RADWIMPS、テナー、パスピエ……変化へんかしていくバンドの“現状げんじょう”が伝つたわる新作しんさく

　メンバーの脱退だったい、商業しょうぎょう的てきな成功せいこう、アニバーサリーイヤー。活動かつどうを続つづけていくなかで起おこる様々さまざまな出来事できごとを活いかし、または乗のり越こえながら、その経験けいけんを作品さくひんへと結むすびつけるロックバンド。まるで生いき物もののように（または一人ひとりの人間にんげんの人生じんせいのように）変化へんかしていくことこそが、ロックバンドの醍醐味だいごみと言いえるだろう。今回こんかいはライブ盤ばん、ベスト盤ばん、トリビュート盤ばんなどを交まじえながら“バンドの現状げんじょう”が伝つたわる新作しんさくを紹介しょうかいしたい。

　映画えいが『君きみの名なは。』（2016年ねん）の主題歌しゅだいか「前前ぜんぜん前世ぜんせい」をきっかけにさらなるブレイクを果はたし、国民こくみん的てきなバンドに登のぼりつめたRADWIMPS。本ほん作さく『Human Bloom Tour 2017』は最新さいしんアルバム『人間にんげん開花かいか』（2016年ねん11月）のリリースに伴ともなう全国ぜんこくツアー『Human Bloom Tour 2017』のなかから2017年ねん4月がつ30日にちのさいたまスーパーアリーナ公演こうえんの音源おんげんを収録しゅうろくしたライブ盤ばんだ。EDM的てきなきらびやかさを放はなつ「Lights go out」から始はじまる本ほん作さくを聴きけば、エレクトロ、ヒップホップ、ファンク、ラウドロックなどを自在じざいに吸収きゅうしゅうしながら大衆たいしゅう性せいと先鋭せんえい性せいを併あわせ持もった“バンドの音楽おんがく”へと結むすびつける、RADWIMPSの音楽おんがく的てきな身体しんたい能力のうりょくの高たかさをダイレクトに体感たいかんできるはず。生々なまなましい臨場りんじょう感かんと高たかいスキルに裏打うらうちされたアンサンブル、＜ロックバンドなんてもんを　やっていてよかった＞（「トアルハルノヒ」）というフレーズを鋭利えいりな感情かんじょうとともに描えがき出だす野田のだ洋次郎ようじろうのボーカル、といったメンバーのプレイアビリティの高たかさを含ふくめ、現在げんざいの彼かれらの充実じゅうじつぶりがはっきりと示しめされた作品さくひんだ。

　ストレイテナー20周年しゅうねんアニバーサリーイヤーの第だい1弾だんは、現在げんざいのシーンを代表だいひょうするバンドが数多かずおおく参加さんかしたトリビュートアルバム『PAUSE ～STRAIGHTENER Tribute Album～』。どこまでも真まっ直すぐなロックミュージックを体現たいげんした「ROCKSTEADY」（MONOEYES）、叙情じょじょう的てきな歌詞かしの世界せかいを前面ぜんめんに押おし出だした「シーグラス」（back number）、強烈きょうれつなダイナミズムと豊ゆたかなメロディを共存きょうぞんさせたアンサンブルが印象いんしょう的てきな「Melodic Storm」（9mm Parabellum Bullet）、90年代ねんだいギターロックへの愛着あいちゃくが感かんじられる「SENSELESS STORY TELLER SONY」（ASIAN KUNG-FU GENERATION）、オルタナティブかつノスタルジックな音像おんぞうに惹ひきつけられる「Farewell Dear Deadman」（the pillows）。参加さんかしたバンドの個性こせいとセンスが存分ぞんぶんに発揮はっきされたカバーから伝つたわってくるのは、ストレイテナーが20年ねんの活動かつどうのなかで培つちかってきた多彩たさいにして多様たような音楽おんがく性せいだ。アートフォームとしての質しつの高たかさとロックバンドとしての生々なまなましさを共存きょうぞんさせたストレイテナーの存在そんざいは、日本にっぽんのバンドシーンに大おおきな影響えいきょうを与あたえた。そのことを改あらためて実感じっかんできる作品さくひんだと思おもう。

　4thアルバム『＆DNA』（2017年ねん1月がつ）を携たずさえた全国ぜんこくツアー『パスピエ TOUR 2017“DANDANANDDNA”』後ごにやおたくや（Dr）が脱退だったい、4人にん編成へんせいとなったパスピエ。新しん体制たいせいになって初はじめての作品さくひんとなる『OTONARIさん』は、新あらたな局面きょくめんを迎むかえたメンバーが“パスピエの音楽おんがくとは何なにか？”という根本こんぽん的てきなテーマに向むき合あい、徹底的てっていてきに研とぎ澄すまされた作品さくひんになっている。ドラマーの脱退だったいに伴ともない、制作せいさくの方法ほうほうはスタジオでのセッションから打うち込こみを中心ちゅうしんにしたデータのやりとりに移行いこう。その結果けっか、パスピエ本来ほんらいの高度こうどなアンサンブルはさらに磨みがかれ、バンドの魅力みりょくがわかりやすく提示ていじされている。また＜答こたえを見みつけたら　音おとの鳴なる方ほうへ＞（「音おとの鳴なる方ほうへ））など、パスピエの状況じょうきょうをリアルに反映はんえいした歌詞かしも強つよく心しんに残のこる。ドラムがいないという状況じょうきょうを好機こうきと捉とらえ、バンドの音楽おんがく性せいをさらに広ひろげることに成功せいこうした、まさにターニングポイントとなる1枚まいだ。