事ことです。

もうアレスイイとこなしです。

『ローマ神話しんわ』

ギリシャ神話しんわは後のちにロろーマ帝国まていこくによるローマ神話しんわに吸収きゅうしゅうされるのですが、ここからアレスのターンが始はじまります。

彼かれは軍神ぐんしんマルス(英名えいめいマーズ)として軍人ぐんじんたちに崇拝すうはいされるようになります。
そしてローマ建国けんこくの英雄えいゆうロムルスの父ちちという設定せっていになるのです。

ちなみに３月がつ(March)の語源ごげんはマーズ(Mars)であり、冬ふゆの間あいだ停戦ていせんしていた戦争せんそうが、春はるになって再開さいかいすることから軍神ぐんしんの名なが付つけられました。

さらに火星かせい(Mars)にはフォボスとデイモスと名付なづけられた衛星えいせいがあり、これはもちろんアレスの子こであり戦場せんじょうの従者じゅうしゃであった二人ふたりから名付なづけられました。
こっちは英名えいめいとかないんだね。あるのかな？

まとめ

いかがだったでしょうか。

ヤンキーなら雨あめの中なか、捨すてネコ拾ひろうぐらいの優やさしさは見みせますが、アレスにそれはありません。
ただひたすらに暴あばれて負まける。
しかしところ変かわればそれが最もっとも価値かちあることだと崇あがめられる。
そんなことを体現たいげんしている神かみなのではないでしょうか。

それではまた！