Superflyが原点げんてん=“0”からみちびしたうたへの愛情あいじょう 3ねんぶりのライブツアーでつないだ現在げんざい未来みらい

Superflyアリーナツアー『0』レポ

 Superflyが9月から12がつにかけて、全国ぜんこくアリーナツアー『Superfly Arena Tour 2019 “0”』を開催かいさいした。2016ねんの『Superfly Arena Tour 2016 "Into The Circle!"』以来いらいやく3ねんはんぶりの開催かいさいとなった今回こんかいのツアー。2020ねん1がつ15にちにリリースされる6thオリジナルアルバム『0』(ゼロ)とどうタイトルをかかげ、「フレア」(NHK連続れんぞくテレビ小説しょうせつ『スカーレット』主題歌しゅだいか)、「Ambitious」(ドラマ『わたし、定時ていじかえります。』主題歌しゅだいか)といった話題わだい新曲しんきょくのほか、アルバムに収録しゅうろく予定よてい楽曲がっきょく披露ひろうされるなど、Superflyの“現在げんざい”と“未来みらい”を体感たいかんできる内容ないようとなった。(取材しゅざい=10月26にち さいたまスーパーアリーナ公演こうえん

 “0(ゼロ)”をモチーフに、自然しぜん都市とし宇宙うちゅうなどをうつ映像えいぞう壮大そうだいなスケールのSEとともにライブはスタート。ステージのなか登場とうじょうした越智おち志帆しほは、うつくしいストリングスをまじえたバンドサウンドのなかで、だいらかな歌声うたごえひびかせる。

 最初さいしょ楽曲がっきょくは、今年ことしリリースされた「Ambitious」。心地ここちよい頭打あたまうちのリズムと開放かいほうてきなメロディライン、リスナーの感情かんじょうをしっかりとアップリフトする歌詞かしひろがり、はやくもおおきな感動かんどうまれる。さらに〈ほこれ〉という希望きぼううたった「Wildflower」、〈あいするひときしめよう〉という率直そっちょくおもいをえがいた「やさしい気持きもちで」。ビジョンにうつされる表情ひょうじょうは、ずっと笑顔えがお。リラックスして、気持きもちよさそうにこえひびかせる姿すがた印象いんしょうてきだった。「今日きょうは17046にんあつまってくれました。今回こんかいのツアーは3ねんはんぶり。“0”は来年らいねんすアルバムのタイトルで、アルバムの新曲しんきょく演奏えんそうしたいし、むかしから一緒いっしょにもりあがってきたきょく演奏えんそうしたいとおもいます」とゆっくりかたける様子ようす本当ほんとうおだやかだ。

 ライブ前半ぜんはんのハイライトは「Gifts」だった。2018ねんの『NHK紅白こうはく歌合戦うたがっせん』でも歌唱かしょうされたこのきょくはもともと、だい85かいNHK全国ぜんこく学校がっこう音楽おんがくコンクール「Nコン」中学ちゅうがく課題かだいきょくとしてろされたバラード。自信じしんてず、コンプレックスをかかえる10代のひとたちの気持きもちに歌詞かしが、普遍ふへんてきなメッセージをまといながら、観客かんきゃくひとりひとりのしんとどく。オーガニックな雰囲気ふんいきのバンドサウンド、そして、どこにも無理むりがなく、素直すなお率直そっちょくなボーカルが楽曲がっきょく魅力みりょくをさらに増幅ぞうふくさせる素晴すばらしい演奏えんそうだった。

 ビッグバンド・ジャズふうのアレンジで披露ひろうされた「こいするひとみうつくしい」「Fall」(志帆しほ活動かつどう休止きゅうしちゅう、よくジャズをいていたという)ののちは、ダンサーのシアトリカルなパフォーマンスとムービングライトを使つかった演出えんしゅつほどこした「My Best Of My Life」、「こおりじこめて」(映画えいが『プロメア』エンディング主題歌しゅだいか)へ。

 そして、「I Remember」は楽器がっき一切いっさい使つかわず、志帆しほのアカペラで披露ひろうされた。1stアルバム『Superfly』(2008ねん)に収録しゅうろくされたこのきょくは、自分じぶん自身じしんしんじることもできず、孤独こどくのなかにいた“わたし”がうたうという行為こういによって、希望きぼうひかりつかむまでをえがいたバラード。すべての言葉ことばゆたかな感情かんじょうめ、ゴスペル、ソウルミュージックのかおりをはなちながら、まるでいのりのようなうたへと昇華しょうかさせたこのきょくのパフォーマンスは、今回こんかいのツアーのおおきなポイントだったとおもう。「このきょくわたしにとって“うたうこと”が相棒あいぼうのような存在そんざいなんだなとづいた瞬間しゅんかんうたにしています」「今回こんかいのツアータイトルは“0”。このきょくいたときのことをおもしたら、最初さいしょ一緒いっしょ音楽おんがく演奏えんそうする仲間なかまもいなくて“0”だったんだなっておもって」という言葉ことばしんのこった。

 また、アルバム『0』に収録しゅうろく予定よてい発表はっぴょうきょく「Lilyのいのり」も。Superflyのライブをささえてきたバンドマスターのはちきょう義幸よしゆき(Gt)がアレンジとプロデュースをがけたこのきょくは、小説しょうせつあいらない』(一木いちきけい)をみ、「あいされたいという気持きもちはすごくうつくしいものだとかんじて、このほんのために1きょくきたいとおもった」というバラード。繊細せんさいあいらしいおもいがめられたうたき、アルバム『0』への期待きたいがさらにがったことはうまでもない。

 バンドセッションをはさみ、“あたらしい目覚めざめ”をテーマにえた「覚醒かくせい」(映画えいが『プロメア』主題歌しゅだいか)からライブは後半こうはんへ。「タマシイレボリューション」「Dancing On The Fire」などのライブアンセムをつなげ、心地ここちよい興奮こうふんへとみちびく。本編ほんぺん最後さいごは「99」。エッジのいたギターサウンド、ラウドなバンドサウンド、そして、アグレッシブなボーカルによって、稀代きたいのロックシンガーとしての魅力みりょくあらためて実感じっかんすることができた。

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