2016.05.21 13:00

夏代なつよ孝明たかあきが語かたる、歌うたへの向むき合あい方かたと楽たのしさ「人ひとそれぞれ違ちがうし、まったく個性こせいのない人ひとはいない」

文ぶん・取材しゅざい＝杉山すぎやま仁ひとし

　各国かっこく代表だいひょうのアマチュアシンガーによるカラオケ世界せかいNo.1決定けってい戦せん『KARAOKE WORLD CHAMPIONSHIPS （以下いか、KWC）2016』。本年度ほんねんどは7月がつの東京とうきょう大会たいかい（7月がつ2日にち・渋谷しぶやクラブクアトロ）と大阪おおさか大会たいかい（7月がつ16日にち。梅田うめだamHALL）を勝かち抜ぬいた出場しゅつじょう者しゃが8月がつに六本木ろっぽんぎニコファーレで開催かいさいされる決勝けっしょう大会たいかいに進すすみ、優勝ゆうしょう者しゃが決定けっていする。勝者しょうしゃ（男女だんじょ各かく1名めいずつ）には渡航とこう費ひや宿泊しゅくはく費ひなどをバックアップのもと、中国ちゅうごく・マカオで行おこなわれるアジア大会たいかいおよびカナダ・バンクーバーで開催かいさいの世界せかい大会たいかいへの出場しゅつじょう権けんと賞金しょうきん50万まん円えんが贈おくられる。なお、日本にっぽん大会たいかいのエントリー期間きかんは5月31日にちまで。まだエントリーを迷まよっている人ひともいることだろう。

　そこで今回こんかいは、15年ねんにアルバム『フィルライト』でメジャー・デビューし、5月25日にちに1stシングル『クロノグラフ』をリリースする夏代なつよ孝明たかあきに登場とうじょうしてもらい、歌うたやカラオケにまつわる「思おもい出で」や「楽たのしさ」、そして自身じしんの作詞さくし曲きょくを3曲きょく収録しゅうろくするなど新あらたな試こころみが詰つまった『クロノグラフ』の制作せいさく背景はいけいについて語かたってもらった。

　原曲げんきょくをそれぞれの歌うたい手ての視点してんで解釈かいしゃくするニコニコ動画どうがのコンテンツ「歌うたってみた」の歌うたい手てとして人気にんきを獲得かくとくした経緯けいいを持もつ夏代なつよ孝明たかあきは、キャリアを通とおして歌うたにまつわる表現ひょうげん方法ほうほうに正面しょうめんから向むき合あってきたシンガーのひとり。そんな彼かれならではの、歌うたへの思おもいや、カラオケにまつわるエピソードを感かんじ取とっていただければ幸さいわいだ。（杉山すぎやま仁ひとし）

「歌うたを練習れんしゅうしていくときは、最初さいしょに誰だれかの真似まねから入はいっていく」

――夏代なつよさんが歌うたうことに楽たのしさを感かんじはじめたのは、いつ頃ごろのことだったんですか。

夏代なつよ孝明たかあき（以下いか夏代なつよ）：小学生しょうがくせいの頃ころですね。合唱がっしょうの授業じゅぎょうで、僕ぼくがひとりだけ合唱がっしょう向むきじゃない歌うたい方かたをしていたんです。それを先生せんせいに指摘してきされたことで、友ともだちにも「孝明たかあき、歌うた下手へただな」って言いわれたりして。でも、それが悔くやしくて居残いのこりで先生せんせいに教おしえてもらっていたら、だんだん歌うたえるようになってきて、楽たのしみを見みいだせたんです。最初さいしょは苦手にがてだったけど、ちょっとずつ歌うたうことが好すきになったという感かんじでした。その頃ころは、まさか今いまのようになるとは思おもっていなかったですが（笑）。

――意外いがいな話はなしですね。では、最初さいしょに「歌うたいたい」と思おもったポップ・ミュージックは？

夏代なつよ：中学ちゅうがくに入はいって、（のちに『フィルライト』に「天体てんたい観測かんそく」のカバーを収録しゅうろくする）BUMP OF CHIKENさんや、ASIAN KUNG-FU GENERATIONさん、RADWIMPSさんのコピーバンドを始はじめたんです。同おなじ世代せだいの人ひとたちが好すきだったバンドを聴きいていましたね。

――当時とうじ、カラオケにも行おこなっていましたか？

夏代なつよ：行おこなってました。DAMの「精密せいみつ採点さいてんⅡ」で90点てん以上いじょうを出だせるか競きそうのがすごく流行はやっていて。94～5点てんぐらいは出だした記憶きおくがありますね。でも、友ともだちの中なかには99点てんを出だしている子こもいたので、当時とうじは自分じぶんで歌うたが上手うまいとは思おもっていなくて。バンドのメンバーや、違ちがうバンドのボーカルだけで集あつまって、放課後ほうかごに行いくことが多おおかったです。演歌えんかを歌うたったりもしたし、アニソンも好すきで、当時とうじは『デジモンアドベンチャー』のオープニングテーマである和田わだ光司こうじさんの「Butter-Fly」が、自分じぶんのなかで一番いちばん最高さいこう得点とくてんを獲得かくとくした楽曲がっきょくだった気きがします。

――ひとりで行いくよりも、大勢おおぜいで利用りようすることの方ほうが多おおかったんですね。

夏代なつよ：はい。ライブの前日ぜんじつにひとりで練習れんしゅうしに行いったりもしましたけど、学生がくせい生活せいかつを思おもい出だすと、「友ともだちとカラオケに行いった思おもい出で」は自分じぶんの中なかですごく大おおきいことなんです。人生じんせいで初はじめて自分じぶんひとりだけの歌うたを聴きいてもらったのもカラオケだったと思おもいますし。恥はずかしさを捨すてきってみんなで楽たのしむというのは、大事だいじな経験けいけんでしたね。

【KWC2014】JAPANオーディション日本にっぽん大会たいかい決勝けっしょうダイジェスト映像えいぞう

――今回こんかいのKWC2016はパフォーマンスも審査しんさの対象たいしょうとなりますし、日本にっぽん大会たいかいも本格ほんかく的てきなライブ演出えんしゅつと大おおきなライブ会場かいじょうで行おこなわれます。夏代なつよさんがバンドとして初はじめて人前ひとまえで歌うたった時ときは、上手うまくいったんですか。

夏代なつよ：最初さいしょは失敗しっぱいばかりでした。オチの部分ぶぶんで僕ぼくがギターを弾ひいて歌うたうだけのパート時じに、コードを失敗しっぱいしたりして（笑）。いまでもライブの前日ぜんじつに、その時ときの光景こうけいを思おもい出だすことがあるんです。僕ぼくはそのライブの様子ようすを、観かんに来きてくれていた友達ともだちの表情ひょうじょうまで全部ぜんぶ覚おぼえていて。それが現在げんざいの自分じぶんに置おき換かわっている夢ゆめを見みて、バッと起おきることがあるんです。

――カラオケには自分じぶんで歌うたうだけでなく、「人ひとの歌うたを聴きく」という魅力みりょくもありますが、夏代なつよさんは人ひとの歌うたを聴きくのも好すきですか。

夏代なつよ：歌うたは人ひとそれぞれ違ちがっていますし、まったく個性こせいのない人ひとっていないと思おもうんです。だから学生がくせいの時ときも、人ひとの歌うたを聴きいて「その歌うたい方かた、かっこいいかも」と思おもったりしていました。人ひとの歌うたを聴きいて、自分じぶんの中なかにどれだけ取とり入いれるかを研究けんきゅうしたりもしていて。

――中なかでも影響えいきょうを受うけた歌うたい手ての方ほうやボーカリストの方ほうは？

夏代なつよ：まずはMr.Childrenの桜井さくらい和寿かずとしさん。

――ああ、その要素ようそは夏代なつよさんの歌うたからも感かんじられますね。特とくに高音こうおんで歌うたう時ときの雰囲気ふんいきには通つうじる部分ぶぶんがあると思おもいます。

夏代なつよ：桜井さくらいさんは本当ほんとうに好すきなので、参考さんこうにさせていただいています。歌うたを練習れんしゅうしていくときは、最初さいしょに誰だれかの真似まねから入はいっていくと思おもうんですけど、僕ぼくの場合ばあいはその入口いりくちが桜井さくらいさんでした。ほかにはBUMP OF CHICKENの藤原ふじわら基はじめ央ひさしさんや秦はた基はじめ博はくさん。「歌うたってみた」の歌うたい手てさんだと、最初さいしょに聴きいて衝撃しょうげきを受うけたのはhalyosyさんの「メルト」ですね。その影響えいきょうも僕ぼくの中なかでは大おおきいです。Mr.Childrenさんの曲きょくは、カラオケでもよく歌うたっていましたね。その頃ころは、「桜井さくらいさんはここをこう歌うたってたな」ということを思おもい出だしながら練習れんしゅうしていたんです。