昨年は大ヒットドラマ『あまちゃん』(NHK系)のオープニング、劇中音楽を手がけ、第55回日本レコード大賞作曲賞を受賞を受賞するなどして、一躍人気者となった作曲家、大友良英。彼が4月13日放送の『題名のない音楽会』に出演し、自身のルーツとなる音楽や、彼自身の音楽観について語った。
冒頭、番組から「ノイズ・ミュージックの世界的権威でもある」と紹介された大友。司会の佐渡裕から「ノイズ・ミュージックを一言で言うと?」と質問された大友は「一言では言えないですが......ジャンルというよりは考え方というか。よくわからないところがまた面白い」と語った。
今回の放送では、大友良英が影響を受けたノイズ・ミュージック3曲を紹介。まず大友が1曲目に挙げたのは、ジミ・ヘンドリックスの「The Ster Spangled Banner」。『ライブ・アット・ウッドストック』の映像を見て、「かっこいいな」と思ったそうだ。曲の聴きどころについては、「途中からノイズ化していくんですよ。中盤からギターがフィードバックしていって。そこにシビれましたよね」と、少年のように輝いた目で語った。同曲について、本間智恵アナウンサーが「当時は『戦争が嫌だ』という気持ちを、この歪んだギターで国歌を演奏することで表したと」と語ると、大友が「そうかもしれないですけど、そんなことでもない気もしていて。ギターをアンプに通して『ギャーン』とやるだけでも楽しいんですよ。暴力衝動だったり、パンク的衝動だったり。単純な社会性だけじゃなくて、ものすごくプリミティブな身体感覚もきっとあったと思うんですよね」と、政治的な意味ではない音楽の捉え方について熱弁した。
続いて、大友は自身の音楽ルーツについて「うちは音楽一家ではなく、父が電気技師だったので、部品が家にいっぱいあったんですね。当時はシンセサイザーが出たばかりで、だから中二くらいの時に自分で作ったんですよね」と、マニアックな部分から始まったことを語った。そこから高校へ進学した大友は、「モテると思って」ギターを始めたそうだ。当時はビートルズのコピーバンドをしていたが、偶然ジャズ研究会に加入。次第にジャズ・フリージャズの道を歩むことになったようだ。