“Janne Da Arcからのka-yu脱退のご報告並びにJanne Da Arc解散のご報告”というニュースが飛び込んできたのは4月1日午後6時半。新元号の話題をかき消すほどの衝撃的なニュースに誰もが質の悪いエイプリルフールの嘘だと思いたかったに違いないが、日付が変わってもその事実が覆ることがなかった。2007年に事実上の活動休止をして以来12年間、5人での表立った活動(2011年の東日本大震災の際に5人揃ってコメントを出したのみ)はしていないながらも、心のどこかで“またいつか5人で活動する日が来るはず”と祈っていたファンの願いは叶わないままとなってしまった。
Janne Da Arcを語るうえでメンバー5人の関係性を抜きにして語ることは出来ない。yasu(Vo)、you(Gt)、ka-yu(Ba)は中学の同級生。そしてyasuとyouに加え、kiyo(Key)とshuji(Dr)は高校の同級生(ka-yuのみ高校は別)といういわば地元の友達同士で組んだバンドなのだ。そのためメンバーの仲の良さはピカイチで、このヴィジュアル系らしからぬ飾らない関係性は彼らの最大の魅力といっても過言ではない。また、友達同士で組んだバンドで名を上げていくという夢のようなストーリーに憧れたバンドキッズも多かったように思う。だからこそ、この5人のうちの誰かがJanne Da Arcではなくなるという事実に衝撃を受けたファンも少なくないはずで、Janne Da Arcはこの5人でないとJanne Da Arcではないということを“最低限のけじめと礼儀”として解散を決めたことには納得がいく。
同時にこのニュースを受けて、ファンはもちろん、様々なミュージシャンが解散を惜しむコメントを寄せ、彼らが与えた影響の大きさを実感することが出来たのも事実だ。90年代のヴィジュアル系ブームが落ち着いた2000年代に入り、同年代のバンドが軒並み解散や活動休止する中、ヴィジュアル系シーンを引っ張ったバンドでもあり、その影響力は「平成生まれのV系バンドマン100名が憧れたアーティスト」で2位にランクインしていることからも明らかである。実際に2005年に行われた大阪城ホールで行われた凱旋ライブ『Dearly』を見てバンドを志し、2020年10月に彼らと同じく地元・大阪城ホールのステージに立つことを掲げ活動中(現在は1年間の活動休止中)のFEST VAINQUEURのHIRO(Ba)や、Janne Da Arcのサウンドに強い影響を受け「JanneのDNAを受け継いでいきます」と宣言した元DELUHIで現Far East DizainのLeda(Gt)、高校時代に数多くの楽曲をコピーして、「ジャンヌがなかったら今の俺はないだろうなぁ。。。」とコメントを残したPENGUIN RESEARCHの新保恵大(Dr)など、ジャンルを超えて彼らの残したものは脈々と受け継がれている。
ポップス、ハードロック、メタル、プログレ、ジャズ、ゲームミュージックといったメンバーの様々なバックボーンから作り出される楽曲を表現する卓越した技術はバンドキッズたちを熱狂させ、そのマニアックなまでのアレンジをポップスに落とし込むyasuの歌声とメロディ、そしてJanne Da Arcの代名詞ともいえるエロティックな歌詞や切ないラブソングの数々に加え、実体験であるストーカー被害や報道、表向きではそう聴こえないが実はギャンブルや歯医者のことを歌った曲まで、多岐にわたる楽曲はリスナーを惹きつけた。そう、Janne Da Arcはプレイヤーからもリスナーからも支持されるという全方位型のバンドだった。その証拠に彼らのライブの男女比はほぼ半々であり、今となっては当たりまえになった男性限定ライブも2003年に先駆けて行っている。