米べい米べいCLUBにとっては“異色いしょく”の「君きみがいるだけで」が最大さいだいのヒット曲きょくに　変かわり種だねのシングルが残のこした鮮烈せんれつな印象いんしょう

『みんなが聴きいた平成へいせいヒット曲きょく』第だい16回かい　米べい米べいCLUB「君きみがいるだけで」

　初はつのトリビュートアルバム『浪漫ろうまん飛行ひこう トリビュートアルバム』が8月がつ9日にちに発売はつばいされた、米べい米べいCLUB。同どうアルバムは、1990年ねん4月がつにリリースされた楽曲がっきょく「浪漫ろうまん飛行ひこう」のカバーのみが収録しゅうろくされたユニークな一いち作さく。米べい米べいCLUBの石井いしい竜也たつややシューク・フラッシュ！(MINAKO&MARI＋フラッシュ金子ふらっしゅかねこ)といったメンバーの参加さんかをはじめ、Anly、きいやま商店しょうてん、ゴスペラーズ、スカイピース、SANABAGUN. feat. Creepy Nuts、中川なかがわ翔子しょうこ、フィロソフィーのダンス、めいちゃん、遊ゆう助すけ、宝たから鐘かねマリン、レイザーラモンRG with あるあるメタルオールスターズが参加さんかしている。米べい米べいCLUBは「和わ」を軸じくにしながらも多た国籍こくせき性せい、ジャンルレス感かんをまじえていたところがバンドのおもしろさだったが、それをあらわしたかのように、実じつに多彩たさいなアーティストたちが揃そろった。

　1982年ねんに結成けっせいされた米べい米べいCLUBは、昭和しょうわ63年ねん（1988年ねん）「KOME KOME WAR」、平成へいせい元年がんねん（1989年ねん）「FUNK FUJIYAMA」をヒットさせる。長ながく続つづいた昭和しょうわから平成へいせいという新あたらしい時代じだいへと移うつり変かわるなか、前述ぜんじゅつしたような和風わふうでありながらいろんなテイストの音楽おんがくや文化ぶんかを混まじり合あわせ、しかもとびっきり陽気ようきで、良よい意味いみでの奇妙きみょうさを放はなつ米べい米べいCLUBのやり方かたには“新しん時代じだいっぽさ”が漂ただよっていた。音楽おんがく面めん、ビジュアル、メンバー構成こうせいがとにかく情報じょうほう過多かた。そんなゴチャゴチャしていた部分ぶぶんが、その当時とうじの日本にっぽん社会しゃかいの勢いきおいやムードを象徴しょうちょうしているようだった。

　筆者ひっしゃが石井いしい竜也たつやにインタビューした際さいも、「米べい米べいCLUBをやっていて楽たのしいのは、破壊はかいがあるところなんです。既成きせいのものを壊こわしていくところがおもしろい。うわーっと勢いきおいで勝かっていけちゃう。泣なける物事ものごとであっても、泣ないたままにせず、最終さいしゅう的てきには違ちがう感情かんじょうを与あたえられた。それが米べい米べいCLUBなんですよね」と語かたっていた（※1）。その言葉ことば通どおり、その活動かつどうはかなり鮮烈せんれつなものがあった。

米べい米べいCLUB「君きみがいるだけで」が月つき9ブームの影響えいきょうで大だいヒット

　そんな米べい米べいCLUBのなかでも、シングル曲きょくとして最大さいだいヒットとなったのが1992年ねんリリース「君きみがいるだけで」である。同どう曲きょくが収録しゅうろくされたシングル『君きみがいるだけで／愛あいしてる』の売上うりあげ数すうは276.2万まん枚まい（オリコン年間ねんかんシングル推定すいてい売上うりあげ数すうより）。もちろんその年としの年間ねんかんシングルチャートでも1位いだった。1990年ねんリリース『浪漫ろうまん飛行ひこう』は61.9万まん枚まいの2位い、1994年ねんリリース『ア・ブラ・カダ・ブラ』は55.9万まん枚まいで41位いという数字すうじを見みても、「君きみがいるだけで」が飛とび抜ぬけていることが分わかる。

　なぜそこまでヒットしたのか。それはやはり、1992年ねん放送ほうそうのフジテレビ系けいドラマ『素顔すがおのままで』の主題歌しゅだいかに抜ばってきされた効果こうかが大おおきい。

　『素顔すがおのままで』は、脚本きゃくほんが北川きたがわ悦えつ吏子。のちに『あすなろ白書はくしょ』（1993年ねん／フジテレビ系けい）、『愛あいしていると言いってくれ』（1995年ねん／TBS系けい）、『ロングバケーション』（1996年ねん／フジテレビ系けい）、『Beautiful Life ～ふたりでいた日々ひび～』（2000年ねん／TBS系けい）など数々かずかずの高こう視聴しちょう率りつドラマで社会しゃかい現象げんしょうを巻まき起おこし、「恋愛れんあいの神様かみさま」と称しょうされるようになるドラマ界かいのカリスマだ。

　そして主演しゅえんのひとりは、当時とうじ数々かずかずの話題わだい作さくに出演しゅつえんしていた安田やすだ成美まさみ。安田やすだは、過去かこの辛つらい経験けいけんから内向ないこう的てきになった女性じょせいを演えんじた。もうひとりの主演しゅえんが、歌手かしゅ・中森なかもり明菜あきな。彼女かのじょが連れんドラの主演しゅえんに選えらばれたことは大おおきなニュースとなった。演えんじたのは、ミュージカルスターを目指めざす元もと暴走ぼうそう族ぞくの女性じょせい。性格せいかくがまったくちがうふたりが同居どうきょ生活せいかつのなかでいろんなことを分わかち合あっていく姿すがたが清々すがすがしかった。

　さらにちょうどその頃ころ、フジテレビ系けいで夜よる9時じ枠わくに放送ほうそうされるドラマは社会しゃかい現象げんしょうとなりつつあった。1990年ねん『すてきな片想かたおもい』、1991年ねん『東京とうきょうラブストーリー』『101回かい目めのプロポーズ』からなる「純愛じゅんあい三さん部ぶ作さく」で月つき9ブームに火ひがつき、主題歌しゅだいかも次々つぎつぎとヒット。『素顔すがおのままで』と「君きみがいるだけで」もその流ながれに乗のったのだ。