【不和ふわの女神めがみエリス】結婚式けっこんしきに呼よばれない女おんな【ヴィランレビュー第だい4回かい】

今回こんかい取とり上あげるのは女神めがみだけど悪役あくやく設定せっていがなされるエリスです。

場ばの空気くうきを乱みだすことに長たけた女神めがみなのですが、実じつはある大戦たいせん争そう勃発ぼっぱつの引ひき金がねとなった女神めがみでもあります。

それはいったい何なになのか？

ファンタジーの知識ちしきを知しれば、より楽たのしい！

それでは今回こんかいも皆みなさまの創作そうさく活動かつどうやゲームへの没入ぼつにゅう感かんの参考さんこうになることを願ねがって。
ぜひ最後さいごまでお付つき合あいくださいませ。

そもそもエリスとはなんぞや？

エリスとは、ギリシャ神話しんわに登場とうじょうする「争あらそいと不和ふわ」の女神めがみです。

戦場せんじょうで槍やりを振ふるう猛もう将しょうでもあり、鎧よろいをまとい、背中せなかに天使てんしのような翼つばさを生はやしたビジュアルをしています。

生うまれについては大おおきく二分にぶんされており、ギリシャ神話しんわの参考さんこう資料しりょうとされ、トロイア戦争せんそうを描えがいたホメロスの『イリアス』では、軍神ぐんしんアレスの双子ふたごの妹いもうととされ、当然とうぜんゼウスとヘラの娘むすめと言いうことになります。

もうひとつは同おなじくギリシャ神話しんわの参考さんこう資料しりょうとされる、ヘシオドスの『神かみ統みつる記き』です。
こちらではエリスは夜よるの女神めがみニュクスが単身たんしんで生うんだとされます。

ニュクスはまだ何なにもない世界せかいで混沌こんとん(カオス)から生うまれた原初げんしょの神かみのひとりです。
ゼウスの祖母そぼに当あたる大地だいち母はは神しんガイアと同列どうれつなので、かなり格かくの高たかい女神めがみという事ことになります。

このニュクスから生うまれたとなればアレスの双子ふたごの妹いもうとよりも神かみ各かくは上うえと言いえそうです。

というのも、エリスはガイアやニュクスに倣ならい、これまた単身たんしんで多おおくの神かみ々を生うんでいるのです。
しかもそのほとんどが災わざわいを呼よぶ神かみばかり。

以下いかがそれに当あたります。

• 苦悩くのうを司つかさどるポリス
• 忘却ぼうきゃくを司つかさどるレテ
• 飢餓きがを司つかさどるリモス
• 悲歎ひたんを司つかさどるアルゴス
• 戦闘せんとうを司つかさどるヒュスミネ
• 戦争せんそうを司つかさどるマケ
• 殺害さつがいを司つかさどるポノス
• 殺人さつじんを司つかさどるアンドロクタシア
• 紛争ふんそうを司つかさどるネイコス
• 虚言きょげんを司つかさどるプセウドス
• 空言くうげんを司つかさどるロゴス
• 口くち争そうを司つかさどるアムピロギア
• 不法ふほうを司つかさどるデュスノミア
• 破滅はめつを司つかさどるアテ
• 誓ちかいを司つかさどるホルコス

不穏ふおんなものを司つかさどる神かみばかりですね。
そしてあまりメジャーな神かみは見当みあたりません。
このようなものがまかり通とおってはならないという、古代こだいギリシャの人々ひとびとの想おもいが込こめられているような気きさえします。

招待しょうたい状じょうが来こない

ある時ときテティスという女神めがみが人間にんげんの戦士せんしペレウスと結婚けっこんすることが決きまりました。

テティスはヘラに「醜みにくいから」と海うみに捨すてられた鍛冶たんやの神かみヘパイストスを保護ほごした事ことがある優やさしい女神めがみです。
ペレウスは英雄えいゆうイアソンの求もとめに応おうじ、黄金おうごん羊ひつじの毛皮けがわを探さがす船旅ふなたび(アルゴナウタイ)に参加さんかした勇者ゆうしゃです。

その二人ふたりの結婚式けっこんしきが盛大せいだいに催もよおされ、多おおくの神かみ々が招待しょうたいされました。
しかしエリスにだけ、招待しょうたい状じょうが来こなかったのです。
不和ふわを司つかさどる彼女かのじょは有あり体ていに言いえば嫌きらわれていたのです。

大おおきな屈辱くつじょくを感かんじたエリスは結婚式けっこんしきをぶち壊こわしてやろうと会場かいじょうへ向むかいます。
そういう考かんがえ方かたするから呼よばれなくなるというのに。

しかし仕返しかえしの仕方しかたがなかなかにユーモラスというか。
エリスは外そとから式場しきじょう内ないに向むかって「黄金おうごんの林檎りんご」を投なげ入いれたのです。
その林檎りんごに一文いちぶんを添そえて。

「もっとも美うつくしい者ものへ」

これを見みて会場かいじょう内ないの女神めがみたちは全員ぜんいん色いろめき立たちます。
中なかでもヘラ、アテナ、アフロディーテのいわゆる３美神びしんが争あらそいを始はじめてしまいます。
自分じぶんこそが相応ふさわしいと。

さすがは「不和ふわ」の女神めがみエリスですね。

ところで「黄金おうごんの林檎りんご」のなる樹きは大地だいち母はは神しんガイアがゼウスとヘラの結婚けっこん祝いわいに贈おくったとされ、その後ご西にしの昼ひると夜よるの境界きょうかいにあるというヘスペリアの園えんにて、怪獣かいじゅうラドンと黄昏たそがれの娘むすめたちヘスペリデスが管理かんりしていることになっています。
あのヘラクレスも12の功業こうぎょうの際さいに訪おとずれていますね。

さて、これで結婚式けっこんしきはグチャグチャになり、ゼウスの執とり成なしで誰だれが一番いちばんかをトロイアの王子おうじパリスに決きめてもらおうとなりました。
そしてアフロディーテが、自分じぶんを選えらべば世界一せかいいちの美女びじょを与あたえると言いい、スパルタの王おう弟おとうとメネラオスの妻つま、ヘレネをパリスに与あたえてしまったことで、未曾有みぞうの大戦たいせん「トロイア戦争せんそう」が勃発ぼっぱつすることになるのです。

この戦争せんそうでは神かみ々もスパルタを盟主めいしゅとするギリシャ連合れんごうとトロイア側がわに二分にぶんして参戦さんせんします。

エリスも軍神ぐんしんアレスと共ともにトロイアの味方みかたに付つきます。
何故なぜなら自分じぶんを結婚式けっこんしきに呼よばなかったテティスの息子むすこアキレウスがギリシャ側がわのエースとして参加さんかしていたからです。

このトロイア戦争せんそうはギリシャ神話しんわのクライマックスと言いえる物語ものがたりです。
その戦争せんそうの引ひき金がねとなったのがこのエリスにあった事ことは間違まちがいありません。

まとめ

• エリスは争あらそいを招まねく不和ふわの女神めがみ
• 軍神ぐんしんアレスの妹いもうと説せつと夜よるの女神めがみニュクスの娘むすめ説せつがある
• トロイア戦争せんそう勃発ぼっぱつの引ひき金がねとなった

いかがだったでしょうか。

エリスって名前なまえはなんとなくヒロインぽいというか、イイ人じんに名付なづけそうな感かんじがしますけど、正直しょうじきアレスと並ならびギリシャ神話しんわでは嫌きらわれ役やくです。

そのため当とうブログでもカテゴリーを「ヒロインレビュー」ではなく、女神めがみ初はつの「ヴィランレビュー」にしてみました。

悪わるどい女じょキャラもドンドンご紹介しょうかいできればと思おもいます。

ネタには事欠ことかきませんしね。

それではまた！