FORWARD・ISHIYA × WARHEAD・JUN対談たいだん　ハードコアパンクの海外かいがいツアーの醍醐味だいごみ

　FORWARD / DEATH SIDEのボーカリストであるISHIYAが、自身じしんのルーツと数すう多おおくの海外かいがいライブ体験たいけんについて綴つづった自伝じでん的てきツアーエッセイ『Laugh Til You Die　笑わらって死しねたら最高さいこうさ！』が好評こうひょう発売はつばい中ちゅうだ。自身じしんの体験たいけんをもとにシーンの30年ねん史しを綴つづった書籍しょせき『ISHIYA私わたし観かん ジャパニーズ・ハードコア30年ねん史し』、1992年ねんに34歳さいの若わかさでこの世よを去さった片手かたてのパンクス・MASAMIの生いき様ざまに迫せまった『右手みぎてを失しつくしたカリスマ MASAMI伝でん』に続つづく、ノンフィクションシリーズの第だい三さん弾だんとして刊行かんこうされた本書ほんしょには、世界せかい各国かっこくのハードコア・パンクシーンの様相ようそうがリアルに描えがかれている。

　リアルサウンド ブックでは今回こんかい、ISHIYA達たちとともにアメリカツアーを敢行かんこうしたWARHEADのボーカル・JUNとの対談たいだんをお届とどけする。ともに異国いこくの地ちにジャパニーズ・ハードコアを伝つたえてきた両者りょうしゃは、過酷かこくとも言いえる海外かいがいツアーに何なにを見出みいだしてきたのか。本書ほんしょ未み収録しゅうろくのツアー写真しゃしんにも注目ちゅうもくだ。（編集へんしゅう部ぶ）

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TRAGEDYと回まわったアメリカツアー

JUN：ISHIYA君くんの新あたらしい本ほん、ちゃんと読よませてもらいました。ISHIYA君くんたちとは一緒いっしょにアメリカツアーも回まわっているから、どんな旅たびだったかを知しってたんやけど、やっぱり自分じぶんとは違ちがう視点してんがあっておもろかったな。「ISHIYA君くんはあの時とき、こんな風ふうに思おもってたんや」とか、いろんな発見はっけんがあった。たぶん、普通ふつうの人ひとの読よみ方かたとは違ちがうわな（笑）。コロナ禍かで世よの中なかがおかしくなって、俺おれも海外かいがいツアーに対たいするビビりみたいなもんが出でてきてたんやけど、俺おれたちはこれだけのことをやってきたんやなって、元気げんきが出でたっちゅうか、一人ひとりのパンクスとして気合きあいが入はいったわ。俺おれもまた、未知みちの世界せかいに飛とび込こんだろうやないかって気持きもちになれた。

ISHIYA：それはよかった、ありがとう！　JUNと一緒いっしょにマディソン・スクエア・ガーデンの前まえで撮とった写真しゃしん（メイン画像がぞう）も掲載けいさいしてるよ。

JUN：この写真しゃしんは最高さいこうやね。たしか通行人つうこうにんに撮とってもろうたんやな。車くるまが故障こしょうして、ブロンクスの街まちの片隅かたすみで修理しゅうりしている最中さいちゅうに、二人ふたりでニューヨークを散歩さんぽしたんや。マディソン・スクエア・ガーデンは絶対ぜったい行いかなあかんって。チャイナタウンに迷まよい込こんだりもしたな（笑）。

ISHIYA：アメリカツアーはTRAGEDYとWARHEADとFORWARDで回まわったんだけれど、JUNが出演しゅつえん順じゅんで揉もめる話はなしも書かいてある。

JUN：書かいてあるな（笑）。俺おれとしては日本にっぽんのハードコアっちゅうのはすごいんやでって言いいたいところがあったんやけど、TRAGEDYがメインのライブなんやから、普通ふつうに考かんがえたらあいつらがトリなのは当あたり前まえやな。間あいだに入はいっているSOUICHI君くんには、一言ひとことだけ「いい加減かげんにして」ってめっちゃ怒おこられたわ。今いま考かんがえると恥はずかしくなるけど、ツアーの時ときは疲労ひろうも溜たまるし、そういうトラブルが付つきもんやな。TRAGEDYの車くるまに一人ひとりで乗のり込こんで、ずっと口くち喧嘩げんかしながらアメリカ移動いどうしたりもした（笑）。でも、あいつらとまた会あいたいと思おもってる。

ISHIYA：TRAGEDYが日本にっぽんに来きたときは、逆ぎゃくのパターンでも揉もめたよな（笑）。

JUN：日本にっぽんに来きたときは、TRAGEDYのトッドが後半こうはんひとりで残のこってツアーについてきて、俺おれたちの物販ぶっぱんの箱はこの中なかに自分じぶんが買かったレコードを入いれてて。そんで注意ちゅういしたんやけど、そのあとアメリカ行いってTRAGEDYの車くるまに乗のった時とき、トッドに「お前まえ、日本にっぽんで俺おれが車くるまに乗のったときずっと怒おこってただろう」って言いわれて「お前まえいまさらそれ言いうか？」って口喧嘩くちげんかになった（笑）。TRAGEDYはアメリカで人気にんきあるバンドだけど、俺おれにしてみれば同おない年どしのバンドやから、ライバルっちゅうか、簡単かんたんに負まけられるかって気持きもちはあるんやな（笑）。

ISHIYA：アメリカに行いく前まえから、WARHEADはそういう負まけん気きがあるだろうなって思おもっていたし、それも含ふくめて面白おもしろいと思おもってた（笑）。俺おれとしては完全かんぜんに第三者だいさんしゃというか、レフェリーみたいな感覚かんかく。

JUN：せこいな、レフェリーて（笑）。STAR STRANGLED BASTARDSの連中れんちゅうともツアー回まわったけど、あいつらはあいつらでまた別べつやんか？　感覚かんかくがもっと俺おれらと近ちかいっちゅうか。

ISHIYA：あいつらはね、GABBA（CHAOS U.K）とか、そっちの系統けいとうだから。単たんなる不良ふりょう仲間なかまって感かんじ。

JUN：そうそう、だからライバルとか後輩こうはいとかいう感かんじとちゃう。馬うまが合あうっちゅうか。

ISHIYA：TRAGEDYはもっとミュージシャン的てきというか、言いってみればマニアックな感かんじ。その感覚かんかくの違ちがいが面白おもしろいんだよ。その辺あたりは日本にっぽんのバンドでも一緒いっしょだけどね。バンドの性格せいかくもあるし、一人ひとり一いち人にんの性格せいかくもある。そういう感覚かんかくも一緒いっしょに回まわってるとよくわかるし、自分じぶんなりに色々いろいろと分析ぶんせきすることもできる。

JUN：不良ふりょう同士どうしで馬うまが合あうっていうのは、会あってすぐにわかるな。「当あたり」って感かんじ。STAR STRANGLED BASTARDSは会あった瞬間しゅんかんから「イェーイ」って仲良なかよくなった（笑）。

憧あこがれのDISORDERとブリストルで喧嘩けんかに

JUN：ISHIYA君くんは本ほんの中なかで泥酔でいすいしてやらかしたことも書かいてたけど、俺おれは現場げんばで別べつの人ひとから「ISHIYA君くんが酔よっ払ぱらって迷子まいごになった！」とか聞きいたり、イギリスではGABBAから「今いまのISHIYAはこんな感かんじだ」ってメールが来きたりしてたから、その真相しんそうがわかったのはおもろかった（笑）。へべれけやったのに、よくこんなこと覚おぼえてるよな。あと、一緒いっしょに回まわったツアーとは別べつに、それぞれ同おなじ場所ばしょでライブしていたりするから、その体験たいけん談だんとかも「わかるわ」ってなって面白おもしろかった。オーストラリアの移動いどうとか、ホンマ大変たいへんや！

ISHIYA：オーストラリアは大変たいへん。長距離ちょうきょり移動いどうはアメリカ以上いじょうだね。

JUN：オーストラリアで車くるまで移動いどうしていて、寝ねて起おきたら砂漠さばくのど真まん中なかやったこともあったわ。しょんべんしたいけど、サソリに刺さされるかもしれんから怖こわくてできひん！　ツアーでお世話せわになったフィルからは「この長距離ちょうきょり移動いどうをしたバンドは、FORWARDとお前まえらだけだ」って言いわれたわ（笑）。「次つぎに来きたらまた同おなじことをするか？」って聞きかれたから「やったるわ！」って言いったけど、あれはもう嫌いややね。

ISHIYA：俺おれは同おなじことを聞きかれて「もっと遠とおくまで行いったるわ」って言いってしまったんだけど、本当ほんとうにあるらしいよ、もっと遠とおい街まちが……。メルボルンから車くるまで1週間しゅうかんかかるって。

JUN：二ふたつ目めの都市としで声こえかけてきた人ひとがいて「お前まえたち、まさか車くるまできたのか？」って言いうから「そうやで」って答こたえたら、なんかサンドイッチくれたわ（笑）。

ISHIYA：相当そうとうハードな旅たびに見みえたんだろうな（笑）。俺おれらは一緒いっしょに行いってないツアーでも、大体だいたい同おなじところを回まわっているよね。たぶん、ハードコアのライブは「この国くにだったらこの街まち」って感かんじで、できるところが限かぎられているんだと思おもう。

JUN：オーストラリアはFORWARDと大体だいたい同おなじルートやもんな。でも、ISHIYA君くんに自慢じまんしたいんやけど、俺おれらイギリスのブリストルでライブやってんねん。ブリストルは格別かくべつの街まちやね。

ISHIYA：俺おれたちはブリストルに行いきはしたけれど、ライブはできなかったんだよな。あの街まちは雰囲気ふんいきからして違ちがう。街まち中ちゅうにグラフィティが描えがかれているんだけれど、危険きけんな地域ちいきの雰囲気ふんいきともまた違ちがっていて。

JUN：めちゃくちゃかっこいい街まちやね。ISHIYA君くんが飲のみ過すぎたのもよくわかる（笑）。あの川かわ沿ぞいのパブに行いったんよね？　あそこは最高さいこう！

ISHIYA：家いえの近所きんじょに欲ほしいよな、あのパブ。ロンドンでライブやったけれど、それよりもブリストルでやりたかった。なにせCHAOSS U.K、DISORDER、AMEBIXを輩出はいしゅつした街まちだから。

JUN：俺おれ、そういえばブリストルでDISORDERのタフと喧嘩けんかしたわ（笑）。初はじめてイギリスツアーの話はなしがあった時ときに、タフに頼たのんでたら全然ぜんぜんツアーなんかとってないんがわかって、そのまま連絡れんらく取とれへんようになって。そんでブリストル行ゆきってタフと会あった時ときに、俺おれは日本語にほんごで怒いかり出だしたらしい。でも、ブリストルに行いった時ときはパブで仲直なかなおりした。そういう街まちやね、あそこは（笑）。

ISHIYA：まあ相手あいてはタフだから仕方しかたがない（笑）。実際じっさいに奴やつらと仲良なかよくなって、タフの人間にんげん性せいを知しってからDISORDERを聴きくと、また全然ぜんぜん違ちがうよね。あの性格せいかくだからこの音おとが出でるんだってわかる。

JUN：やっぱり大好だいすきやもんな、DISORDER。めちゃくちゃかっこいい！　でも、タフと喧嘩けんかして一いち回かい嫌ぎらいになったわ（笑）。1989年ねんかな。17歳さいでDEATH SIDEの『WASTED DREAM』を聴きいたのと同おなじ時期じきにDISORDERと出会であってるわけやから、俺おれらからしたらハードコアの大だい先輩せんぱいも良よいところやけど、あのときは本気ほんきで怒おこったもん。

ISHIYA：問題児もんだいじだからな、タフは。しょうがないよ（笑）。